裏切り・絶望がテーマの同人ゲー世界で、全てぶっ壊す   作:棘棘生命

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逃げず探索する

 幌の中には、神妙な顔を突き合わせ話し合う若き戦士たちがいる。その内容とは、荒事を生業とする越境の冒険者たちが聞けば正気を疑う話であった。

 何せ荷馬車の中にいる六名だけで、名を付けられた異相付きの相手を、それも討伐までしようというのだから。

 

 「肥大の角馬たち」。過酷な自然環境にある故に人口密集地ではないシウゼヴァクにおいても、脅威とみなされている異相付きの二頭だ。

 元々行商人の持ち馬であったと推測されているが、馬よりも犀に近い姿に変貌しているという。体表は凹凸がはっきりとしていて、鎧のような形になっているようだ。

 

 報酬のために通称持ちの冒険者たちが集まったが、返り討ちに遭っている過去がある。また女神を信奉する騎士団も動いたが、管轄外に移動してしまったために、依頼は塩漬け状態であった。

 重量と突進の速さを併せ持つ異相付き。現地住民には恐怖され、手出しができない。モユヌエが依頼書を持ち出してきたのは合理的と言えた。

 

 全身鎧の男エドは、越境組織の長から直々に受け取った依頼書を指し、それぞれに説明する。この異相付きがどれだけの脅威であり、何故今回依頼を受けるに至ったのか。

 真意はラディアとその弟子たちとの競争等といった、軽薄な理由ではない。エドが最も危惧しているのは、いつでもこの世界を侵略した怪物のことである。

 

 

「――以上だ。この個体が、上位種に利用されれば途轍もない被害になる。主都以外は壊滅されてもおかしくはない。…前回確認された位置は、俺たちが次に寄る町から近い。移動しながら周辺を探し、見つけ次第一気に叩く。」

「うん…ですけど大先生。そんな都合悪く、大角付きの近くに上位種はでやんでしょう?越境のお偉いさんや矛神が手を焼いてる獣は、他にもいます。そう急がんでも問題はないと思いますけどね。」

「ただの名前持ち相手なら、そうも言っていられたが…。いつでも戦える準備は頼む。」

「ええ、勿論。ラディア先生の考えも同じですから。」

 

 

 エドの考えに口を挟んだアルビンは、あまり納得していないことを顔に出さず、最終的に頷く。

 アルビンの師であるラディアは、唯我独尊を地で行く存在だと彼は思っている。しかし、そんな師が反対意見を持たずにただ賛同しているのだ。きっとエドとラディアの間で情報共有が為されたに違いないと、アルビンは考えた。

 

 だからこそ、何故上位種が現れることを前提に話すのだろうと、彼は訝しむ。明言はしていなくても、エドの話は異相付きの討伐に重きを置いていなかった。

 

 そしてラディアは腕を組んだまま呟く。彼女の言葉に対し、エドは声を小さく返す。

 正面の布が開け放たれているため、彼女の弟子であり信奉者でもあるロオファは、馬を走らせながらも耳を大きく声を拾う。どれだけエドが小声で言おうと、馬車に乗った人員には聞こえていた。

 

 

「…なるほどな。お前の答えはこれか。」

「よく考えてみたが、話せばかえって行動が制限される。…剣士と弓手、拡散が得意な術師。これだけは頭の隅に入れておいてくれ。」

「…ああ。――てめえら!油断したら、その日限りの命だと思え!」

「あっはは!いいですねー…師との共闘とは!ちょこまかと逃げて撃つのは得意ですので、支援はお任せを!」

 

 

 真剣な様子で総員に声を張り上げたラディアは、ロオファの作り物めいた調子に鼻を鳴らした後、また黙り込む。アルビンもまた、馬車の隅へと移動し仮眠を取り始めた。

 エドと矛神の三名以外、ミナとケルは動揺を顔に出していた。いや、エドの言葉に対し三名の反応が淡白すぎるのだ。

 

 管轄内を巡回する郊外の矛神教徒たちは、平時徒党を組むことがない。頼れるのは自身の力だけだ。そのため、常在戦場の意識が嫌でも染み付いており。異相付きや発生した裂け目等の対処は、特に心を動かすイベントではないのである。

 狼狽えた者から、先に死んでいく。都や町に配置された兵とは違う、独自の乾いた価値観が遊撃隊にはあった。

 

 

 だが二人は違う。一方は堅実に作戦通り異相付きを狩ってきた少女で、もう一方は飢えを知っているが、大きな戦を経験したのは一度だけの幼き娘だ。災いとは常日頃から意識するものではなく、劇的に降りかかると考えていた。

 こうも唐突に生死をかけることになるのかと、ミナは暗澹たる思いを抱き。ケルは、エドの苦々しい語り口から彼が考えている脅威の強大さを感じ取る。

 二人は既に矛神教へ深く関わっている。意識は違っても、他人事ではなかった。

 

 表情が固く暗いミナとケルに対し、エドは深々と頭を下げてから言葉を続けた。

 

 

「すまない。この旅路が平穏無事に終わればよかったんだが…。獣相手に、直接刃を交える必要はない。ただ、標的の動きには気を付けてくれるか。馬がやられたら道中が苦しくなってしまう。」

「平穏無事なんて…どうせ『山越え』するとき、大変な事ばっかりでしょ?」

 

 

 ミナはエドの言葉を反復した後、目や引き締めた口元で、覚悟は出来ているのだと言外に伝える。平穏とは言えずとも、コルバの街で冒険者をしていれば、安定した暮らしは出来ていただろう。だがエドについていくと決断した時から、彼女はそれを捨てたのだ。

 命を賭してでも、戦士として力不足であっても、標を見失いたくない。ラディアとの短くも濃密な、戦い漬けの日々を送っていたら、その想いは更に強くなった。

 ミナが考えていた以上にエドという男は遠くにいて、目を離せば消えてしまいそうなほどに、霞がかっていると。

 

 

「馬車は昼の内に町に預けちゃえばいいよ。誘導は任せて!…なんか最近こういうこと多くてさ、結構声張れるようになったんだよね。」

 

 

 そして彼女は、歯を見せずに口角を上げる。エドは彼女に恐れが見え隠れしていることに気がついたが、感激しながらもそれを少女の善性だと認識する。

 実際は強がりで、ただエドの求める役回りをこなそうとしているだけであっても。

 

 

「本当に頼もしいよ、ミウ君。…ケル君、心苦しいがこの戦いを修練だと思ってほしい。…それに上位種とはどのようなものなのか、真に理解できるように。」

「…うん。必要なことなんだよね。」

 

 

 またケルは、幼子らしくない返事をする。彼女は「勇者」として感じたのではなく、持ち前の回る頭で理解したのだ。

 旅の中で寄った町の民で、底抜けに明るい者など旅芸人以外いなかった。力無い者は災いへ見て見ぬふりをして過ごし、越境組織に属する冒険者や騎士は生傷絶えない生活を余儀なくされる。

 大陸中に大きな動乱があったことが広まる度、現実を生きる者は陰っていく。その曇りを晴らす事が、「力ある者」の役割なのだと。

 

 確かにケルは壊れた救世主にはならず、本来辿るはずだった道を逸れていっている。そして縫合持ちらしく、歪んだ情念を個人へ注ぎ始めている。

 

 ただの幼子であればエドの言葉に、例え命の恩人であったとしても厳しさを感じるだろう。不快感を覚える者もいるはずだ。何故なら、究極的に言えば命の危機に身を置けと言っているに等しいからだ。

 ケルは、エドの願いを重荷に感じていない。それどころか、己の糧にしようとしていた。

 

 齢八にして、娘は「勇者」としての信念を燃やしている。

 友を、大切な親兄弟代わりの者を守れる存在。故郷にてボロ布にくるまって眠る前、何十何百も読み返した御伽噺に登場した主人公のようになりたいと。勇者とは何か気づいていても。

 幼い英雄願望と言えるものではない。現状から目を背けず、一歩間違えたら死んでいた戦を臨み、英雄を志すのは憧れだけでは済まされない。

 

 それは一種の狂気だ。だが彼女は、紛れもなく「主人公」であった。

 

 エドは結局上位種について多くを語らずに終えた。それは尖耳の種族三体を相手するのに、連携など考えていられるほど余裕があるとは思えないからだ。

 共闘の機会が少なく、同行者の裏切りと不慮の死を警戒し続けたエドは、混乱を避けることを選んだのである。ラディアから、アルビンとロオファについて詳しく聞いたことも理由の一つだ。彼ら二人は、明らかに訳ありであった。

 

 それでいて、エドは不安が募った。友人たちと友人が大切に想う二人、そしてケルの無事は何としてでも守らなくてはならない。

 ルヴネトでの一件を受け、予想を上回る出来事をエドは恐れていた。頭では、その人類への理不尽こそが「バックスタブレイブ」なのだと分かっていながら。

 

 

 

 話し合いは終わり、エドとラディアが示した目標地点へ荷馬車が進む中。

 勇者ケルは、一人起きて御者役を担うロオファを横目に、エドの様子を盗み見る。青白い鎧の男は俯くようにして、ごくごく平常な寝息を立てていた。

 無論、外敵が荷馬車に接近したら飛び起きるのだろうが、悪夢に魘されているようには見えない。ケルはミナの横から移動し、エドの隣に腰を落ちつける。

 

 そして彼の背中から出ている靄に対して、自身の魔力の白糸を伸ばしてみる。勇者の力とは、魔法「縫合」ではなく、本質的には白糸の魔法である。それに気がついたケルは、以前モユヌエが使っていた技を、真似てみたのだ。

 理論も理解していない童戯同然の試み。しかしそれは、白糸の直感的な使い方に合っていた。

 

 

 瞬間、ケルの頭の中に凄まじい量の音が入り込んでくる。先ほどまで、虫や夜行性の鳥の鳴き声しか聞こえなかったのに、日中のルヴネトよりも騒がしい。

 ケルは思わず耳を塞いだが、白糸を通して聞こえてきていることと、その音が人の話し声であることに気がつき、動きを止める。

 人としての輪郭こそないが、何十何百に及ぶ声は各々意思を持っているようだった。

 

 

『――完全にあちら側へ繋がってしまったようだな。さて、どうするか…。』

『そこのお嬢さん、そちらの術は得意だったんだろう?何とかならないかね…私は戦の術以外はからっきしなのだよ。』

『そんな…理論なんてすっかり忘れちゃいましたよ!それに、魔力がないのに何ができるってんですか。』

『そういやあんた、だいぶ長いんだったな。俺も少しはかじっていたが、抜け落ちちまったよ。こうやって漂白されていくんだろうな…。』

『やだやだやだ!うう、はやく起きてよお!』

『でも、ただの寄せ集めでいちゃあね。術を知らない子でも、思い付けば発言しておくれ。』

 

 

 ケルにとってよく分からない、亡霊が集った白い靄は徐々に膨らんでいって、彼女の視界を覆い尽くす。

 しかし少女は抵抗しなかった。悪意ある存在なら、相対した瞬間に寒気と心が軋むような感覚がある。それがないなら、真剣にものを話し合っているなら、怖い存在ではない。そう思ったのだ。

 

 内容を聞き取るため、声の選別を無意識で行っていたケルは、ぼんやりと浮かんでくるイメージを眺める。ケルの視界はカンテラが淡く光る荷馬車の中から、光の届かない暗闇に変わった。

 

 

 

 

 目を閉じれば、地獄が広がる。

 未だ俺は、黒赤の悪夢から逃れられずにいる。この夢の中では体が鉛のように重く、どこを見渡しても人間の骸や建造物の残骸が散らばっていた。

 

 この悪夢の正体は現状はっきりせず、上位種絡みだろうと想像しているだけだ。モユヌエと、もう一人正体不明の古い人をあてにするしか無い。

しかしエドムンドの影、俺自身の願望のようなものと共闘してから、明確になった部分が二点あった。

 一つは、この夢が現実に干渉しないという点だ。夢遊病者のごとく、現実で体が操られるわけでもなく、完全に独立している。

 自在に空を飛んだり、食事を目の前に出現させるといった夢ならではの奇想天外を起こしたりは出来ない。あくまで鈍重になった体のままで、魔法が行使できるだけだ。

 

 

「『感知』――やはり反応がある…。」

 

 

 魔法「感知」を用いることにより、俺は右手の方向から魔力の乱れを感知する。大きいが、衰弱しているようにゆらゆらと変動している。

 そう。もう一点は、どうやらこの悪夢は複数人に共有されているかもしれないという点だ。ここ数日は、目覚めた場所から別の魔力を辿ることに費やしている。

 

 動く屍に足を引っ張られながらもしばらく進めば、蹲っている何者かを発見した。

 まだ若い女性のようだ。装いは純白の衣で、リシディア神官のものに見える。

 暗色の長い茶髪を縛っていて、涙に覆われた顔が少しだけ覗いていた。

 

 

『――あの時殺しておけばよかったのよ!』

『金にはなりますぜ。何せ貴族様方は捌け口を求めてらっしゃる――』

「うえええん…ごめんなさいい!ひどいよう、なんで――」

 

 

 女性は地面に膝をつき、ひいひいと絶え間なく泣いて許しを乞う。

 上位種か、それとも尖兵か。俺は心が張り裂けそうになりながらも警戒は欠かさずにしていたが、心臓が急激に熱くなるのを感じた。白色の火の粉が視界にちらつく。

 それによって感覚で分かる。間違いなく、この女性は生きていると。黒い腐った血ではなく、赤い血潮が流れた人間であるということも。直感というのは、この世界ではバカにできないものだ。

 

 更に近づき、女性の周囲を黒い人影が取り囲んでいるのが分かる。それ寄り集まりドーム状になっていて、明らかに悪しき気配を放っていた。

 この女性も、この夢の中で三日前に出会った神官の男性と同じなのかもしれない。辛い過去を見せつけられ続けているのか。

 

 

(本当に悪趣味だな…。いや、それは俺がか?)

 

 

 夢の中の出来事とは、あまりにも不確かである。ここまでこの悪夢について前提を積み上げたが、全て俺の妄想かもしれないという考えが脳裏にちらつくのだ。

 しかし夢であることは、目の前で苦しむ人を助けない理由にならない。俺は黒い人影に対して左腕を伸ばし、掌から青白い炎を放つ。

 リィートイやモユヌエから「皚炎」について聞いた。この炎は上位種に連なる存在を、激しく焼くことが出来るのだと。

 

 人売りについて語らう、下種どもを模った不気味な影はいとも簡単に燃えて、低い笑い声を上げながら消えていった。

 

 

 しばらくして蹲っていた女性が泣き止み、すんと鼻を鳴らすだけになる。瞑った目が開かれ、不思議そうな顔で周囲を見渡し始めた。

 そして俺に気がつくと、女性は尻餅をついたまま後ずさる。その後彼女は大げさに命乞いをしはじめた。

 

 

「ひえっ!?え、えへへ…殺さないでいただけますでしょうか…。」

「…いや、そんな非道なことはしない。名前を伺ってもよろしいだろうか?」

「はいい、言いますう!ネンリです!洗礼名もないただの神官なので、殺しても面白くないです!なので見逃して…。」

「どうか落ち着いて。怯える姿は上位種を喜ばせるだけだ。」

「え、あ…そうですね…。…尖兵なのにすごいしっかりしたこと言ってます…不思議ですね…。」

 

 

 俺を見上げる女性の顔、名前どちらにも覚えはない。だがそれが今俺の見ている風景が、自身の妄想ではないと思わせてくれた。

 彼女が後ろ手に握った短刀からは、何としてでも生き残ろうとする意思を感じる。騎士という盾を無くした神官は、しかし完全に無力ではなく護身のための体術を学んでいるのだ。

 

 呟きから、女性は俺を尖兵だと勘違いしているようだ。こんな異様な空間で、警戒するのは当たり前のことだ。俺は直剣を鞘に納めた後、いつ飛び掛かってきても良いように身構える。

 

 ネンリと俺は見つめ合い、彼女から魔力の波を受ける。ネンリは眉を困ったように歪めた後、一言放った。

 

 

「もしかして…あなた、人間ですか…?」

 

 

 震えた声で尋ねられ、俺は大きく頷く。するとネンリは、恐る恐るといった様子で立ち上がった。

 俺は彼女の不安をなるべく取り除くため、互いの認識を合わせていく。俺がどういう人間かをまず明かし、少しずつ絡まった紐をほどくように。

 

 

 それから時間が経ち、ネンリの人柄が分かってきたくらいで突然、彼女の体が透明になっていく。ネンリも自身の異変に気がついたようで、両掌を眺めていた。

 

 

「――あ…これ、起きかけてるってことかもしれないです…。」

「…良かった。明日からは普通の夢が見られるように願っている。」

「へへ…はい、もうこんな夢見たくないですね…。『青月』…エドワルド…しっかり覚えておきますね…。」

 

 

 俺は、先程泣き腫らしていた人とは思えないほど元気になった女性を見送る。この短い交流は女性にとって良いものであったのか、小さく手を振ってくれた。

 

 

 完全にネンリが消えたのを確認した後、俺はまた歩き出す。

 この救助の真似事は、気休めになる。惑っている自分自身に、ただ足を動かして戦うしかないと初心に戻るためには丁度良い。

 結局俺は失われる人命に対して無力であり、知っている範囲でしか助けられない。偶然通りかかれたとしても、それはまぐれなのだ。

 

 ケルが育ちあがって、早く人類に希望を見せてくれさえすれば、足りない頭を捻る必要もなくなる。もう少しの辛抱だ。後少しで、俺は彼のためこの大陸の皆のために命を使うことができる。

 しかし、そう思っても死の恐怖は捨てられない。主人公の英雄譚にとってのノイズ、この物語の部外者でしかない俺はどう命を使えばいいのか。ずっと考え続けている。

 

 

 

 

「――先生!前方に巨大な獣が…!依頼書の絵にそっくりや!」

 

 

 鋭い、警戒を呼び掛ける青年の声で俺は飛び起きた。荷馬車の外を窺えば、確かにアルビンの言う通り異形の獣が走ってきていた。

 既にラディアとロオファは武具の準備を終えており。ミウは自身の両頬をぱしりとはたいて気つけをし、ケルは左手で瞼を擦りながらも、すぐ傍に携えていた剣を取る。

 

 

「向こうからのこのこ来るなら、楽でいい。行くぞ。」

「喜んでお供します!『青月』もしっかり対処してくださいよー!」

 

 

 矛神の戦士二人は馬車から飛び降り、突進してくる巨大な獣を迎え撃つ。すぐさま前方から爆発音が響き、狩りが始まった。

 

 

「…すぐに方をつけよう。」

「はい!もっと強くならないと…!」

「よし…こいつら倒したら、次寄るとこで美味しいもの食べるぞー!」

 

 

 そしてやけに気合いの入ったケルと、敢えて明るく振舞ってくれるミウと共に俺も馬車から飛び出す。

 アルビンと目配せする暇はない。二頭いる異相付きの片割れが、俺たちに向けて走ってきているからだ。

 

 全身に血管が浮き出た灰色の巨獣へ、俺は全力で暴風を放った。

 




皆様、いつもお気に入り登録・評価・感想をありがとうございます。
今週から少しずつ投稿ペースを戻してまいりますので、何卒宜しくお願い致します。
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