〜姉崎まもり視点〜
デスマーチを終え、疲労が抜けた泥門デビルバッツメンバーは日本へ帰る為のお金稼ぎを始めることにした。
やり方は当然カジノで大勝ち……こんなの真っ当なやり方じゃないとヒル魔君へ怒っても無視されてしまった。
最低2000万円手に入れてどぶろく先生の借金返済に加えて帰りの飛行機代を用意しないといけないのは分かる。
分かるけど……もっと真っ当なお金稼ぎをした方がいいのに…!
「ゲーム開始だ」
もう諦めた私の前でヒル魔君がチップ片手にどこかへ行ってしまった。
「集計は雪光君がやってくれてて、栗田君と小結君と戸叶君と十文字君と黒木君はスロット、セナとモン太君はルーレットで瀧君と鈴音ちゃんはクラップス、双葉君はポーカーするって言ってたけどムサシ君は何をするの?」
「俺か?俺はそうだなぁ…まぁ見てるだけにする。ヒル魔なら簡単に稼いでくるだろ」
「そう?やらなくていいの?」
「こういうのは慣れてなくてな。それにギャンブルをするなら丁半とか花札とか麻雀の方が慣れてる」
「日本の賭け事の方が得意なんだ」
「親父がな、大工の嗜みだってガキの頃に教えられたんだ」
「そっか」
ムサシ君のお父さんムサシ君にギャンブル教えたんだ……。
「蓮次の所へ行かなくて良いのか?」
「え?」
「何かと気にかけてるだろ、こういう場所でも見ておいた方がいいんじゃねぇのか?」
「そうかな?双葉君なら大丈夫でしょ」
「信用してるんだな」
「黙って見てろって何回も言われたらね」
「…………やっぱお前蓮次の所へ行け」
「えぇ?」
「わかんねぇならわかんねぇでいいからさっさと行けって」
「あっちょっと!」
ムサシ君に背中を押されてしまい、双葉君を探しに回ることにした。
双葉君を見つけたと思って近寄ると、やってるのはテキサスホールデムポーカーだった。
5人がゲームに参加している中に双葉君もいて、ディーラーがカードを2枚ずつ配っている。
チラッとカードを捲り、何枚かチップを出すかカードを出すか。チップならコールかレイズで参加、カードならフォールドで降りるってルールだったはず。
「レイズ」
双葉君が追加でチップを出した。
残りの4人のうち2人はフォールド、残り2人は同じ数のチップを出してコール。ディーラーの前に3枚のカードが並べられた。
「……レイズ」
じっと参加している人の目を見た双葉君が追加で出すと、2人も同じ数のチップを出してゲームが進みまた1枚ディーラーがカードを出した。
双葉君はテーブルをトントンと叩いてチップは出さずコール、残りの2人はチップを出してレイズ……双葉君も同じ数だけ出すとディーラーが5枚目のカードを出した。
「…………エースのフォーカードだ」
場には2枚のエース、そして双葉君は2枚のエースがあってフォーカードって役が完成している。
残りの2人はツーペア、双葉君のフォーカードの方が強くて双葉君の勝ちで総取りになった。
それからもゲームが進み、勝っては負けての繰り返しだが双葉君の所には徐々にチップが貯まって行く。
他の参加者達はチップがなくなってしまうと席を離れ、次の人が座って勝負が始まり、双葉君の所へチップが積もって行く。
そしてとうとう双葉君以外の人が居なくなってしまった。
「俺も終わるとするか」
双葉君もテーブル席から離れ、大量のチップを袋に纏めて入れられた。
「姉崎、そっちは順調か?」
「うーんどうなんだろう?私はここで見てただけだから分からない」
「そうか、一旦雪光と合流しよう。今のチップで集計とって貰うぞ」
「うん」
「今のところ収支は1500万と500円だね」
小結君がスロットで勝ってたけど十文字君達の服を買い戻す為に使い、栗田君が壊したスロットマシンの修理費を出して500円のプラス、そこへ双葉君が手に入れたチップを合わせた金額だった。
「後500万か」
「後ちょっとだね」
『ちょっとじゃねーよ』
栗田君が言うと、十文字君達がツッコミを入れていた。
「これ以上ポーカーをやっても意味なさそうだし…他のメンバーに期待するとしよう」
「他のゲームはしないの?」
「結局最後に勝つのはカジノ側だしなぁ、これ以上は嫌な予感がするからやめておく」
「ふーん」
「そこのルーレット見てみろよ、セナとモン太が大勝ちしてる」
指をさして言うと、確かにセナとモン太君の目の前には沢山のチップが積まれた山があった。
「セナとモン太君大勝ちしてる!」
「これ以上は不味いかもな、俺ならこのタイミングで降りる」
セナとモン太君の所へどぶろく先生が行き、何かを話している。
「あーああれはダメだな、どぶろく先生の熱は不味い」
「?」
「どぶろく先生の借金した理由は何だったか覚えてるか?」
「えっと……競馬?」
競馬、ギャンブル……大負け、借金……ギャンブルが下手って事!?
「あぁ!!」
「どぶろく先生の誘いと雪光の計算で身の丈に合わない想像してモン太に火がついたぞ〜止めねぇとこれまでの勝ちがパァだ」
「早く止めないと!!」
急いで向かったけど間に合わず……モン太君が36倍の1点賭けにオールインしてしまいルーレットが回る。
モン太君が賭けたのは21番…だけど玉が5番に止まって全部回収されてしまい、十文字君達がモン太君を蹴って怒っていた。
「悪銭身に付かず、あれがギャンブルの熱に冒された奴の末路だな」
追いついた双葉君の口元は笑っているけど目が笑ってなくてちょっと怒ってるようにも見えた。
「双葉君も熱に冒されているでしょ」
「ギャンブルは多少だっつーの、ヒル魔を相手に遊んでりゃ嫌でも読みが鍛えられる」
ヒル魔君とギャンブルしてるんだ…ポーカーみたいなトランプ系かな?
「勝率1割程度、それで何度コンビニに使いっ走りにされたか……支払いは別だけど」
「支払いは別ってどういうこと?」
「さってと、俺は換金してくるわ」
私の質問を無視した双葉君が気分良さそうにチップを持って換金所へ行ってしまった。
それからヒル魔君も大勝ちして2000万円獲得、泥門デビルバッツ全員の収支はプラス3500万円と500円。
どぶろく先生の借金返済に加え航空券を買ってもお釣りが返ってくる程の大儲けになった。
「ケケケッテメェはそれだけかよ」
後ろではカジノの人達が何度も英語でもう来ないでくださいと泣きそうになりながら見送ってくれているが、ヒル魔くんは気にせず双葉君へ話しかけた。
「十分だろ、ヒル魔のおかげで余裕をもってボーダーラインは超えた」
「貧乏性だなぁちったぁ稼げば良いのによ」
「これは弟達の学費の為に貯金に回す、それで使い切りだ」
「あ?勝った分は回収、部費にするぞ?」
「はぁ!?これは俺が稼いだ金だぞ!」
「だーれのおかげでギャンブルが出来たと思ってんだファッキンセカンド!俺がトラックを売った金で出来たもんだ!つまりそれは俺のもん!テメェの稼ぎも俺のもんだ!」
「ジャイアニズムで強奪すんな!!」
喧嘩が始まった…喧嘩するほど何とやら、仲裁に入ろうかと思ったけど先にどぶろく先生が動いて2人の間に入った。
「まぁまぁ2人とも、ここは一旦俺に預けてみねぇか?」
「「黙れファッキンアル中!!」」
「いぃ!?」
どぶろく先生が仲裁?しようとしたところにヒル魔君と双葉君がどぶろく先生に銃を突きつけた。
「そもそもテメェが借金してアメリカへ逃げたのが事の発端だぁ!テメェには一銭もやらねぇぞ!」
「無駄にモン太を煽って大勝ちする所を逃したんだ!お前は金輪際ギャンブルに手を出すな!」
「そ、そんなぁ…」
「ルーレットだけで儲けたはずの1400万円!それも合わせればデビルバッツ専用のバスが用意出来た!お前が煽ったから全部パァ!この落とし前どうつけるつもりだ!?」
「ど、どう落とし前ってやったのはモン太じゃねぇか。それに計算したのは雪光だぞ」
「テメェが1点賭けを教えなきゃこうはならなかったはずだぁ!オールインさせねぇでも多少残しときゃ勝ちはあったはずだぜぇ?!」
「そ、それは…」
「「ぶっ殺して手打ちにしてやらぁ!!」」
「あだだだだだっ!!」
喧嘩してたのにどぶろく先生のおかげで仲直りした……で、いいのかな?
最終的には双葉君の稼ぎは半分を部費に、もう半分は双葉君の手元に入り、部費を使って全員ファーストクラスに乗って帰国。
1ヶ月程でアメリカ横断し、瀧君と鈴音ちゃんと出会って。全員が苦しい思いをしながらも必死に頑張って乗り越えた。
これだけ頑張ったんだから絶対にクリスマスボウルへ行ける!
帰国してから1週間程で始まる秋大会、きっとみんななら王城を倒して優勝してくれると信じてる!!
ところでどぶろく先生は?……あっ1人だけ別の所?大好きなお酒と一緒に過ごせる最高の場所があるからそこへ案内した?気が利くねヒル魔君。
それ、貨物室ってところじゃない?
というわけでアメリカ編完結!!
Q:コンビニへ使いっ走りの時、支払いは別と言っていたが誰が支払ってる?
A:校長
デスマーチを終えて瀧を加えた新生デビルバッツは果たして秋大会どこまで行くのでしょうか!
次回からは3話(もしかしたら2話かも)日常パートを入れてから秋大会初戦になります。
それでは次回お楽しみに!!