作中に登場する特異4課所属で名前が不明なキャラクターの名前を、不便なので捏造しています。漫画第20話にてコベニちゃんと親しそうな女性を都築、デンジの隣に座っていた強面の男性を金垣としています。もし名前が既に存在していた場合は修正を行うのでお教えください。
今回は登場人物が多いので原作既読推奨です。
ランキングを眺めていたらこの作品が居ました。ありがたいことです。
皆さんありがとうございます。
モンちゃんが僕の部屋で暮らすことになって1日目、本人が言っていた通りモンちゃんは至って普通だった。
朝食を一緒に食べているとモンちゃんが口を開く。
「昨日会ったキミの上司いるでしょ。あれも怪物なの?」
「頭の中にあの女の人もいたけど」とモンちゃんが付け加える。どう説明したものか…。マキマ〜、これどこまで話していいやつ〜?
「………簡単に言うと、あの人は自分より下等だと思った生物を全部言いなりにできるの」
「おお!単純じゃない強さの怪物だね」
モンちゃんは新しいバリエーションの怪物の登場に嬉しそうだ。
「私は下等と見られなかったの?」
自分を指差しながら不思議そうだ。
「わからない。その内言いなりにしようとしてるのかもしれないし、やろうとしたけどできなかったのかも」
実際、モンちゃんの強さがどの程度かは僕にもわからない。マキマにも支配できない悪魔の可能性もある。意識のある生物は皆、自分を害する怪物を恐怖するはずだから、モンちゃんは相当強いはずだけど…。
今日は仕事も終わり新人歓迎会だ。一足先に会場の居酒屋へ行こうとモンちゃんと本部を出ると、デンジとパワーちゃんが入り口近くで立っていた。
「どしたのこんなとこで」
僕が話しかけるとデンジは困ったような顔でこっちを見てくる。
「おー先輩。アキの奴に先行ってろって言われてパワーと出てきたんだけど、俺達場所知らなかったんすよ」
「知ってる人を待ってたってワケか。じゃあ一緒に行こっか」
一緒に歩き出して少しするとパワーちゃんが話しかけてくる。
「オヌシ、デンジとアキを治しておったのぉ。あれがお前の悪魔の力か?」
「まぁ、そんなところ。パワーちゃんにも使えるから怪我したら頼ってね」
「せいぜい利用してやるわ」
パワーちゃんに能力を使う場合、治療と……血の擬似無限化かな?血の悪魔って血を操れる性質上一対多で有象無象を蹴散らすのが得意そうだし、ちょっと見てみたいかも。
可能性の悪魔の話は秘密ということで口を挟まないようにしていた様子のモンちゃんが続けてパワーちゃんに話しかける。
「私は怪物の悪魔のモンちゃん。キミが血の魔人?」
「怪物の悪魔?ワシの方が強そうじゃな‼︎」
「え?悪魔?魔人なんじゃないんすか?」
いつも通り自信過剰なパワーちゃんとは違いデンジはモンちゃんの角を見て不思議そうだ。
「たまに人型だったり、人型になれたりする悪魔が居るんだ。この娘は人型になれるタイプだね」
「へぇ〜」
「キミがデンジだよね?デンノコ悪魔になれるんでしょ?」
モンちゃんはどうやら、デンジが気になるようだ。なんかすごい目が輝いている。まるで、憧れのヒーローに会ったかのような…。この感じ、多分チェンソーマンのことも知ってるな。
「なれるなれる‼︎」
美少女が自分に興味があるとわかってデンジのテンションが爆上がりだ。そんな様子を見ている内に会場の居酒屋が見えてきた。
「予約してて、席ももうあるらしいから先座ってようよ」
そう3人に僕は声をかけた。すごく早く着いたというわけでもないが、もしかしたら僕達が一番乗りかも。
時間になり人が十分に集まったので、乾杯の音頭とともに新人歓迎会が始まる。コベニちゃんは道に迷って遅れていたようでその直後にやってきた。都築さんに呼ばれて奥の席へと座る。
新人歓迎会とは新しく入ってきた人員と仲良くなるための会。しかし、既に今期の新人とある程度接してきた僕にはそれ以外にも使命がある。
その使命とはただ一つ!
ゲロキスを阻止することだ。ただのゲロですら結構キツいのにアレを見たらもらいゲロしそうだからね。吐くことがわかってるのなら是非阻止したい。
デンジには悪いけど姫野さんが酔ってからしかしないのなら、キスはキャンセルだ。
モンちゃんと僕でアキくんと伏さんの間に座る形になった。モンちゃんが伏さん側で僕がアキくん側だ。モンちゃんは食事目当てなのであまり周りの人には興味がないようだ。通路側の誕生日席にはマキマが座る予定なのでもっと奥に逃げたかったのだが、新人とそれ以外をなるべく隣り合わせる方針のために却下されてしまった。まぁ、アレ以来特に関わってこないし、大丈夫か。
「ありゃあ〜?伏さんのとこの新人は?」
よく考えたら1人足りないことに姫野さんは気づいたようだ。
「残念ですが昨日退職しました」
伏さんが答える。確かその人は昨日蘇生した人だ。やはり、一度死んだ上でこの仕事を続けようとする人は少ない。
「えぇ〜〜!?歓迎会には来て来週やめればよかったのに‼︎」
「めちゃくちゃ言ってるよ」
「先輩もう酔ってるな」
姫野さん、多分そんな図太い奴はなかなかいませんぜ。
伏さんと目が合うが僕は何も言わない。わざわざ死ぬところだった、なんて言って雰囲気を悪くする必要はないだろう?
話が変わってデンジと姫野さんがキスをする話になった。
「ここに居る新人以外みんな姫野にキスされてるよ。逃げられねぇからな」
金垣さんの言葉を聞いてデンジはキスを確信してフリーズする。新人以外ということで、当然僕もされた事がある。あの不意打ちキスは純愛過激派としては憤慨ものだったが、マジキスとしてカウントしないことで心の安寧を保っている。
「今日…俺…ファーストキスしちゃうんだ…!」
そうボーっとした顔で呟くデンジの後ろから赤髪の美女が現れ、顔をデンジへと近づけてくる。
「キス?」
「え⁉︎」
ここでデンジの本命、マキマの登場だ‼︎遠くの席へ逃れられなかったのはまずかったが、この後起こるであろう『マキマと姫野さんの間で翻弄されるデンジ』を近くで見れるのは良かったかもしれない。
マキマは店員に生ビールを注文すると、アキくんが座布団を敷いた誕生日席へと座る。姫野さんも嬉しそうにしている。
「デンジ君誰かとキスするの?」
「しません!」
訝しげなマキマの問いに、顔を向けて即答するデンジ。
「え〜〜!デンジ君キスしないのぉ〜!?」
「しまァす!」
それを聞いた姫野さんからの問いに、そちらに顔を向けて即答するデンジ。
これを見れただけでもここに来た甲斐があったかもしれないと思う。にしてもデンジ、マキマはやめとかないか。そう、レゼ。レゼとかいいと思うんだよね、僕。
マキマが一杯目の生ビールを飲み干し、すぐさま店員に二杯目を注文するとデンジに向き直る。
「それでキスって?」
「チウしないの…?」
姫野さんは若干呂律が怪しくなってきている。相変わらず酔うペースが爆速だ。ってかさっきの反応からして姫野さんとデンジの間での話だということはマキマにもわかるはずだ。デンジで遊んでたりします?
デンジがキスの話をマキマから逸らしていると姫野さんが話しかけてきた。
「あれぇ〜?ミミ君はまだ一杯も飲んでないの?」
「忘れたんですか?僕は来年までまだ飲めませんよ」
「そうだっけ?」
来年までは未成年なので、僕はコーラを嗜ませてもらっている。ちなむと僕はペプシ派だ。この店はコカの方だったけどね…。
それより目の前の姫野さんは既にベロベロだ。こんだけ酔ってたらキスせずとも吐くんじゃないか?早くなんとかしないと…。
銃の悪魔の肉片を持つ悪魔の増加、デンジを狙う悪魔の存在について話していたらしいアキくんとマキマからこんな会話が聞こえてきた。
「マキマさんはデンジのこと何か知ってるんじゃないですか…?」
「私より飲んだら教えてあげる」
どうやらマキマ対アキくん・姫野さんによる飲み対決が始まるようだ。追加の生ビールを注文するアキくんに続いてみんなも思い思いに注文を続けていく。そういや僕も唐揚げが食べたいな……。
あれから暫くして、アキくんも姫野さんもダウンしてしまった。顔色一つ変えず勝ったのはマキマだ。卓上にはかなりの数の空いたグラスが残されている。
「すいません生もう一つ……。あと…グラス片付けてもらっていいですか?」
マキマの振る舞いからは勝者の余裕を感じる。酔い潰れる挑戦者2人と比べると、完全勝利と言っていいかもしれない。
奥からは都築さんがパワーちゃんとIQの話をしているのが聞こえてくる。ん?なんだっけこれ………?ヤベェぞ‼︎ゲロキスだ‼︎
ご飯が美味しかったので全く対策は考えられていない。
視線をデンジに移すと既に横にはキスの予備動作に入ったと思われる、姫野さんの姿があった。
どうする、2人を強引に引き離すか?席は反対なうえ、もう姫野さんの手はデンジの顎を持ち上げようとしている。それに、このタイミングで止めたら、まるで僕が姫野さんにデンジとキスして欲しくないみたいになるんじゃないか……⁉︎
………ごめんデンジ。僕は遅かったみたいだ。もらいゲロしたくないからトイレ行ってくるよ。
「ちょっとトイレ」
そう去った僕はすぐに背後から、ゲロキスによって賑やかになった会話を聞くこととなった。
焦っててよく考えなかったけど姫野さんをデンジから離したら、離した後すぐにゲボを吐き出すことになったはずだ。だからみんなからは姫野さんが吐くのを察知した人として見られて、別に誤解は受けなかったんじゃ……。
ごめんデンジ。先にトイレで待ってる。
僕がトイレをしているとすぐに荒井くんがデンジを介抱しながらやってきた。カワイソ…。口を濯げるように水でも持ってきてあげよう。
席に戻ると姫野さんの吐いたゲボの処理で金垣さん等が動いていた。どちらにせよ酸っぱい臭いから逃げられなさそうなことを理解した僕は水をもらうとさっさとにトイレへと戻った。
トイレでは荒井くんが姫野さんのゲロを飲み込んでしまったデンジの背中をさすって、便器へと吐かせているところだった。
「水持ってきたよ。大体ゲロが吐けたら、口の中濯いじゃいなよ」
「ありがとうございます」
吐いてて喋れないデンジに代わり荒井くんが答えた。
あの後は、特に事件が起こることなく新人歓迎会は終了した。途中、グロッキーなままのデンジを連れてマキマが店を出たので、デンジはチュッパチャップスを貰えたのだろう。
帰り際にマキマと目が合った気がするけど、生きてれば目ぐらい合うよね。気のせいだよ、気のせい。
現在は帰り道。隣を歩いているモンちゃんはマキマの奢りで沢山食事ができて満足げだ。
「モンちゃんはずっとご飯を食べてたけど、誰かと話せた?」
「一応全員と話す事ができたよ。みんなこれが気になるみたいだね」
そうモンちゃんが頭の角を指差す。確かに結晶でできた綺麗な角は良く目を惹くと思う。
「お酒は飲んだ?」
「よく考えたら酒に酔って殺された怪物もそれなりに多いことを思い出して……」
命の危険を感じて酒を飲むのをやめたようだ。
マキマの京都出張は来週の月曜日かららしい。つまり、その日がもみあげマン筆頭のヤクザによる公安襲撃だ。特異課は、1課から4課まで、ほとんどの人がその時に殺されてしまっていたので、僕が死ぬのを防げるのは即死しないであろう姫野さんだけになってしまうだろう。その姫野さんですら、ほっといたら幽霊の悪魔に全ツッパして綺麗さっぱり消えてしまうのだ。当日は近くで外回りをするつもりではあるが、それでも時間は多くないだろう。
複数人で唐突に銃撃をしているパターンが多かったと思うので他の人に危険を仄めかしてもあまり効果はないだろうし。他の人達の死体が生き返る状態になるといいのだけど……。
それに、当然僕らにも刺客が刺し向けられるはずなので、何よりまずそれらをどうにかしなくてはならない。明日が休みだというのに最悪の気分だ。
直接的に書いてないのに、想像して数え切れないほどオェッてなりました。