〜熊袋記者視点〜
後半が始まった。
18対0で太陽キックから始まると、残り82ヤードでプレイが始まる。
太陽陣は新たな選手を出したようで背番号98番の鎌車君がコーナーバックについている。
逆に泥門陣は双葉君を下げてベンチに座らせていた。
「双葉君を下げた?」
彼を下げるってどういう意図があるんだろう?
『Set!Hut!』
ヒル魔君へボールが渡りプレイが始まる。
「戦車バーンプ!」
鎌車君がモン太君へバンプ!?もろに当たったバンプで体勢を崩されたモン太君がフラフラになりながらも何とか走って行く……が、パス失敗。
『Set!HutHut!』
「戦車バーンプ!」
2度目の攻撃も鎌車君のバンプでパスのタイミングをズラされてしまうもヒル魔君はパスを投げる。
「ヒュウー!パスキャッチの世界もパワー万歳!」
モン太君よりも背丈が上の鎌車君がインターセプト!
何とか止めた泥門だが、攻守が入れ替わってしまう。
『Set!Hut!』
原尾君の掛け声で始まる太陽の攻撃。
残りわずかの範囲を何とか守りたい泥門。
「にぃー!?」
十文字君が笠松君を引き倒して一気に詰め寄ってブリッツ成功!
前半はボールを高く構えていた原尾君だったけどここへ来て低く構えるようになってボールキープができている。
「こうなってくるといよいよ分からなくなってくるぞ〜」
元々ラインは7:3で太陽陣の優勢。
バックスは逆に7:3で泥門陣の優勢だったけど、鎌車君の加入で後衛のパワーバランスが5分になる。
それだけならラインで優勢の太陽陣がいつか逆転していくが……この状況を変える秘密兵器が泥門ベンチにいる。
この状況なら今出して変えた方が良いかもしれない。
『タッチダウン!!』
3度目の攻撃で太陽陣はロングパスを成功させてタッチダウンを決めた。
トライフォーポイントもキックで入れてこれで18対7。
「タイムアウト!」
太陽のキックでプレイが始まり、残り70ヤード時点で泥門の攻撃が始まるかと思いきや、泥門がタイムアウトを要求した。
「このタイミングでタイムアウトだと?第3クォーターの中盤のここでか?」
「なんでしょう?バンプ対策ですかね」
「それだけ太陽のディフェンスに恐れをなしているんだな?」
「かもしれませんね」
その割にはかなり遅めのタイムアウト、もっと早めのタイミングで取っても良かったんじゃない?
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「モン太、バンプされても走れ」
「う、うッス」
「タイミングズラされようがレシーバーはパスを取るポジションだ」
「!」
「クソザル、バンプなんざ無視!さっさとフィールドを駆け上がれ!広い外野がテメェの庭だ、違うか?背番号80番」
「!!」
「ここまで言われてやるべき事はわかるな?」
「うッス!」
「次ライン組!押し合いになった時に少しでも足を動かせ、少しでも押し返せ、パスをする時間を1秒でも持たせろ。じゃねぇとこの流れを持って行かれるぞ」
「で、でも蓮次…」
「お前が力で番場をねじ伏せねぇから十文字が踏ん張ってんじゃねぇか!それでもセンターラインか!?少しは仲間を引っ張れ!ヒル魔と十文字に任せっきりにするな!」
「うっ…」
「相手が重量ライン?技量が上?だったらねじ伏せろ、何のためにその巨体があるんだ!」
「……頑張る!」
「頑張るじゃねぇ、ぶっ殺せ」
ピイィィ!
『試合再開します!』
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「大丈夫モン太?」
「任せろ!」
タイムアウトが終わり、アイシールド君がモン太君へ声をかけるとやる気を見せている。きっとタイムアウトの時にバンプ対策を教えられたんだろう…とは言っても対策ってどうするんだ?
『Set!Hut!』
太陽陣地まで残り70ヤード、そこで泥門の攻撃が始まる。
「戦車バーンプ!」
「ムキャー!」
鎌車君のバンプがモン太君に当たるが何とか持ち堪え、モン太君が全力で駆け上がる。
太陽ラインがパスを防ごうと泥門ラインを押すが必死に耐えて、パスをする時間を稼いでいた。
「YA-HA-!!」
ヒル魔君のロングパスが投げられた。
「取らせねーよ!鎌戦車アタック!!」
「ぅぐふぅ!」
鎌車君がモン太君の背中を押して体勢を崩した!反則だ!パス・インターフェアだ!
地面を転がるモン太君の体勢じゃあもうパスは通らない。
「キャッチだけは負けられねぇ!これから日本中…いや!世界中の全部のバックスにキャッチで競り勝ってやる!!」
土煙が舞う中モン太君の宣誓が聞こえ、彼の手にはしっかりとボールを掴んでいた。
『20ヤードゲイン!ファーストダウン獲得!』
パスキャッチ成功!?あの体勢で良く取れたね!
「あのモン太君のスーパーキャッチ、日本中どこ探しても出来る人は居ないんじゃないかな」
時計が止まり、レフリーが集まって話をしている。
多分さっきの鎌車君の行為を反則としてパスを無かったことにして15ヤード進ませてファーストダウン獲得状態から始めるか、パス成功させて20ヤード進ませるかの相談だろう。
「太陽キャプテン」
レフリーが番場君を呼んで警告、プロじゃここまでしないけど高校生レベルだとしっかり釘を差しておかないと危険なプレイをして選手が怪我をする可能性を考慮しての事だろう。
番場君が離れ、反則行為をした鎌車君に伝えてから叱る。鎌車君も反省したようでモン太君へ謝罪しプレイが再開される。
審判団からはパス成功した所でスタートすると宣言。
残り50ヤード、果たして次の泥門の攻撃は?
『Set!HutHut!』
スプレッドフォーメーションからヒル魔君がボールを手にし、モン太君を始め4人が上がる。さっきの反則を気にしてなのか、鎌車君はバンプを仕掛けようとするも消極的で伸ばした腕がモン太君の胸に当たり、さっきみたいに体勢は崩されない。
「うおおぉ!ダッシュマーックス!」
体勢が崩されないならモン太君の独壇場。一気にフィールドを駆け上がるとブレーキをして中央へ引き返す。
フックと呼ばれるパスコースだ。
「YA-HA-!」
ヒル魔君の豪速球がモン太君目掛けて放たれ、鎌車と競り合いになる。
「キャッチマックス!!」
しっかりとボールを掴んだモン太君かビシッと人差し指を空へ向けた。
『10ヤードゲイン!ファーストダウン獲得!!』
ロングパスからのミドルパスでファーストダウンを取ると、残り40ヤード。
『Set!HutHutHut!』
スプレッドフォーメーションからと思いきや、今度はスタンダードなIフォーメーションでプレイが始まる。
アイシールド君と30番がヒル魔君に駆け寄り、ボールを受け取る。2人同時にボールを胸元へ隠すとアイシールド君が一気に右サイドから上がって行く。
「上手いハンドオフだ…どっちに渡したのか分からないや」
「どうせアイシールド21だ、ランと言えばアイシールド21。泥門はそんなチームだ」
編集長の言葉通り、太陽陣もアイシールド君を止めようと集まる。
「……あっ!!」
アイシールド君はボールを持ってない!フェイクだ!
じゃあ誰が持っているんだ!?
『20ヤードゲイン!ファーストダウン獲得!!』
いつの間にか30番が捕まっていてレフリーが宣言。
影が薄いなぁあの30番、タックルされるまで気が付かなかった。ところで彼の名前はなんだっけ?
『Set!HutHut!』
泥門の攻撃は続く。
パスにラン、両方を上手く扱い攻撃に隙がない後衛組。それを活かすのはやはりライン組だ。
タイムアウトを明けてからガラッと変わり、しぶとく太陽ラインを押し返してはラインを崩されないように耐えている。太陽ラインの中心である番場君が栗田君の力に押されていて脇の下に腕を入れて倒す”リップ”を使う暇を与えていない。
柔よく剛を制すとは真逆の、剛よく柔を断つと言った感じか、ここまで力技で対処されると番場君も厳しい所があるのだろう。
「7:3だったのが今は6:4?いや五分かも。後衛組はまた泥門が有利になった今、太陽スフィンクスが逆転するのは厳しいかも」
惜しい所を上げるならキッカーの存在と、人数が少ないからスタミナ面かな。この暑い日にかなりスタミナを消耗していて、第4クォーターの最後まで持つかは少し分からないな。
「あぁ、だから彼を下げたのか」
あれだけの運動量だ、スタミナが切れてもおかしくない。
『タッチダウン!!』
1人考え事をしている内にモン太君がタッチダウンを決めていた。
これで24対7。
トライフォーポイントはキックをするも失敗。
第3クォーターが終わり、いよいよ第4クォーター…ベンチで休んでいた彼がフィールドに出てきたのだった。
太陽戦その3でした!
名前を忘れられた彼が地味に活躍!モン太がレシーバーとしての決意を固め、栗田が番場を力でねじ伏せるといった展開でした!!
次回第4クォーターと、試合終了後のお話となります!それでは楽しみに!!