「泥門の攻撃が続き!現在残り30ヤードまで進みました!この風が吹く中ランのみで進んでいます!」
「1度パスを入れたヒル魔君でしたが強風に流されてしまいパス失敗、台風が近付いている影響がモロに出ています」
「ここで少し振り返りましょう!瀧君の暴走を止めようと双葉君が声をかけているが完全に無視!じゃじゃ馬瀧夏彦を上手く手網を握れない泥門は瀧君を半ば放置!赤羽君と勝負させてその隙に進んでいました!」
「パスは無いと盤戸も分かっているので、ディフェンスが前に寄って来て早く止めに動いています。連携プレイで3人同時に止めに来られてプラチナロードは破られてしまいました」
「セナ君がプラチナロードから外れてギリギリで抜いて行くも瀧君を突破していた赤羽君が即座に捕まえました!」
「そもそもプラチナロードは双葉君が払って道を開ける関係で双葉君の足が遅くなる欠点があり、追随するセナ君もそれに合わせて遅くなってしまいます。赤羽君の足の速さなら瀧君を倒してから追いかけるのは余裕です」
「すごい技かと思いきや落とし穴がっ!」
「プラチナロードを破られた泥門の切り替えは早かったです。セナ君を脅威と感じていた盤戸の裏をかくトリックプレイ、セナ君ではなく石丸君を走らせてヤードを稼ぎました。ここまでが泥門の攻撃シリーズです」
「そして今現在残り30ヤードとなり、泥門の攻撃はフィールドゴール。ムサシ君が出てきました!」
「ムサシ君の射程距離はもう少し長いのですがこの風を考えれば今ぐらいが狙い目なのでしょう。キックオフやパントキックとは違い、コントロールが第1のフィールドゴールでは距離が近ければ近い程狙いやすいです」
「伝説の飛ばし屋武蔵厳のフィールドゴール!果たして成功するのか!?」
『Set!Hut!』
「栗田君からヒル魔君へボールが渡りムサシ君が蹴りに走る!」
「盤戸も止めに行こうとぶつかり、赤羽君と双葉君がぶつかり合う!」
『重心移動のタイミングをわざとずらしてるのか、味な真似を…!』
『こう見えて元柔道家だ、この程度の押し合い軽いんだよ!』
「赤羽君のスパイダーポイズンを無効化!その間にムサシ君のキックが炸裂ぅ!!」
『ゴール成功!!』
「決まったぁ!フィールドゴール成功した泥門が先制点!」
「風に流されてゴールポストに当たりながらも入りました」
「さぁ3点先取した泥門のキックでプレイ再開!ムサシ君のキックが高々と左側へ上がり!風に流される!」
「風向きが変わって今はムサシ君側から見て左から右、高くボールを蹴り上げて風に乗せながら中央へ戻ってきました」
「ボールを持ったランニングバックが赤羽君を盾に陣地を取り戻す!」
『僕が止める!』
『待って瀧君!』
「瀧君が1人猛進!慌ててセナ君も追いかける!」
『ア、アリエナイー!!』
『!』
「なんと赤羽君2人まとめて倒したー!!」
「リードブロッカー赤羽君の技が冴え渡っています。まるでプラチナロードの様に綺麗に道を作りながら走っています」
「さぁ双葉君がディフェンスに入った!」
『俺の真似か?』
『違う、これが僕のやり方さ』
「ブロックして止めるもランニングバックは盾を犠牲に避けて走る!」
「ヒル魔君とムサシ君のタックルで止めるも残り40ヤードまで進みました!!」
「他のディフェンスはどうしたのかと思われがちですが、全員スパイダーポイズンでやられてフォローが遅れていました。赤羽君だけの技じゃないって事ですね」
「さぁここから盤戸の攻撃!どのように攻撃していくのか!」
『Set!Hut!』
「プレイ開始!赤羽君がボールを持つランニングバックの盾となる!!」
「同じ手だと思われがちですがこんなにも頼もしいリードブロッカーがいるなら使わない手はないです」
『だからこそ俺が相手すんだよ!』
『それを見越して僕が相手する』
「赤羽君が双葉君をブロック!赤羽君の後ろへ回って走り抜ける!」
「残ったランニングバックをヒル魔君が捕まえた!!」
『7ヤードゲイン!』
「ファーストダウンまで残り3ヤード!」
『Set!Hut!』
「2度目の攻撃!…ここで盤戸はキックを選択した!」
「このタイミングで?」
「コータロー君の綺麗な弾道のキックが炸裂ぅ!」
『ゴール成功!!』
「決めたぁ!!風の流れも計算に入れてど真ん中へ入れたぁ!!」
『スマートだぜ!俺の方が綺麗に入れたぞムサシ!!』
「……もしかしてムサシ君に対抗したかったからこのタイミングでキック?」
『お前のキックよりも3ヤード離れたところからど真ん中!俺の方がキッカーとして上だと証明してやったぜ!』
「なんだかそんな感じがしますね…」
「前半終了まで残り時間はあと僅か!このタイミングで3対3の同点!」
「佐々木君のキックでプレイ再開、風に乗った綺麗なキックは泥門陣地ギリギリで落ちました」
『前半終了!!』
「果敢に攻めた泥門でしたが、残り60ヤードでタイムアップ!前半終了となりました!」
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〜双葉蓮次視点〜
「完全に喧嘩ふっかけて来てんぞファッキンジジイ」
「あぁそうだな」
前半が終わり、ベンチで休むとヒル魔がムサシへ話しかけていた。
「足は大丈夫?」
アイシング道具を俺に手渡してきた姉崎が心配そうに俺を見ていた。
「問題ねぇ、ほんとに大丈夫だからそう不安そうな顔をすんな」
「だって…」
「西部戦の時心配させて悪かった、今はマジで何ともねぇから」
とりあえずアイシング道具を受け取り、首に当てて火照った体を冷まし水分補給を始める。
熱を冷ましながら前半を振り返ることにした。
赤羽に対抗できているのはどぶろく先生の指導のおかげか、元々柔道をしていたからなのか…どっちにしても赤羽と十分やり合えてるのは喜んでいい事だろう。
そのしわ寄せと言うべきか……瀧が俺に対抗して暴走してるのは困る。
話をしようとしても聞く耳を持たない、ヒル魔がキレて指示を出しても3歩で忘れて赤羽を倒そうと躍起になっている。
「ファッキン顎髭、テメェは出ろ」
「え…?」
ヒル魔の判断は正しい、今の瀧は正直邪魔。
「オフェンスはファッキンハゲ、ディフェンスは佐竹と山岡の交代で使う」
「ヒル魔君どうして僕を出すんだい!?」
「テメェが使えねぇからだろうがこのクソクソクソクソ顎髭!テメェの役割を放置して赤羽に突っ込み続けっからオフェンスが回らねぇんだよ!」
「!」
「テメェの役割が分かってねぇなら使えねぇ!作戦を何も理解してねぇなら出てろ!いるだけ邪魔だ!」
最後にヒル魔が瀧を蹴って締めた。
「ファッキンハゲ!テメェの役割分かってんだろうな!?」
「はい!僕はブロックするのに不向きなので全力でパスを貰いに走ります!」
「それでいい、テメェには1ミリもブロックを期待してねぇ。風が強かろうがパスも入れっから全力で取りに走れ。クソザルとファッキンセカンドもだ!」
「あいよ」「はいッス!!」
「ファッキンチビ!」
「は、はい!」
「後半からはファッキンセカンドをショートパスに走らせっから盾はねぇぞ。テメェ1人で赤羽を抜け、何度でも挑め」
「はい!」
ヒル魔の意図はここでセナをスパルタ教育させるつもりなのだろう、かなり危ないギャンブルだが関東大会でやり合うことを考えればここが最後のチャンス。
赤羽に勝てる程成長すればそれで良し、ダメなら俺を酷使してでも勝ちをもぎ取りに行く作戦に変更……ここでも俺のフォローかと思うが負ければ終わりのこの試合、なりふり構ってられねぇ。
「双葉さん、瀧君大丈夫でしょうか」
「知らん、悪い方に熱を出した瀧が悪い。とは言っても焚き付けたのは俺のせいなんだが…」
「……」
「今回ヒル魔の判断は正しい、負けたら終わりのこの試合で暴走してるバカの面倒を見る余裕なんてねぇ」
フォローを任せたって言われながら俺がフォローされてる、ヒル魔には悪いことをした。
「だったら僕は…?」
「セナは赤羽に勝てる見込みがあるからだ」
「…!」
「分かったら1回でも早く勝てるようにしろ。止められる度にどうして止められたのか、どうやったら勝てるのか考えてやれ」
「はい!」
さぁ後半だ!
という訳で盤戸スパイダーズ戦その2でした!
プラチナロードの明確な弱点、それは蓮次の足とセナの足が遅くなるという点。40ヤード走4秒7の蓮次がプラチナロードでは4秒9……うーんこれは致命的な弱点!
相手を押しのけながらスピードを落とさずに走るのは流石に無理です(無慈悲)
前半が終わり同点、瀧の暴走で上手くオフェンスが回らず点が取れない状況……前半我慢して使っていたヒル魔が瀧を追い出しました!
代わりに雪光IN!秋大会2度目の出番です!
次回は後半からのお話、まもり視点でお送りします!
それではお楽しみに!!