泥門がタッチダウンを決め、トライフォーポイントをキックで決めて17対14。
残り時間は後10分、巨深ボールからプレイが再開する。
『Set!Hut!』
巨深の攻撃。
小判鮫さんがボールを持つと、すぐに小結さんが水町さんをリップで倒して小判鮫さんを倒そうと向かう。
「ひぃっ!」
小結さんを見た時点でボールを捨ててパス失敗で終わってしまう。
2回目、3回目の攻撃も積極的にサックとブリッツを狙う泥門に小判鮫さんはビビって逃げてしまい、とうとう4回目にパントを選択。
残り70ヤードから泥門の攻撃になった。
「あれ?水町さんが後ろにいる」
ラインの数が減って後ろには大西さん、水町さん、筧さん太平さんの4人が並んでいる。
「この夢の四天王のフォーメーション『ポセイドン』を抜ける男などいなァい!」
「大平!大西!水町!俺らの連携が全てだぞ!」
「ンハッ!ホントは本物のアイシールドのチームと当たる時まで最後の秘密兵器にしときたかったけどな!」
「この試合に負けたら終わりなんだ、どっちが1番弟子とかは一時休戦にしてチームプレイで行こう」
長身の選手4人が後ろに並ぶディフェンスフォーメーション『ポセイドン』…一体どんなフォーメーションなのか…。
「でもヒル魔さんと蓮次兄ちゃんの連携でみんなのチームプレイならきっと大丈夫だよね」
「どうだろうか」
僕の独り言に高見さんが返事をした。
『Set!Hut!』
デビルボーンで始まる泥門の攻撃。
今回はパスじゃなくてランで行くみたいで、後ろにいる人達全員で右サイドへ走る。
「うお!4人並んで突っ込んで来た!」
「すげーディフェンスの波!!」
観客の一部が叫ぶ通り、4人並んでディフェンスをしている。
ヒル魔さんから蓮次兄ちゃんへボールが渡り、蓮次兄ちゃんがパスフェイクを入れるも、1番内側にいる大西さんが止まって待ち構え、その間穴を水町さんが埋める。
フェイクに引っかからないと分かればボールを持って走り出した。
『0ヤードゲイン!』
だけど3人に止められてしまう。
『Set!Hut!』
2度目の攻撃。
今度はパスを狙いに行き、モン太さんへボールを投げる蓮次兄ちゃんだったが、運動神経抜群な水町さんが高く飛んでパスカットされてしまう。
「フォーメーションポセイドン…長身の選手4人を後ろに並べる事で広く全体を防いでいるんだ、ランも後出しのパスも身長を活かして守っている」
高見さんが解説してくれる。
「ですがその分ラインが空いています。中央突破が理想じゃないですか?」
「…」
長嗣兄さんが言うも高見さんは何も言わなかった。
『Set!Hut!』
3度目の攻撃。
ヒル魔さんがボールを持つと蓮次兄ちゃんへボールを渡して中央突破を狙う。
人数が減った分通りやすくそのまま突破!…………だけど4人がかりで止められてしまった。
『2ヤードゲイン!』
「巨深もそれを承知で守っている。いくら体格の優れた双葉でも4人がかりで止められたら…」
「そうですね」
デビルボーンもキャノンも封じられてしまった。
あと1回でファーストダウン取らなきゃそのまま攻守交替、大ピンチになっちゃう。
『タイムアウトォ!』
ピィー!
ここでヒル魔さんがタイムアウトを要求。
一体どうするつもりなのだろうか。
残り7分で17対14。
このままいけば勝利は確実、なのにどうしてかいやーな予感しかしない。
3点差とは言え攻めきれずに相手の攻撃になっちゃうと点を取られるかもだしまた攻撃しても同じ事ならもっとヤバい。
確実に勝つにはもう1回タッチダウンを決めて点差に余裕を持たせたい。
どうするのだろうか……。
■■■■■■■■■■
ドゴン!ジャコ、ドゴン!ジャコ……。
「…」「…」
ヒル魔が手遊びでショットガンを回しながら撃ちながら姉崎が書いていた巨深のフォーメーションを見ていた。
俺も隣で見ているが音がうるさくて集中できず、ヒル魔の持っているショットガンを掴んで止めた。
「4人体制のラインバッカー、パスを出せば運動量で勝る水町がカット狙い、ランで来れば4人一斉に止めに来る。わざと中央突破を許してるな」
「…」
「ロングパスでモン太と瀧を使うか?いつも以上に高く投げりゃカットされねぇだろ」
「………!」
「それともここは中央突破で踏ん張って行こうか?」
「……」
「なんか言えよ」
「…ファッキンハゲ!」
「!?」
「準備は出来てんだろうな?」
「は、はい!」
「どういうつもりだ」
「テメェとファッキンハゲのコンピプレイだ、ハイウェーブだろうがポセイドンだろうがその上を越えろ」
「!」
「スプレッドフォーメーション。ファッキンセカンドはボールが動いてから後ろに下がって距離を取ってから投げろ。左側からチビとサル、ハゲと顎ヒゲは右側だ」
「了解ッス!」「「はい!」」「OK!」
「ライン共!奴らが突っ込んで来ても1秒でも長く耐えろ!」
「任せて!」
「最低10ヤード、それ以上を稼いでパス成功させろ」
「任せろ」
ここでタイムアウトが終わり、ベンチからフィールドへ向かう。
「……」
雪光がサイドラインの前で立ち止まり俯いている。
手も足も震えている。
ここまで出番が無くずっとベンチにいて試合を見ていたんだ、初めての試合は緊張して当たり前だ。
「雪光」
「!」
「俺はお前を信じている。これまで何度も吐いて倒れて、それでも俺のパスを取るために起きて走った雪光を信じている」
「双葉君…」
「お前の努力は絶対に無駄じゃねぇ、それをここで証明するぞ」
「うん!」
雪光に拳を出して待っていると、1歩踏み出してフィールドに入って来た。
歓声に驚いているがそれでも待ち続け……俺の隣へ来た雪光が俺の手に拳を当てた。
「この状況を1発でぶっ壊す、この攻撃限りの最強連携プレイだ」
「やろう!」
ヘルメットを被って歩き出すと雪光もヘルメットを被って俺の隣を歩く。
「ポセイドンを抜けるパスを出してくれたなら絶対に僕が取るから!」
「あぁ、頼んだ」
■■■■■■■■■■
「え?雪光さんが登場!?」
石丸さんを下げて雪光さん…どういう作戦なんだろう?
『Set!HutHutHut!』
4回目の攻撃。
デビルボーンじゃなくてスプレッドフォーメーションで始まり、ヒル魔さんがボールを持つとモン太さんセナさんと雪光さんと瀧さんが真っ直ぐ走り始め……。
「あっ…!」
雪光さんだけが転んでしまった。
「緊張からか、これは勿体ない事をしたな」
高見さんが可哀想な目で起き上がって走り始める雪光さんへ言った。
「今更ベンチを出したって意味ねーじゃん!」
「ポセイドンを突破することは出来ない!」
「パス壁を突破するぞ!」
「おおおぉ!」
4人がラインへ突進して突破を試みると、蓮次兄ちゃんが最初の位置よりも後ろに下がる。
「パス壁がもたない!崩れるぞ!」
ラインが崩され、大きな波がヒル魔さんへ襲う。
「バックパス!?」
そしてヒル魔さんは後ろにいる蓮次兄ちゃんへボールをパスして、ボールを持った蓮次兄ちゃんがパスの構えを取る。
「そーれ潰せぇー!!」
水町さんがヒル魔さんを突破して蓮次兄ちゃんへ向かう。
「ここだ…!!」
「!」
蓮次兄ちゃんが超高弾道のパスを投げた!
水町さんがジャンプして止めようとするも、それ以上に高く投げられたボールは触れることなく誰もいない場所へ飛んでいく。
「パス失敗じゃん!ラッキー!」
水町さんが喜んでいる。
「失敗じゃねぇよ」
「うぉぉぉぉ!!」
転けた雪光が必死に走ってる!
「俺がギリっギリのところを狙えるようになれるまで、毎朝毎晩必死に俺のパスを取るために走り続けた男がここで転けても失敗なんかしねぇよ」
「とっ…………たぁ!!」
最後は雪光さんが滑りながらボールをキャッチ!!
『16ヤードゲイン!ファーストダウン獲得!!』
高弾道パスを成功させてファーストダウン獲得!
「んなっ!?」
「ドンピシャ!最高のキャッチだぞ雪光!!」
蓮次兄ちゃんが雪光さんへ言うと水町さんを見た。
「ポセイドン突破したぞ。次はどうするつもりだ?」
「くっ…!」
「信じてくれてありがとう双葉君!」
「当たり前だろ!」
パチンと2人は勢いよくハイタッチを交わし、他の人達も喜んでいる。
これでまた連続攻撃ができる!
泥門からすれば大ピンチからの大チャンス、巨深からすれば大チャンスから大ピンチとなり焦っている。
残り4分、もうちょっと進んでキックの射程圏内、ムサシさんのキックを決めて6点差になる。
そしたら巨深の攻撃じゃ追いつく時間が足りなくなる!
泥門の勝ちだとこの会場全員が思う空気であった。
という訳で巨深ポセイドン戦その4でした!
デビルボーンで勝てる!って雰囲気でしたがポセイドンフォーメーションで破られました…まぁ4人並んで止めに来たりパスしようとしたら長身の水町が跳んでパスカットなんてゴリ押しですけどね。
まだまだ練度の低いデビルボーンでした( ˊᵕˋ ;)
そしてとうとう雪光の登場!ワンプレイだけの活躍でしたがこれまで必死に練習してきた成果が活かされました!!
まだオプションルートは使いません、ただパスを取っただけなので偵察に来た人達への隠し玉として利用できます。
次回はいよいよ巨深戦最終話になります!
それでは次回をお楽しみに!!