改めて俺は前世と違うリトルチームに所属することなった
そして今日はその入団日である
「今日から君たちの新しい仲間になる真田俊平くんと御幸一也くんだ。2人ともまだ小学3年生でこのチームでは最年少になるから上級生は色々と助けてやってほしい。では練習開始!」
「「「はい!」」」
「あ、御幸くんと真田くんはこっちで初心者メニューするからおいで」
「「はい!」」
俺たちは一応初心者の小学3年生と言う程なので初めはキャッチボールの仕方から野球の基礎ルールなど野球の基礎知識を指導していただくことから始まった
キャッチボールの際俺のフォームが既に固まっていることや色々様になっていることで驚かれたけど能力時代はまだ他の小学3年生と変わらないので違和感は無いのだろう
御幸のやつは初めから俺より肩が強かった。あれは全国レベルの肩になるわけだわ
その日の練習はそのような基礎練習で終了した。俺たち三年生は1年間はこのような基礎練習やたまに練習試合に出させて貰えるそうだがまだ公式戦には出れないらしい。
「俊!お前明日何してんの!」
「ん?一也か。明日は学校終わったら家にいると思うぞ」
「じゃあさ一緒に練習しない?」
「いいけど俺とお前家遠くない?2つ町挟んでるんだぞ?」
「間の距離で集合!チャリあるなら余裕だって!」
そう言う一也はこっちの了承など聞かず満足そうに帰っていった。俺まだチャリ持ってることすら言ってないのに
ちなみにうちのリトルは週4回の練習しかないので一週間で3日間は暇になるのだ。なので一也との自主練はちょうどいい
前世だったら絶対練習なんてめんどくさくてサボって休みの日なんてゲームしてたはずだ
今世では絶対に時間を無駄にはしない
時間が有限であることはもう知っているし何より俺は上でもう一度あの舞台に上がるために
翌日俺と一也は隣町の公園に集合していた
「自主練って言っても何すんの?」
「ん?まぁ基本的にはキャッチボールとか出来たらノックとかじゃね?」
そう、今の俺はまだ金属バットすらまともに素振りできる筋肉もなければ御幸もキャッチボールすらままならないレベルなのである
まぁコイツはそのうち勝手に上手くなってくだろうし俺は自宅で柔軟や筋トレはもう初めているのでそのうち色々出来るようになるだろう
とりあえず十分な筋肉がない今は怪我しにくい素振りとか基礎的な練習でいいだろう
俺たちはその日から休みの日になるの2人で集まって練習して雨の日には図書館に行って野球の本を呼んで2人で知識を学んで行った
そんなこんなで1年後
他にも新入生が何人か入ってきて同期は2人だけじゃなくなった
俺たちはようやく上級生たちの練習に一緒に参加できるくらいには上達した
4年生になって試合にも出れるようになったので俺たちは監督たちから希望ポジションを聞かれた。俺は勿論ピッチャーだ
一也とはそれまでそんな話はしたことなかったが前世の経験から勝手に捕手希望だと思っていたが意外とそんなことはなかった。と言うよりキャッチャー人気なさすぎだろ。誰も手をあげない…
それを見かねて監督がキャッチャーの魅力を語り始めてから一也はみるみるキャッチーというポジションに惹かれているようであった
この世界ではほとんど幼馴染みたいなポジションにいるコイツのことはもうある程度分かるようになってきたな
俺たちはそれぞれコーチや上級生についていき希望ポジションごとの練習に別れた
投手はブルペンに集合しフォームや投手の基礎知識を学ぶ
そして投手練習終盤一人一人投げさせてもらうことになり…最後に俺の番
ここまでは俺以外の他の4年生は山なりのボールをキャッチャーのミットに投げ込むのが精一杯でコントロールなんてもってのほかであり球速も80も出ていないだろうな
そして俺の番
_ヒュッ!
_ パァァァン!
俺の投げたボールはど真ん中であるがキャッチャーのミットにきちんと収まりミットのいい音が響き渡った
「「「おぉ!」」」
「すげぇな!俊!」「お前やるなぁ!」「天才かよ!」
俺のボールを見た上級生や同級生が口々に褒めてくれる
球速は100でてないくらいか?まぁ4年生にしては上等だろう。前世は俺もあっち側だったしな
「俊お前いつの間にこんなに…」
俺たちを指導していたコーチが驚きながら俺に話しかけてくる
「休みの日とか一也と一緒に自主練してたんですよ!」
それだけではないけどな…俺の場合元々フォームは固まってたしどうやったらボールに力を加えることが出来るのかを初めから把握していたのが大きかったのだろう
しかしこれはほんの少しなアドバンテージしかないことも知っている。本物の天才たちはこんなもの《経験》なんて無くても勝手にこれくらいはやってのけるからな
そうしてコーチに認められた俺は正式に投手チームの一員のとして認められて公式戦でも使って貰えるそうだ
ちなみに一也もレギュラーでは勿論ないが守備は全然だけど打撃を認められて背番号を貰えそうである
3ヶ月後
俺と一也は背番号を貰った。勿論二桁番号だけと4年生では俺らだけだった
そして俺たちが背番号を貰った江戸川リトルの初の公式戦…相手は聞いたことのないチームだったがコーチ曰く中の下クラスのチームだそうなので本来の力を出せれば勝てるはずだ
そうして迎えた初戦
先発は6年生エースである。うちは投手4本柱であり6年生2人に5年生1人に俺である
そのエースが5回まで投げ1失点の好投を見せ打線も煽られ爆発…6得点をあげ最終回
なんと公式戦初戦にして最終回には俺が任された
今世では公式戦初めてだったが不思議と緊張はなかった
_ ヒュッ!
_ パァァァン!
「ストライクッ!バッターアウト!」
いつも通りのリラックスした状態で投げられたおかげか1人目を三振に仕留め残りの2人もゴロを打たせ打ち取ることに成功した
今の俺は変化球なんて流れないしコントロールも良くない…ストレート一本勝負しか出来ないが俺の持ち味の気持ち?で投げ込み相手バッターをねじ伏せた
そうして公式戦初勝利を飾った俺たちはそのまま連戦連勝を重ね地区大会決勝であるチームと激突した
丸亀シニア
同じ地区に属するチームで我がチームのライバルにして絶賛負け越してるチームである
理由はただ一つ
向こうのキャッチーに中学生レベルの捕手がいるからである
滝川・クリス・優
5年生にして既に都内ナンバー1と捕手と呼ばれる期待の選手。元プロの息子にして体も大きく打者としても一流
こいつがいるから俺たち江戸川シニアは勝てていない。
エースのレベルは同じくらいなんだが捕手に差がありすぎるのだ
ま、今考えたところで俺にはストレートしかないし腹を括るしかない
厳しい試合になりそうだな明日は
後日 対丸亀シニア戦
先輩はエースである6年生
1.2.打ち取るが3番であるクリスさんに先制弾を献上し一点を取られた
その後打ち取るが流れを完全に持ってかれた
うちの攻撃は相手の巧みなリードに引っ掛けられて凡打を量産してしまい3回までノーヒット
_カキィィィィン!
そして4回…クリスさんの2打席連発のホームランで2点目を取られてしまいこちらの度胸が下がる
なんとかエースは5回まで投げこちらは無失点…
最終回にマウンドを託されたのはまさかの俺である
監督曰く他のピッチャーはあの怪物バッターにビビっていつものピッチングが出来そうにないらしく平常心の俺が選ばれたと言うわけだ
出番ないと思って気楽に見てただけなんだよなぁ…
隣の和也がニヤニヤしながらこちらを見ていたのでとりあえずしばいておく
肩は作っていたけどいかんせんあの怪物を抑えられる気がしない…
_ヒュッ!
_ボコッ!
先頭の2番をショートごろに引っ掛けワンアウト…そして次の打者は…こいつか
こちらを構えて軽くニヤけている相手に内心ちょっとムカついた
キャッチャーはアウトコースに構えているが俺のストレートとコントロールだと多少甘くなっただけで持ってかれる
それを理解した俺は一回息を吐いて腹を括る
俺の持ち味は気持ちと度胸だろ?なら勝負は一球目…これをインコース高めに投げ込む…
「ン!」
_ヒュ!
_パァァァン!
「!?」
驚いた顔を浮かべる打者と少し困惑気味な捕手
捕手には申し訳ないがこれでリードの幅が広がったのも事実…ここからは言う通りに投げよう
2球目はアウトコース低め
俺は多少外れてもいいから外のボールよりを意識して投げ込みファール
3球目…カウント的にはまだ余裕がありピッチングカウントである今なら通常はこちらが有利だろうな
けどあの顔…追い込まれてるとは思えないくらい余裕そうなんだよなぁ…
ま、ストレートしかねぇし腹を括り直すしかねぇか
「らぁ!」
俺はプレートを左側目一杯に使いインコースにより角度をつけて投げ込む
角度のついたボールはインコース高めへ
手応え的にも今世でならナンバーワンの手応え
しかし
_カキィィィィン!
クリスさんは綺麗に腕をたたみ多少詰まりながらも…
_ ガコンッ
フェンスオーバーに持ってかれた…
俺が今投げられる最大限のボールだった
カウント的にも俺が有利だった
…でも打たれた
またこれか…何度味わってもなれねぇな
いや…まだ終わりじゃねぇ 最後の1人まで投げ込む…
俺は気持ちで残りのアウトを稼ぎ裏の最後の攻撃に繋げる
「…クソっ」
「やべぇなクリスさん!」
ベンチ奥でタオルを頭に被った俺の前にバットを持った一也が現れた
こいつ…打たれた俺の前で嬉しそうにしやがって
「…あぁ。俺の負けだ」
「…俺がキャッチャーなら勝ってた…お前だけの負けじゃねぇよ」
「…」
そう言った一也は代打を呼ばれ最終回二死の場面最後の打者として打席に立つ
初球、2球目と見送り2ストライク…先ほどの俺と同じ場面
俺は生き急ぎここで決めにいき打たれた
しかし相手バッテリーはここでインコースの高め…俺と同じ
ではなかった…俺よりボール2つ分ほど高い明らかなボール球
おそらく一也がこれを狙ってたことも見抜かれているだろう
「まじでバケモンだなあの人…」
一也が三振に取られたのを見送った俺は整列に並んだ
「「「ありがとうございました!」」」
ベンチに帰ろうとした俺にクリスさんが手を差し出しているのを見て俺は近寄った
「ナイスボールだったな」
「打った本人が言っても…」
「まぁそう言わずに聞いてくれ。お前はいいピッチャーになるよ…俺が保証する」
なんの確証もない言葉だったがクリスさんは確かにそう言いベンチに戻って行った
帰りの車…俺と一也は俺んちの車で帰っていた
車内はどこか暗い雰囲気
まぁ負けたのだからしょうがない。しかも俺たち仲良く1人の男に良いようにやられた
こんなに悔しいのは前世ぶりだ
「次だ。…次は俺が勝つ」
「…俺も次は絶対打つ!」
俺たちはそう誓い合った