今回から太陽スフィンクス戦です。
視点は最初から月刊アメフトの記者、熊袋からの視点になります。
〜熊袋記者視点〜
太陽スフィンクスVS泥門デビルバッツ
泥門のキックから始まった試合はハーフラインから太陽ボールでスタートとなった。
『Set!Hut!』
注目すべきはやはり太陽のライン陣、番場君を筆頭に重量ラインを築き上げてクォーターバックの原尾君がゆっくりパスを選ぶ時間を作り上げている。
普通はパスをする相手を探すのに3〜4秒、その短い時間でパスをする相手を見つけて正確にパスをしなければならない。
それを長くキープする事ができるのが太陽の強み、ピラミッドラインだ。
泥門のディフェンスラインを青天で倒し、空いたレシーバーにパスを通した太陽陣は前進。そして即座にアイシールド君のタックルで倒された。
『8ヤードゲイン!』
「やっぱりラインが強いとパスも通りやすい。ラインは安定感があるね」
青天された泥門ラインを笑う声がフィールドの周りから聞こえる。その笑い声を聞いた2番の子が睨み、拳をぶつけて気合いを入れていた。
『Set!Hut!』
ファーストダウンまで残り2ヤード、2度目の攻撃でもやっぱり泥門ラインは青天される。
そこへランニングバックがボールを持って中央突破、泥門ラインは倒されていて対応が出来ずに走られ……。
「ふんぬらばっ!」
ランニングバックがタックルで仰向けに倒された!
『1ヤードゲイン!』
確か彼は双葉君だったかな、春大会で王城と試合した時負傷退場した選手だ。
「なんだ、デカイだけで雑魚だったか…仰向けに倒れてダッセェな」
「っ!」
「悪かった、流石に言い過ぎた。今度は加減するわ。手ぇ貸すぞ」
双葉君が話しかけながら倒した選手に手を伸ばして立たせてあげると、太陽のランニングバックは悔しそうな顔をしていた。
『Set!HutHut!』
ファーストダウンまで残り1ヤード、3度目の攻撃。
太陽陣はパスを選択。また泥門ラインを青天すると、悠々とパスの相手を探している。
フリーになっているレシーバーを見つけた原尾君がいいパスを投げる。
「ちっ…!」
ヒル魔がギリギリ手を伸ばしてレシーバーが取る前にボールを弾き、パス失敗。
3度目の攻撃でもファーストダウンを得られず、泥門のラインが崩されていても思いのほかディフェンスが機能しているのは驚いた。
『Set!Hut!』
4度目の攻撃、これで失敗すれば泥門自陣まで41ヤードを残し、そのまま攻守が入れ替わってしまう。
パントして距離を稼ぐにしても微妙な位置、残り1ヤード取れれば連続攻撃出来ると考えれば……パントせずに攻撃”ギャンブル”を選択してもおかしくない。
「やっぱり!中央突破!」
パントせずに攻撃を選んだ!
ピラミッドラインが泥門ラインを押してランニングバックが走る道を作る!これなら確実に1ヤード以上は進める!
泥門ラインの真横を走り抜け、進んで行くと双葉君が待ち構えていた。
「くっ!」
双葉君がタックルをして倒す。そう簡単には進められなかった。
『1ヤードゲイン!ファーストダウン獲得!』
それでも4回でファーストダウン獲得出来た太陽はこのまま連続攻撃へ移れる。
「泥門が意外にもディフェンスが上手いね」
最後にした試合は確か……賊学、あの時は46対28。
守備型のチームというより攻撃型のチームの印象が強い。この短期間でディフェンスの練習をしたのかな?
「ライン組しっかりしろ!何ひよってんだ!」
「で、でも蓮次…」
「でももだってもねぇ!こっちは必死こいてディフェンスしてんのに呑気に寝てやがって!そんなに寝てたいならずっと寝てろ!」
栗田君の背中を叩いて怒るラインバッカーの双葉君、どうやら彼がディフェンスの要みたいだね。
『Set!』
「……あれ?」
ラインバッカーのはずなのに立ち位置が変わってる。コーナーバック?
『Hut!』
ボールが原尾君に渡り、ゆったりとパス相手を探し……すぐに空いているレシーバーを見つけて投げる。
「あっ!」
フリーだったはずのレシーバーの前に双葉君が現れた!
「ケケケッテメェが誰を選んで投げるか分からねぇなら選ばしてやるよ!」
これが罠だと気付いた時には既に双葉君がインターセプトをしていた。上手い!わざとフリーにさせてパスさせるのを誘ったんだ!
「YA-HA-!!カウンターだ!!」
ヒル魔君の声がグラウンド中に聞こえるが既に双葉君は走り出し、アイシールド君が並走していた。
慌てて太陽後衛陣が双葉君を止めに走るが、双葉君が左手で太陽後衛陣1人を押さえつけて進んでいく。2人に囲まれた時には右手でアイシールド君に手渡しすると、アイシールド君が一気に加速。
もう、誰も止める人が居なかった。
『タッチダウン!!』
先制点はまさかの泥門デビルバッツ!パス相手を誘ってからインターセプト!そしてカウンターでアイシールド君の足の速さを活かしたプレイング!
「ラインだけ強くても他が弱いと楽勝だなーヒル魔!」
「ケーケッケッ!確かにそうだなファッキンセカンド!バックス組なんて穴だらけだぜ!」
「またインターセプト狙ってやろうかなー?ランも簡単に倒してしまうから可哀想になってくるよなー」
「ケケケッ!次はどうカウンターしてやろうかな〜?」
双葉君とヒル魔君が煽る煽る…原尾君が怒りに震えているのがよく見える。
泥門のトライフォーポイントはキックを選択したけど失敗。
6対0で泥門のキックからプレイが始まる。
泥門陣地まで残り60ヤード、そこで太陽の攻撃が始まった。
『Set!Hut!』
1回目の攻撃、ライン同士がぶつかるけどまた青天。原尾君がゆっくりパスをする相手を探している……だけどどれだけフリーになってる選手を見つけても中々投げられなかった。
「何を悠長な事を!レシーバーはがら空きじゃないか!」
編集長が怒っているけど、原尾君は今パスを投げてインターセプトされると思い込んでいる。
―また投げれば取られてしまう―
目の前で体験した失敗を無かったことにするにはこの状況は少し厳しい。
「くっ…!スパイク!!」
とうとう原尾君はランを選択せず真下に投げてパス失敗、プレイが止まった。
「がら空きだったのに!」
「仕方ないですよ、さっきパスをしてインターセプトされたのがアタマに残っているんですから」
原尾君は自分でボールを持って進む”スクランブル”という選択肢は無いように見える。中々面白い発見だ。
『Set!Hut!』
2度目の攻撃。
今度はランを選んだ、ランニングバックが右サイドから上がり、そこへ新加入の黒木君が構えていた。
「はあぁぁあ!」
黒木君のタックルが決まり、ランニングバックは倒れる。
『0ヤードゲイン!』
進まず戻らず、結果として無駄な攻撃になってしまった。
「ラインが強みなら中央突破すればいいのに」
何故か中央突破を狙わずサイドからの攻撃を選んだ太陽陣には疑問を感じる。
インターセプトした双葉君はコーナーバックについて……あれ?今の攻撃の時はセーフティの位置じゃなかった?かなり後ろに立っていたよね?
『Set!HutHut!』
3度目の攻撃。
気になる双葉君の位置は……また前にいる!ラインバッカーの位置だ!
そんなにコロコロポジション変えてディフェンスフォーメーション大丈夫なの!?
泥門ラインが太陽ラインに押されて道を作るとランニングバックが中央突破!更に番場君が前を走って双葉君を抑えてランルートを作る!
「ぐっ!」
「ぬんっ!」
双葉君と番場君の押し合いになってランニングバックが走り抜けた!
「ちっ!」
ヒル魔君が何とかランニングバックを止めた!
『9ヤードゲイン!』
それでもファーストダウンは取れない!
『Set!HutHut!』
4度目の攻撃。
残り51ヤードで後1ヤードでファーストダウン獲得というさっきと似たような構図が出来た。
どうする?ここでもさっきと同じようにパントせずギャンブルするのかな?
「中央突破だ!」
編集長が叫ぶと本当に中央突破!
3回目と同じ状況になると今度はヒル魔君と双葉君が番場君と対決。
「2人がかりでも止められんぞ!!」
番場君のパワーで2人を押さえ込み、その隙にランニングバックが通り抜ける。
『13ヤードゲイン!ファーストダウン獲得!』
アイシールド君が止めるまで13ヤードも進まれ、ファーストダウンを獲得。これで連続攻撃ができるようになった。
『SetHut!』
素早い掛け声で始まる太陽の攻撃。
また中央突破を狙うつもりなのだろう。また青天させた後番場君が前を走る。
「ちぃっ…!」
「ヒイィィ!」
ヒル魔君とアイシールド君が止めに入るが番場君に抑えられ……あれ?アイシールド君?
「ふんぬらばっ!!」
「がはっ!」
双葉君がランニングバックをタックルして倒した!
『2ヤードゲイン!』
泥門ディフェンスが太陽のオフェンスに上手く刺さっている。ライン勝負は圧倒的不利だけど後衛組がその分をカバーする働きを見せている。
「おい、ファッキン余にファッキン丸ハゲ」
プレイ再開前、ヒル魔君が原尾君と番場君へ話しかけていた。
「今のでちょうど10プレイだ。妙だな?戦意喪失してる奴は見当たらねーが?」
確か試合開始前に10プレイで戦意喪失させるとか番場君が言ってたような…?
何度も屈辱的な青天をされた泥門ラインだけど誰も戦意喪失してるようには見えない。それどころかあれだけ攻めた太陽なのにインターセプトされて先制点も取られてる。
「散々青天させていい気分だろうけど、1点も取れねぇって大丈夫か?そんなんでアメリカとやりあえんのか?」
双葉君の追い討ち…。
「なにをー!?大体オメーらラインが弱すぎるじゃにーか!」
「にーにーうるせねぇな!カッパみてぇな見た目してんのに猫みてぇに喋るな気持ちわりぃ!俺は猫が嫌いなんだよ!」
「俺は猫じゃにー!!」
「どうだっていい、こりゃ日本代表は泥門デビルバッツで決まりだな」
「ケケケッ!ラインだけのチームなんざ怖くねーよ!」
ケラケラ笑う双葉君に合わせてヒル魔君も笑うとハイタッチを交わし、続いて2人で栗田君の背中を叩いてハドルを始めたのだった。
太陽スフィンクス戦その1でした!
地獄のロシアンルーレットディフェンス編です(笑)
原作では先制点は太陽スフィンクスでしたが今作では泥門デビルバッツ!
攻撃型のチームはディフェンスでも攻める!両面で出ているからこそカウンターした時にはオフェンスと同じ面子でやれるのが両面の強みでしょう(スタミナに関しては一旦目を瞑ります)
次回はその2、まだまだ試合は続きます!!