前半終了最後の攻撃でタッチダウンを決め、トライフォーポイントではセナの新技”デビルバットダイブ”が成功。
2点追加で38対35で3点リード。
ハーフタイムでは少しでも疲労を抜くために少し離れた所で黙ってアイシング道具を持ち出して膝に巻いた。
「ファッキンチビ!さっきボール取られやがって!処刑してやろうか!?」
「ヒィー!すいません!!」
「キックオフリターンタッチダウンで取り返せたのはいいがテメェが取られなきゃもっとリード取れてたんだぞ!」
「ほんっとすいません!!もう2度と取られないようにします!!」
「セナを虐めないで!!」
「だぁまれクソマネ邪魔すんじゃねぇ!このファッキンチビが舐めたプレイしなきゃ点差に余裕があったんだよ!クソザルもだ!」
「お、俺もッスか!?」
「鉄馬にいい様に走られやがって!バンプが効かねぇならボール掻っ攫うぐらいの事しやがれってんだ!!」
「!」
「んなことも頭にねぇならぶっ殺してやらぁ!!」
「モン太君も虐めないで!!」
ヒル魔がセナとモン太にブチ切れ、姉崎が2人を守る為にヒル魔相手に喧嘩が始まり、他のメンバーも止めようと集まっている。
そんな中俺は1人アイシングを続けたのだった。
「もう2度と取られねぇって誓うなら…オフェンスは中央突破で行くぞ」
「はい!」
怒りが治まったヒル魔の手には1枚のカードを取り出していた。
「究極のカードを切る!フォーメーション、T!」
『T?』
Tフォーメーションか。
「ヒル魔、そのフォーメーションはランニングバック3枚必要だ。セナと石丸、あと1人は?」
アイシング道具を一旦隠し、ストレッチを始めた俺は聞いてみた。
「あ?テメェに決まってんだろファッキンセカンド」
「知ってた」
「クソザルを左サイド、ファッキン顎髭を右サイドのライン上に配置。ランニングバックは左から石丸、ファッキンセカンド、ファッキンチビの順だ」
ヒル魔がフィールドを描いたホワイトボードを取り出して磁石を配置して説明をしている。
ハーフタイム終了まで時間が無いし急に出されたカードだからなるべく早く詰め込みたいんだろう。
「やれるの?」
「何の話だ」
ストレッチをしていると姉崎が話しかけてきた。
「だってアイシング道具が減って「珍しいミスしてんだなちゃんと数数えたか?」……はちみつレモン食べて少しでも疲労回復して」
「あぁさんきゅ」
姉崎からはちみつレモンを貰って口に入れながらもストレッチを続ける。
「無理はしないで」
「ヒル魔的に言わせりゃTフォーメーションは俺を囮に使う作戦だ、あれだけキャノンを見せりゃ嫌でも俺を警戒してくる」
「そうなの?」
「知らん」
「えぇ…」
俺をランニングバックの真ん中に置くって事は中央突破を囮にロングパスをさせるつもりだろうな、モン太を左サイドへ置いているしスルーさせたタイミングで俺からモン太へパス……それまではセナと石丸で中央突破を狙い続けるって訳だ。
問題は突破するラインだが…。
「トライフォーポイントで栗田のパワーなら西部ラインを破れると実証されてるから問題なし、それにムサシのキックもあるからキックも狙える…この点取り合戦、俺達が圧倒的に有利だ」
「あぁ、任せろ」
ムサシも会話に混ざって来て俺の背中を軽く押してストレッチを手伝ってくれた。
「キックの機会が少ないから俺は不完全燃焼だ、もっと蹴らせろ」
「俺じゃなくヒル魔に言え」
「冗談だ、無理だけはすんなよ」
「分かってる」
さぁ後半だ、最後までやり切るぞ!
■■■■■■■■■■
「後半が始まりました!前半で38対35!激しい点取り合戦は泥門がリードしています!」
「後半は西部のキックオフから、泥門の攻撃で始まります」
「さぁキックオフ!西部ディフェンス陣が一斉に上がり早く止めに向かう!」
「ボールを取ったのはアイシールド君、一気に加速して陣地を取り戻して行ってます」
「甲斐谷君!アイシールド21と対決!」
『陸!』
『勝負だ!』
(ロデオドライブでタイミングをズラしてくるなら僕はそれよりも早くにデビルバットゴーストをする!)
「アイシールド21のデビルバットゴーストで抜くか甲斐谷君のロデオドライブで止めるか!」
「アイシールド君の方が早くに仕掛けた!」
(デビルバットゴーストをしたのはいいけどロデオドライブで曲がるタイミングが…!)
『ああっ…!』
『俺の勝ちだなセナ』
「だが甲斐谷君が止めた!残り60ヤードからの攻撃になります!」
『Set!』
「これは!」
「んんっ!?熊袋さんどうしましたか!?」
「Tフォーメーション!ランニングバック3人用意したラン特化のフォーメーションです」
「ここで新フォーメーション!一体どんな攻撃をするのでしょうか!」
「左から石丸君、双葉君、アイシールド君の順で待機しています。誰にボールを渡すのか…」
『Hut!』
「ヒル魔君へボールが渡り3人が一斉に中央へ走る!」
『ふんぬらばっ!!』
『ああああっ!!?』
「栗田君が西部ラインを押し込みボールを持った石丸君が突っ込む!」
「左サイドへ走るって方法もあるのに極端な中央突破!?」
『2ヤードゲイン!』
『Set!Hut!』
「2度目の攻撃!変わらずTフォーメーション!」
『ふんぬらばっ!』
「また栗田君のパワーが炸裂!壁を壊し、そこへアイシールド21がボールを持って走る!」
『4ヤードゲイン!』
『Set!HutHut!』
「3度目の攻撃!既に6ヤード進み、ファーストダウンまで残り4ヤード!」
「少しずつ進んで行きますね」
『ふんぬらばっ!!』
「またまたまた栗田君のパワーが炸裂ぅ!またアイシールド21がボールを持って突っ込む!」
『4ヤードゲイン!ファーストダウン獲得!』
『いいから栗田を止めろぉ!そんな無理矢理な正面突破何度も何度もやらせるな!!』
「ドク堀井が怒るのも無理はないと思います…残り20ヤード、それまでずっと栗田君のパワーで進んでいますからね」
『ケケケッ!止められるもんなら止めてみろってんだ!』
「残り20ヤード!泥門の攻撃はまだまだ続きます!」
『Set!』
「フォーメーションは変わらずTフォーメーション、このまま時間をかけて行きたいのでしょうか」
『Hut!Hut!Hut!Hut!Hut!Hut…!』
「長い掛け声!まだボールを動かなさいヒル魔……あっ!」
「う、動いている!ヒル魔君の股下を超えてボールは双葉君へ向かってる!」
「未だ気付いていない西部ディフェンスの横をモン太君と瀧君が走る!」
『ボールはもう出てる!パスだぁ!』
「モン太君と瀧君を見た西部ディフェンスがようやく気付いて止めようと動き始める!!」
『今更気付いても遅い!!』
「双葉君の鋭いロングパスがモン太君目掛けて放たれ、いち早く気付いた甲斐谷君がモン太君を追いかける!」
『これなら…!!』
『やべぇッスよ双葉先輩!ボールの軌道と陸の手がドンピシャでカットされちまう…!』
「甲斐谷君が懸命に手を伸ばしてカットを狙う!」
『ケケケッ!ベンチプレス140kgの白銀が投げる全力スパルタパス”デビルシルバーバレット”をカットできるもんならやってみやがれ!!』
『なんでお前がドヤるんだよ…』
『ケーケッケッケ!』
『!!』
「カットした手がボールの勢いに負けて弾かれた!!」
「弾道が変わらない!なんて強い弾なんだ!」
『これなら!……キャッチマーックス!!』
「取ったぁ!ギリギリ飛びついてボールを取りました!!」
『タッチダウン!!』
「敵を穿つ銀の弾丸”デビルシルバーバレット”が決まってタッチダウン!!」
「フォーメーションの真ん中に配置したのはこれを狙っていたからか!」
「しかも双葉君のキャノンも控えているフォーメーション!西部はこれを止める事が出来るのか!?」
「そしてトライフォーポイントはキックを選択した泥門!ムサシ君のキックが入ってこれで45対35!一気にリードを広げました!」
「10点差…このまま点取り合戦が続けば泥門が優位になります」
■■■■■■■■■■
「まずいねこれは…」
「こ、こんなのどう止めりゃいいんだよ…」
「10点差だぞ?2回タッチダウン決めねぇと逆転出来ねぇ…」
真っ向からの点取り合戦でこれだけ取られちゃチームの空気が重いね。
毎回ギャンブルで8点狙いされて決められ、毎回7点しか取らないこっちとじゃ離されて当然。
下手にディフェンスで攻めようものなら、白銀君のフォローが活きて狙いを外されてしまうし…ほんと厄介だよ彼。
「けど、彼が後ろで走らない上にトライフォーポイントでもキックをするって事はそういうことなんでしょ」
蛭魔妖一、君は双葉蓮次に期待を寄せ過ぎた。
期待して酷使して、彼もその期待に応え……前半だけでスタミナ切れを起こしている。後半休ませるかと思ったけど出てくるって事は出さなきゃうちに勝てないと踏んでいるからだ。
「監督、白銀氏はスタミナ切れの様です。前半の様な動きはもうありませんよ」
「そうか!ならGANGAN攻めるぞ!それにうちもこっからトライフォーポイントは8点狙い!キッドと鉄馬のゴールデンコンビなら取れる!」
「…」
そこまで買い被られるのは困るけど…反撃開始といきましょうか。
試合終了まで後13分、まだ逆転できる時間だ。
という訳で西部戦その5でした!
蓮次の新技「デビルシルバーバレット」
以前募集した技名の中で提案してくれていましたが、この名前はパスの技名として初めから使おうと考えていました!
やっぱ泥門だし白銀って名付けたし、悪魔と銀はいれなきゃ!
そしてTフォーメーション!
これも以前感想で書いてくださった方がいまして、使おうと思い中央突破系のフォーメーションとして利用しました。完全な脳筋プレイです(笑)
いよいよ西部戦も終盤、残り時間13分(2話)で試合が終わってしまいます。
果たしてセナは陸を越えられるのか!モン太は鉄馬を越えられるのか!ヒル魔はキッドを越えられるのか!
次回をお楽しみに!!