「止めろ陸ぅ!!」
「突然現れた双葉君がキッド君のパスをインターセプト!攻守が入れ替わり西部の監督”ドク堀出”がリボルバーを上空へGANGAN撃って指示を出している!」
「速い!もう追いかけている!」
『勝負だ双葉先輩!』
『!』
(俺よりも甲斐谷の方が速い!このままじゃ追いつかれる!)
「甲斐谷君は40ヤード走4秒5、対して双葉君は4秒7。追いかける甲斐谷君の方が速い!」
「スタートダッシュを決めていた双葉君だが甲斐谷君に追いつかれる!」
『!』
『俺の勝ちです!』
「甲斐谷君!西部陣地まで残り50ヤード地点で追いついてタックル!しっかりと胴体へ腕を回して倒そうとする!」
『なんだ意外と軽いんだな?』
『え?!』
「た、倒れなーい!”重戦車”双葉君が倒されずにそのまま走り出したぁ!」
「甲斐谷君の体重は!?51kg!……網乃戦で同じ状況がありましたがあの時は体重80kgの選手、その選手と比べるとかなり軽く引き摺るのも簡単でしょう」
『リアルロデオドライブと行こうじゃねぇかカウボーイ!!』
『ちょ!それちがっ…!なんでスピード落ちないんですか!?』
『この程度で止まる程やわな体じゃねぇからな!!』
「止まらない止められない!チーム1瞬足の甲斐谷君に捕まりながらもどんどんと進む!なんて突破力だぁ!」
「改めて見ても凄い!スピードが全く落ちてない!」
「これが”人間重戦車”双葉蓮次!”ロデオドライブ”甲斐谷陸のタックルをものともせずに……今、ゴールラインを超えたァ!!」
『タッチダウン!!』
「タッチダウーン!!攻めていたはずの西部だったがインターセプトからのカウンターで先制点を許してしまった!」
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「勝負は俺の勝ちだな」
「くそっ!!」
軽いとは言え50ヤード近く引き摺るのは足に来るが割と楽しい……この走りを何て名前にしようかちょっと考えてみたい気分だ。
「双葉先輩」
「ん?」
甲斐谷が立ち上がって俺の前へ来た。
「どんだけパワーがあるんですかほんと、それにどうやってキッドさんのパスをインターセプトしたんですか」
「質問責めか?言うわけねぇだろ」
左サイドからブリッツを仕掛けるヒル魔のおかげでパスを投げる速度を早めてくれたキッド、そしてセイジが撮影してこの試合で姉崎が取ってくれた記録を合わせてできた予測。
ヒル魔が左サイドへのパスを消し、陣地近くで栗田の巨体がパスコースを防ぐ壁になって初めて条件が整う。
後はもう勘、右サイドをわざと空けてパスコースを用意してやってボールが来るのをお祈り……正直上手くいくとは思ってなかった。栗田の上を通す山なりのパスを投げる可能性もあったし俺が取る以上の弾速で来る可能性もあったが、狙い撃ちを1発で出来て良かった。
「トライフォーポイントはキャノンで行く」
ハドルの時にヒル魔が宣言した。
「ちまちま1点ずつ取るよりここで2点取りに行く。ファッキンデブ!ラインをぶちのめせ!そうすりゃ後ろからファッキンセカンドが突っ込む!」
「任せて!」
「ベンチプレス合計300kgの合体技”ブラストキャノン”で壁を破壊してもぎ取る!テメェらの連携プレイの出番だ!」
「おう!」「うん!」
「なぁヒル魔」
「あ?」
「俺のあのランの名前つけるなら何にする?」
「んなもん後にしろバカ、試合に集中しろクソが」
「冗談、ちょっとだけ楽しかったからつい」
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『Set!』
「トライフォーポイントはキックではなくタッチダウンを狙いに行く泥門!これで取れれば8点差だ!」
「逆に失敗すれば6点しか取れず西部は逆転のチャンスが生まれます。何としてでも止めたいところです」
『Hut!』
「ボールを受け取ったヒル魔君!すかさず後ろから来る双葉君へボールを手渡した!」
「ここでキャノンだ!」
『ふんぬらばーっ!!』
『あああぁぁ!!』
「栗田君のパワーでラインを押し込み!栗田君に押されたラインが揺らぐ!」
「そこへ双葉君が突っ込む!!」
『ふんぬらばっ!!』
『あづぁあああぁ!!』
「揺らいだ所へキャノンが炸裂ぅ!!後ろからの後押しで栗田君が更に押し込み西部ラインを仰向けに倒したぁ!!」
『タッチダウン!』
「最後に腕を伸ばしてボールを置いた双葉君がタッチダウンを決める!追加てーん!これで2点追加だぁ!!」
「西部側からすれば止めようのない攻撃でした。今大会でトップレベルのパワーを持つ栗田君と双葉君のパワー、2人のパワーが合わさって脅威ですよ」
「さぁ予想外な展開が起こり点差は8点差!本来であれば西部の攻撃だったのがインターセプトから一転!先制点を取ったのは泥門!」
「ムサシ君のキックでプレイが再開します」
「高々と蹴り上げられたボールが西部奥地へと飛び、甲斐谷君がキャッチ!」
『勝負だ陸!』
『あぁ!』
「すかさずアイシールド君が止めに行きますがこれをロデオドライブで抜いていく!」
『そんな…!』
「今度は双葉君と対決!2度目の対決はどうなる?!」
『今度こそ!』
『…』
「両手を軽く広げて静かに構え、甲斐谷君を迎え撃つ…」
「これで抜かれてしまえばタッチダウンされてしまう…」
『!』『!』
『ぐっ……!!』
「止めたぁ!2度目の対決も双葉君に軍配が上がった!」
「ロデオドライブを完璧に捉えたディフェンス、甲斐谷君も激しいタックルを受けたのにも関わらずボールを零さずに済みました」
「西部の攻撃は残り50ヤードからになります!」
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「すごい、いきなりフィールドの半分まで進んで来た…」
「……セナ。よく使われる例え話だ、グラスにカクテルが半分残ってる時、まだ半分残ってると思うタイプともう半分しかないって思うタイプがいる。セナ、お前はどっちだ?」
陸が僕に話しかけてきた。
「……いや、そう言われても…カクテルとか飲んだことないし…」
「そういう事じゃなくてだな…カクテルじゃなくて水でもいい、セナはどう思うか知りたいんだ」
水でもいいって言われたけど、僕ならもう半分しかないって思うかな。
「お前お喋り好きだな、それってリフレーミングって心理学の話だろ?」
「詳しいですね」
双葉さんがヘルメットを外して話しかけてきた。
リフレーミングって初めて聞いた。
「物事の捉え方を別の例えに置き換えてネガティブ思考からポジティブ思考に切り替えるってのがリフレーミングだ」
「へー!」
「もう半分しかないって思うよりまだ半分もあると捉えれば満足感や幸福感が高い。甲斐谷はフィールドをカクテルに置き換えてポジティブ思考で行動してんだろ?」
「そういう事です」
「現実から目を背けるな、まだ半分残ってるって捉えていても俺に止められているって現実から逃避してんだよ」
「!」
「セナを抜いたからいい気になってるが俺が前に出てくればもっと速い段階で止めていた。俺が後ろにいて良かったな?」
「……」
「行くぞセナ」
「あ、はい」
双葉さんが歩いて行く背中を見て、1度陸の方へ振り返ると悔しそうに歯噛みして拳を握っていた。
「ロデオドライブの攻略法を教える」
「へ?」
「こっちを見るな、何も聞いていない風に装え」
ヘルメットを被った双葉さんが話しかけて来ると僕を見ないで歩き続けていて、双葉さんの言葉通りに前を向いて歩くことにした。
「上半身の動きと大股で動かす足に騙されてしまいやすい。そこで見る視点はヘソだ」
「ヘソですか?」
「左右どっちかに抜く時必ずヘソもそっちへ動く、番号の下辺りから目を離すな。そうすれば捕まえられる、実際セナを相手する時もそうやって止めてきた」
「!」
「基礎は教えた、後は試合中何度も止めに行け」
「はい!」
双葉さんは本当に頼れる先輩で、一人っ子の僕だけど頼れるお兄さんだと思えて…双葉さんが居てくれるから僕は安心して戦える。
だから陸、手加減しないで何度でも止めに行くよ。
「行くよ、陸「上部に入ろう」……?」
「ファッキンセカンドがブリッツに行くから鉄馬はクソザルじゃねぇと止めらんねぇぞ。気合い入れてけ」
「うッス!」
ハドルの時にヒル魔さんがモン太へ伝えていた。
「バックス組!練習したアレもやるからな!」
『はい!』
「毎回勘でパスコースを防ぎながら行くがまぁ無理だと思っててくれ、何とか頼む」
双葉さんの頼みを最後にハドルが終わり、ディフェンスの位置についた。
『Set!』
練習したアレ、いよいよ使う時だ!
『Hut!』
相手の心臓へ向けて一突き!心臓バンプ!!
という訳で西部線その2でした!
新技”ブラストキャノン”ですが、蓮次のキャノンに栗田のブラストを合わせた完全な力技です(笑)
果たしてこれを止められるラインはいるのでしょうか?
そして蓮次の帝王の突進モドキ、何かいい感じの名前を付けたいのですが……この後活動報告で募集をしますので何かいい名前があれば教えてください!
次回も西部戦、まだまだ続きます!それでは次回をお楽しみに!!