泥門の2番手   作:実らない稲穂

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巨深ポセイドン戦その3

 

 

 『Set!Hut!』

 

 後半、泥門陣地まで残り50ヤード地点から巨深の攻撃。

 前半効果的だったスイープでまた来てしまい、蓮次兄ちゃんが止めに動くも2人がかりでブロックされて水町さんとランニングバックが進んで行く。

 

 そこへセナさんが水町さんを抜いてタックルをして止めた。

 

 

 『5ヤードゲイン!』

 

 

「まずいよまずいよ、これを止めなきゃ無理だよ」

 

 3点差で勝てるとは言ったけどこうも進まれちゃ不安になっちゃう……ってあれ?セナさんって今水町さんを抜いてランニングバックの人止めた?

 

 

 『Set!HutHut!』

 

 2回目の攻撃。

 またスイープ、馬鹿の一つ覚えだ。

 

 さっきと同じ流れ、蓮次兄ちゃんをブロックして……セナさんが水町さんを抜いてさっきよりも早く止めた!!

 

 『1ヤード後退!』

 

 

「デビルバットゴースト…!?」

「あれは攻撃の時に使う技じゃ!?」

 

「いや、あれは減速しないクロスオーバーステップ。オフェンスの時に使えば煙の様に消えて相手を抜く技、今のようにディフェンスで使えばブロックしてくる相手を抜く技に変化する」

「なるほど…!」

 

 桜庭の疑問に進さんが答えを出した。

 

「技術的なものは分からないけど、これでスイープ破れたりー!ってことですね?」

「水町健悟がデビルバットゴーストを攻略しない限りな」

 

 うーんこの人評価厳しいなぁ…言ってる事はきっとその通りなんだけど進さんって過大評価も過小評価もしない真面目な人っぽい。

 

 

 

 とはいえ、これでスイープでごり押す作戦は潰えた、次の攻撃はどうするんだろうね?

 

 

 『Set!Hut!』

 

 3回目の攻撃。

 スイープは……来ない!パスを狙ってる!

 

 止めに行こうと泥門ディフェンスが頑張るが巨深ラインの方が粘り強くて小判鮫さんのパスが通る。

 

 『10ヤードゲイン!ファーストダウン獲得!!』

 

 ファーストダウンを取った事で巨深サイドの客席から盛り上がる。

 

 

 

 『Set!HutHut!』

 

 連続攻撃でもパス。

 慎重過ぎる性格なのか十文字さんが不良殺法で突破するとすぐにボールを投げ捨ててパス失敗。

 

 『Set!Hut!』

 

 次の攻撃もパス。

 スイープが効かないと理解したからなのか丁寧にパスを通し、着実に進んで行く。

 

 

 やがて……。

 

 『タッチダウン!』

 

 

 

 トライフォーポイントはキック、これを綺麗に入れた巨深は7点追加。

 これで14対10で逆転されてしまう。

 

 

 それでも次は泥門の攻撃。

 巨深のキックオフでモン太さんがボールを取ると陣地を取り戻して行き、残り50ヤードからの攻撃となった。

 

 

 

「なんだあのフォーメーションは?若菜、今からの攻撃をズームで撮ってくれ」

「はい!」

 

 ヒル魔さんの後ろには石丸さん、その後ろには横並びでセナさんと蓮次兄ちゃんがいて上から見れば逆さまにしたY字の様だ。

 

「喰らいやがれ、デビルボーン!!」

 

 

 

 『Hut!』

 

 ヒル魔さんの掛け声でボールが動き、ヒル魔さんがボールを持った。

 後ろにいる石丸さんがヒル魔さんの所へ行きボールを手渡そうと腕を動かす。

 

「潰ーす!!」

 

 水町さんが小結さんを力技で突破して石丸さんへ向かう。

 

 だがヒル魔さんは石丸さんへボールを手渡さずにそのまま走り出し、石丸さんが水町をブロック。

 次に来たのは長身の大平さんで、ヒル魔さんへタックルしようとするも、ヒル魔さんが後ろにいる蓮次兄ちゃんへパスして大平さんをブロック。

 

 ボールを持った蓮次兄ちゃんが1度左側へ向けてボールを投げる構えを取ると、筧さんと大西さんが釣られて止まってしまい、その隙にセナさんへ手渡ししてボールを渡す。

 ボールを受け取ったセナさんが走り出すとスタートが遅れた筧さんと大西さんを置き去りにしてサイドラインギリギリで抜けて行った。

 

 

 『20ヤードゲイン!ファーストダウン獲得!』

 

 1番後ろにいた人がセナさんを捕まえてしまったがこれで残り30ヤード!

 

 

 

 

 

「このフォーメーションは…もしかしてウィッシュボーンか!?」

 

「ウィッシュボーン?」

「鳥の叉骨って意味だね、逆Y字の形は鳥の叉骨と同じなんだ」

「へー長嗣兄さん詳し。それで高見さん、ウィッシュボーンフォーメーションってなんですか?」

 

「瞬時の判断力が要る複雑なランフォーメーションだ。石丸を止めればヒル魔に、ヒル魔を止めれば双葉に、最後は双葉とアイシールドのコンビネーションで抜いていく3パターンある。ヒル魔の真骨頂と言ったところだろ」

「蓮次がボールを持った時パスフェイクも入れましたね」

 

「あぁ、ウィッシュボーンはラン特化だからヒル魔がボールを手放せばパスは普通出来ない。だがもう1人の司令塔でパスが出来る双葉が居れば話は変わる。フェイクに釣られなければ投げていただろう」

 

 左側に投げようとしてたからモン太さんに向けたのかな?

 どっちにしてもそんな複雑な事できるってすごーい!

 

 

 『Set!Hut!』

 

 連続攻撃。

 またウィッシュボーンフォーメーションで始まると、同じ動きを始める。

 

「やっぱ泥門はアイシールドだって!やべぇってあいつ止めないと…!」

「ケケケッそれなら話は早ぇ」

「あちょー!?」

 

 水町さんがセナさんへ走るのを見て普通に石丸さんにボールを渡す。

 

 

 『6ヤードゲイン!』

 

 

 

「鳥になりゃ高波なんて関係ねぇ!デビルボーンでぶっ殺す!!」

 

 ヒル魔さんが楽しそうに言うと次のプレイが始まる。

 

 『Hut!!』

 

 ウィッシュボーンじゃなくてデビルボーンで始まると、さっきと同じ動作が始まった。

 

 

 巨深のディフェンスはヒル魔さんの作戦に釣られ、段々と右側にディフェンスが集まる。足の速いセナさんがいるから止めるために集まるのは仕方ない。

 だからなのか……真ん中と左側が空いている。

 

「!」

「いくぞバカ!」

 

「バカと言えば…!」

「その覚えられ方もどうかと思うけど…!」

 

 鈴姉ちゃんが悲しそうな顔をしてボンボンを振っている。

 

 ヒル魔さんが蓮次兄ちゃんへボールを渡すと直ぐにボールを構えてフリーになっている人へ投げる。

 

「アハーハー!待たせちゃってごめんねファンのみんな!!」

 

 蓮次兄ちゃんが全力で投げたボールはパスブロックしようとしたラインの指先に当たるも軌道は変わらず瀧さんの所へ一直線。

 

「アハー…ハー!?…よ、余裕…!」

 

 ボールに対して真っ直ぐ体を入れて何とかキャッチした瀧さんが華麗に着地……したかに見えてふらついてしまう。

 そのまま倒れるかと思いきやしなやかに上体を起こし、そのまま走り始めた。

 

「行け瀧!」

「ありがとねムッシュモン太!」

 

 モン太さんが瀧さんのフォローでディフェンスをブロックして走らせる。

 

「いけー!バカ!」

「走れバカ!」

「タッチダウン決めろバカー!」

 

 客席から瀧さんを応援する声が聞こえて、バカだけど愛されキャラだと思った。

 

 

 

「行かせねぇ…!!」

「!」

 

 

 

 筧さんが瀧さんに追い付いて止めた。

 

 

 『16ヤードゲイン!ファーストダウン獲得!!』

 

 止められはしたけど残り8ヤード!

 

 

 『Set!HutHut!!』

 

 

 デビルボーンで始まる攻撃。

 さっきまでならヒル魔さんから後ろの人達は右側へ動くが蓮次兄ちゃんだけ停止、ランの選択肢が減っている。

 

「ショートパスだ!」

 

 蓮次兄ちゃんが左側へ移動すると筧さんが指示を出して止めに動く。

 

「違うって!ランだ!」

 

 水町さんが状況を伝えると左側へ集まったディフェンス達が反対側を見た。

 追いかけようとするも、もう既にヒル魔さんが1人でボールを持って走って石丸さんとセナさんが道を作っていた。

 

「ケケケッ!勝手に勘違いしてくれて楽だぜ!」

 

 

 最後1番後ろにいたディフェンスがヒル魔さんを止めようと追いかけるも石丸さんとセナさんがブロックし、ヒル魔さんはゴールラインを超えた。

 

 

「YA-HA-!!!」

 

 

 スライディングの様にタッチダウンを決めたヒル魔さんが叫んだ。

 

 『タッチダウン!!』

 

 

 16対14!

 そこからムサシさんのキックで17対14で再逆転だ!!

 

 

 






 という訳で巨深ポセイドン戦その3でした!

 ウィッシュボーンではなく「デビルボーン」はデビルバット・ウィングとウィッシュボーンを混ぜた今作のオリジナルフォーメーションです。

 状況判断をするヒル魔だけならラン特化のウィッシュボーンですが、そこへ蓮次が加わり第2の司令塔として行動する新たな選択肢が生まれました。
 蓮次が左サイドへパスをしても良し、そのままランをしても良し、セナへ渡してリードブロックしても良しの後出しジャンケンみたいな感じです(笑)



 次回も巨深ポセイドン戦!
 デビルボーンで押せ押せの中、巨深はどのように対処するのでしょうか!

 それでは次回をお楽しみに!!

 
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