それではどうぞ。
「みんな頑張って!」
試合が始まり、神龍寺からのキックオフで高々と蹴り上げられたボールは石丸君がキャッチ、そのまま陣地を取り戻しに走り始める。
「当たり前の判断だな、わざわざセナにボールを持たせる意味はねぇ」
セナの位置とは真逆に居る石丸君を狙ったキック、セナがボールを持って走るよりも守りやすいのは確かにそう…だからこそヒル魔君の作戦がいきなり刺さった。
石丸君の前に蓮次君を配置、リードブロックで少しでも多くの距離を稼ぐ作戦。
「白銀が前にいるぞ!潰せぇ!!」
「殺意高ぁ!!」
栗田君達がブロックしているのに神龍寺の連携で3人も抜かれてしまう。
「破っ!」
「ぐぅ…!!」
先頭にいる山伏さんが蓮次君の鳩尾へ肘打ちをぶつけ、蓮次君の体勢が崩れてしまった。
「ぬっ!?」
「タダで倒される訳には行かねぇな…!」
それでもギリギリで蓮次君が山伏さんを押して一緒に倒れ、後続の人達が走る道を塞ぐと石丸君は倒れた所を避けて走り抜けた。
それでも追いつかれてしまい、残り70ヤードからの開始となった。
「双葉君大丈夫?」
「あぁ問題ない」
石丸君が蓮次君へ聞くと少しだけ鳩尾を摩ってはいるが平気そうな顔をして答えていた。
『Set!』
Iフォーメーション。
ヒル魔君の後ろにはセナと石丸君、左サイドにはモン太君で右サイドには瀧君が居る。
『Hut!』
プレイが始まり、ヒル魔君がボールを持つとモン太君がロングパスを貰いに走る。マッチアップしている細川君がバック走でモン太君にピッタリとついていて、瀧君も別の人がマークされている。
40ヤード走の計測で、普通は4秒7の記録でバック走4秒9の細川君に対してモン太君は5秒。全力で走っているモン太君が細川君を全く引き剥がせない。
「ヒル魔先輩!ヘイパース!」
パスルートジグアウトで細川君を引き剥がしたモン太君がパスを貰う体勢になった!
「ちっ…!」
だけど細川君がモン太君の前に現れて完全に塞がれてしまう。
ヒル魔君がサイドラインを超えてボールを投げてパス失敗に終わった。
「なんだこんなもんか」
「!」
細川君がモン太君へ言い放つと神龍寺側へ歩いて行ってしまった。
『Set!』
今度はスプレッドフォーメーション。
セナを後ろに置いて、モン太君、石丸君、蓮次君、瀧君の4人が最前列に並んだ。
「おいおいモン太を警戒しなくていいのか?」
「アンタを鬼殺しするって決めたからこれでいい」
蓮次君の前には細川君が居て、モン太君は別の人が着いていた。
ヒル魔君の顔が小さく口角が上がっていた。
『Hut!』
2度目の攻撃。
蓮次君が走るとバック走でピッタリ着くが蓮次君の方が速く、奥へ走って行くにつれて細川君を離して行く。
堪らず細川君が普通に走ると、急に中央へ入り込んで引き剥がした。
「!」
細川君が追いかけ、そのまま左サイドへ走り込んで行くスクエアインのパスルートで走るとヒル魔君がパスを投げた。
『パス成功!4ヤードゲイン!』
パスを投げた相手はヒッチで走り込んでいたモン太君。
細川君以外の選手であればモン太君の方が強く、パスを成功させてくれた。
「クククッ何遊ばれてんだ一休?」
ハドルをしている最中に選手交代していた様で、阿含君がフィールドへ入って来ると阿含君の登場で会場が盛り上がった。
「プチッと潰してやるよカス」
「そりゃありがてぇな」
阿含君が相手するのは蓮次君…最強の選手にマッチアップされる蓮次君の顔は引きつっていた。
『Set!HutHut!』
スプレッドフォーメーションで3度目の攻撃。
モン太君の相手はまた細川君になっていてピッタリとマークされている。
「かっ…!」
阿含君が蓮次君の胸目掛けてバンプ!!?
「くっクソ…!」
強烈なバンプを貰った蓮次君が少し咳き込みながらも走り始めた。
「ほらほらどうしたカス」
「ちっ!邪魔だなクソが!」
走り始めた蓮次君へ何度もバンプをして邪魔をする阿含君とバンプを貰いながらも走り続けているが…徐々にスピードが落ちて行き、逃げるように左サイドへ走って行った。
「ところで阿含、細川と同じように俺ばっか気にかけてていいのか?」
「あ゙〜?」
『アイシールドだ!』
「!」
雲水君の声が聞こえるも既にボールを持ってセナが右サイドから上がって行く。
「行かせねぇ!」
「邪魔」
「!?」
セナを追いかけようとする阿含君に今度は蓮次君がブロック!…………だけど蓮次君の腕が阿含君の手刀で叩き落とされ、あっという間に蓮次君を抜き去ってしまった。
『10ヤードゲイン!ファーストダウン獲得!』
「よしっ!」
阿含君に捕まったけど大きく進めた!
蓮次君を囮にセナとモン太君を活かす役割が機能している!
「……」
みんながセナのランを褒めている中、蓮次君は険しい顔をして何度か右手を握っては離し、手刀された右腕の調子を確かめていた。
「もしかして…?」
あの手刀で腕を痛めた?ヒル魔君に伝えた方がいいかも。
―蓮次君が右腕を気にしている!―
ちょうどこっちを見たタイミングでヒル魔君へサインを送ると、ヒル魔君が蓮次君の腕を見た。
少しだけ話をすると何事もなく2人が離れ、蓮次君がサインを返してきた。
―何ともないから気にすんな―
本当に何ともないようで、気にしていた右腕でサインを返してくれたから安心することが出来た。
『Set!HutHut!』
連続攻撃、スプレッドフォーメーションで始まるプレイ。
4人が一斉にパスを貰うために走った!
「があぁっ!?」
蓮次君とマッチアップしていたはずの阿含君が蓮次君を放置!?黒木君の横腹へ手刀をしてブリッツを仕掛けた!
「ちっ…!」
「何もさせねぇよカスが」
突破してからボールをセナへ渡す暇もなくサックされた!
倒されながらもボールを高く投げ、栗田君の頭の上を超えた!
「空中戦なら負けねぇッスよ!」
そこには既にモン太君がボールの真下で構えていて、キャッチする為にジャンプした!
「!?」
だけど細川君の方に早くにキャッチされてしまい…パス失敗ではなくインターセプトされてしまった。
『神龍寺ボール!!』
ワアァァと会場が盛り上がる中、モン太君が地面に両手をついて項垂れている。
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ヒッチのパスルートだったモン太だから細川と競り合えたが…このワンプレイで差を感じてしまったか。
「大丈夫だモン太、まだ試合は終わってねぇ」
「……ウス」
モン太の肩に手を添えて言うが返事が軽い。
「双葉先輩なら今の取れたッスか?」
「……さぁな」【結果は後書きで】
阿含を釣り出す為にクイックアウトのパスルートを走ったせいでボール確保には間に合わなかった。
「マッチアップを変わってやりたいが阿含が俺を狙って来るから変わってやれねぇ。この試合中に細川を越えろ」
「!」
「それしか方法はねぇ」
モン太の背中に手を当てて言うとモン太が俺を見た。
「双葉先輩、俺をぶん殴って欲しいッス」
「喝を入れてくれってか?」
「そッス!」
気合いを入れたいのだろう、モン太の言う通りに頭にゲンコツを落とした。
「いっ!…〜っ!!……あざッス!」
最後に両手で自分の顔を叩いたモン太はお礼を言うとヘルメットを被った。
「頼んだぞ」
「うッス!!そういえば腕、大丈夫ッスか?」
「マジで問題ねぇよ、ただ手刀された時にちょっとだけジジイの顔が過ぎっただけだ」
「どういうことッスか?」
「昔ジジイから教わってた時に相手をぶっ壊す技をするのに今みたいに当て身が来たんだよ、それが重なっただけだ」
「そッスか?」
「あぁ、鳩尾も痛くねぇし腕も痛くねぇ。気にするようなことは何もねぇよ」
確かジジイは俺のことを足りんとか言ってたな、一体何が足りなかったのか…………。
「ボサっとすんなファッキンセカンド」
思い出している間にヒル魔が俺のケツを蹴り、思考を柔道からアメフトに移した。
「あぁ、今はこっちに集中だ」
まだ試合は始まったばかり、どれだけ点差を離されようとも勝ってやる!
Q:もし蓮次VS一休だった場合どうなっていた?
A:身長差によりボールをキャッチするのは蓮次、しかし着地する前に一休が蓮次のボールをかすめ取るせいで結果一休の勝ち。
身長では蓮次が優勢でもレシーバー勝負全体で見れば一休に軍配が上がる。
Q:今回実況じゃないの?
A:リコちゃんが生き返るまで暫しお待ちを…次回は客席側です。
次回は2026/01/31の0:00です。
次回をお楽しみに!