泥門の2番手   作:実らない稲穂

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 今回は撮影係双葉煋治視点からお送りします。

 客席からの撮影で他の人との話を交えたお話です。



 それではどうぞ。




巨深ポセイドン戦

 

 

 『GO! DEVIL BATS!』

 「打倒巨深ポセイドン!」

 

 『ポーセイドン!ポーセイドン!』

 

 

「間に合ったー!あっぶなかった」

 

 客席で空いている場所に座り、一息ついた僕は三脚を立ててカメラの準備を始めた。

 

「長嗣兄さんが野良猫に釣られたから遅くなったんだよ」

「間に合ったから良いじゃないか」

「結果論で言わないで!僕は撮影係だから早く来て準備しないといけないの!」

「ごめん、しかし…実際にやってみたがアメフトは奥が深い。蓮次がやる気になる理由も分かる」

「ねー見てて面白いよね」

 

「あ、双葉の弟君と…そちらは?」

「「?」」

 

 隣には王城の人達、話しかけてきたのは高見さん。その人が隣に座った。

 

「初めまして、網乃高校の双葉長嗣です」

「網乃の?あぁ!初めまして王城高校の高見伊知郎です」

 

「セイジもほら挨拶」

「この前焼肉屋で一緒だったから知ってるよ。お久しぶりです!あの時以来ですね、偵察ですか?」

「決勝でやるかもしれない相手だ、偵察して損はない」

「分かります分かります、僕も王城の試合はバッチリ撮らせて貰いますからね」

「好きなだけ撮るといい。何も隠す様なことはない」

「バリスタ」

「……」

 

「隠すもの、ありそうですね?」

「セイジ、そろそろ試合が始まるよ」

 

 

 

 

 『ぶっころす!!』

 『YEAHー!!』

 

 

 さぁ試合、撮影開始!!

 

 

 

 

 巨深のキックオフから始まって泥門ボール。

 セナさんが残り40ヤード地点まで持って行って止められた。

 

 

 『Set!』

 

「いきなりだと!!」

 

 高見さんが驚いているのも無理は無いと思う。

 だって……ねぇ?

 

「ここでゴールキックはどう考えてもおかしい!」

「そもそも届くのか…?」

 

 ムサシさんのキックで3点狙い。

 

 普通はもっと近くだし後半とか後でやるはずなのにわざわざ1番最初の攻撃でこれだもん、みんな驚くに決まってる。

 

 どうしてここでやるんだろうね?

 

 

 『Hut!』

 

 栗田さんから蓮次兄ちゃんへ、そしてキックティの上にボールを置いた蓮次兄ちゃんの所へムサシさんが走り出す。

 

 ドォンと大きな音で蹴られたボールはポストに当たりながらも通り抜けた。

 

 『キック成功!』

 

 レフリーの宣言が聞こえ、泥門の先制で3対0になった。

 

 

「40ヤード地点でキックの射程圏内だと…!?」

「これが伝説の飛ばし屋ムサシのキック…!」

 

 ムサシさんのキックで会場がザワつく中、泥門のキックで試合が再開。

 

 いつもなら高く上げられるはずのボールが地面を激しくバウンドしてあっちこっちに跳ねる。

 

「オンサイドキック!?」

「上がれ!ボールを確保するんだ!」

 

 ムサシさんのキックを事前に知っていたはずであろう巨深の人達は深く陣取っていて、オンサイドキックを見て慌てて前へ出てくるが巨深がボールを確保する前にモン太さんがキャッチ。

 瀧さんと小結さんがモン太さんを守るようにブロックし、モン太さんが進んでいく。

 

 

 モン太さんが捕まったのは残り30ヤード地点、ムサシさんのキックの射程圏内だ。

 

「えげつないな…あんなキックを見せられてこの地点となれば嫌でもキックを警戒する」

「巨深はどうするつもりかな」

「僕はアメフトについて詳しくないから高見さんに聞いたらどうかな」

「高見さーん、王城ならどうします?」

 

「……キックを警戒するのが普通だが相手はあのヒル魔と双葉だ、まだ何か奇策を用意しているはずだ」

「と言いますと?」

「キックはフェイク、ランで来るかもしれん」

「いやーな2択ですね」

 

 泥門の攻撃、ムサシさんが後ろに立ってキックをするつもりらしく。蓮次兄ちゃんが膝を着いて構えていた。

 

 『Hut!』

 

 蓮次兄ちゃんの掛け声でボールが投げ出され、ボールをキックティの上に置く。

 

「ンハッ!そんなのキックされる前に止めりゃいいだけじゃん!」

 

 水町さんが小結さんをスイムで突破!一目散に蓮次兄ちゃんへ向けて走り出した!

 

「あっ!」

 

 水町さんが止めに来る直前に蓮次兄ちゃんがボールを持って行ってムサシさんが水町さんをブロック!そのまま左回りに走って進んで行く!

 

「フェイク…!」

「すごーい!本当に蹴るのかと思ってた!」

 

 

「!」

 

 『8ヤード前進!』

 

 走り出した蓮次兄ちゃんだったけど筧さんにタックルされて倒れた。

 

「あれは多分本気でキックを狙ってただろうな、水町が小結を突破したから直前でランに変えて走ったのだろう」

 

 そんな一瞬の判断ができるなんて凄いなぁ。

 

 

 

 

 

「その程度かアイシールド21」

「え?」

「お前が本物のアイシールド21だろ」

「何の話だ?俺はアイシールド21じゃねぇぞ」

「?」「?」

 

「やっべ…蓮次兄ちゃんに言うの忘れてた…」

 

「数年前にアメリカへ留学していたんだろ?」

「いや?この夏に初めてアメリカへ行ったがそれよりも前は行ったことねぇ、誰から聞いた」

「キミドリスポーツの一人息子がそっちの主務と一緒にうちの部にスパイクを届けに来た時に可能性を教えてくれた」

「キミドリスポーツの息子は成人して会社員らしいぞ」

「え?」

 

「待って蓮次兄ちゃんなんでそれ知ってんの?」

 

 やばい、僕の嘘がどんどんバレていく…冷や汗止まらないや…。

 

「黄緑セイジって息子は…?」

「……セイジー!!」

 

「ピイッ!」

 

 キレた蓮次兄ちゃんが僕の名前を叫んでいる!

 やばいやばい…怒られる、怒られちゃう!

 

「うちの弟が失礼したかもしれん。試合が終わったら事実確認して謝罪させる。セイジ!後で覚えておけよ!!」

 

 蓮次兄ちゃんが言うと作戦会議の為に歩いて行った。

 

「どうしよう長嗣兄さん…僕やばいかも」

「覚悟しておきなさい」

「うへぇ…」

 

 

 

 『Set!HutHut!』

 

 気を取り直して泥門の攻撃。

 フォーメーションはIフォーメーションで、ライン同士がぶつかるも水町さんがスイムで小結さんを突破。

 ヒル魔さんが後ろにいるセナさんへボールを投げて右サイドから上がると水町さんも追いかける。

 

「させるか!」

 

 そこへ蓮次兄ちゃんがブロックして止めるとセナさんは一気に走り、筧さんと一対一になったが……一瞬で倒されてしまった。

 

 『1ヤード後退!』

 

「双葉がフォローへ回ったからアイシールドの盾がなくなってしまったな」

「今のは小結が抑えなきゃならんな!壁があんな一瞬で抜かれちゃ話にならん!フォローが早いがその分攻撃の枚数が減って泥門の攻撃が半減する!」

「大田原がまともな事を言ってる…!!」

 

 

「実際どうなの長嗣兄さん」

「え?うーん…ラインが弱いと確かに厳しいかもね。パスもランもラインが安定していれば通りやすいと思う。水町君をどう攻略するかが泥門の勝機に繋がるんじゃないかな」

「じゃあ身長差があんまりない蓮次兄ちゃんがした方が良くない?」

 

「そうなれば泥門の攻撃力は落ちる。泥門の爆発的攻撃は双葉が肝になっている以上ラインへ入れるのは難しいはずだ」

「へー」

「それに小結を下げても水町と筧を攻略しない限り泥門は厳しい試合を強いられるだろうな」

 

 高見さんが締めるとプレイが始まった。

 

 

 『Set!HutHutHut!』

 

 3度目の攻撃、あと3ヤードでファーストダウンを取れる位置でヒル魔さんがボールを手に持って構える。

 蓮次兄ちゃんが中央へ入り込むが、筧さんがマークしていてモン太さんはまだ奥へ向かって走っている。

 

「ザッパーン!」

「ふごぉ!!」

 

 水町さんが小結さんをスイムで突破。

 

「ちっ…!」

 

 ヒル魔さんがボールを捨てて進めずに攻撃失敗してしまった。

 

 

 

 『Set!Hut!』

 

 あと3ヤードでファーストダウンが取れる4度目の攻撃、Iフォーメーションで蓮次兄ちゃんがヒル魔さんの後ろについていた。

 

「キャノンか」

 

 高見さんが呟くと蓮次兄ちゃんがボールを持ってラインへ向かって全速力で走る。

 

「ふんぬらばっ!!」

 

 栗田さんが思いっきり押して道を作ると蓮次兄ちゃんが突破!そのまま走り抜ける!!

 

「勝負だ!」

 

 筧さんと蓮次兄ちゃんの対決。長い手を伸ばした筧さんと右手を出した蓮次兄ちゃんがぶつかる。

 

「!」

 

 腕を巻きとって蓮次兄ちゃんの後ろへ引き倒した!

 

「上手い、手首を返して前腕を掴んでから引っ張り込んで体勢を崩したな」

「双葉流柔道の技だよね〜」

「相手の攻撃を受けてから流すやり方は合気道に似てるけどね。うちは実戦派だからその分野も取り入れているだけさ」

「それをアメフトに活かす蓮次兄ちゃんいかす〜」

 

 

 そのまま蓮次兄ちゃんが進むも、3人がかりで止められてしまった。

 

 『6ヤード前進!ファーストダウン獲得!!』

 

 それでもファーストダウンは取れて連続攻撃が出来る。

 

 まだまだ試合は始まったばかり、油断せずに頑張って欲しいな。

 






 という訳で巨深ポセイドン戦その1でした!

 本来ムサシのキックの射程は45ヤードだったと思いますが、デスマーチ効果で5ヤード増えました!

 次回も巨深ポセイドン戦!まだまだ続きます!


 それでは次回お楽しみに!!
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