第一話 悟空とベジータが消えた!? 新たな冒険の幕開け
戦闘民族、サイヤ人。
好戦的で強大な戦闘力を持ったその種族は、数多の星や命を滅ぼし、宇宙を気ままに荒らしていた…だが、彼らはやがて、自らの戦闘力をはるかに越えた存在であるコルド大王、そしてフリーザに屈服し…
挙げ句の果てに、彼等の母星『惑星ベジータ』諸共滅ぼされてしまった。
…しかしその惑星ベジータの破壊から逃れ、生き残ったサイヤ人が僅かに存在していた。
生き残ったサイヤ人のうち、二人の名は、『孫悟空』と『ベジータ』。
二人は互いに争い合いながらも、認め合い、時には共闘し…
地球、異星、宇宙、そして魔界。あらゆる場所で、強大な敵と戦い続けていた。
…そんな彼らの、次なる舞台とは––––––––
「はぁぁぁぁっ!!」
「でりゃぁぁぁぁっ!!」
太陽に照らされ、光る雲を突き抜けた上空。
鳴り響く轟音と共に放たれる凄まじい衝撃波と共に、二人の戦士が殴り合いの『勝負』をしていた。
「へへ、また腕上げてんな! ベジータ!」
「当然だ! いつまでもナンバーワンで居られると思うなよ!カカロット!」
フリーザを打ち倒した戦士『孫悟空』…そして彼のライバルの、サイヤ人の王子『ベジータ』
彼らはまた、どちらが最強かを決めるため、幾度目かの戦いを繰り広げていた。
そして地上では、そんな彼らの戦いを観戦する者たちが。
「いけぇーっ! お父さーん!」
「負けるなーっ! パパー!」
悟空とベジータの息子、『孫悟天』と『トランクス』。
「また派手にやってんなーあいつら。」
「ベジータの奴、随分腕を上げてるみたいだな…孫との実力差はまるで無さそうだ。」
悟空のライバルでもあった、『クリリン』と『ピッコロ』。
「ベジータさん、父さんに超サイヤ人4の事隠されてたって知ってから、精神と時の部屋で修行したみたいですからね。きっと悔しかったんでしょう…」
そして、悟空の息子の長男である、『孫悟飯』。
「はぁ…ほんと飽きないわね、あの二人。」
「そうだな…ま、今回は許すだ。」
さらにベジータの妻である『ブルマ』、そして悟空の妻の『チチ』が、いつものように二人の戦いを見守っていた。
「あら、珍しいわねチチさん。」
「悟空さ、最近は真面目に働いてくれてたしな! 今回ばかりは大目に見るべ!」
「まあ! 奇遇ね、うちのベジータも最近色々手伝ってくれるようになったのよ!」
「ほんとか!? 悟空さ以上に修行ばっかしてる、あのベジータさんまで…」
「…何かが起こる前触れかしら。」
「オラもそんな予感がしてきただ…」
普段修行ばかりの二人の夫が、全く同じ時期に働き始めると言う珍しい出来事。 本来なら喜ぶべき事だが、それはあまりにも珍しすぎた。そのせいかチチとブルマは天変地異か、また地球の危機でも起きるんじゃないかと予感し始めた。
もっとも、その悪い予感は斜め上の形で的中する事となる。
「これで終わりだ、カカロット!」
「おーし、来い! ベジータ!」
そんなこんなで、二人の戦いはついにクライマックスとなった。
両者はそれぞれ構えを取り、『気』を溜め始める。
「はぁぁぁぁぁぁ…!」
「か…め…は…め…」
青色の光と、紫色の光が輝き、雲と大地を照らす。
『気』を溜めることによって生じる二つの光は、どんどん輝きを増していき、そして––––––––––
「ギャリック砲ォッ!」
「波ぁぁぁぁぁっ!!!」
二人の咆哮と共に、光線となって放出された!
「んぎぎぎぎぎぎ…」
「うおおおおおおおっ!!」
二つの光線はお互いに向かっていき、衝突。
どちらも絶対に負けまいという意思と共に、激しくせめぎ合っている。
「うおらああああああああっ!!」
「くっ…はあぁぁぁぁぁぁっ!!!」
二人が一層気合と力を入れると、せめぎ合い続けた二つの光線は、やがて中心で眩しい光と共に大爆発を起こした。 爆発の光は、かめはめ波とギャリック砲を放っていた悟空とベジータをも巻き込むほど、大きく広がっていき…
「なっ!?」
「いいっ!?」
やがて光に巻き込まれた二人は、ついに姿が見えなくなった。
はたして、勝ったのはどちらなのか? と、一同は考えていたが…
「やれやれ、これで終わりかしら?」
「…あれ?」
…戦いの観戦者たちは、ある違和感を覚えた。
「…ちょっとブルマさん、何か変じゃねえだか?」
「え?」
戦いが終わった後にしても、静かすぎたのだ。
二人の話し声や、舞空術が起こす風の音があっても不思議ではないと言うのに。
「おいおい…あいつら、戦いが終わった後に何処行ったんだよ?」
おまけに、気配も感じられなくなった。 観戦者達のざわつきが、だんどん強くなっていく。
「お父さん達が消えちゃった?」
「何言ってんだよ悟天! 気を読めばパパと悟空さんの場所ぐらい…あれ?」
「…ね、ねえピッコロ! 一体何があったの!? あんたならわかる…」
「…」
ブルマは振り向くと、同じく戦いを見ていたピッコロに、この違和感の正体を乞おうとする。
…だがそんなピッコロもまた、この状況に眉をひそめていた。
「…ピッコロまで…み、みんなどうしたのよ?」
「…悟飯、孫とベジータが何処にいるか分かるか?」
「いえ、それが僕にも…ピッコロさん、これって一体…」
「分からん…気配を消しただけか、もしくはそのまま瞬間移動で遠くに行ったか…だとしても理由が…」
やがて爆発によって生じた煙が晴れ、青空が見え始める。
そこには、悟空とベジータの姿は無かった。
「ベジータと孫くんが消えた…!?」
「ご、悟空さが行方不明になっちまっただぁ〜っ!?」
自分の夫が突然消えたと言う現状に直面し、二人の妻は混乱する。
孫悟空とベジータ。
二人のサイヤ人が、全員の目の前から突如姿を消した。
…あれ? 何でオラ、こんな暗いとこで椅子に座ってんだ? ここどこだ?
オラは確か、さっきまでベジータと戦って、ちょっとやりすぎて自分の攻撃に巻き込まれちまって…そんで…
…駄目だ、そっからが思い出せねえ。とりあえず、ベジータの居場所を見つけねえと。
…? ベジータの気が探れねえ。何かに邪魔されてるんか?
「あのー…」
「ん?」
「ちょっとよろしいでしょうか…?」
「良いけんど…おめえ誰だ?」
「あ、申し遅れました。私、女神ナテアと申します。」
女神ナテア…? 女の神様っちゅう事か? 神様にも、まだまだ色んなのがいるんだな。
とりあえず、オラも名乗って色々聞いてみっか。
「オラ、孫悟空! おめえがオラをここに連れてきたんか?ナタア。」
「ナ"テ"アです! …そうです。ある私たちの望みのため、ここに来ていただきました。」
「望み?」
「ええ…これは他でも無い、地球中のあらゆる人間の希望である、あなたにしか頼めない事なんです。」
「…オラにしか頼めない事って、何だ?」
「私たちの望みは…あなた達から見た異世界…私たちの愛する世界を救って頂く事です。」
「世界を救う、か…」
前にもこんな事が…ああ、オラが1日だけあの世から帰って来た時だったな。 ブウが出てくる前の天下一武道会の時だ。
オラとの勝負邪魔されて、ベジータ怒ってねえと良いけどなぁ…
「ま、オラは別に良いけどよ、何すりゃ良いんだ?」
「今から10年前、私たちの世界で突如魔王バラルが復活したのです。」
「魔王バラル…?」
魔王…? ゴマーとかピッコロみたいな奴か? 強えんかな。
「復活した魔王バラルは、その恐ろしい魔力で世界中の魔物を暴れさせ、世界を恐怖に陥れました。」
にしても魔王か…最近じゃ、大魔界を思い出すな。
ゴリロー…グロリオもパンジも、あいつら元気してっかな?っと、今はそんな事考えてる場合じゃねえな。女神様の話聞かねえと。
「ですが神である以上、直接世界に干渉する事の出来ない私たちは、他の世界から人間を連れ、『勇者』として世界に送り、世界を救って貰おうとしましたが…」
勇者…勇者ってえと、タピオンみたいな感じか? ……ありゃ、誰でもなれるもんなんかな。
「それでも魔王の力は想像以上に強大で、世界の救済は困難を極めました…」
「だからこそ!最強の戦士サイヤ人である、あなた達の力が必要なのです!」
あなた「達」? そういや、多分オラと一緒に巻き込まれてたベジータは…
「なあなあ、もしかしてオラだけじゃなく、ベジータも来てんのか?」
「ええ。あなたの前に、既に勇者として世界に送らせていただきました。あの人は気難しくて、ちょっと苦労しましたけどね…」
ベジータが勇者か……なんか全然似合わねえな。
「そっか、ベジータのやつもう先行ってんのか…こりゃうかうかしてられねえな!」
「あーっ待ってください! まだ説明が!」
「何だよ、まだなんかあんのか?」
「ええ、すみません…とにかく、これまで通りよく聞いてください。 私たちの世界の仕組みについてお話しします。」
「仕組み?」
「まず現地…異世界での話なのですが。そこでは強さなどが『レベル』として『ステータス』に表示されます。」
「すてーたす? ステータスって何だ?」
「そうですね…試しに頭の中で、ステータスが見たいなーとか、そう言ったことを考えてみてください。」
えっと…こうか。
出てこいっ!ステータス!
…おわっ!?急に光る板見てえなのが現れたぞ。
「な、何だこりゃ!?」
「それがあなたの『ステータス』を写す、『ステータスウィンドウ』です。成功したみたいですね。」
「ひゃーっ! すげえな! 頭ん中で考えただけで出てくんのか!」
『すてーたすうぃんどう』っちゅう奴には、変な文字がいっぺえ書いてあった。 どうやら、こいつがオラの力、『すてーたす』を示してるみてえだ。
「レベルは300…! さすが孫悟空さん…凄まじい力です。」
「なあなあ、ベジータのレベルはどんぐらいだったんだ?」
「ベジータさんのレベルは…301でしたね。」
「いいぃっ!?」
ベジータの奴、オラのことをちょっと越えてたのか!? ちっくしょー、悔しいな…
…けど、おかげでやる気湧いて来たぞ。
「ま、まあたった1レベルの差ですし、そんな気にする事もありませんよ!…でも、何だか嬉しそうですね。」
「へへっ、オラもうかうかしてらんねえって思ってさ。 流石ベジータだ…超サイヤ人4の力付けたオラを、いつの間にか追い越してたなんてよ。 なあ、ナテア。 ベジータはもう異世界っちゅうとこに行ったんだろ?」
「ええ、既に勇者としての旅路を歩み出しています。」
「よーし。じゃ、早えとこオラを送ってくれ! オラ、ワクワクして来ちまった! ベジータよりも先に、魔王バラルって奴ぶっ倒してやる!」
異世界っちゅうとこで色んな強え奴と戦って、色んな食いもん食って、色んなとこ冒険して、いっぺえ強くなって、そしてベジータとまた戦って…
ひひっ、考えだしたらもっとワクワクしてきたぞ!
「…ふふっ。噂の通り、本当に頼もしい人ですね。 他の勇者の皆さんが憧れるのも頷けます。
わかりました。 では今から、あなたを私たちの世界へ送ります。」
「おう!」
ナテアはオラに向かって手をかざした。 魔法かなんかで送るんかな。楽しみだ。
そう思ってっと、何か思い出したみてえにナテアが口を開いた。
「あ、最後に一つ。」
「ん?なんだ?」
「転移の際、力の均衡を調和するためレベルは1にリセットされます。 それを踏まえてご注意を。」
「へっ?」
ちょっ、ちょっと待てよ、それじゃあもしかして、オラは超サイヤ人どころか界王拳も…
「それでは孫悟空さん、ご武運を。」
「ちょっ…!」
そんな疑問をナテアにぶつける前に、オラは光に包まれて…オラの新たな冒険が始まった。
皆さん初めまして。 もしも悟空とベジータが異世界転生したら…?とふと思いついて、試しに書いてみました。烈海王が異世界転生ひたんだし、悟空とベジータが異世界転生してもおかしくないだろ的なノリです。
不定期更新にはなりますが、温かい目で見守っていただきたい…
あと、もしかしたらデカめの解釈違いとかあるかもしれないので、そこら辺指摘していただけるとすっごく助かります。