あ、皆さん誤字報告と感想ありがとうございます!! 評価もしてくださってほんと助かります…!
(10/1 22:34)最後の展開をちょっと変えました。 すまねえ。
オッス、オラ悟空!つっても、誰に言ってるかはよく分かんねえけど。 今は宿の前で、ルヘとユウトを待ってるとこだ。 けど、それまで退屈だかんなぁ…そうだ、とりあえずこの前の戦いから、何があったかを思い出してくぞ。
昨日は何したっけなあ…そうだ、この前助けてくれた奴が、実は勇者ん中で一番強えって言うユウトって奴で、そいつに憧れてたルへが、大喜びで抱きつきに行ったんだ。 そんで何やかんやあって、今は一緒に村に戻って、宿で休んでるって感じだ。
…お、ルヘが起きてきたぞ。
「…おはよう、悟空。」
「おう! よく寝れたか? ルヘ!」
「全然…あなたは朝っぱらから元気ね、ハァ…」
「何だ、まだ落ち込んでんのか?」
「当たり前でしょ! あんな事、一回寝た程度で切り替えられるものじゃいわよ!」
っとそうだ、なんでルへがこんな落ち込んでるかってのは…
たしか、昨日村に戻ってきた時の事だ。 こん時はルへはユウトにくっついてた。
「クソ、もう戻ってこないって言ったのに…」
「もう暗えし、しょうがねえさ。 おめえもゆっくり休みてえだろ?」
「そうだが…その…」
「あの…ユウト様? 今日は一緒の部屋に…」
「泊まらねえよ。 ってかなんでそんなデレデレしてくんだ、気持ちわりい。」
「きもっ…!?」
女に気持ちわりいって言う事がどんだけやべえかってのは、オラでも分かる。 だからこん時は、オラもだいぶおでれえたな。 そう言われちまったルヘの顔も、なんだか真っ赤どころか真っ青になってたしな。
「ゆ、ユウト…そりゃねえよ!」
「知るか。 さっきから変にくっついて来やがって、鬱陶しいんだよ。」
もう一発と言わねえばかりのユウトの言葉が、さらにルヘに突き刺さった気がしたぞ。 っつうか、思いっきり刺さったみてえだ。 ルヘの顔に流れる汗が増えてた。
「え…あ、い、いやあその…わ、私は最強の勇者である、あなたに憧れて冒険者になって…」
「は? 最強の勇者?」
「へっ?」
「え? 違うんか?」
「違えよ。 そう呼ばれてたのはもう七年くらい前だ。」
「な、なななっななっ…!?」
「な、七年っ!?」
こん時はオラもかなりおでれえたなあ。 ユウトがもう最強じゃねえとか、理由は色々あんだけどさ、ルヘの知識がだいぶ遅れてるって知ったってのがでけえ。
「…時間感覚が狂ってるエルフでも、3年くらいすればその辺の情報は来るはずだぞ。」
「あ、あーえっと…その…」
「…もう良い、さっさと宿に入って寝る。 嫌な記憶が蘇っちまった。」
「あ! 待ってくれよユウト! オラと一回戦ってくれ!」
「何で戦う必要がある。 そもそも今日は疲れたんだ、じゃあな。」
ユウトは暗え顔で、村の宿に入って行っちまった。 けど後ろを振り返っと、ルヘも負けねえくれえ暗い顔してたな。
「…なあルヘ、だ、大丈…」
「は、はは…き、きらわ、嫌われ…て…あは、あはは…」
「…さ、先行ってっから、おめえも後で来いよ!」
…なんか声かけても、余計に傷つけちまいそうだったからな。 オラもルヘを置いて先に行っちまった。 あん時よりは、ルヘもだいぶ回復してそうなんだけどよ…
「ハァ…どう声かければ…」
まだ朝だってのに、今日で5回目のため息だ。 でえじょうぶかなぁ…オラすげえ心配になってきたぞ。 とりあえず、応援くれえはしとくか。
「なあに、気にすんな! 謝りでもすりゃあ、許してくれるさ。」
「そう簡単に許してくれるかしら…一番言われたくない事言っちゃったらしいし…」
「でえじょうぶだって! とにかく、すまねぇって気持ちを伝えさえすりゃ良いぞ!」
「すまねえって気持ち…」
ま、頑張ってくれよルヘ。 おめえの暗え顔はあんま見たくねえからな。
「…そうよ…そうよね。 うん…うん、分かった! ありがとう、悟く…」
「…なんだ、お前ら俺のこと待ってたのか?」
「あっ!? ゆっ、ゆゆ、ユウトさ…」
おっ、ユウトも起きてきたな。 …でもタイミングがまずかったな。 ルヘの心の準備がまだだったみてえだ。
「あ? まだいたのか、お前。」
「…あ、あの!」
お! いいぞ、頑張れルヘ!
「ああ?」
「き、昨日はその…ごめんなさ…」
「おお君たち! 昨日は本当にありがとう!」
「げっ、おっさん…」
「ら、ラナバのおっちゃん…」
な、何ちゅうタイミングで来ちまったんだ…ルヘの決意が飛んでいっちまったぞ。
「ど、どうしたそんな顔して…もしかして、来たら不味かったか?」
「い、いやいやでえじょうぶだ! 気にすんな、ラナバのおっちゃん!」
「お、おおそうか…」
「…」
ルヘの顔が一層暗くなりやがった…まじいぞ…
「それはそうと、報酬の30000ゴールドだ。 受け取ってくれ。」
「えっ!? こ、こんなに…良いんですか!?」
「もちろん! ゴブリンとの関係も改善したし、元凶も倒してくれたしでこちらもかなり助かったからな! その気持ちとして受け取ってくれ!」
「やった…ありがとう! ラナバさん!」
どうやらいっぺえ金が入ったおかげで、ルヘも少し元気が戻ったみてえだ。 ひゅう…ひとまず、これで安心だな。
「それにしても…結構早く戻ってきたな、ユウト。」
「…戻ってくるつもりは無かった。 俺はただこいつらに連れてこられただけだ。」
「ふふっ、そうか。」
そういや、結構仲良いみてえだけどこの二人…いってえどんな関係なんだ?
「なあなあ、ユウトとラナバのおっちゃんってどういう関係なんだ?」
「ああ、こいつが新米勇者だった頃からの付き合いでな。 昔はこいつも半人前の勇者だったんだ。」
「ユウト様が、半人前…?」
「1年間ぐらいだったか、ユウトはずっとこの村の近くでモンスターを倒して、レベルを上げてたんだが…一匹狩る度にボロボロになって、その度にこの村へ来てたんだ。」
なるほどな…そんな奴が最強とまで言われるようになるなんて、すげえ頑張ったんだな。
「余計な事言うな。」
「良いじゃないか。 どうせしばらく、この二人と冒険するんだろ? このくらいは知っといて良いと思うぞ。」
「はあ? いつからそんな話になったんだおっさん…こんな奴らと、一緒に行く訳…」
「良いじゃねえか! その方がぜってえ楽しいぞ!」
「……楽しいわけが…」
…苦手な奴と行動するって言うよりは、妙な落ち込み方だな。 なんかあったんかな?
ま、いいか。 今はちげえらしいけど、一番強えって言われてた奴と一緒に冒険出来るなんて、オラワクワクしてきたぞ! 冒険の途中で、なんけえか修行つけてもらいてえなあ。
「ところで二人とも、どこに行くのか決まってるのか?」
「ん? そういやそうだな…ルヘ、どこ行くか決まってっか?」
「ええ、カノスバ街よ。 あそこなら、貰った報酬で良い装備が買えるかもしれないし。」
「カノスバ街か! そこってどんなとこなんだ?」
「そうね、後で歩きながらでも話すわ。」
「おし! そういや、ユウトはどこ行くんだ?」
「……俺はガロンド谷…」
「嘘を付くな。 お前もカノスバ街だっただろ?」
「う…」
「お? ってことはオラ達と一緒か! へへっ、よろしくな!」
「……はぁ。」
そのあと、ラナバのおっちゃんにいっぺえご馳走してもらって、ルヘの燃えた上着の代わりも貰った。 村を救ったお礼って言ってたけど、ラナバのおっちゃん、すげえ良い奴だったなあ。
そういや食事ん時、なんだかみんな変な顔してたな…そのあと「これからは腹八分どころか五分にしてくれ」とか言われたし。 オラ、また何かやっちまったかなあ…ま、良いか!
「よし、じゃあ気を付けて行けよ!」
「おう! あんがとな、おっちゃん! いつかまた戻って来っぞ!」
「は、はは…いつでも戻ってこい! あ、そうだユウト、聞きそびれてたんだが…」
「何だ。」
「…何で、この村まで戻ってきたんだ? お前はもうちょっと先の街に行ってると思ったが…」
「…たまたまここまで来ただけだ。 さっさと行くぞ、お前ら。」
「あ、はいっ! 行きましょう!」
つうわけで、ルフェの馬を連れてオラ達は村を出た。 目指すはカノスバ街っちゅうとこだ。 ルヘが言うには、でっけえ壁に囲まれた丸い街で、王都の次に冒険者が集まるとこでもあるらしい。 強え奴もうめえ食いもんもあるんかなあ。 街に着くんが楽しみだ。
…けど、楽しめてるんはどうやらオラだけみてえだ。
「…言っとくが、用が済んだらすぐにパーティから抜けるからな。」
「ええっ? 別に抜けなくたって良いじゃねえか。」
「そもそも、勇者が勇者のパーティに入ってること自体おかしいんだ。」
「まあ良いんじゃねえか? そっちの方が楽しそうだぞ。」
「楽しい、か…分からん。」
目ぇ逸らしながら、ユウトは小さい声でそう言った。 そいつはともかく、ユウトはもう最強じゃ無いとか言ってたけどよ…なんでそうなっちまったんだろうな? もっと強え奴が出てきたんか?
気になったし、早速聞いてみっか。
「そういやさ、何でユウトは最強って言われなくなっちまったんだ?」
「わ、私も気になります! ユウト様が最強じゃないだなんて…」
「…俺が弱かった。 そんだけだ。」
…こりゃ、詳しい話をしてくれる雰囲気じゃ無さそうだ。けど、せめてこんだけは教えてくれねえかな。
「じゃあさ、ユウトは昔より弱くなったんか?」
「…いいや、昔も今も変わってない。」
昔も今も…? よく分かんねえけど、それなら好都合だ。
「じゃあ、オラといっけえ戦ってくんねえか?」
「……は? 何で?」
「ちょ、ちょっと悟空! ほんとに戦うつもり!? ていうか、もうちょっと強くなってからって…」
「そう思ってたんだけどよ、さっきからうずうずして我慢出来なくてさあ。 つうわけでユウト、オラと戦ってくれ!」
「ちょっと待て、だから何でだよ。 そもそも、こんなとこで戦ったら魔物共に襲われるだろ?」
「へへっ、おめえが一番強えって聞いたからさ、ちょっとその強さを知りたくなっちまったんだ。」
「はぁ…?」
「魔物が襲ってきたら、そん時はぶっとばしゃ良いしさ、な?」
「…はぁ……」
ユウトの奴、ため息つきながら考え込んじまったぞ。 でえじょうぶかなあ…
「…しょうがない、その浮かれた面を叩き直してやる。」
おっ! やったあっ! これでやっと、ユウトと
「よーし! じゃ、さっさとやろうぜ! ルヘはちょっと離れててくれ!」
「ああもう、分かったわ…」
ルヘが馬と一緒に距離を置いたら、オラ達は互いに構えた。
くうーっ! いよいよ勇者と戦えるんか! それも一番強えって言われてた! 今のオラのレベルは、あの化け物花と戦って、死にかけて復活したおかげか、15になった。 サイヤ人の特性っちゅう奴は、今のオラにはすげえ効くみてえだな。
さてと、今の力でどんだけ戦えるか…いっちょやってみっか!
「おい、何ぐずぐずしてる。 来るなら来い。」
「へへっ、じゃあ遠慮なく!」
オラは足に力入れると、草むらの地面を蹴って、素早くユウトの前に迫った。
「でりゃあっ!」
「ふん。」
そんで左の拳をユウトの顔に振った。 けれど、ひょいっと頭を傾けて避けられちまった。
「まだまだぁっ!!」
「!」
「だりゃりゃりゃりゃりゃっ!」
続け様に、右足で回し蹴りをして、その後打撃と蹴りで連続攻撃を浴びせた。
「そんなもんか?」
「くっ!」
でも、そいつも全部避けられちまった。 参ったな、ここまで力ん差があるなんて思わなかったぞ。
じゃあ…ちょっと試してみっか。 クリリン、技借りっぞ!
「へへっ…じゃあこれならどうだっ!」
「あん?」
「ハァッ!!」
オラは両手に気を込めて、そいつを大きめの気弾にしてユウトに放った。
「なんだその魔法? それに遅い…避けてくれと言ってるようなもんだぞ。」
ユウトは軽々とそいつを避けた。 けど…
「へへっ、まだこっからだっ!」
「何?」
オラは気弾の軌道を変えて、上空に向けさせた。
「ああ?」
「はぁっ!!」
気弾が高えとこまで行ったら、両手を下に思いっきり振って、気弾を弾けさせた。
すると、たくさんの気弾が地面に降り注いだ!
「なっ!?」
「う、撃った魔法をさらに派生させた? いや、元からああいう魔法だったの?」
降り注いでくる気弾に、ユウトは立ったままだった。 こいつは当たったろ! って思ったんだけんど…
「…
「あっ!?」
持ってた剣で魔法使って、ユウトは自分に振って来る気弾を全部斬っちまった…そ、そりゃねえぜ…
「すごい…あれがユウト様のスキル技…!」
「…お前、中々厄介そうな魔法を使うんだな。 何だそれは?」
「『気』っちゅう力を使った技だ。 この
「気…だと? あれも武術の類だってのか?」
「そう言う事っ!」
またオラは、ユウトに連続攻撃を浴びせた。 さっきと同じく、また全部避けられてんだけど…
「…ふん。」
「あっ!?」
ついに出した右腕を、ユウトに掴まれちまった。
「そうやってがむしゃらに戦う事しか出来ないのか? ならお前には…」
「おわっ!」
ユウトは背負い投げの要領で、オラを地面に投げると…
「こうだっ!」
「がはっ!?」
オラの頭が地面に着く前に、オラの腹を蹴り飛ばした。
そのまま向こうの岩まで吹っ飛んで、オラの体は岩に叩きつけられた。
「い、いちち…」
「言い忘れてたが、俺のレベルは50。 お前のレベルは15だったか?」
「ま、まあな…」
「ならさっさと降参しろ、これがレベル差って奴だ。 自分が今立ってるステージってのが分かったろ。」
「へへ…確かによーく分かった。」
「なら…」
「けど勝負は…まだまだこれからだぜっ!」
まだ降参すんには早え。 オラは地面に伏した身体ぁ起こして、そのままユウトの方へ走って行った。
「……バカが…!」
ユウトは剣を抜くと、構えてオラに斬りかかろうとした。
「
「へっ!」
けど、オラはそのユウトの剣を急加速して避けた。
「なにっ!?」
「だりゃあっ!」
そんでユウトの後ろに回り込んで、腹に蹴りを叩き込んだ。 ついに攻撃が当たったぞ。
するとユウトは一度、後ろに退いた。 顔を見てみっと、どうやらそこまでダメージにはなって無かったみたいだ。
「ちっ…妙な事を…!」
「へへっ、やっとおめえに攻撃が当たったな。」
「…ふん。 その無謀さがどこまで続くか…」
「そりゃ…オラたちが戦えなくなるまでさっ!」
いままでの攻撃で、ユウトの動きが読めてきた。 勝負はこっからだっ!
「…魔王様、ご報告が。」
暗く、不気味な城の中枢で、扉を叩く音が響いた。その中枢では、周りの空間が歪むほどの邪気を放つ魔物の王…『魔王バラル』が、堂々と玉座に座り、君臨していた。
ここは魔王城。 世界を脅かす魔王が佇む城で、何人もの勇者が、この中で待ち受けている魔王に挑み、破れて行った。
「入れ。」
「失礼します、魔王様。」
扉は重く、大きな音を立てて開いた。 その中から、黒い肌、朱色の髪をした男の騎士が現れた。
「報告とは何だ、ハドラム。」
「ええ、実は先ほど…新たな勇者が二人、現れたとの報告がありました。」
「ほう? そいつらは何者だ?」
勇者が、新たに二人現れた。 しかし、そんな話を聞いても、魔王は余裕を崩さず、淡々と話を聞いた。
「片方の名前は分かりませんが、もう片方は『ベジータ』と名乗っていました。」
「ベジータ…勇者にしては妙な名前だ。」
「名前の分からない片方の勇者は、昔魔王様が返り討ちにした、ユウトを連れていた模様です。 理由は不明ですが…」
「ユウト? あの無謀にも向かってきた、命知らずの雑魚か…まあいい、続けろ。」
「さらにその新たな勇者達は、魔力とは違う謎の力を使っています。 何でも、『気』と言うものだとか…」
「気? ふむ、興味深いな…そいつらは、どう言う技を使っていたんだ?」
「何でも、両手から魔法弾の様なものを飛ばし、果てには人工的に光を作り出す事が出来たそうです。」
「…ふん、魔法とまるで変わらんな。 期待して損したわ。」
「…報告は、これにて以上です。」
「ご苦労。 だが念の為、軍の幹部を一人、そいつらに向かわせろ。」
「かしこまりました。 では、失礼しました。」
ハドラムは魔王に礼をすると、再び重い扉を開けて部屋から立ち去った。
「新たな勇者、か…この俺を楽しませてくれる奴に、なると良いがな…」
そう呟きながら、魔王バラルは怪しく、どこか恐ろしく底知れない笑みを浮かべるのだった。
「はぁっ…はぁっ…」
「…まさか、レベル15でここまで粘るなんてな。」
「ユ、ユウト様とあそこまで戦えるなんて…」
悟空とユウトの戦いは、すでに15分ほどの時が流れていた。 圧倒されるままかと思っていた悟空は、持ち前の根性と技でレベル50の攻撃に食らいついていた。
しかしユウトは、それ以外の何かを感じ取っていた。
「お前、一体何をした?」
「へへっ、さあな…」
「しらばっくれるな。 最初の方で、俺の
「…!」
「お前の身体が一瞬赤くなっていた。 何をした? 答えろ。」
「…」
「ど、どう言う事…? 悟空は何かしてたの?」
ユウトが言っている言葉を、ルフェは理解できていなかった。 二人の動きが早すぎて、そもそも細かい動きがよく見えていなかったのだ。
「…へへっ。」
「…!」
しかしユウトの言葉に対して、悟空はエビルフラワーに立ち向かった時と同じ、不敵な笑みを浮かべた。 その表情で、悟空にはまだ何かあるとルフェは感じ取った。
「バレてたか…じゃあ、わざわざ隠す必要もねぇな。」
「その通りだ。 小細工無しで、さっさとかかってこい。」
「へっ…じゃあ、見してやるよ!」
すると、悟空は力む構えを取った。 それに対し、ユウトも剣を構える。
「な、何が起きるって言うのよ…?」
「行くぜ…界お…!」
「フレイムボンバー!」
「っ!?」
しかし、悟空のその秘策は披露されることは無かった。 どこからか放たれた巨大な炎の弾が、二人の間に撃ち込まれた。
「おわっ!?」
「くっ!」
二人は後ろに下がり、間一髪で回避した。 炎の弾は地面に落ちると大きく爆発し、草原に巨大な火が燃え上がった。
「ちっ…何だ!?」
「何すんだよ、ルヘ!」
「私じゃないわよっ! 上見て上!」
二人はルフェの言葉通り、上を見上げた。 するとそこには、戦いに割り込んできた張本人が佇んでいた。
「へえ、避けられたか…このまま勇者二人を一網打尽に出来ると思ったんだけど。」
「おい! 誰だおめえは!」
「私は魔王軍幹部の一人、ラレッタ。 魔王様の命により、貴様らを殺しに来た!」
現れたのは、ラレッタと言う魔王軍幹部の一人だった。 赤い騎士の鎧を付け、顔を隠しているその魔物は、悟空とユウトの前に堂々と降り立った。
「魔王軍の幹部だと…?」
「な、何で幹部クラスがここに来てるのよ…?」
「若い芽は早めに摘んでおかねば、と言う奴だ。」
「へえ…オラ達の事、随分警戒してるみてえだな。」
「…!」
すると突如、ラレッタから凄まじい邪気と殺意が放たれた。 辺りが暗く見えるほどの邪気に、三人は圧される。
「あまり調子に乗るなよ…人間!」
「こ、こんなの…レベルが…」
「魔王軍幹部ってのも伊達じゃないな…!」
「…へへっ、やべえな、こりゃ…」
悟空ははっきり感じ取った。 この魔物は、自分たちより遥かに格上だと…だが。
「オラ、ワクワクしてきたぞ。」
悟空はまだ、笑っていた。
多分次で0章ラストです。 多分。