「行くわけねぇだろカスが、ぶちのめすぞ」
「!?」
何を驚いてんだよバカかこいつ?
「い、今すぐじゃなくてもいい、秋大会が終わればどうかな?」
「関東大会があるわバーカ」
「それが終わってからでもいい!」
「そしたらクリスマスボウル、帝黒アレキサンダーズと対戦だな。誰が好き好んで元チームメイトと対戦すんだよ有り得ねぇわ」
「本当に創部して間もない泥門デビルバッツがクリスマスボウルへ行けると思っているのか?」
「あぁ、俺達泥門デビルバッツはクリスマスボウルへ行ってお前ら帝黒アレキサンダーズを倒して日本一になる。覚悟しておけ」
話は終わりだな。
「帰れ、これ以上居ても意味ねぇぞ?俺は絶対に首を縦に振らねぇからな」
「…」
「今大会中で良かったな、これが何も関係ない時期だったらお前をぶっ殺してた」
「…!!」
「あークソだるかった」
「お、来たか蓮次」
「おっすムサシ」
話を終えて体育祭へ参加した俺は白組のテントへ行き、同じ組のムサシと合流した。
「何だったんだ?」
「別にーただ授業態度が悪いからもう少しちゃんとお願いしますって話」
「ふーん?」
「つーかよ……ぶっ!あっははは!あれなんだよ!?」
マフィア姿の姉崎と雪光がヒル魔と一緒に高笑いしながら銃を乱射している光景を見て思わず笑ってしまい、向こうも俺に気付いたのか、2人とも恥ずかしそうにして俺から目を逸らしてしまった。
「ヒル魔が何か話したみたいでああなった」
「あ〜腹痛てぇ……ぷくくっ!な、なるほどな、プログラムあるか?」
「ん」
ムサシからプログラムを借りて何があるのか見ると……最後に騎馬戦があった。
「なーるほど、そういう事か」
「わかったのか?」
「西部のショットガン対策だ」
「どういう意味だ?」
「ヒル魔から何も聞いてないのか?」
「あぁ」
「じゃあ言わねーこういうのは知らない方がいい。情報漏洩ってやつだ」
「同じ白組だから別に教えてくれてもいいじゃねぇか」
「ダーメ、ヒル魔がムサシに教えなかったって事は知らなくてもいいって訳でムサシは大人しくここに居れば良いんだ」
「んだよそれ、別にいいけど」
「不貞腐れるなよ、老け顔のムサシがそんな顔しても可愛くねーよ」
「姉崎がやれば「さーてと、俺はヒル魔と話してくる」逃げんな」
逃げじゃねぇ、重要な報告だ。
「大変そうだな、何か手伝おうか?」
「あ?」
他の競技をしている間手が空いたヒル魔へ近寄って声をかけた。
「何の用だファッキンセカンド」
「ちょっと報告にな、2人になれるとこ行くぞ」
ヒル魔を連れ出し、屋上へ向かった。
ドアを閉め、盗み聞きされないよう施錠をしてから更に少し離れるとヒル魔が無糖ガムを投げてきた。
「随分警戒してんな、そんだけ重要な報告か?」
「結論から言う、日本一強いアメフトチームの帝黒アレキサンダーズにスカウトされた」
「あ?…スカウトだと?」
「校長室に呼ばれて行ってみれば帝黒アレキサンダーズのスカウトが来ててうちに来ないか?だってよ」
「テメェまさか…!?」
「行くわけがねぇ、断ったよ。なんでここまで来て違うチームに移籍すんだよ有り得ねぇ」
「ならいい、下らねぇ報告の為にここまで連れて来やがって面倒くせぇ事すんじゃねえクソが」
「悪かったよ、ヒル魔以外のメンバーに聞かれちゃ士気に関わると思ってな」
「ちっ…!」
「報告は終わり。で?今日の体育祭でバンプを習得させての勝率はどんな感じだ?」
「テメェはどう思う」
「4割、キッドと鉄馬のゴールデンコンビをどうにかしねぇとキツイ。付け焼き刃のバンプじゃ鉄馬は止められねぇだろ」
「俺は6割、点取り合戦だとこっちに分がある」
「その要素は?」
「トライフォーポイントで2点ずつ取りゃ良い」
「なーるほど、キャノンでぶっ壊せってか?」
「ケケケッ!」
何も言わないって事はそのつもりなんだろうな……酷使される未来しか見えねぇ。
「逆にテメェはなんでそんな低い、取られりゃその分取れば良いだけだろうが」
屋上から戻る間、階段を降りているとヒル魔が聞いてきた。
「んー何となくだが、俺達よりも西部の方が攻撃力が高いと思ってる。シンプルな攻撃の方が奇策を使うよりも厄介だろ?最強カード鉄馬がある西部なら毎回それを切って来ると予想してる」
「んなもんうちも最強カード白銀を切るに決まってるだろ、これでどっちのカードが強いかハッキリ分かる」
「うーわ絶対酷使される……死んだな俺」
「死にはしねぇよ、テメェだけは潰さねぇよう慎重に使ってやる」
そう言って先に降りて行った。
「やっぱお前ツンデレだよなキモっ」
「やっぱテメェはぶっ殺してやる!!今すぐ死ねぇ!!」
体操服のどこに隠していたのか大量の銃火器を出したヒル魔がキレた!原因は俺にあるけど事実を言っただけじゃねぇか!!
騎馬戦が始まるまでの間、ヒル魔と地獄の鬼ごっこを始めたのだった。
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〜帝黒学園〜
「スカウトは失敗したみたいで、双葉氏をスカウトした人はご丁寧に校門まで見送られたそうだ。一緒にプレイできなくて残念だったね花梨」
一軍専用の部室で同学年の大和君が私に伝えてくれた。
だけど…………。
「うちそんなん言うてない!ただ白銀さんがかっこええなって言うただけ!それを勝手に解釈してスカウトしようって
つい昨日ボソッと言うたのを聞かれてから行動が早くてびっくりした!あれよあれよと言う間にスカウトするって話になって今日いきなりスカウトに行ったって聞いて開いた口が塞がらなかった。
「そうだったかな?でも双葉氏と一緒にプレイ出来たならきっと帝黒は更に強くなっていたと思うよ」
「うぅ〜…そうかもしれやんけど…」
「双葉氏はパワーだけに限らずスピードもある、同じチームになれば花梨を守る盾にも花梨のパスを活かす矛にもなり得た。それを逃したのは残念だったよ」
微塵も残念そうな顔をしない大和君がグラウンドへ行ってしまった。
断られてしもうたけど、もし双葉さんが来てくれたらどうなってたんやろ…。
「いやいや何アホみたいな妄想しようとしてんの…!絶対有り得へんし!…………はぁ」
首を激しく横へ振ってアホな考えを振り払った後カバンの中から月刊アメフトを取り出した。
8月号の月刊アメフトで、表紙にはアメリカのNASAエイリアンズ戦でボールを持って走ってる写真の双葉さんが表紙を飾ってる。
男らしくてカッコよくて……話を聞いてくれそうな雰囲気がある人やと勝手に思ってる。
インタビュー記事は結構過激な事言うてはるけど、テレビの取材を受けてる時は紳士っぽくてええ人やんって感じて余計に話を聞いてくれそうな感じやった。
「……せや!関東大会になったら偵察言うて行ってもええやん!それならキャプテンも許してくれるやろ!」
そんで双葉さんに会うて連絡先聞いてメールして……あわよくば仲良うなれたらええな。
問題は、双葉さん居てる泥門デビルバッツが関東大会へ来るかどうか…チーム状況的に結構厳しいやろうし……そうなったらうちの計画全部パァや。
「うわ〜…そうなったらどないしよ、会うこと出来んかったらあかんやん」
双葉さん頑張ってや。
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『さぁいよいよこの日がやって参りました!全国高校アメフト選手権東京大会セミファイナル!全国を賭けて互いに超攻撃型のチーム同士が今!壮絶な殴り合いが始まろうとしています!!』
西部ワイルドガンマンズとの試合当日がやってきた。
『チームがフィールドで向かい合ってから挨拶を交わし、チームの司令塔だけが残りベンチへと下がって行きます!!』
「試合前のこの感じいいよな、なんかこう…血が冷たくなるって言うかさ」
「石丸……………………居たんだ」
「え?」
「いやなんでもねぇ、それで?」
「双葉君もそう思わない?」
「いや全然思わねぇよ」
「え?」
「去年の秋、1回戦で負けた泥門デビルバッツがここまで強くなれた。メンバーが揃い、キツイ練習を超えてこれまで試合してきた強豪に打ち勝って1歩1歩てっぺんを目指して登って来た」
「…」「…」
栗田とムサシが何も言わずに俺を見ていた。
「東京大会を制すれば次は関東大会、そこも制すればクリスマスボウル!日本一が見えている今!俺の血は滾りに滾ってんだ!」
『!』
「ここにいる全員で西部をぶっ殺す!目指すはクリスマスボウル!それまで冷める暇はねぇぞ!!」
『おう!!』
「滾ってるねぇ彼、熱い男じゃないか」
「ケケケッ!テメェもだろキッド」
「いやいや、流石に彼程じゃないよ」
「ほーう?なら熱いって訳だ」
「……やれやれ、今日は最初からろくな事がない」
コイントスで泥門キックからとなり、最後に円陣を組む。
「今日は戦争だ!撃って撃たれての史上最強の撃ち合いだ!」
ヒル魔が俺達へ言うと力いっぱい空気を吸い始めた。
『ぶっころす!!』
『YEAHー!!』
という訳で日常パートその2でした!
体育祭書こうかな〜って書いてみたのはいいですが長々となってしまい泣く泣くカット、その代わり何故このタイミングでスカウトに来たのかを書きました。
いよいよ次回から西部ワイルドガンマンズ戦!
なんと今回7話連続です!(頑張りました!)
キリのいい所で止めたため、1話が短くなったり逆に長くなたりと文字数にバラツキがありますが楽しんで貰えたらいいなと思います。
それでは次回をお楽しみに!!