今回もセナ視点でお送りします。
それではどうぞ。
合宿2日目。
今日もキツイ練習、だと思っていたがヒル魔さんから突然今日は練習休みだと告げられた。
その理由は……。
「超回復?」
ヒル魔さんが部室から出た後双葉さんが教えてくれた。
「筋肉を虐めてから休ませる事で虐められた筋肉がその分強くなる現象の事だ。それと並行してスタミナ強化も兼ねてるのがこの合宿の目的。昨日はランメニューが多かっただろ?」
「へー初めて知りました」
確かに言われてみれば昨日はすごく走ったのを覚えている。
「昨日の夜から24時間は練習禁止、明日の朝5時にまた練習だからそれまで家に帰るなら帰っても良いし遊びに行くなら行っても良い。それまで解散」
『いやっほーい!』
それを聞いた黒木君と戸叶君が喜んで部室から出て行った。
「双葉さんはどうするんですか?」
「俺?帰ったら面倒な事あるから帰らねぇ、ここで合宿終わるまで過ごす」
帰ったら面倒な事?一体なんだろう?
「そもそも合宿っていつまでやるんスか?」
「今週いっぱい、来週は2日休んでから練習再開。それと太陽戦勝利の約束で部室の増築もするから俺達も手伝うぞ」
「ヒィー…またあの工事の手伝いかぁ…」
「確か今回はシアタールームを作るとか言ってたな、ここでもスクリーンがあるが全員入れて見るには狭いからちょうど良いだろ」
重いしキツイし大変なんだよなぁあれ…。
合宿だけど普通に授業があって、普通に受けた。
お昼ご飯はどうやら家庭科部の人達が用意してくれて、僕達アメフト部にお弁当を届けてくれたけど…渡してくれた時、お弁当を持つ手が震えていたのはどうしてだろう…?
どうしてヒル魔さんが隠れて脅迫手帳を持っていたんだろうね?
「そして放課後になりましたとさ…」
「何言ってんだセナ?」
モン太と一緒に下校している時に思わず呟いた。
「いやーこうも平和だと逆にソワソワするって言うか、なんて言うかこんなのんびりして良いのかなって思っちゃってさ」
「あーそうだよなぁ、NASAエイリアンズに10点差以上で勝たねぇと日本から退去だもんな」
「それなのにこうして練習禁止って不安だよ」
「ほんとだよな」
それからお互い無言で歩き、僕の家について門を開けて入ろうとして……立ち止まった。
「モン太!」「セナ!」
「「あっ…」」
同時に名前を呼びあってしまい言葉に詰まった。
「ど、どうぞ」
「いやいや、セナから言ってくれ」
「僕は後からでいいから、モン太から言って」
「えー?……あーじゃあ、明日朝から練習だけど今日の夜に学校行かね?そんで双葉さんと一緒に泊まろうぜ」
僕と同じ考えだ!
「僕もそう考えてた!」
「おぉそうか!じゃあトランプとか用意して来るから待っててくれ!」
「うん!」
しばらく待っているとモン太が走って来てまた学校へ。
下校する人達とすれ違いながら校門を通り過ぎ、部室へと向かった。
「戻りましたー」
「今日は俺とセナも泊まりますのでお願いします!」
「あれ?帰ったんじゃないの?」
「おかえり、帰ったならそのまま家に居れば良かったのに」
太陽戦のビデオをスクリーンで見てお菓子を食べている双葉さんとまもり姉ちゃんがいた。
「家に居てもなんか落ち着かなくて、泊まったらダメですか?」
「いや、栗田と小結も泊まるって話だし別に気にすんな。姉崎はそろそろ帰れ」
「帰らないって何回も言いました。双葉君ちょっとしつこいよ」
「あーはいはい、頑固者なもんで…………お前もじゃねぇか」
「聞こえてるよ」
「聞こえるように言ってんだ」
「あはは…なんか双葉さんとまもり姉ちゃん自然体だよね」
適当に空いてる椅子に座って一緒にビデオを見ることにした。
「この連携プレイ、土壇場でやってみたがどうだった?忌憚のない意見をくれ」
スプレッドフォーメーションから始まり、ヒル魔さんから双葉さんへバックパスをしてからモン太へパス、その後僕へ手渡しでボールを貰ったプレイだ。
「ヒル魔さんと比べてパスがちょっと取るのが難しかったッス」
「ん、つまりまだまだパスの精度が悪いって事だな、明日からの練習に組み込んでおく。セナとモン太の連携プレイはどうだった?」
「僕はやりやすかったです。ライン周りと比べてランルートが確保しやすかったです」
「太陽はバックス陣が弱いから行けたかもな。他の強豪じゃ中々厳しい、王城相手だと進に追いつかれるかもしれねぇ。そこは油断するなよ?」
「はい!」
「モン太はセナに渡した後にブロックした方が良いな、ブロックの練習を明日から組み込んで行こう」
「うッス!」
「それと、モン太にはバンプを覚えてもらいたい」
「バンプッスか?」
「鎌車にやられただろ?あれをされるだけでレシーバーの動きを邪魔してパス失敗をさせやすい。技術面が多くなるから1度ヒル魔と相談してみる、やると決まったらやってくれ」
「了解ッス!」
「セナはブリッツだ、石を壊せって指令の意図はそこにある」
「え?……あ、あれはブリッツの練習だったんですか!?」
「パワーで壊すのは無理でもスピードでなら倒して石を壊せる、その練習をさせたいヒル魔の思惑があったんだが……伝わりにくいよな。まぁそういう訳だからやってくれ」
「はい!」
ビデオが終わり、双葉さんがまもり姉ちゃんへ色々言ってノートへ書いていく作業を僕とモン太はお菓子を食べて見ていた。
2人の様子はお互い気を使わなくても良い関係っぽく見える。同じクラスだからきっと教室でもこんな雰囲気で過ごしてるのかもしれない。
「まもり姉ちゃんって双葉さんと仲良いの?」
「え?まぁアメフト部のマネージャーだし、双葉君が色々と私に伝えてくるから自然とこうなったって感じ?」
「へー」
「こいつ休憩時間になる度に俺を起こすんだよな鬱陶しい」
「いつも寝てるから起こしてあげてるの!移動教室だってあるのに関係ないって感じで寝てるのが悪いんじゃない!」
「朝練がキツイから寝るに限る」
本当にこんな感じで学年2位なのかな?なんか僕も勉強しないでも行けそうな気がする。
「今お前、俺が本当に学年2位の成績か不信感を持ってんな?」
「ギクッ!」
「セナ、双葉君が学年2位なのは間違いないから。真面目に勉強してる雪光君よりも上なのよ、普段寝てるのにね!」
「そう褒めるな照れる」
「褒めてない!!」
「何か勉強するコツがあるんスか?」
「文字通り教科書に穴が空くほど読む、以上」
「それだけッスか!?」
「1回2回じゃねぇ、本が掠れてくる位まで読む。それが出来れば後は余裕よ」
「「嘘だ!」」
モン太とまもり姉ちゃんは嘘だと言うけど僕は双葉さんの言葉は本当だと思う。本当に教科書がボロボロになる程何度も何度も読んで覚えて…。
「双葉さんって本当に努力家なんですね」
「あ?」
昨日の練習だってそうだ、自分が泥だらけになってでも僕達の練習相手になってくれて、その後ヒル魔さんのパスを受けに走って……そんな苦労をずっと繰り返した1年だったのかもしれない。
「ずっと努力するにはやっぱり熱、ですか?」
「そうだな、それが無きゃ始まらねぇ」
「僕も頑張ります」
「ははっ頑張ってくれなきゃ日本一なんて無理だよ」
僕の気持ちを伝えると笑って返してくれた。
夜になってからは日付が変わる位まで栗田さんと小結君と雪光さんとモン太の5人でトランプをして過ごし、そろそろ眠くなってきたので寝ようと布団に入ったが栗田さんと小結君と雪光さんが外へ行ってしまった……。
もしかして今から練習?24時間経ったから有り得る。
モン太と一緒に外へ見に行くと……ランニングしてる〜!!?
「セナ!俺達もやろうぜ!」
「モン太……うん!やろう!」
その為の合宿なんだ!僕も頑張ろう!
でも眠いや……。
それから1週間、ずっと練習と休みの繰り返しの合宿を過ごした。
練習する時はヘトヘトになるけど段々とスタミナがついて来てるって感覚はあったし、最終日にはヒル魔さんに課せられた石を壊す事も出来たのだった。
壊したご褒美は近くの食べ放題のお店で好きなだけ食べても良いって言われ、全員でお店へ行ってお腹いっぱいになるまで食べた。
そして翌日、そのお店は閉店してしまった。
理由?栗田さんがもりもり食べてしまったからだそうだ。
というわけで合宿編終わり!
一気に飛ばしたのはこれ以上ダラダラ書いてても意味ないと思ったからです!
超回復について触れられましたし、対NASAエイリアンズへ向けた作戦も入れ、磐石とは行かないまでもNASAエイリアンズとの試合はいい勝負になるのではないでしょうか。
次回は、試合前の小話。その次からは5話連続でNASAエイリアンズ戦となります!
それでは次回をお楽しみに!!