キヴォトスに転生したけど銃撃戦とか嫌なのでコンビニでバイトする   作:Minus-4

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Shift.11 店の中で騒いだり暴れたりする迷惑客は直接ぶちのめして叩き出すに限る

 

 

 ユウカちゃん・先生と駄弁り散らかしてから数日後。

 

 ついに! エンジェル24シャーレ居住区店、新装開店だあああああ!!!!

 

 ……新装開店って言い方、なんかパチンコ屋みたいでやだ。リニューアルオープンです。はい。

 

 いやー、気持ちがいいね! 以前までのやや薄暗い店舗とは大違い! 個人の商店みたいだったもんね、今まではさ。

 

 自動ドアはやたら高性能、監視カメラもディストピアかよってくらい設置! 米飯やアイス・冷凍食品やお菓子等の棚もピカピカの新品!

 

 

「ふふ、ふふふふ……どうだザマー見ろアホの店長。てめーなんかいなくたってこんなに店は立派になるんだよ」

 

 

 しゃららん。髪をかき上げつつ、もはや顔の輪郭すら曖昧になってきた店長を思い浮かべながらそんなことを呟いてみる。

 

 いやーしかしここまで綺麗になるとは! 改修業者の方々には頭が上がらないね、本当に。

 

 サービスで床のワックスがけとかまでやってくれたもんな。しかもサービスで無料(タダ)になったし!

 

 うふふん。最高の気分だよ、まったく。レジカウンターも、今後砲撃されるようなことがあったとしても壊れないくらい頑丈な作りにしてもらったから、これでソラすけも安心できるね。

 

 

「つってもまあ、今日も今日とてワンオペなわけですが……」

 

 

 今日のソラすけは体調不良でお休みだ。急な休みを申し訳なく思っていたようだけど、私は「どーせ今日暇だからだいじょーぶ」と返しておいた。

 

 ゆっくり休みゃあいいんだよ、ソラすけ。無理せずゆっくり治しなさいな。

 

 ワカちゃんはシンプルにオフ。ソラすけの代わりにヘルプで呼ぼうかと思ったけど、先述の通り、今日は暇なので。

 

 そんなこんなでワンオペと相成りました! 仕事はすでに終わっちゃったけどね、あまりにも暇すぎて。

 

 いやね、先生は毎日来てくれてんのよ。ユウカちゃんも用事があってシャーレに来ている時はしょっちゅう買い物に来る。

 

 ただね、今日は二人とも仕事が忙しいらしくてさ。そーゆーわけで、今日の私は誰とも顔を合わせてない。

 

 

「うおー……暇だ……」

 

 

 何気にめんどくさい補充品出しも終わったし、返本作業も終わってしまった。せっかく設備を最新のものにしたので、スムージーなんかも作っちゃったりしている。

 

 ずぞぞ。バナナミルクスムージーを飲んでみる。ふむ、お腹に優しい味がするな。朝とかに飲みたいぞ、これは。

 

 流石に380円もするだけあって、味は折り紙付きというわけか。エンジェル24、商品の美味しさはガチだからな。

 

 福利厚生? 経営陣(あちらさん)もね、ギリギリのようでして。

 

 ふざけんなよ、マジで。

 

 

「店員ももっと増やしたいよなあ……バイト仲間(負担を減らしてくれる人)なんていくらでもいていいんだから」

 

 

 一応求人広告も出しているのだけど、今のところ応募は0件である。

 うごごご、何がダメなんだ。アットホームな職場なんだぞ、うちは。

 

 ……まあ運が悪いと6連勤くらいする羽目になるんだけどさ。絶対これのせいだよね、応募が来ないの。

 

 はあ。私は深くため息をつく。いやね、ソラすけとワカちゃんがいてくれるだけでも大助かりなのよ。

 

 でもね、人間どーしても欲が出てきちゃうわけさ。二人よりも三人。三人よりも四人。そーゆーことよ。

 

 とか、そんなことを考えてたら、無駄に高性能な自動ドアがウィーンと無駄に高性能な音を立てて開いたので、私は接客モードに入る。

 

 

「いらっしゃいませー!」

 

「そんでさ、そんでさ! 私はそいつをぶっ飛ばして財布盗んだったのよ! ヤバくね、ヤバくね? ぎゃははは!!」

 

「ヤバすぎなんだけど! うーわ、それ()()過ぎるわ、半端ねー!!」

 

「…………お帰りくださいませー

 

 

 考えうる限り最悪の客が来やがった!

 

 んだこいつら、三人組か──ヘルメット団とかいう連中だったはず──ギャーギャー騒ぎやがって。

 

 しかも言うに事欠いて()()()()!? お前ここ、監視カメラとか人の目とか色々あるんだぞ!?

 

 ……あー、いや、()()()()()か。つまりこいつらは、自分たちがいかに恐ろしいやつであるのかを周囲にアピールして、優越感に浸りたいと、そーゆーこと。

 

 くだらな。しょーもねー、マジで。

 

 

「あっ店員さん! タバコのさ、ケプラーの8ミリ──」

 

「あー、すんませんね。未成年にはタバコやらお酒やらは販売できないんですよー」

 

「──はあ? いやいや、そういうのいいから! ね、だからさっさと売ってって」

 

「いやー申し訳ないです、それで売っちゃうと処罰されるのはこちらなのでー、販売することはできないんですよー」

 

 

 ごめんなさいね。

 形だけでもそう謝ろうとしたんだけど、しかしそうはいかなかった。

 

 それは何故か? 答えは簡単、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 ……はあ。これだからキヴォトス(こっち)の不良どもは嫌いだ。すぐに力ずくでどーにかしよーとするから。

 

 からん、ころん、()()

 口に加えていた棒付きキャンディ(ブドウ味)を甘噛みした。

 

 

「お前さあ、売ってくれればいいっつってんじゃん、何、喧嘩売ってんの? つーかタバコ売るだけなのに簡単なこともできないわけ?」

 

「…………手、離してくれません? それと、うちは喧嘩は販売してないです」

 

「やなこった。タバコ売ってくれるんなら離してやってもいーけど? それか、この銃で蜂の巣にされたいんなら、そうしてやってもいいぜ!」

 

 

 くすくす、くすくす。

 赤ヘルメットの後ろにいる二人が、私を嘲るように嘲笑(わら)った。

 

 銃口は私の眉間に添えられている。銃の種類はAR。引き金には既に指がかかっていた。

 

 ……はあ。

 どいつもこいつも。

 

 ()()()()()()

 

 

「で、どうすんの? 売るのか、売らねえのか。さっさと決めてくれないと、間違って引き金引いちゃうかもなー?」

 

「やめてください、警察呼びますよ。今ならまだ許──」

 

「グダグダうるせえよ黙って売れっつってんの!!」

 

 

 ばずんっ。

 

 私の眉間に銃弾がぶち当たり、直後激痛が走る。

 …………クソ痛えな、いや、マジで、涙出そう……。

 

 でももう、そーゆーのは、全部どうでもいい。

 

 ナメられるのは嫌いだ。飴を舐めるのは好きだけどな。ゲラゲラ笑って「言うこと聞かないからだよ〜」みてーなことを言ってるこいつらに、一泡吹かせてやりたい。

 

 ……痛みの波が少しずつ収まり、それからふつふつと怒りが湧いてきた。

 

 ルールを破ってるのはそっちの方じゃねーか。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 人間、ナメられたら終わりだ。

 だから、二度とナメた口聞けねーようにしてやる。

 

 

「ぎゃははは! いつまで済ました顔してんだお前、情けねー! ほら店員、悔しかったらやり返してみろよ! つってもお客様は神様だから──」

 

 

 めぎっ。

 本当はもっと色々な音がしたけど、しかし状況を端的に表すのであれば、その擬音が最も相応しかったと思う。

 

 私は赤ヘルメットの頭を()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。流石は戦車の砲弾にも耐えるカウンター、頑丈だった。

 

 

「んなっ……お前っ、いきなり何を──!!」

 

「頑丈なヘルメット使ってんのな。それも人から盗んだ金で買ったのかよ」

 

「待て、待てって、待って! おい、離せ──」

 

 

 言葉を紡ぎ切る前にもう一度レジカウンターへと叩きつける。ばぎゃん、ばぎゃん、ばぎゃん。叩きつけるたび変形するヘルメット。ゴーグルは既にバキバキに粉砕されている。

 

 赤いのが「分かった、分かった! もうしないから!」とくぐもった声で言うが、信用などしてやるはずもない。三ヶ月前キヴォトス(こっち)に来た時から、何度も使われた手口だ。

 

 ここで中途半端に解放すると、今度は大勢仲間を連れてくっからめんどくせーんだよ。

 

 ばぎゃん、ばぎゃん──ヘルメットは既に原型を留めていない。プラスチック片を無理やりツギハギにしたみたいな物体ができあがっていた。

 

 ほとんど悲鳴みたいな声をあげている赤ヘルメット。大袈裟だな、痛いのは嫌いだから、ほとんど痛くないよう、叩きつけるのはヘルメット部分だけにしてやってるのに。

 

 ……あーもう、うるさいうるさい。ぎゃーすか騒ぐなやかましい。あんまりにも鬱陶しいので、私はレジカウンターを飛び越え、赤ヘルメットを床に押し倒した。

 

 

「──ッ! おい、それっ、ショットガン……!?」

 

「おいなあ赤ヘルメット。今すぐ『ナメた口利いてすみませんでした』って言えたら許してやるよ」

 

「はあっ!? なんでっ、私がそんなこと言わなきゃ──っあ!?」

 

 

 口答えをしてきたので愛銃を一発ぶちかましてやった。

 忘れんなよ。お前が下で、私が上だ。

 

 と、そうしてマウントを取っていると、黒ヘルメット二人が動く感じがしたので一瞥してやる。するとすぐさま、何かをするつもりはなくなったようだった。

 

 

「なあ、うちの店は今日リニューアルオープンしたばっかなんだよ。それなのにお前らみてーな連中に荒らされるとさ、こっちもたまんないわけ」

 

ぐぁ……っ、何が、言いたいんだよ……!」

 

「さっさと出てけっつってんだよ。クソガキが調子付いてんじゃねえ」

 

 

 あえて強い言葉遣いをして、ビビって帰ってくんねーかなあ。そんなことを考えてたわけだが、しかしまだ反抗的な態度。

 

 しょーがねーから二発目もぶち込んでやるか──愛銃を構えたところで、ようやく赤ヘルメット(粉砕されているのでもはやヘルメット要素はない)は「分かった、分かった! 二度と来ないから!」と言って、他の二人を引き連れ退店していった。

 

 

「あっ、普通に買い物しに来るだけなら全然来ていいから、更生してからまた来いよー」

 

「こんな店二度と御免だ! うわあああん!!」

 

 

 そんな、別に泣かなくたって……いやまあ、泣かせるつもりではあったんだけどもさ。

 

 お前言っとくけど、今日ワカちゃんがシフトだったらこの程度じゃ済んでないからね。むしろ感謝してな。

 

 ……ふう! いやしかし、ゲヘナに比べたらだいぶマシだったね! これがゲヘナなら踏んだり蹴ったりしないとやり返されるところだった。

 

 にしても、レジカウンターが本当に頑丈! あんだけ叩きつけても傷一つないし! 逆にどーゆー素材でできてんのよ、これ。

 

 

「うふふ、ソラすけとワカちゃん、このお店見たらどんな顔するかなあ」

 

 

 明日はソラすけが、明後日はワカちゃんがそれぞれシフトを入れてくれている。

 

 私は二人が綺麗になったお店を見てどんな反応を返してくれるのか、そんなことを妄想しながら、再び通常業務に戻ったのでした。

 

 






 現実でレジカウンターにお客さんの顔面を叩きつけると普通に捕まりかねないので、みんなはやらないでください!

 なんかここ最近やたら評価とか感想とか、ここすきとかお気に入り登録とかしていただけて、感謝の念に包まれながら日々を過ごしてます。
 本当にいつも読んでくださってありがとうございます! 感謝しかないです!

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