キヴォトスに転生したけど銃撃戦とか嫌なのでコンビニでバイトする   作:Minus-4

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Shift.15 バ先に普段あんまり話さない知り合いが来るとギリ気まずいが勝つ

 

 

 ワカちゃんがカイザーに喧嘩吹っ掛けに行ってから数日後、先生がようやくシャーレへと帰ってきた。

 

 いやまあ、前々からちょくちょく帰ってきてたらしいんだけどね? 私はその事実を知らなかったので、普通にすれ違ってました。アホ。

 

 いやしかし、聞いた話によると随分大規模なドンパチをしでかしてきたらしいねえ。何でか知らないけど、ゲヘナの風紀委員とかトリニティのティーパーティーも参戦したらしい。

 

 あとなんか、便利屋68とかね。

 いやあ懐かしい、二度と会いたくない──っつーか、二度と()()()()()()()()

 

 ナメられるのは嫌いだ……けど、()()()()()()()()()()のは、それはそれで困る。

 

 油断も隙もなかったねえ、連中は。いや、隙はあるにはあるんだけど、そこを突くと向こうのギアが上がっちゃうっつーか。

 

 とにかく、二度とやり合いたくない。痛かったし。

 

 

「……はあ。今日も暇だぜ、少しくらい忙しくなったっていーのにな」

 

 

 からんころん。ラムネ味の棒付きキャンディで口寂しさを誤魔化すのにも限度ってもんがあるよなあ。

 

 どさ。レジカウンターに突っ伏し、無駄に高性能な自動ドアを凝視する。今日はユウカちゃんも来なかったし、他のお客さんも来なかった。

 

 先生も後始末で忙しいらしく、仕事に追われているので今日はお店に来ていない。ワカちゃんはブラックマーケットへ視察に、ソラすけは普通に元からオフである。

 

 つまりは今日も今日とて暇! 毎日毎日おんなじ仕事の繰り返し! まったくさ、少しくらいは新たな刺激があってもいいじゃんね……。

 

 がじがじ。棒付きキャンディの棒部分を噛みまくる。痛い! やんなきゃよかった、こんなこと。

 

 と、そんな風に馬鹿なことをしていたタイミングで、いつもの如く、無駄に高性能な自動ドアがウィーンと音を立てて開いた。

 

 

「いらっしゃいませー」

 

「……あれ。もしかしてあなた、〈亡霊〉?

 

「…………あははは、誰のことですかねー? 私は有働キョウカですよー。てか、このお店には幽霊とかいませんよー?」

 

「いや、私の目の前にいる、あなたのことなのだけど……」

 

 

 いやさ、確かに刺激が欲しいとは言ったよ? 言ったけど、だからってそんな落雷みたいな衝撃はいらないのよ。

 

 青天の霹靂──どころの騒ぎではない。天変地異に立ち向かうか、目の前の彼女に立ち向かうかなら、私はノータイムで前者を選ぶ。

 

 何で、どうして、空崎(そらさき)ヒナが、ここに──!

 

 ……んえ? 何でこんなに怯えてるかって? いやさ、そりゃあ言わなくても察してよ。ほら、私って()()()()()だよ?

 

 うん、つまりそーゆーこと。一回やらかしてやり合った。二度とやり合いたくない。てか、顔も見たくない。

 

 

「……えっと、へへ、それで……? 天下のヒナ様がどーしてこんな場末の弱小コンビニに……?」

 

「キョウカ、あなたってそんなキャラじゃなかったと思うのだけど……まあいいわ。今日は()()()()()()()()()()()()()()()()だけ。前みたいにあなたを制圧しに来たわけじゃない」

 

「なるほどねえ。つまりヒナヒナはもののついででうちに寄っただけなんだ。なーんだ! そーゆーことなら早く言ってよー!」

 

「ええ、そういうことよ──ヒナヒナ……? 私のこと……?

 

 

 何だよそっか心配して損した! ゲヘナからここまで私を追いかけてきたのかと思ったじゃん寿命縮まるかと思ったー!

 

 そーゆーことなら話は簡単だ。私は普段通りに普段通りの接客をして差し上げればいい。

 

 あっでも、やっぱ少し暇だから話し相手になってよ。いい? よっしゃ、ありがとねヒナヒナ。はい、飴あげる。いらない? 美味しいのに。

 

 

「いやしかし、ここ最近凄まじい活躍じゃないの。先生から聞いたよ、この前はカイザーとやり合ったんでしょ? どーだったよ、手応えは」

 

「全然ダメね。大人が相手だったから、私にしては珍しく、結構気合を入れて向かったのだけど……まるでダメ。私が出るほどでもなかった」

 

「ヒナヒナが出なきゃいけない状況ってのも中々想像できないけどね。それこそ便利屋とか──あとは〈災厄の狐〉とか、そのレベルじゃないと」

 

「〈災厄の狐〉も便利屋も、どちらも先生の方に与していたわ。だからもしかしたら、あなたもいるんじゃないかと思っていたのだけど……」

 

「いやいや、まさかそんな。私は痛いのが嫌いなんだから、そんなところに首突っ込むわけないじゃん!」

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()?」

 

 

 あうち。そこを突かれると私は弱いぞ、ヒナヒナ。

 

 いや、でもさあ。あれは普通に万魔殿(パンデモニウム・ソサエティー)と風紀委員会の見分けが付きづらいのがいけないと思うの。

 

 ほんとごめんて。私だって風紀委員ちゃんたちとやり合うつもりはなかったの! 万魔殿とだけやり合えれば──それもダメ? けち。

 

 いやでもさ、あれは私悪くないと思うの。ゲヘナではナメられたら終わりでしょ? 二度とナメた口利けないようにしてやらないとじゃん!

 

 ありとあらゆる抗議を試したものの、ヒナヒナは「風紀委員長としてそれは止めないといけないから」の一点張りだった。

 

 てか今更だけど、あの時は迷惑かけてごめんね。怪我は治った? マジかよ、一日で治ったんだ……私? 私も大丈夫よ、骨はもうくっついてるし。

 

 

「まーいいや、ごめんね、呼び止めて。なんか買ってく? エナジードリンクとか、エナジーゼリーとか、エナジー食品とかいろいろあるけど」

 

「いえ、遠慮しておく。これ以上カフェインを摂取したら、多分本当に再起不能になるから」

 

「休めよ普通に。え、ヒナヒナマジで大丈夫? シャーレとか来てる場合じゃなくない?」

 

「心配は必要ないわ。どれもこれも、()()()()()が締結されるまでの辛抱だから」

 

「……ま、止めはしないよ。どーなっても知らんからね、ワーカホリックめ」

 

「ふふ……学校にも来ないでバイト漬けのあなたがそれを言う? いえ、冗談よ。そんな目をしないで」

 

 

 くくく、意外と言うじゃねーかよこいつ。

 たったの一度(以前のあれこれも含めれば都合三度目である)顔を合わせただけだけど、ヒナヒナとは案外価値観合ってるのかもね。

 

 労働とかめんどくさい。将来的に楽をしたい。()()()()()()()()()()()()()()()()。私は、ヒナヒナもそんな感じだと踏んでる。

 

 とか、そんなことを考えているうちに、ヒナヒナはこれからお昼ご飯として食べるのであろう、食べ物と飲み物を持ってきた。

 

 ぴっぴっ。私はそれを素早くレジへと打ち込む。えーっとなになに、おかゆ、味噌汁、緑茶……。

 

 

「休めって!」

 

「……いえ、疲れてるとかではないから。ただちょっと、最近重いものを胃が受け付けないだけで」

 

「いやお婆ちゃんかあ!!」

 

 

 この子、本当に大丈夫なんだろうか? ストレスで頭おかしくなっちまったんじゃないのか?

 

 ……まあ、何でもいーや。

 最悪の場合、風紀委員会なんて辞めちゃいな。

 

 そんなことを考えつつ、私は商品を販売した。

 

 






 なんだかんだで15日連続投稿です! なんで書けてるんでしょうか。
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