『うおおおああっ!!』
「甲斐谷君を止めたアイシールド21が吠えたぁ!」
「ここで止めたのは大きいですよ!攻撃権を1つ失って1ヤード後退した西部からすればかなり痛いです!」
「残り2分半!早く点を入れたい西部はハドルを早々に終わって配置につく!」
「残り41ヤード、ファーストダウンまで後11ヤードです」
『Set!Hut!』
「プレイ再開!双葉君が左サイドから走る!」
「ブラインドサイドからのブリッツ!さっきもやったけど間に合わずに終わったのに!」
『!』
「キッド君が投げた!ブリッツ失敗!」
『パス成功!3ヤードゲイン!』
「ここは確実なショートパスを選んだ西部!ゴールラインまで38ヤード、ファーストダウンまで8ヤードです!」
「鉄馬君という最強のレシーバーを使って堅実にショートパスで進むつもりなのでしょうか」
『Set!Hut!』
「泥門も黙っちゃいない!中央を固めて鉄馬君封じに動く!そして双葉君またまたブリッツ!」
「だけど鉄馬君が方向転換して奥へ進んだ!」
「必死に追いかけるモン太君!」
『距離を取ればその分投げるまで時間かかるだろ…!』
『そうでもないかな』
「キッド君が投げる!」
「これを取ればファーストダウン獲得間違いなし!」
■■■■■■■■■■
〜モン太視点〜
セナが陸に勝ったのに俺は負けっぱなし…そんなの絶対にダメだ!双葉先輩に託されてやられっぱなしで終わりたくねぇ!!
なのに…!ボールが鉄馬先輩の手に入っちまう!
―バンプが効かねぇならボール掻っ攫うぐらいの事しやがれってんだ!!―
「ボールを…!」
「!!」
無意識、ボールには手が届かなくても、鉄馬先輩の指を掴む為に手を伸ばした。
このまま指を引っ張ればボールを掻っ攫える、そんな気がした。
『モン太君が鉄馬君の指に手をかけた!!』
「キャッチの最強だけは!譲れねぇんだ!!」
「う、うおおお!!?」
力いっぱい引っ張ると鉄馬先輩がボールを零した!!
『なんとモン太君!鉄馬君からボールをひっぺがしたぁ!!』
鉄馬先輩の手から離れていくボールを追いかけたくても俺は限界で……地面に落ちて転がって行くボールを見るしか出来なかった。
『パス失敗!!』
■■■■■■■■■■
「パ、パス失敗!!”重機関車”鉄馬君をモン太君が止めたぁ!!」
「キャッチした後ボールが転がってサイドラインを超えたからインコンプリートって判定になりましたね」
『タ、タイムアウトォ!!』
「西部がタイムアウトを要求!!試合が一時中断します!」
「これで2回攻撃権を失った西部、あと2回で最低でもファーストダウン取らないと負けが確定してしまいます」
■■■■■■■■■■
〜双葉蓮次視点〜
「ケケケケケッ!!」
「「あいたーぁ!!!!」」
ヒル魔が笑いながらセナとモン太のケツを蹴っていた。
「足はどう?」
ヒル魔が2人のケツを蹴りながら注目を集めている中、姉崎がアイシング道具を俺に手渡しながら聞いてきた。
「何の話か知らねぇが有難く使わせてもらう」
「またそうやって意地張ってる、やっぱりも「うるせぇ黙ってろ」蓮次君…!」
膝へ当てて冷やすと、痛みがかなりマシになっていく。
「正直に教えて、いつから?」
「何の話かわかんねぇな」
「お願い、前半の動きと後半の動きが違う。膝を痛めたんでしょ?」
真剣な顔をして俺を見ている、これ以上誤魔化しは出来ないな。
「第2クォーター、ブラストキャノンで栗田とぶつかった時」
「ボールを落としてしまったあのタイミング?」
「元々全力疾走を繰り返していたんだ、いつか限界が来るとは思ってたがまさか前半でなるとは思わなくて俺も驚いた。まぁヒル魔が察してくれたのは良いがキッドにも気付かれたのは誤算だ」
小声で、姉崎以外聞こえねぇよう早口で伝えてからアイシング道具を外した。
「だからってここで止めようとすんなよ」
「……黙って見てる、だから……勝って!」
「おう」
「本気なんだねぇ」
フィールドに出るとキッドが話しかけてきた。
「その足はもう限界超えてるでしょ?まだ期待に応えようとしてるのかい?」
「俺自身が勝ちたいって熱に冒されてるからな、期待されてるなら応えようとするのは当たり前だろ」
「…かもね」
「この試合でヒル魔がお前を越える。お前を超えるのに必要な駒の俺がお前をぶっ潰す」
「……なるほど、そういう関係ね」
「あ?」
「いや、良いコンビだねって話。期待してはされて…いいね」
「何の話だ」
「なぁに、ただの
そう言うとキッドが行ってしまった。
『Set!』
あと2回で8ヤード抑えれば勝ち。
セナは甲斐谷を抑える事が出来るようになって、モン太は鉄馬を抑える事が出来るようになった。
後は…キッドだけだ。
『Hut!』
ボールを持ったキッドが構え、レシーバー達が走り出す。
キッドの死角からブリッツへ向かい……膝の痛みなんか関係なく持てる全部の力を使って!!
「っ!」
あぁクソっ!後一歩!後一歩だけ速く進めていたらキッドにタックルできたのに…!!
キッドが投げたボールは高く上げられたショートパス。
鉄馬とモン太の競り合いが始まるが、高さで勝っている鉄馬がボールをキャッチし、モン太がタックルしてその場で倒した。
『4ヤードゲイン!』
「ちっくしょー!!勝てたのに!また負けた!!」
地面を殴って悔しさを顕にするモン太へ近寄った。
「まだだ!1回勝ったからって最後まで油断すんな!まだ差が五分になっただけだ!」
「ウッス!!」
「相手は早くプレイしたいからハドルも早々に終わる、早く配置についてくれ」
「はいッス!」
『Set!Hut!』
最後の攻撃!ここを抑えりゃ勝てる!
今度もブリッツを狙う!!
「!」
「くっそ…!」
ブリッツ成功してタックルを決めたのにパスを出された!!利き手とは逆サイドからのタックルだから止めに入れねぇ…!
「殺った…!!」
「!!?」
鉄馬を囲む様にモン太とヒル魔とセナが居る!
「頼む!カットしてくれ!!」
『パス成功!5ヤードゲイン!ファーストダウン獲得!!』
パスが通ってしまった。
「ふぅ、やっぱ期待し過ぎるとロクな事がなかったね」
「……お前も鉄馬に期待してんだろうが」
「さぁね」
ファーストダウンを取られ、西部の連続攻撃。
鉄馬へショートパスをして繋いで行くが、3回に1回の頻度でモン太がパスカットしてくれる……それでも残り10ヤードまで進まれてしまった。
「残り時間5秒、泣いても笑ってもここで止めりゃ試合終了だ」
最後のタイムアウトを取ったヒル魔が言うが、それ以上何も言わなかった。
「悪い、1回だけキッドにブリッツ成功したけど止められなかった。その後も止められねぇ」
姉崎がアイシング道具を手渡そうとしたが無視をしてヒル魔の目を見た。
「ヒル魔、俺は諦めてねぇ。お前の策がまだあるんだと俺は信頼してる」
「あ?」
「俺はこのまま終わりたくねぇ、何をすれば勝てる?何をしたらいいんだ?」
「……」
「ブラインドサイドからのブリッツか?キャノンでラインをぶっ飛ばして突貫か?俺はまだ走れるぞ、全部の力を使い切ってでも止めに動くぞ」
この熱がある限り俺は辞めねぇ!ここで心が折れる理由もねぇ!勝ちたい!キッドに、西部ワイルドガンマンズに勝ちてぇ!!
「………………────」
「わかった、やるぞ」
最後だ、何がなんでも勝つ!!
■■■■■■■■■■
「残り時間5秒!そしてゴールラインまで10ヤードでプレイが再開!」
「セオリーならここでキックを入れて大逆転勝利を狙うでしょう。そうなればゴールポストまで後20ヤードとなります」
「西部のキッカーも出てきてキックを選択した様子!」
『Set!』
「キッド君が膝をついて構える!」
『Hut!』
「ボールがキッド君へ渡る!そしてライン同士激しくぶつかり合う!」
『最後の突撃だ!今度こそ止めてやる!!』
「左サイドからブリッツ!」
「だけどキッカーまでかなりの距離がある!間に合うのか!?」
(このキックは外せない!外したら負ける!入れなきゃ!絶対に入れなきゃ…!!)
『…………』
―闘争心グツグツじゃねぇか、枯れたフリしてんじゃねぇぞカマトト野郎!―
『えっ!?』
『鉄馬ぁ!!ヒッチ!!』
「キッド君が鉄馬君へ叫び指示通りに動き出す鉄馬君!」
「キックはフェイク!?ここでパスだ!!」
『!!』
「あーっと!ヒル魔君とモン太君が鉄馬君を囲む!」
「え!?嘘!!」
「なんと更に栗田君が下がっている!これはどういう事だぁ!?」
「入替ブリッツだ!」
「ここへ来て立ち位置の交換!鉄馬君に対してヒル魔君とモン太君と栗田君3人体制で止めに動いたぁ!」
『絶対に止める!』
「栗田君の巨体がキッド君と鉄馬君のホットラインを断った!」
『くっ!やられたねぇ…!!』
『テメェは最後に鉄馬を使うと読んでいた!パスルートもヒッチを使うってこともな!だからこそ頼みの鉄馬を封じ!次にパスをする相手を探す暇もなく蓮次がブリッツを決める!これでチェックメイトだ!』
『っ!』
「あっ!」
「な、なななんと!もう目の前でブリッツが決まるという所で双葉君が転倒!」
「この大事な局面で転ぶなんて…!!」
『ほらやっぱり、鉄馬ぁ!ヒル魔をブロック!』
『!!』
「鉄馬君がヒル魔君をブロック!」
「じ、じゃあパスは誰に!?」
『スクランブルだ!キッドを止めろぉ!!』
『!!』
「な、なんと自分でボールを持って走り出した!真っ直ぐ、栗田君が抜けた場所を走り抜ける!」
「慌ててフォローへ行こうにも栗田君とマッチアップしていた選手がブロックした!」
『タッチダウン!!』
「決めたぁ!超攻撃的チーム!撃っては撃たれての点取り合戦!逆転しては逆転されてのシーソーゲームを制したのは…………」
「西部ワイルドガンマンズ!!」