裏切り・絶望がテーマの同人ゲー世界で、全てぶっ壊す 作:棘棘生命
朝陽が昇って、突然進行方向に巨大な建造物が出現する。
氷細工のように白く美しい、装飾に鋭利さが見立つ城だ。これはあくまでも比喩であって、実際には氷は一切使われていないと俺は知っているが、見るほどに幻想的である。
隣のアルビンから体の力が抜けていき、疲労を露にした。御者役は交代制にしていて、俺とロオファも引いていたが、途中から殆どアルビンの仕事になっていたからだ。
魔法「馬脚の順応」は、スクロールを使うにしても向き不向きがある。雪が多く積もった地帯を抜ける際、脚先だけを魔力化するわけにはいかず、練度の高いアルビンが「馬脚の順応」の出力を調整することになったのである。
「ようやく…。先生、交代お願いできますか?体がばきぼき言うんですわ…。」
「任された。着くまで休んでくれ。」
「ありがとうございます。ついでに皆さん方起こしてきます。」
俺はアルビンから手綱を預かり、しばらくして布擦れ音を聞く。そして背中に風を感じたと思ったら、既に支度を済ませたミウが隣に座っていた。感嘆の声を上げていることから、彼女は初めてシウゼヴァクの王城を見るのだろう。
「きれいー!ここまで頑張って来て良かったー!」
「満足そうで何よりだ。ミウ君は気に入ると思っていた。この景観はいつ見ても綺麗なものだ。」
「うん!私だけだったら…この城まで辿り着くなんて、できなかったと思うし。…ありがとね、エド。」
妙に落ち着いた調子でミウは礼を言った。やはりこの少女は、俺の理解が及ばない娘だ。
ミウの行動力だったら何処へでも旅ができるだろう。他地域より異相付きの危険が多くあれ、持ち前のセンスで単独でも辿り着けるはずだ。「バックスタブレイブ」作中で、コルバの街にて悪人をしていたのが異常だと思えるほどに、ミウは好奇心と行動力の噛み合った冒険者なのだから。
「こちらこそ。言うには早すぎるが…共に旅が出来て良かった。寧ろ危険な目に遭わされて、文句を言われてもおかしくないと思っていたよ。」
「…もうっ!そういうことじゃないから!大変ではあったけどさ、今までも含めての話!」
「そうか…。」
そう返され俺が思考を過去に飛ばしていると、ミウは小さくため息を吐き、話を戻す。同じ人間で冒険者でも、考え方が違いすぎれば認識の差は埋まらない。しっかりと眠れれば、ミウの考えも少しは理解できるのだろうか。
「はあ。…やっぱり絵で見るのと実物は違うねー。王都って、女王さまが全部管理してるんでしょ?どんな人なのかな。」
「…見たことがあるが、温和な方だったな。為政者の本心は分からないものだが、強権的ではないと思う。魔兵を従えているのはあの方ではないようだしな。」
「え、それってどういう…。」
「着いて、聞けば分かるだろう。モユヌエ殿は全貌を知っている。」
「うえ…やっぱり?ならエド、私だけ置いていくのは無しだからね。あの人ほんっとうに、怖かったんだから!」
俺の肩を揺すり、ミウは声を震わせて言う。平時の余裕が崩れていることから、あの小さな町での一件は相当こたえたのだろう。
後からミウとモユヌエ双方に聞いたが、同じ出来事を話しているのか疑問に思うほど印象が違った。モユヌエは二人で仲良く雑談しながら戦況を見守っていたと話したが、ミウはモユヌエから放たれるプレッシャーで、終始生きた心地がしなかったという。
確かに「越境の主」としての顔をしたモユヌエは恐ろしいが、会議をするときなどは大樹の如き安心感がある老女だ。だが、何もない時であってもミウは圧力を感じると言っていたことから、俺がプレッシャーに慣れ過ぎたのも理由の一つにあるのかとも思う。
上位種からの殺意は、体を押さえつけられるほどに強い。それを浴びるのが常態化すれば、多少の刺激は恐るるに足らない。裏切りの予兆こそ警戒すべきだとは考えているが、純粋な殺気に竦むことは無くなったといえる。
俺はミウに分かるよう大きく頷き、残してはいかないという意思表示をする。ミウは絶対だと再三俺に念押しし、そのままケルが起きてくるまで軽く雑談を続けた。
王城が見えてから、数時間。俺たちはついに町の正門前までやってきた。俺の後ろからは談笑が聞こえ、今後の予定を話し合っているようである。
門前には、雪と同化している純白の「シウ・ゼヴァクの魔兵」たちが並んでおり、こちらへ馬を走らせてくる。視界を確保するための隙間が殆どない、蛙口兜が特徴的な彼らはくぐもった声で俺に問うてきた。
「遠くからよくいらっしゃった、旅の方。矛神の関係者でしょうが…王都へ入る目的を一応お聞かせ願います。」
「山越えのため、物資の補給を目的に寄らせていただきました。」
「荷台の中も、矛神教徒だな…。入って良し。」
「しかし、くれぐれも教義を広める等しないようお願いする。事を荒立てることを、主はお望みにならない。」
戦場で見た姿とは違い、まだ人間味の感じられる口調だ。それでも王の命令を受けた瞬間に豹変するのだから、統率の取れた騎士とは凄みがある。
口では軽いが、魔兵たちは厳重な検査を行っていた。俺は頭を下げると、軍馬に指示を出す。最後に伝えられた言葉こそがシウゼヴァクにおける絶対であると、肝に銘じながら。
凍り付いた正門が音を立てて上がる。俺は、矛神の印が付いた荷馬車をすぐさま見つけ、別の隊も辿り着いていることに安心する。
ここは景色こそ美しいが、どうも落ち着かない。常に監視されているような感覚なのだ。
常在戦場の精神を持つ者ならば、俺と同じ感想を抱くはずだ。王都の治安は良く、他の都市なら荒くればかりの冒険者だって統率がとれているというのに、遠くから何者かが見つめてきている。
以前実際に足を運んだ時には、古い時代の人間が生存している事を知らなかった。そのため、この全身を針で刺されているような不気味さは、国柄だと合点していたのだが、別の可能性が出てきた。魔兵たちの主、姿を隠した王の存在である。
俺にはどうも、魔兵が話す幻聴じみた「声」の正体が、モユヌエに繋がっているような気がしてならないのだ。
荷馬車を置き、皆が降りた後ラディアが俺の肩を叩く。中性的ながら低い声は、警戒心が拭えないという様相だった。
「…青月、ここにはどのくらいいるつもりだ。あの婆が幅利かせてるなら――山越えする前にやられるぞ。特にロオファはな。道化も剥がれてきた…次婆が睨んだら、奴は終わりだ。」
「君は優しいな。弟子想いの良い師範だ。」
「はあ…!?ちっ、舐めたこと言いやがって。おれの汚点になるから、それだけだ…!」
ラディアは声を小さく、文句を言った。彼の視線の先には、ミウたちと話すロオファの姿があった。調子者の仮面を被り、自身の性質とは真逆を演じる女性は、ラディアに手を振る。
「勇者ケル、あなたに一つ甘味を買ってあげましょう!実はわたしもこの町には何度も来ているのです――」
「やった!なら、この丸いの――」
「ほほう…良い選択をしましたね――」
ロオファとケルは何やら紙を覗き込んで、雑談している。ミウも二人に加わり、楽し気な空間が形成されていた。
路に足を叩きつけて苛立ちを表現するラディアは、しかし焦燥も浮き出ていた。ロオファの出自の怪しさが、そのまま死に繋がることを心配しているのだ。自身の地位など、ラディアは気にしていないのである。
「最悪が起こらないように、王都を出るまではついてやってくれ。モユヌエ殿の元には、俺とケル君、ミウ君だけで向かえばいい。」
「…いや。そうも言ってられねえ。見てみろ…クズどものご登場だ。」
ラディアは声を更に低くし、親指で後方を示す。複数人が足音や気配さえ消し、俺たちに近付いていた。
内包する魔力量がどれも多い。装備は統一されていないが、各部位に付けられた布や金属板などが彼らの正体を教えてくれた。
重なり合う腕の刻印は、「束ねられた腕」の証。越境組織の上澄みたちがこうもゴロゴロといるのは、シウゼヴァクの他にないだろう。
俺はそれら冒険者の顔ぶれを見て、顔が引き攣るのを感じた。この世界では初めて見たが、スクリーン上では不快を味わわされた人物が混ざっていたからだ。
まだ顔立ちは若いが間違いない。後ろからついてくる、神経質そうな表情をし、多節鞭を腰に付けた黒髪の女は「蛇腹」のリリアナだ。
「貴様、『青月』のエドワルドで間違いないな。大母の命だ…王城にまで来てもらう。そこの矛神どももだ。」
「ひひっ、上物ばっかり連れてやがる…。まあ、見てくれは良くても薄汚ねえことにかわりないか!」
体格ががっしりとした男と、反対にでっぷり太った男が声を張る。ただどちらも偉ぶっていて、顔つきも荒んでいた。
遠くにいたケルやミウ、ロオファは、彼らの物言いに肩を跳ねる。その後すぐミウが眉を吊り上げ、声を出そうとしたが刻印に気づいたようだ。無表情になり、ケルの頭を撫でている。
ぞろぞろと俺たちの周りを囲み、下劣な言葉で値踏みする冒険者たちは、誰もが友好的でない。エゴ塗れの、力と金を得ただけの人間たち。俺の知識にある、越境組織上層部のイメージそのままだ。
やはりヨヌアたちが例外であったということだ。外れを引いた。
「指示したのですから、さっさと歩きなさい。はあ…何でこんな野蛮人どもの出迎えなんて…。」
「貴方方に案内されずとも、すぐに向かう。…『蛇腹』のリリアナ。人に物を頼むなら、少しはましな人間を連れてくるべきだ。」
「なっ…!この、根無し草風情が…!」
俺の目測通り、この不快な出迎えはこいつが決めたことのようだ。大方モユヌエの指示に従いはしたが、自身の息がかかった冒険者のみを連れてきたのだろう。「バックスタブレイブ」作中でもそうだった。憎まれっ子世に憚るを体現したように傲慢で、数人と並び、越境組織の腐敗の象徴であったのだから。
リリアナは童のような顔に皺を寄せ、武器に手をつける。俺はラディアやミウに視線をやり、王城を示した。
距離が少し離れていた四名は俺たちに駆け寄り、冒険者たちを一瞥する。特にケルの表情の冷ややかさは強烈で、にやにやと笑っていた巨漢もたじろがせるほどだった。
「おじさんたち…外で変なこと言わない方がいいよ。モユヌエさんに怒られちゃうよ。」
「ガキい…!」
「…しょうもねえな。エドワルド、さっきの撤回させろ。婆も落ち目だ。」
ラディアはそう言うと、予兆もなく自然に、拳を近くの冒険者の顎に命中させる。その後足を払って転倒させ蹴り飛ばした。そのスキンヘッドの男は油断していたようで、散々な目に遭わされた挙句、白目を剥いて倒れている。
ラディアは舐めたら殺すを地で行く人間だ。所構わず殴るような奴ではないから、相当苛立っていたのだろう。立ち昇る怒気は凄まじく、「束ねられた腕」の一人一人に向けられる指は、警告の意味も込められているように思えた。
無償の優しさがバカを見る世界だ。ラディアの行動を止める気はおきない。
「ふう…おれらは、長旅で疲れてるんだよ。次イライラさせたらぶち殺してやる。そうしたら魔兵の奴らも、ゴミが消えてすっきりするだろうぜ。」
「ちい…!我が物顔で…!」
「後先を考えられないバカは苦労するなあ…可哀そうに。」
「吠えてろ。婆に文句言ってやる…行くぞお前ら。」
ラディアと冒険者たちは睨み合いながら距離を離し、豆粒ほど小さくなるまで続いた。奴らには凄みというものがない。上澄みに届いてから、腕を上げることもしなくなった人間だ。
ミウは嬉しそうにラディアの背中を叩き、ロオファも調子を戻してラディアに擦り寄った。
「わたしたちのために怒ってくださるなんて!しかも、殺さずに場を収められて…何て慈悲深い!」
「いいとこ見せたじゃん、ラディア!ちょっと見直した!」
「喧しい、調子に乗るんじゃねえ!ミナ、てめえは後で覚悟しとけよ…!」
「はいはい!ご飯好きなの何でも奢ったげるからさ。機嫌直してね、ラディアサマ。」
そんな二人にラディアはいつも通り暴言を吐いているが、怒りは感じられない。そして、先ほどまで閑散としていた市街に、少しずつ人が見え始めてきた。
朝方なのと、正門近くは魔兵が屯する場所だったからだろう。白一色の王都に、活気が満ちていく。
冒険者たちのせいで、少し機嫌を損ねていた様子のケルが、途端に元気を取り戻す。他の地域では見られない生物が、建物の陰から現れたのと同時だった。
「エドさん、アルビンさん!あの、あの大きな生き物ってもしかして…!」
「ああ。あれが本物の竜だよ。」
「ケル君は見たことないんや。確かに北の方にしかおらんからな。」
「すごーい!かっこいい!かわいい!」
ケルはその生物を掌で示し、俺の腕を引っ張る。俺が返答すると、幼子の顔はきらきらと擬音がつくほどに明るくなった。
この世界において、ファンタジーらしさを加えてくれてくる存在、竜。あちらの世界ではドラゴンと評される見た目をしていて、東洋の龍とは違う、どっしりした巨大生物だ。
生息しているのは一種族だけではなく、目の前の竜の区分は「地鎧竜」という。名称の通り、古い猛き戦士の部隊名もこれらから取られている。
のそのそと四足歩行のそれは歩き、大きな口を薄く開けて鳴く。瞳は小さく黒色で、くりくりとしている。体型も横に広く、マスコット的な愛らしさがある。背中には小さな翼が生えており、この体積を浮かばせるには足りないように見えるが、何と飛翔も可能だ。
そういえば作中、主人公の勇者も、竜に出会ったとき同じ感想を言っていた。同一人物なのだから感性は同じなのだと分かっているが、何とも感慨深い。俺は今、主人公の旅路を間近で見ているのだ。
地鎧竜を見つめ続けていたからか、竜の持ち主の男性が背中から降りて、ケルに語り掛けてきた。気の良さそうな人で、先ほど最悪を見たからか、より輝いて見える。
「――ボウズ、外から来たのか?ちょっとくらい触っても大丈夫だぞ!」
「え!?エドさん、いいかな…?」
「大丈夫だ。…御仁、礼は返させてくれ。」
「いいんだよ!こいつの良さを分かる子どもは大歓迎だ!」
そうして壮年の男性の後ろをついていき、道横に寄った地鎧竜に、ケルは頭を下げた後手を伸ばす。この種族は温厚で、ケルが触れても暴れることは無く寧ろ嬉しそうに鳴いた。
ケルが笑いながら、触れた感想を俺に話してくれる。ごつごつとした体表は触り心地が良いようで、彼は腹部の方にも手をつける。
そうしている間に、別の塊になっていたラディアたち三名も気がつき、近付いてくる。壮年の男性は集まってくる面々を見て、目を丸くした。
「あんたら矛神の人か…ルヴネトの話聞いたよ。大変だったろう。でも、何だっけか…うちの兵士さんたちと、青い月みたいな人と一緒に、バケモンを追い払えたんだろ?少しは休めればいいのになあ…。」
「随分とお詳しい。御仁は、シウゼヴァク以外でも商いを?」
「いや、オレは冒険者だ。実は越境も、一部に招集をかけてるんだよ。オレは近かったからいいが、知り合いは功績とカネが釣り合ってないって辞退してたな。」
「なるほど…親近感が湧く。俺も冒険者なんだ。招待されただけで、矛神には入っていない。」
「へええ、そんなこともあるんだな!」
思いがけず情報を得れて、俺の気分も変わる。モユヌエは俺へ隠し事はなしだと言ったが、全ておおっぴろげにするわけじゃない。彼女は、俺の考えが及ばない領域で動き続けているのだ。
軽く話し、男性の名前がアントンということを知ったくらいで、竜とケルのふれあいは終わった。同じ冒険者で、話が通じる人間である以上、機会さえあれば協力しようと思える。同時にこういった人が生き残れるように、気合いを入れられた。
俺は男性へ改めて感謝を伝え、満足げに笑うケルと待ってくれていた皆に言葉をかけて、目的の場所へ向かう。
モユヌエの真意を知るため、思考を巡らせながら。
◆
金の長髪をそのまま垂らした女性が足を組み、古ぼけた椅子に座っている。そのまま彼女は黒く変色した手で、灰色の容器を撫でた。それは人一人がすっぽりと入る大きさの箱であり、石に似た材質でありながら決定的に違っている。
複雑な紋様の浮かぶもう一つの箱から、女性は出てきたばかりだった。
「ねぼすけよ…かつての勇猛を妾に見せておくれ。…はあ。」
箱から反応はない。女性は息を漏らした後背中を伸ばし、そこから生えた鋭利な四本の節をぱきぱきと動かす。
口からはこれもまた鋭利な歯がのぞき、右目は充血したように白目すら真っ赤に染まっている。
蜘蛛のような異形の特徴が散りばめられた女性は、かつて誓った。勝利のためには、手段を選ばない。どれだけの時間がかかろうと、人の理から外れようと、再び人類の栄華を見るのだと。
その誓いを共に立て、力を分け与えた者は、時間の重みと絶望に耐えられず眠る。鼓動はしていても美しい過去に閉じこもり。大陸の名を冠した主君に尽くした知恵者は、現実こそを幻想だと言い聞かせ続けている。
人類の剣であった英雄の死をきっかけに、異形を取り入れた古い人は壊れた。
「…しかし、もはや浸ってはいられぬよ。お主も驚くじゃろう。見て、知るほどに…あやつは『剣』の再来じゃ。」
右目に眼帯を取り付け、分厚いコートで背中を隠す。微睡の棺からついに起き上がった、背の高い艶やかな女性は階段を上り、ガラス細工のような王城を闊歩する。
白い兵士たちは武器を取ろうとするが、すぐさま敬礼する。容姿と彼女から流れ出る魔力が、良く知る人物であることを伝えていたために。
城の最上階。兵士が扉を開き、ぽつりと玉座に座る女王の元への道を作る。物憂げな表情をしていた女王は、はっと顔を上げ、隣の空いた椅子へと掌を垂らす。
扉が再び閉じられた後。女王の熱が籠った瞳は、すらりと伸びたモユヌエの肢体から離されることはなかった。
「…お待ちしておりました。貴女様がいらっしゃるということは、ついに…。陛下のお姿も…。」
「よくぞここまで、王で在り続けてくれた。お主の代で、望みは叶うじゃろう――」
涙を流す女王に、モユヌエは語りかける。その間もモユヌエは、冷酷なまでに思考を回していた。大陸を取り返すための算段と、命の取捨選択を。
白い兵士たちは、王座での二人の会話を気になりもせず守り続ける。忠実さこそが国を今まで存続させてきたからだ。彼らは二人の王の命によって動く。奇妙な囁きに導かれるまで。