「おつかれー調子はどう……だ?」
部室へ入るとしょぼしょぼの栗田がいた。
「全然ダメだよぉ…運動部の人達に声をかけたけどみんな断られちゃった」
ホワイトボードを見るとヒル魔はヘルメットのマークがついたマグネットが7つ貼られている。
「今7人か、もう11人いるじゃん何がダメなんだよ」
そこへ俺が3つ貼る。
「れ、蓮次は3人も!?」
「姉崎に模部太郎にサルの3人。しかも姉崎とサルの2人は入部だぞ」
「姉崎さんって姉崎まもりさん?風紀委員の人だよね?」
「あぁ、マネージャーだが強力な助っ人だろ?」
「わぁ〜!マネージャー居なかったからすっごく嬉しいよぉ〜!!」
「サルはワイドレシーバー起用だ、ヒル魔に見せたら泣いて喜ぶだろうな」
「ワイドレシーバーまで!?凄いよ蓮次!」
「試合に出られる人数は13人、これで大丈夫だろ」
「ありがとう蓮次〜!!」
「うおっ!飛び込んで来るなぁ!!」
俺の静止を無視した栗田に押し潰されてしまった。
「うぐぐっ…!死ぬ…どけ…!!」
「蓮次のお陰で人数が増えたよ!ありがとう!ありがとう蓮次!これで入部者が5人!去年よりも増えたよ!!」
「いいから退け!!」
重い!俺の力よりも栗田の方が強いから動かせねぇ!!
「あっごめんね、つい嬉しくて嬉しくて」
両手で持ち上げられた俺は適当に椅子に座った。
「去年よりもって…ムサシか、あいつが居ればキッカーは安泰なんだがなぁ…」
「そうだよね」
「そのうち戻って来る、それまでやることは分かってるだろ?」
「……うん!」
戻って来るまでの間、俺達泥門デビルバッツは勝ち続けるだけだ。
しばらく部室で過ごし、夜になった。
「そろそろメールして詳細を送っておくか」
姉崎と模部太郎とサルの3人へメールを送った。
内容は「明日13時に天界グラウンドで試合。泥門前駅に10時に集まって全員で移動だから遅れるな。準備物はアメフト部が用意してるから手ぶらでOK」っと。
後は姉崎だけ追加の内容だな。
『試合をビデオ撮影するから撮影係よろしく。機材はこっちで用意してるから気にすんな』
「戻りました!」
姉崎に追加のメールを送り終えるとセナが戻ってきてマグネットを1つ貼っていた。
「セナ君も!?すご〜い!!すごいよセナ君!」
「よくやった、流石だな」
栗田がセナの手を引いて喜びのダンスを踊っているところへ褒めると照れくさそうにしている。
更にヒル魔も戻って来ては追加のマグネットを貼り、予定していた人数よりも多く集まったのだった。
翌朝
集合場所の駅へ着くと人集りを見つけ、その中心に姉崎がいるのが見えた。
「姉崎!」
「あっ双葉君!」
大勢に囲まれてナンパされているのかと思って姉崎を呼ぶと全員が俺を睨んで来た。
俺を睨んで来た奴らの中に何人か見た事がある…こいつら泥門の生徒か、私服だから気付かなかった。
「おはよう」
「おう。これビデオ撮影の機材な、出来れば高いところから撮ってくれる方が良いが難しいならベンチから撮ってくれ」
「うん分かった」
「マネージャーになって初日だから分からないことが多いはずだ、試合中にでも分からない事があれば質問してくれていい」
「大丈夫!昨日の夜にルール全部覚えたから!」
「さ、流石だな…」
俺が言いたいのはそこじゃねぇんだが……まぁいいか。
「よっ模部太郎」
「っ!お前昨日の約束は言ってないだろうな!?」
「言ってない言ってない、理想のタイプが来て嬉しいだろ?」
「当たり前だ!まさか一緒に居られるなんて誰が想像つく?!」
「あーあーそうだな、情けないところ見せられないよな。怪我しないよう頑張ってくれ」
「任せろ!」
模部太郎…姉崎がいるって知ってるからかやる気十分だな。空回りして下手なプレイをしたらヒル魔がキレそうだ。あっいやヒル魔なら元から期待してねぇとか言いそう、助っ人で数合わせなんだし…。
期待している助っ人はベンチに座ってバナナを食べていた。
「おっす門太郎」
「誰!?俺の事言ってるッスか!?」
「あれ?違ったか?」
「俺は雷門 太郎ッス!」
「そうなのか、悪かった太郎。今日は頼んだぞ」
「ウッス!ここで活躍してプロ野球選手の夢を叶えてやるッスよ!!」
「おう頼んだ太郎……って模部太郎もそうだからややこしいな、今度からモン太って呼ぶわ」
「もっとマシなあだ名ないッスか!?」
「ジョー・モンタナってプロのアメフト選手から取った。そいつはキャッチの名人でお前にピッタリだろ」
「…………確かに!キャッチの名人のモン太様だぁ!!」
「期待してる、ボールを渡しておくから手に馴染ませおけよ」
自前のアメフトボールを1つモン太へ手渡し、全員が揃うのを待つことにした。
「おー集まったか」
ヒル魔が到着、後ろには栗田が荷物持ちでアメフトの道具を荷台に乗せてロープで引っ張っていた。
「んじゃ出発だ」
電車に乗って天界グラウンドへ移動、道中でヒル魔と作戦を練る時間に当てる。
作戦がバレる?今この車両は貸切、なんでだろうなー。そういえばこの車両に乗る前清掃中とか貼ってあったような?知らないなー。
「テメェは今日からタイトエンドだ、石丸のランをフォローするリードブロックがメイン、たまにパスを出すがまぁ滅多にねぇと思え」
「セナは?」
「あいつは秘密兵器だ、簡単には出さねぇ。出したとしてもワンプレイで使う」
「提案だが、ランだけじゃなくてロングパスを入れるのはどうだ」
「テメェショートパスしか取れねぇだろ、そんなもん直ぐに対策取られるわバカ」
「俺が見つけた奴ならロングパスでも取れる、全力で投げてやれ」
「あ?」
「確認してみればいい、絶対ヒル魔なら気に入る」
「どいつだ」
「セナと話してるサル顔の奴、モン太ってあだ名をつけた」
「ほーう?ジョー・モンタナからか」
アメフトボールを手に取ったヒル魔がモン太へ向けて投げる。
「おわっ!?」
いいスピンがかかったアメフトボールをモン太が片手でキャッチ。それだけでヒル魔がおもちゃを見つけた子供の様な笑みを浮かべた。
「ケケケッ!俺の期待以上の成果を出しやがって……最高だ」
「報酬はスイス銀行に振り込んどけ」
「億単位で振り込んでやるよ!!」
スイス銀行の口座なんてないが……こいつならマジでやりそうだ。
天界グラウンドへ到着。
前の試合をしているがもうすぐ終わるみたいだ。
「試合に出るやつはアップして体を温めておけ。姉崎はビデオ撮影の準備を頼んだ」
「分かった!」
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〜小早川瀬那視点〜
「ファッキンチビ」
「はい!」
僕も体を温めようとアップをする前にヒル魔さんに呼ばれた。
「テメェは秘密兵器だ、今日の試合は出さないつもりでいる」
「えぇ!?」
「ヤバけりゃワンポイントでも出すがこの面子だとそうそう起こることはねぇ、クソマネと一緒に撮影してろ」
「そ、そんなぁ…」
せっかく出られると思ってたのに……。
「テメェはここぞという時のジョーカー、ジョーカーを切る前にエースが手元にある今、テメェを試合に出して他の奴らに見られちゃ困んだよ」
「?」
ヒル魔さんがモン太を見てニヤニヤ笑ってる。
ここへ来るまでの電車で話をしたけどどうやらモン太は野球部らしくて双葉さんに誘われて今日助っ人に来てくれたみたい。
途中でヒル魔さんがモン太にボールを投げた時はびっくりしたけど片手でキャッチしたのを隣で見てた僕はモン太が凄い人だと思った。
僕は出られないけど初めて見るアメフトの試合、一体どんな感じなのかしっかりこの目で観よう!
「セナ」
「双葉さん、体は温まりましたか?」
軽く汗をかいている双葉さんが給水ボトル片手に話しかけてきた。
「いつでも行ける」
「が、頑張ってください!」
「おう」
僕の頭に手を乗せて雑に撫でられた。
「気持ちは切らすなよ。試合に出なくてもお前はアメフト部の一員、試合に出てるとイメージしながら今日の試合を見ておけ。そんで出る時にどう動けば良いか、どう走れば良いか、ボールを持ってる選手の全部を目に焼き付けとけ。見るのも練習だ」
「はい!」
背番号1番のヒル魔さんが背番号2番の双葉さんと試合前に話をしていて、そこへ背番号77番の栗田さんも混ざり背番号80番のモン太がヒル魔さんの魔の手に捕まって何かを教えている。
「よし集合!」
モン太から手を離したヒル魔さんが全員を呼ぶと円陣を組んだ。
「いいかテメェら、負けたら終わりのトーナメント。いい試合しようなんて思うなよ」
「ぜってー倒す、それだけだ」
ヒル魔さんが全員に言うと大きく息を吸う。
なんちゅう掛け声。だけど全員の心が1つになったと思えば僕の心も熱くなった。
『それでは泥門デビルバッツ対恋ケ浜キューピッドの試合を始めます』
オリキャラの模部太郎君、彼は『アイシールド21マックスデビルパワー』というDSのゲームを引用しているの気付いてくれました?
ゲームでは助っ人を探すセナが生徒手帳を拾ってそのキャラを獲得、石丸と合わせて2人の助っ人を獲得していましたが今作ではその役を蓮次が担いました。(原作では出ません)
感想で気付いてくれる人居ないなーと思いながら書きましたが……まぁ古いゲームですしそれ以降登場もしないので忘れられて当然っちゃ当然ですよね。
感想と高評価ありがとうございます!増えていく感想と評価でモチベーション爆上がりです!
これからも頑張りますので応援よろしくお願いします!!