「明日までに助っ人7人!手分けして集めるぞ!」
朝練が終わり、ヒル魔が春大会へ向けた助っ人集めを指示してきた。
試合へ出るには最低11人、ここにいるメンバー4人を引いて残り7人集めないと試合に出られない。
「1人ノルマ3人!どんな手を使ってもいい!とにかく運動部から引っ張って来い!!」
1人3人か、全員集めれば12人で多くなるが足りないよりは全然良い。頑張って集めよう。
「双葉君」
「姉崎か、どうした」
昼休みになると同じクラスの姉崎が話しかけてきた。
「セナを誑し込んだでしょ」
「朝の話か?別にそんなことしてねぇ、ただアメフトについて語っただけだ」
「ほんと…?」
「ほんとだほんと、俺はやりたくねぇって奴を強制させるような悪魔じゃねぇ。セナは主務を希望していたがそれでも俺は歓迎してたよ」
これは本音だ、選手を強制させたところで長続きしねぇと思ってる。
「だけどセナは勇気を出して選手をすると言ってくれた」
「あのセナがそんな事言うはずがない」
「おいおい、”男子3日会わざれば刮目して見よ”…男の成長ってのは想像以上に早いもんだぞ」
「毎日会ってるんだけど…!?」
「ははっそういえばそうだったな」
「もう!そうやってセナを誑し込んだでしょ!」
「だったら……」
「だったら?」
姉崎はセナの事が心配……だったら姉崎をマネージャーとして入部させたら良くね?
風紀委員をしてるぐらい真面目だし事務仕事もお手の物だろ、それに過保護になるほどセナが心配なら傍で見ていた方が本当に何かあった時助けられる……。
「だったらお前、アメフト部のマネージャーやらね?」
「…………え?」
「主務希望のセナは選手として決まったが兼任して主務をやるかもしれん、そこを姉崎が代わりにしてやればセナは集中して部活に励めると思うんだが……どうだ?」
「マネージャーや主務って女子でもできるの?」
「試合に出ないから行ける。無理にとは言わん」
「じゃあやる!入る!」
決まりだ!
「じゃあ入部届け書いてくれ、職員室に行けばあるだろ」
「わかった、書いてくる」
携帯でヒル魔に報告しておこ、ついでに3人ノルマの内1人ゲット……に入るのか?
メールを送ると直ぐに返事が来た。なになに……よくやった、良い労働力を見つけたな、か…確かに。
雑用を全部やってくれるなら楽できる。良い労働力をゲットしたと思っておこう。
【蓮次、助っ人1人確保…?】
昼休みの時間を使って運動部へ声をかけるも空振り。
どうしようかと悩んでいたが放課後になっても解決せずアメフト部のある部室棟へと足を進めた。
「……あっ生徒手帳だ」
道の真ん中にポツンと置かれた生徒手帳、誰かの落し物かと思って拾って持ち主が誰か手帳を開いた。
適当に開いてすぐ……デカデカと何かを書いているのを見つけた。
「ま……マドンナさボクの」
うわ……思わず音読してしまうほどキモイ。
「も……もう我慢できない」
うわぁ……変態だろこいつ。
「り……理想のタイプのまもりさん」
うわぁ……まじかコイツ、まもりって名前であいうえお作文作ってるぞ。気持ち悪っ!
何を考えてこんなポエムを思いついてわざわざ生徒手帳に書いてんだ?犯罪者予備軍として警察に突き出した方が世のためまもりさんとやらのためじゃないのか?
「ああああああああぁぁぁ!!」
「うおっびっくりした!?」
叫び声が聞こえると俺の手に持ってた生徒手帳がひったくられた。
「見たな!?僕の生徒手帳の中身を見たな!?」
「あ、あぁ悪い誰かの落し物だと思って見た」
「ミ゙!?……い、言うなよ!絶対に言うなよ!?特に姉崎さんとヒル魔には言うなよ!!」
「じゃあ書くな…」
というかまもりって姉崎の事か、そういえば姉崎の下の名前はまもりだったのを今思い出した。
「いいだろ別に!僕の思いを僕のものに書いても誰の迷惑になる訳じゃないだろ!」
「実行すんなよ?かなりやべーポエムだと自覚しろよ?将来拗らせて犯罪者になりかねない内容だからな?」
「うわぁぁぁ!!言うな!何でもするから絶対に言うな!?」
ほほう……?
「じゃあ明日アメフトの試合があるから助っ人頼んだ」
「アメフト!?……あぁわかった出るよ!その代わり絶対に言うなよ!」
「お、おう……俺は双葉蓮次、お前は?」
「模部太郎だ!」
「OK、じゃあ連絡先交換するぞ。詳細は夜にメールする、荷物とかはこっちで用意するから」
「わかったわかった!」
模部太郎と連絡先交換を済ませると模部太郎は走って消えた。
【蓮次、2人目確保】
部室棟にいる運動部へ声をかけるも既にヒル魔の魔の手にかかっているのが殆どで無意味だった。
諦めて野球場へ向かうと、大勢の野球部員が練習しているのを見つけた。
「あぁそっか、うちの学校って野球志望が多いのか」
対外試合の戦績はどうなのか知らないがこれだけ部員がいるって事は有名な方なんだろう。
練習風景を見ながら有望そうな奴が居ないか探していると野球の服を着たサルがボールを取りに走っているのが見えたた。
「キャッチマーックス!!」
素人だからよく分からねぇが間に合わない距離のボールを上手くスライディングしながらグローブに収めている。飛ぶタイミングや落下点を正確に把握しつつ自分の腕の長さも体で覚えている。
野球じゃなくてアメフトなら即ワイドレシーバーにさせたいところだ。
「げっ!アメフト部!」
「あ?……あぁどうも監督さん」
去年助っ人を得るためにヒル魔と野球部へ来たのを覚えているのか監督が俺を見て嫌な顔をしている。
「また助っ人か!?悪いがうちはもうすぐ大会があるんだ!一軍の選手はやらんぞ!」
「ヒル魔が声をかけて連れてったのは知りませんが俺は違いますよ」
「じゃあ何の用だ」
「あの小柄でサル顔の奴、うちにください(助っ人じゃなくて引き抜きの意味)」
「あー?……誰だっけあいつ」
監督さんが隣にいる人に聞いてるとクリップボードに挟んでる紙を捲って探している。
「えっと確か……1年の”雷 門太郎”ですね」
「1年か、そいつなら良い。好きにしろ(助っ人の意味)」
「毎度あり、代わりに言っちゃなんですがもし助っ人に来て欲しいってなら大会中以外でやりますよ」
「要らん!うちは選手が揃ってる!」
「ははっそうですね。羨ましい限りです」
交渉成立、雷 門太郎の所へ行こうとするか。
「おーいそこのサル!」
「ムキャアー!?誰がサルだ!!」
近くで見れば見るほど小柄だな…まぁ小柄だろうが関係ない。
「俺は2年の双葉蓮次、アメフト部に来てくれ」
「先輩!?…い、1年の雷門太郎ッス!だけどラグビーはお断り「ラグビーじゃねぇアメフトだクソザル!!」ギ、ギブッス!……いきができない…!!」
思わず両手で胸ぐらを掴んで持ち上げると手を叩いてギブアップしてきた。
「ラグビーじゃなくてアメフト?勘違いしてすんません!」
「あぁ。そのアメフトだが人が足りなくて困ってんだ、そこでお前に来て欲しい」
「いやーでも俺はラ「あ゙?」……アメフトが悪いって訳じゃねぇッスが俺は野球一筋でやりたいんスよ!」
野球が好きなんだろうなこのサルは、その気持ちがよく伝わる。
「知ってるか?プロ野球選手って別に野球一筋じゃねぇらしいぞ」
「ウキ?」
「野球選手でも他のスポーツをやったりギャンブルしたりと趣味以上のレベルでのめり込んでやってるらしい」
「マジッスか!?」
知らん。
「お前も野球選手を目指すなら野球以外のスポーツをやるのも1つじゃねぇか?」
「う、ううむ……そう言われればそうッスね」
「アメフトなんてどうだ?野球で培ったキャッチ力があるんだからアメフトにピッタリ、しかもアメフトで鍛えられれば野球にも活かせると思わないか?」
「!」
「足腰のトレーニングもしてるから余計に野球に活かせる部分が多い。アメフトは思考力もキャッチ力も走力も使うから野球と似てる!最早アメフト=野球と言っても過言じゃない!」
「……確かに!」
過言が過ぎるんだけどなぁ……。
「無理にとは言わん。物は試しで明日のアメフトの試合出てみないか?そこでやる気になれば掛け持ちでもいいからアメフト部に入ってみろよ」
「明日!?俺何も知らねぇッスが良いんすか!?」
「誰でも初めは初心者だ、ルールは後から覚えていけばいい。野球もそうだろ?ボールを投げる取るから始まって後からルールを覚えたんじゃねぇか?」
「そうッスね!」
「つーことで明日アメフトの試合に出るか」
「やるッス!うぉぉぉ!!これで俺もプロ野球選手に1歩近づくってもんだー!!やる気マーックス!!」
雷門太郎(サル)がやる気になっている。
「連絡先交換するぞ、詳細は後でメールなり電話なりする」
「ウッス!これ俺の連絡先ッス!」
連絡先を交換した後俺はアメフト部の部室へ向かった。
【蓮次、3人目の助っ人確保】
「案外ノルマ達成は早かったな」
さてさて、他のメンバーはどんな調子だ?
多くの評価と感想ありがとうございます(っ ॑꒳ ॑c)
感想一つ一つがかなりのモチベーションに繋がるので一層頑張ります!また、高評価をしてくれてめっちゃ嬉しいです!
誤字脱字が多くて恥ずかしい限りですがこれからも応援よろしくお願いします(ง •̀_•́)ง