泥門の2番手   作:実らない稲穂

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試合終わり

 

 

 夕陽ガッツとの試合が終わり、次は西部ワイルドガンマンズと恋ケ浜キューピッドの試合。

 これはまぁ……可哀想なことにフルボッコにされた恋ケ浜が第3クォーターの中盤で棄権、125対10で試合が終了した。

 

 そして次の試合、柱谷ディアーズVS巨深ポセイドン。

 最初は柱谷の優勢だったが、控えにいた長身の選手が出てくると優劣が変わり、14対31で巨深ポセイドンの勝利になった。

 

 優勝候補として取り上げられていた柱谷ディアーズを破り、完全なダークホースになった巨深ポセイドンに会場のどよめきは収まらず、他の会場の試合も終わっていた。

 

 今日だけで16チームが敗れ、残った16チームが次の試合へと勝ち進み優勝を目指す。

 

 

 泥門デビルバッツが戦う次の相手は独播スコーピオンズ。

 過去の成績を見れば10勝1敗、西部や王城といった強豪とは当たってないが10勝は10勝。

 油断ならない相手だ。

 

「あの〜新生巨深ポセイドンについてコメント貰いたいんですけど〜」

 

 テレビ局のアナウンサーが俺達の所へ来て、マイクをしおしおの栗田の頬に当てていた。

 

「できれば噂の白銀さんかアイシールドさんに伺いたいのですが〜」

「だとよ白銀様、インタビュー受けて巨深の奴らをビビらせてこい。インタビューは慣れてるだろ」

「俺がそんな言葉を言えると思うか?」

「やれ、ファッキンチビも準備しろ!」

「ええー!?」

 

 やれやれ……ヒル魔のせいでとんでもない役目を押し付けられてしまった、仕方ねぇな。

 

 

 

「白銀は俺です、インタビュー受けますよ」

「あっ!ありがとうございます!そしたら先ずは今日の試合を見た感想をお願いします!」

 

「両チームともに全力を出した試合だと思います。柱谷の細かなテクニックは泥門と比べて数段も上だと感じました。そして巨深の力強さも泥門よりも上だと思います。特に控えから出てきた水町と筧の2人は体格差を活かしたプレイヤーでそれだけで脅威だと感じます」

「このままお互い勝ち進めば対戦しますが不利だと思いますか?」

 

「全然、むしろ体格差だけで向かってくるならカモです」

「カ、カモ…?」

「スポーツにおいて身長は確かに有利な要素です。長い手足で相手と当たる前に押さえ付けるのは小柄な選手にとって非常に厳しいものです。ですがアメフトに限らず身長差を覆すスポーツは山ほどあります」

「は、はぁ…」

 

「柱谷もそれに気付く事ができればもしかしたら結果は違ったかもしれません」

「白銀さんは気付いたのですか?ぜひその辺を教えてください」

「言うわけないでしょ、なんでここで敵に塩を送る行為をするんですか」

「そこをなんとか!」

「はぁ………………世界は広い、それだけです。これ以上言うつもりはありません」

 

 アメフトだけがスポーツの世界じゃない、野球にサッカーに柔道にボクシング、アメフト以外の球技や格闘技がある中で高身長の選手だけが世界を制しているかと言われるとどうなのか。

 答えはNO、世界レベルで活躍する選手でも小柄な人はいる。

 

「あ、もしこの後巨深の選手へインタビューするなら伝えてください」

「何をですか?」

「スポーツにも選手にも敬意を払えないクソは泥門デビルバッツがぶちのめすから覚悟しろ雑魚。以上です」

「あ……はい。あ、ありがとう、ございました…」

 

 怒りの矛先はどこか?水町とかいう舐めた野郎だ。

 ベンチでガムを噛む、それは百歩譲って許そう。だがガムをフィールドへ向けて吐いて遊んだり柱谷の鬼平へ向けて侮辱の言葉を吐き捨てた。

 いかに優れた選手であろうとそれは許されない。同じスポーツをするならスポーツや相手に敬意を払うのは当然だ。

 

 

 

 

「注文通りビビらせる言葉を言ったがどうだ?」

「ビビらせる言葉じゃなくて煽りだっつーのファッキンセカンド」

「あだっ…」

 

 アナウンサーがどこかへ行ったのを見送ってからヒル魔へ言うとショットガンで頭を叩かれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 アイシールドになったセナとも合流し、打ち上げへ。

 行先は焼肉屋で、それぞれテーブルに別れて打ち上げを始めたが、セナの様子が変だと気付いた。

 

「どうした、食わねぇのか?」

「あ、いえ……その、ヒル魔さん。本物のアイシールド21の事知ってんですか?」

「ったりめーだ、実在しなきゃハッタリになんねぇだろ」

「何を言われた?」

「実は…」

 

 セナがアイシールドに着替えてからの事。

 偶然巨深のメンバーと遭遇し、アメリカへ留学していた筧がセナを見て偽物だと見抜いた。

 

「お前みたいな華奢で小さい体じゃ、本物の足元にも及ばねぇよって最後に言われました」

 

 本物ねぇ、一体誰なんだろうか……というか正直本物が誰であれ興味がないって言うのが本音。

 そんなどうでもいい事で悩むなっていうのは簡単だが、それではセナが納得しないだろう。こういう時なんて言えばいいか……。

 

「別に偽物でも良くないですか?」

「……え?」

 

 一緒に打ち上げに参加しているセイジがセナへ言い放った。

 

「その筧って人は本物のアイシールドに脳を焼かれた厄介ファンみたいですね。そんな厄介ファンの言葉なんて気にしないでセナさんのやりたいようにやればいいんじゃないですか?」

「そんなどうでもいいみたいな…」

 

「どうでもいいでしょ。セナさんはセナさん、本物は本物、セナさんが本物になる必要はないですし筧さんの言葉を気にする必要もないです」

「そうかな…?」

 

「演技の世界じゃ、原作を元にした脚本を演じればどう足掻いても本物と比べられます。本物はもっとこういう事する、こんなセリフなんて言わないってクレームがあるぐらいですから原作と現実を比較されるなんて割と多いです」

「演技の話とこれはちょっと違うような…」

 

「一緒ですよ。だから役者の人達はそれぞれの解釈で演じます。自分が演じる役はこんな動きをする、こんなセリフを言うってな感じです。セナさんはセナさんが思うアイシールド21をやればいいんです。他の誰が言おうと文句を言うなら戦って勝てばOK!って感じです!」

「勝てるかな…」

 

「勝つんだよ、でなきゃクリスマスボウルへは行けねぇ」

「ヒル魔さん…」

「それとも見たこともねぇ本物にビビって辞めるか?」

「それはありません」

「ならやることは決まってるだろ」

「はい。巨深ポセイドンを倒します!」

 

 ……次は独播スコーピオンズと試合だけど、って言うのは野暮だな。黙ってよ。

 何も言わずセイジの頭を撫でて続きを食べることにした。

 

 

 

「あっ泥門…」

 

 食べていると入口から王城ホワイトナイツのメンバーが登場。

 どうやら向こうも打ち上げで焼肉に来ていたようで両チーム一緒に食べることになった。

 

「今日の試合見てたけどかなり高いジャンプでボールを取ったな」

「ありがとう、高見さんと一緒に練習した成果だ」

 

 坊主頭になった桜庭の隣で肉を焼きながら話しかけるとしっかりした顔つきになっている。

 

「アメフトを本気でやるつもりか?」

「あぁ。ジャリプロは倒産したっていうのもあって、そのおかげで俺も本気でアメフトやろうって区切りがついた」

「あー…どんまい」

「いいんだ、もし続いていても俺は多分アメフトを本気でやろうって思ってた」

「そうか、対戦する時が楽しみだ」

「あぁ……ところでこの子…大丈夫?」

 

「桜庭桜庭桜庭桜庭…蓮次兄ちゃんの骨を折った張本人…どうやって殺そう…窒息?社会的?」

 

「……弟なんだが、まぁ気にすんな」

「い、いいのか…?どう見ても俺に殺意の目があるんだが…」

「セイジ」

「なーに蓮次兄ちゃん?」

 

「うわっ目の色が変わった…」

「喋るな桜庭春人、肉食い過ぎて死ね」

「酷いな!?」

 

「次桜庭にそんな対応するならゲンコツ落とすぞ」

「……ちっ、優しい蓮次兄ちゃんに感謝して土下座しろ桜庭春人」

「えぇ…」

 

「蓮次兄ちゃんと対戦して春の関東大会みたいにボコボコにやられろ」

「…」

 ゴスっ!

「いったぁ!!」

 

 忠告はした。悪いのはセイジで頭に宣言通りゲンコツを落とした。

 

「うちの愚弟が失礼した」

「あ、ああ…それは構わないよ」

「セイジ、お前はあっち行って肉食ってろ」

「ぶーぶー…」

「食わねぇと体はデカくならねぇぞ」

「はーい」

 

 あっちはあっちで何故か大食いバトルが勃発しているしそこへセイジを投入させてやろうか。

 

 それからしばらく激しい大食いバトルを見ながら桜庭と話をして楽しい時間を過ごしたのだった。

 






 という訳で日常パートその1でした!

 誰も知らない間にジャリプロは倒産した……一体誰がやったのでしょう?
 まぁ知らぬが仏って言葉がありますし気にしない方向で(笑)

 次回も日常パートで独播戦へ向けたお話になります。

 それでは次回をお楽しみに!!
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