泥門の2番手   作:実らない稲穂

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裸の付き合い(女)

 

 

 〜瀧鈴音視点〜

 

「ところでセナさん、まも姉ちゃんと蓮次兄ちゃんが付き合ったらどう思います?」

 

 隣の男湯からセイジの話し声が聞こえ、まも姉が固まった。

 

「!」

 

 これに反応したのが巨深チアチーム「ブルーマーメイド」のキャプテン乙姫さんだった。

 

「え?え?まもりちゃん好きな人いるの?」

「えぇ!?いやいや全然そんなことないですよ!」

「嘘だぁ蓮次兄ちゃんって人が気になるんでしょ?どういう関係?」

「まも姉と蓮兄は同級生でマネージャーと部員!」

「鈴音ちゃん!」

「へー?同級生で同じ部活」

 

 ニヤニヤと乙姫さんがまも姉を見ていた。

 

「蓮次君のフルネームって何?」

「双葉蓮次」

「あぁ!確か背番号2番の!」

「そう!」

 

「ふーん?モテるだろうねー彼、熱血系だったし背も高いし良い人っぽいし」

「蓮兄良い人だよ、アメフトに夢中で一生懸命だしセナ達1年の面倒をよく見てるお兄ちゃんって感じ!」

「あっじゃあ慕われてる系?」

「そう!」

「へ〜?じゃあちょっと声掛けてみようかな〜明日休みだし学校終わってから泥門高校に行って話してみようかな〜」

「ダ、ダメです…!!」

「えーなんでー?」

 

 乙姫さんまも姉で遊んでる〜!

 

「だ、だって…蓮次君足痛めたし…それに泥門はまだ3位決定戦あるしそっちに集中させてあげた方がいいじゃないですか」

「大丈夫大丈夫、5分も話さないよ」

「いやでもだって…」

 

「まも姉的には蓮兄を盗られたくない感じ?」

「……………………鈴音ちゃん私先に出てるね」

「「ダメー!」」

 

 乙姫さんと私がしっかりとまも姉を掴んで逃がさなかった。

 

「さぁ吐いてもらおうかまも姉!蓮兄のどこがいいの?」

「普段どんな感じで話してるの?」

「え、ええー…」

 

 

 

 観念したまも姉がポツポツと話してくれた。

 セナがアメフトを始める事を反対したまも姉だったが、蓮兄に説得されて見守ることにした事。

 

 毎試合怪我をしないかヒヤヒヤしながらセナを見て、いつの間にか子供だったのが大人へと成長していく姿を目の当たりにした。それはNASAエイリアンズ戦、勇気を出してパンサーさんに勝負を挑むセナの姿を見て「もう守らなくてもいい」と悟り、自分が守らなくても蓮兄がセナを守ってくれると思ったらしい。

 

 その蓮兄はセナ達に弱味を見せようとせず努力し続けて無理をする人だと言う事に網乃戦の後、蓮兄の姿とちょっとした出来事?があってドキドキした事も話してくれた。

 

 そして最後に独播戦の前、蓮兄がまも姉に頼み事をしてきたそうだ。

 

「頼み事って?」

「それはちょっと他のチームの人には言えない事だけど、簡単に言えば手を貸して欲しいって。それで一緒に考えたの」

 

 それってベンチからのサインかな?それなら巨深の人達には言えないね。

 

「これまで蓮次君ってデータを纏めてとかチームの為にって感じで色々言ってきたけど、その時だけは真剣な顔をして自分の為にって雰囲気で…まぁ結局はチームの為なんだけどね。その時の蓮次君を見てサポートしなきゃ!って思った」

「それだけ?」

「うーん…まぁ、他にもあるけど…サポートしなきゃって思ったのは結構前だけど本格的にしてあげたいって思えたのがその時で…」

「言ってよ〜」

 

「う〜……れ、蓮次君って口調が荒いけど優しくて…ちょっとその…ね?も、もういいでしょ!」

「ギャップ萌えってやつだ!」

「言わないでください!」

 

 ほんとに限界なのか口元まで湯船に浸かり、ブクブクと泡を出して恥ずかしそうにしている。

 

「ベタ惚れだよねそれ」

「ねー!」

「……」

 

「そんなに惚れちゃってたら横取りしちゃ悪いし泥門高校へ行くのやーめた。それに明日チアの練習あるし」

「!?」

「まもりちゃん、蓮次君と末永くお幸せに!それじゃ!」

 

 乙姫さんがお風呂から出て行くと、副キャプテンがまも姉を尊い目で合掌をして乙姫さんについて行った。

 

 

 

「私明日から蓮次君とどう顔を合わせたら良いか分からない」

「普通に接してれば良くない?多分蓮兄気にしないし」

「私が気にするって話なんだよねぇ…」

「逆にこれまで蓮兄とイチャイチャしてて気にしてないのも問題だと思う」

「してない!」

 

「えー?じゃああの時肩貸してたのは?」

「あれは事故!」

「そっか〜事故か〜」

 

 それにしては満更でも無い顔をしてたよね〜?

 

 

 

 

 

 

「それにね鈴音ちゃん」

「ん?」

 

 お風呂上がり、髪を乾かしているとまも姉が話しかけてきた。

 

「蓮次君は今アメフトが1番で、恋とか他は二の次…今告白はしない方がいいと思う……する勇気が無いし……と、とにかく蓮次君を困らせる事はしない方がいいって話!」

「そうなの?」

 

 途中で何か言ったはずなんだけど聞き取れなかった。

 

「うん。クリスマスボウルへ行って日本一になるまで私は黙って見てるつもり。それまではこれまでと同じ様にマネージャーとしてサポートをするって決めたから」

「…………そっか」

 

 でもまも姉の言うことは正しいかも、今ここで恋愛しちゃってアメフトに集中出来なくなったら大変だし………私もこれ以上まも姉を揶揄うの辞めてこれまで通り応援しよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「もう付き合っちゃえよ!!」

 

 

 

 お風呂上がりに牛乳瓶片手にセイジからまも姉の様子を聞かれて素直に答えるとセイジが叫んだ。

 

「なんでぇ?もうここまで来てなんで告白すべきじゃないって結論出すの?もうベタ惚れじゃん、好きじゃん、ライクじゃなくてラブじゃん、なら付き合ってよいつまでも焦れったい空気出すなよマジでさぁ…」

 

 なんか両膝ついて項垂れている…。

 

「もっと欲を出せば良いのになんでそこで諦めちゃうかなぁ…安西先生も言ってたじゃん、その通りにしなよぉ」

「あまり人の恋路に首を突っ込むのは良くないよ」

「鈴姉ちゃんが言う?!思いっきり突っ込んだよね!!」

「あはは…」

 

 ついさっきやめようって決めたからね。

 

「こうしちゃ居られない!ちょっとやらしい空気にしてくる!」

 

 絶対辞めといた方が良いのに、セイジがすごくやる気になってて止める前に走って行ってしまった。

 

 

 

「セイジ君と仲良いね」

「年下だし弟ができたみたいで楽しいだけだよ」

 

 セナが隣に立って話しかけてきたので素直な気持ちを伝えた。

 

「鈴音は…い、いややっぱり何でもない!」

「?…言いたい事があるならハッキリ言ってよ」

「うぇぇ!?う、うーんそれじゃあ……」

 

 

「セイジ君の事……好きなの?」

「え?全然」

 

 恋愛感情は無いかな、弟みたいで可愛いね!ってだけ。いいキャラしてるしノリが合うって言うか、恋とか色々と興味津々で意気投合してるって言う感じ。

 

「そっか、そうなんだ」

 

 なのにセナがホッとした顔をしている。

 

「変なセナ、それじゃあね!」

 

 私も帰ろーっと!

 

 

 セナに聞かれた時結構心臓がバクバク言ってたのは内緒。

 

 

 

 

 

 その日の夜、セナとメールのやり取りをしていると別の人からのメールが届いた。

 

 メールを開くと蓮兄。

 

 ―セイジに何を吹き込んだ?―

 

 私は知らないとだけ返し、セナとのメールを楽しんだのだった。

 

 その後セイジからもメールが来て、全力でゲンコツを貰ったと報告され…どんまいとだけ返した。

 

 





 という訳で日常パートでした!

 後1話だけ日常パートを挟んでいよいよ3位決定戦へと移ります!
 
 次回は西部との試合を終えた翌日の話、蓮次とヒル魔との話になります。

 それでは次回をお楽しみに!!
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