泥門の2番手   作:実らない稲穂

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裸の付き合い(男)

 

 

 〜双葉煋治視点〜

 

「赤羽隼人?そりゃ知ってるよ、去年のMVPだからね」

 

 西部戦が終わり、王城と盤戸の試合も終わった後セナさんとモン太に捕まり、鈴姉ちゃんとまもり姉ちゃんと一緒に巨深の所へ行くことになってしまった。

 

 理由?筧さんに赤羽さんが本物のアイシールド21か聞く為。

 

 巨深高校へ向かっている途中で銭湯へ入って行くのを見つけ、モン太さんが後を追いかけて一緒に銭湯へ、カメラを壊さないようちゃんとロッカーへ入れてからお風呂へ入ることになってしまった。

 

「奴が本物のアイシールド21か…んー体格が違い過ぎる気がする。双葉さんの方がもっと近かった」

「あっそうなんだ」

 

 筧さんに聞いてみたが赤羽さんを元々知ってたみたいだったけど結果空振り、来た意味ないじゃん。

 

「赤羽は双葉さんと同じポジションのタイトエンド、リードブロッカーとしては恐らく同じぐらいかもしれない」

「リードブロッカー?」

「蓮次兄ちゃんがアイシールドさんを守る盾役」

「あぁ!」

 

 セナさんなんでいつも守ってくれてるのに覚えてないの?

 

「でも赤羽さんってかなり細いのに栗田さんを止める力あるよね、実は凄い鍛えられてるとか?」

「多分あれ合気道の類、基礎的な筋力もあると思いますよ」

「え?セイジ君分かるの?」

「栗田さんの巨体を片腕で弾くなんて普通に考えて無理でしょ、重心とかバランスを感じて最適なタイミングで押し込んでますね」

「すごーい!1回見ただけで分かるんだ!」

「うち柔道場やってるし僕も柔道してたから、蓮次兄ちゃんも見たら直ぐに分かると思う」

 

「んじゃあ盤戸戦の対策で柔道習おうぜ!」

「それやめた方が良いです。柔道ダメ絶対」

「なんでだ?」

「お父さんバカで教えるの下手でめんどくさい人なので絶対後悔しますしアメフトとは畑違いなのにやって怪我したら大変です」

「でも勝たなきゃクリスマスボウルへ行けねぇ、やれることあるんならやるしかねぇだろ!」

「ダメ!蓮次兄ちゃんも絶対にダメって言います!」

「そんなにかよ…」

 

「うちはオリンピックとかで活躍するような綺麗なものじゃなくて相手をぶっ壊す危険な技ばっかり使う実戦型です、競技用の指導してますが僕達がやってたのはガチのマジの実戦を元にした柔道です。そんなのアメフトとは違うでしょ」

「そんなにやばいのか?」

 

「10人」

「え?」

「今の代になって双葉流柔道を学んだ生徒さんが怪我して辞めた人の数です。そのせいで今生徒さんがほとんど居なくなってます」

「えぐっ…」

「明治時代から続いてる由緒正しき道場ですが実態は危険極まりない術です、絶対にやろうとしないでください。蓮次兄ちゃんもこれぐらい真剣に止めに…………」

 

 というか蓮次兄ちゃん大丈夫かな?長嗣兄さんが病院連れて行ったけどどうだったんだろう。

 

「セイジ君どうしたの?」

「へ?あ、あー…ふと蓮次兄ちゃん大丈夫かなって、足の状態もだけど春の王城から負け無しだったのに今日負けちゃって超悔しいだろうなぁって」

「それは僕もだよ、双葉先輩だけじゃない」

「そうだそうだ!俺だって鉄馬先輩に勝ったのに負けたんだぜ!悔しいに決まってるじゃねぇか!」

「んーそれはそうですよね」

 

「足も痛めたみたいだったから心配だよね」

「あたり前田のクラッカーってやつです、蓮次兄ちゃんって熱血オラオラ系でしょ?時間なんて関係ねぇ!って感じで朝から晩まで練習し続けてセナさんが見てる感じになりました。そのせいでみーんな心配してるんです」

「あたり前田?……う、うん」

 

「昔からずっとあんなでほんと不器用、僕や弟達を面倒見るってなった時なんか大変そうにしてました。オムツの替え方やミルクの作り方をお母さんのを見て覚えて……不器用ながらも面倒を見てくれました。まぁ僕はオムツ替えられてないですが、勉強見てもらったり遊んでくれたりでした」

「いいお兄さんだね」

「でしょー?だからなのか長嗣兄さんよりも蓮次兄ちゃんの方が〜って慕うようになりました。長嗣兄さん堅物で効率厨で面倒臭いですし

「え?」

「いえなんでもないです」

 

「なぁよ〜セイジはなんで柔道辞めたんだ?」

「え?普通に下手だったしスカウトされたからですよ?」

「それだけ…?」

「はい。両親とちゃんと話をして長嗣兄さんと蓮次兄ちゃんも了承してそこへ在籍しています」

「へー」

 

「ま、小さい事務所ですし僕の仕事を取るより売り出したい先輩を一生懸命売っているので暇です。だからこうして泥門の撮影係が出来ちゃいます」

「仕事ねぇのか?役者ってテレビ出てなんぼなのに金稼げねぇだろ」

「そうですね、まぁ僕は幽霊部員みたいなものですしたまーに顔を出してその先輩から演技の手解きを受けてるって感じです」

「そんなんでいいのか?」

「さぁ?仕事があればやります!って意気込みだけは社長に伝えているのでそのうち来るでしょ多分」

「軽いなぁ…長嗣さんが心配するのも無理ないよ」

 

 

「ところでセナさん、まも姉ちゃんと蓮次兄ちゃんが付き合ったらどう思います?」

「え?」

「ムキヤァ!?」

「ほら、まも姉ちゃんってセナさんの幼なじみでしょ?もし付き合ったら幼なじみが盗られる〜って思いません?」

「え、別に思わないけど?」

「あるぇー?」

 

 なんか予想外な反応だった。

 もっとこう、盗られたくないよ〜って感じでまも姉ちゃんに近付いて行くのかと…そしたらそれを見た蓮次兄ちゃんがまも姉ちゃんといい感じに発展する、的な展開を想像してた。

 

「まもり姉ちゃんは僕のお姉ちゃんみたいな人だし、双葉さんも色々とお世話になっててお兄さんみたいな人で、何だかいい感じに見えるから僕は応援するかな」

「勝手に僕の兄になるなよクソがこれ以上面倒な兄を見るとかやってらんねーよ」

「え?」

「いえなんでも、じゃあセナさんは別に盗られても良いって解釈ですか?」

「う、うん。まもり姉ちゃんはまもり姉ちゃんで好きな人と上手く行って欲しいなって気持ちだよ」

「なんてええ人なんやこの人…!」

 

 心の綺麗な人だよ!汚れちゃった僕の心が綺麗に洗われていくようだ!!

 

 

 

 

 今更だがこの銭湯、男湯と女湯が1枚の壁に隔たれていて、壁の上は空いている。

 つまり向こうの話し声も聞こえるし逆に聞かれてしまう。

 僕がセナさんへ蓮次兄ちゃんとまも姉ちゃんの事について聞く前まではキャッキャウフフと話し声が聞こえていたが今は静まり返っている。

 

 計画通り…!!

 

 話し声を聞いた脳内お花畑の鈴姉ちゃんならまも姉ちゃんをこれでもかと弄る!そうすればまも姉ちゃんは蓮次兄ちゃんを更に意識し始めてそう遠くない未来ゴールイン!

 僕にお姉ちゃんが出来て歓喜!

 

 ヒル魔さん直伝(嘘)の2重に張り巡らせたこの作戦!成功率100%間違いなし!

 

 

「ふふっ!ふふふっ…ふぅはっはっはっ!!」

「ど、どうしたのセイジ君!?」

「いや〜僕の作戦が見事にハマって年甲斐もなく気持ちよくなっちゃいましたよ」

「中一だよね?」

 

「これで僕の計画は予定通り進む、あとは時間が解決してくれる」

 

 計画が崩れる要因があるとすれば……まも姉ちゃんから告らなければ成功しないって所。

 あの蓮次兄ちゃんなら告白を無碍にしないだろうし告られたら断らずに了承する。蓮次兄ちゃんから告る?まぁアメフトに夢中の蓮次兄ちゃんからなんて間違いなくやらない。

 つまりまも姉ちゃんの背中を押してやれば成功するって訳!

 

 

 さぁ鈴姉ちゃんよ、女湯でまも姉ちゃんの背中を押してやりなさい!

 

 

 

「おっ猿の川流れってやつ?」

「猿じゃなくてカッパだしここは銭湯だぞ水町」

「雷門君逆上せるから助けてあげなよ筧…それと中学生がいるんだから覗きはやめた方がいいよ」

「ウーッス」

 

 






 という訳で日常パートでした!

 巨深運動部御用達の「ヘルシー温泉センター」で男同士の話でした。

 次回も日常パート、男同士であれば次は女同士でしょ!

 それでは次回もお楽しみに!!
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