サンアントニオ市から出てしばらく走り…………俺とセナは今NFLのアルマジロズの入団テストを受けていた。
どうしてこうなったか?
石蹴りをしていたセナだが、隣を走っていたバイカーのバイクに石が巻き込まれてしまいラスベガス行きへのルートから逸れてしまった。
それを見たヒル魔は俺が連れて来るよう指示を出し、追いかけ……セナと合流出来たと思えば何故かバイクに乗って更に遠くへ行ってしまった。
すかさず俺は他のバイカーに話してヒッチハイク、到着したのはサンアントニオ体育館で何故かセナが入団テストへ連れ込まれているところだった。
思わず俺もリュックサックを置いて追いかけ……俺もテストを受ける羽目になってしまった。
それもこれもヒル魔のせいだ。ラッキー!
「何してんだお前?しょうがねー奴だなぁほんと」
「すいませんすいませんすいません」
「こうなったら仕方ねえよな、1次試験だけやった後追いかけるぞ」
「はい…………ってテスト受けるんですか!?」
「一足先にプロの世界に入れるかもだろ?やりてぇに決まってるじゃねぇか!こんな熱い展開逃してたまるか!」
「やる気満々〜!!」
いやー仕方ないよなーセナを追いかけたら何故かNFLの入団テストがやってたんだもんなーしかもセナがそこへ参加するってなったし、俺も受けないと追いつけなかったから仕方ないよなー。
「アハーハー!少年!僕の活躍見ててくれよ!」
誰こいつ。
「あ、この人瀧夏彦…さんです。鈴音って妹さんが探してまして偶然ここで会いました」
「ふーん」
見るからにバカだ、どう見てもバカだ。
「これで僕もプロのアメフト選手になれるよ!!」
自信ありそうな雰囲気、余っ程な才能があるんだろう。
テストは最初ベンチプレスからだ。
「はぁ!」
瀧は90kgを上げた。
「ひいぬらば〜」
セナは40kg。
「ふんっ!」
俺は140kg上げた。
「アリエナイ〜!!…や、やるじゃないかボーイ!」
増えてるかと思っていたが変わらずか、まぁ落ちてるより全然良い。
「……だ、だけどスピードはどうかな!?」
「なんで俺に対抗意識燃やしてんの?」
次40ヤード走。
瀧は5秒1。
セナは何故か靴を踏まれて計測失敗。
俺は4秒9だった。
「アリエナイー!!」
「おや?ちょっと速くなってる」
今80キロの岩を背負ってないから体が軽いんだよな。
デスマーチすげぇ!もう効果がでたのか!
次はAチームとBチーム別れての試合。
俺はセナと瀧と同じチームになった。
『各々希望ポジションを教えてくれ』
『僕はクォーターバックだ』
石丸、お前もアメフトを本格的にやる為わざわざアメリカに……英語で話したら英語で返して来たよなこいつ。
「石丸じゃない…!?」
『?』
誰こいつ!石丸っぽいけど黒い!
聞けばこいつはジミィ・シマール、アルマジロズの入団テストを受けに来たアメリカ人だった。
『まぁいい、俺はタイトエンドでこいつはランニングバックだ。瀧は…』
「セナ、瀧はどのポジションだ?」
「えっと瀧さんはどこやります?」
「ポジションなんてややこしい奴いらないよ!どうせ僕は何でもできるんだしね!」
「お前クビ出てけ。セナ、このバカを元いた所へ返して来るから場所教えろ」
「待ってください双葉さん!早まらないで!」
首根っこ掴んで追い出そうとしたがセナに止められてしまった。
「はぁー…とりあえずパス貰いに走れ、そうすりゃ目立つ」
「アハーハー!いいともボーイ!」
『入団テストだ、ジミィの得意でやろう。場合によっては俺がクォーターバックをやってもいい』
『僕は元陸上選手で走るのは自信があるよ』
『なら交代だ、セナと一緒にランニングバックを頼む。機会を見てポジションを変えるぞ』
『いいとも!』
こうして始まった試合。
『Set!Hut!』
ボールを貰って構えると瀧が上がるのが見え、こっちを向いている。
「そんなに欲しいなら……くれてやるよ!」
セナにな。
パスブロックしに来た敵に舌を出して笑いながら俺の後ろを走って行くセナに手渡し。
『タッチダウン!』
あっという間にディフェンスを抜いてタッチダウンを決めてくれた。
次の攻撃。
ボールを手に持ち、状況を見ると瀧がこっちを見てアピールしている。
「そんなに欲しいなら…」
あーダメだ、2人俺を潰そうと来たわ。これはセナにボールを回す暇もねぇ。スクランブルだな。
『こっちだ!』
『おっアピールありがとジミィ、言われるまで気付かなかった』
いいステルス機能持ってるな。是非うちに来て欲しいぐらいだ。
『10ヤードゲイン!ファーストダウン獲得!』
『Set!Hut!』
連続攻撃。
「僕目立ってナーイ!!」
「はいはい欲しがりだなお前は、欲求不満か?」
3度目の正直。今度こそパスをやると無駄にポーズを取りながらキャッチしていた。
『11ヤードゲイン!ファーストダウン獲得!!』
初見で俺のパスを取れるのか、中々いいな。
バカだからなのか、キャッチしてそのまま走ればいいのに無駄に転がってポーズ取ってるしバカだなあいつ。
『クォーターバックやりたい奴いる?』
次のハドルで聞くと、ジミィが手を上げる。
『じゃあ交代、俺はタイトエンドにつく』
『いいのかい?』
『本職に戻るだけさ、クォーターバックはサプポジなんだ』
『本職と同じぐらいのプレイをして何を言ってるんだい?』
『Shut Up』
『Set!Hut!』
「コンビプレイで行くぞ」
「はい!」
セナがボールを持って右サイドを上がり、突っ込んで来るディフェンスに対してブロック。
『なんで潰れねぇ!?』
『お前本気で押してる?エイリアンズの奴らと比べたら軽いぞ』
脇の下から上へ押し上げ……青天!
でっかく道を作ってやると、俺の後ろをセナが走り抜けて行った。
『タッチダウン!』
結果圧勝。
セナは簡単に相手を抜けるようになったし俺は前よりもスピードも上がったと認識出来たし体幹も鍛えられてるみたいだ。
何故か瀧が俺に対抗しようと俺の真似をしてブロックしたり、パスを貰ったり……タイトエンド2枚という構図が出来上がり、クォーターバックのジミィと話をして瀧を使いつつセナを走らせる作戦に切り替えた結果だ。
結果発表だが…ジミィは呼ばれたが瀧は呼ばれず落選。
最後まで聞いておこうかと思ったが時計を見て、流石にこれ以上長居すれば追いつけなくなると判断しセナを連れて行く事にした。
「アハーハー!どこへ行くんだい?」
「最後まで受けないの?あっども初めまして、瀧鈴音と言います」
瀧とその妹が追いかけてきた。
「双葉蓮次だ。最後まで受けたかったが俺達は今合宿中でな、これ以上居たらうちのキャプテンがキレるんだよ。一緒に来るか?」
「えーどうしよう」
「来るなら歓迎するし、来ないならこれでさよならだ。行くぞセナ」
「あっはい!……でも少しだけ待って貰えませんか?」
「おう、俺はリュックサック担いでくる」
何やらセナが2人と話している間に置いていたリュックサックをっと。
「あーおっも…軽くなったと思ったらまたすぐこれだもんな」
80キロの岩なんて担いで走るなんて苦行をまたしねぇといけないのはダルい……でも、ちゃんと効果が出てるって感じられたから頑張るか。
「結局着いてくる事にしたのか」
「アハーハー!アメフトが出来るって言うなら行くに決まってるじゃないかボーイ!」
「ふーん」
「ところでボーイはどうしてそんなリュックサックを背負っているんだい?」
「これ背負って走るのがメニューだからに決まってんだろ。後いい加減ボーイって呼ぶんじゃねぇ、双葉蓮次って名前があるんだ」
「ソーリー!蓮次ボーイ」
「あんま調子乗ってるとぶちのめすぞ」
「なんか兄さんと相性悪い感じ…?」
「きっと双葉さんって軽い感じの瀧さんとは相性が悪いのかも」
そうじゃねぇ、こいつ俺よりも小さいのにボーイって言ってくるのがムカつくだけだ。
「うちの兄がすいません蓮兄」
「お前ら兄妹は人の事普通に呼べねぇのか?」
「随分辛そうだね蓮次ボーイ!僕が変わりに背負ってあげようかい?」
「あ?出来るもんならやってみろ」
「ンギギギ!…ア、アリエナイー!!!」
瀧が重そうにしているのを見てちょっと気分が良くなった。
「蓮兄が持ってるのどんだけ!?」
「80キロ」
「え?」
「岩、80キロ」
「亀仙人?」
「誰がだバーカ、いいから行くぞ」
潰れた瀧を放って本来のコースへと戻ることにした。
「おーい!」
デコトラと一緒にヒル魔達が休憩しているのが見えた。
手を振ってヒル魔に声をかけると、俺達の方へアサルトライフルを構えている。
「どこ行ってやがったファッキンセカンドとファッキンチビ!!」
「アルマジロズの入団テスト受けてきた!聞いてくれよそこで40ヤード走したら記録上がって………………待て、話をしようヒル魔、落ち着いてその銃を下ろすんだ。先ずは対話をしようじゃないか」
「話をする必要はねぇ!!今すぐ死ねぇ!」
「うおおおぉ!!!」
本気で俺に撃ってきたぁ!!
その後瀧兄妹もデスマーチに参加。
しかもどっちも高一、兄の方に至っては高校に行ってないという愚か者の極み。
とりあえずさっきまで舐めた態度を取ってきた瀧の頭にゲンコツを落とし、たった1人しかない虎の子である中途入学枠を使うのか、そして泥門デビルバッツのメンバーとして採用するかどうかは今後の活動を見て判断すると決めた。
デスマーチ編その2でした!
アルマジロズの入団テストを受ける羽目になってしまった蓮次、嬉々としてテストを受け……結果は1次テスト合格していました。
さぁ瀧兄妹を加え、次回デスマーチ編は最後になります。
それでは次回をお楽しみに!!