戦闘民族、異世界に襲来!   作:KKRT

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 チェンソーマンの映画滅茶苦茶面白かった…機会があればチェンソーマンのSSとか書いてみたい。
あ、皆さん誤字報告と感想ありがとうございます!! 評価もしてくださってほんと助かります…!
(10/1 22:34)最後の展開をちょっと変えました。 すまねえ。


第五話 最強の勇者登場!? その名はユウト

 オッス、オラ悟空!つっても、誰に言ってるかはよく分かんねえけど。 今は宿の前で、ルヘとユウトを待ってるとこだ。 けど、それまで退屈だかんなぁ…そうだ、とりあえずこの前の戦いから、何があったかを思い出してくぞ。

 昨日は何したっけなあ…そうだ、この前助けてくれた奴が、実は勇者ん中で一番強えって言うユウトって奴で、そいつに憧れてたルへが、大喜びで抱きつきに行ったんだ。 そんで何やかんやあって、今は一緒に村に戻って、宿で休んでるって感じだ。

…お、ルヘが起きてきたぞ。

 

「…おはよう、悟空。」

「おう! よく寝れたか? ルヘ!」

「全然…あなたは朝っぱらから元気ね、ハァ…」

「何だ、まだ落ち込んでんのか?」

「当たり前でしょ! あんな事、一回寝た程度で切り替えられるものじゃいわよ!」

 

 っとそうだ、なんでルへがこんな落ち込んでるかってのは…

 

 たしか、昨日村に戻ってきた時の事だ。 こん時はルへはユウトにくっついてた。

 

「クソ、もう戻ってこないって言ったのに…」

「もう暗えし、しょうがねえさ。 おめえもゆっくり休みてえだろ?」

「そうだが…その…」

「あの…ユウト様? 今日は一緒の部屋に…」

「泊まらねえよ。 ってかなんでそんなデレデレしてくんだ、気持ちわりい。」

「きもっ…!?」

 

 女に気持ちわりいって言う事がどんだけやべえかってのは、オラでも分かる。 だからこん時は、オラもだいぶおでれえたな。 そう言われちまったルヘの顔も、なんだか真っ赤どころか真っ青になってたしな。

 

「ゆ、ユウト…そりゃねえよ!」

「知るか。 さっきから変にくっついて来やがって、鬱陶しいんだよ。」

 

 もう一発と言わねえばかりのユウトの言葉が、さらにルヘに突き刺さった気がしたぞ。 っつうか、思いっきり刺さったみてえだ。 ルヘの顔に流れる汗が増えてた。

 

「え…あ、い、いやあその…わ、私は最強の勇者である、あなたに憧れて冒険者になって…」

「は? 最強の勇者?」

「へっ?」

「え? 違うんか?」

「違えよ。 そう呼ばれてたのはもう七年くらい前だ。」

「な、なななっななっ…!?」

「な、七年っ!?」

 

 こん時はオラもかなりおでれえたなあ。 ユウトがもう最強じゃねえとか、理由は色々あんだけどさ、ルヘの知識がだいぶ遅れてるって知ったってのがでけえ。

 

「…時間感覚が狂ってるエルフでも、3年くらいすればその辺の情報は来るはずだぞ。」

「あ、あーえっと…その…」

「…もう良い、さっさと宿に入って寝る。 嫌な記憶が蘇っちまった。」

「あ! 待ってくれよユウト! オラと一回戦ってくれ!」

「何で戦う必要がある。 そもそも今日は疲れたんだ、じゃあな。」

 

 ユウトは暗え顔で、村の宿に入って行っちまった。 けど後ろを振り返っと、ルヘも負けねえくれえ暗い顔してたな。

 

「…なあルヘ、だ、大丈…」

「は、はは…き、きらわ、嫌われ…て…あは、あはは…」

「…さ、先行ってっから、おめえも後で来いよ!」

 

 …なんか声かけても、余計に傷つけちまいそうだったからな。 オラもルヘを置いて先に行っちまった。 あん時よりは、ルヘもだいぶ回復してそうなんだけどよ…

 

「ハァ…どう声かければ…」

 

 まだ朝だってのに、今日で5回目のため息だ。 でえじょうぶかなぁ…オラすげえ心配になってきたぞ。 とりあえず、応援くれえはしとくか。

 

「なあに、気にすんな! 謝りでもすりゃあ、許してくれるさ。」

「そう簡単に許してくれるかしら…一番言われたくない事言っちゃったらしいし…」

「でえじょうぶだって! とにかく、すまねぇって気持ちを伝えさえすりゃ良いぞ!」

「すまねえって気持ち…」

 

 ま、頑張ってくれよルヘ。 おめえの暗え顔はあんま見たくねえからな。

 

「…そうよ…そうよね。 うん…うん、分かった! ありがとう、悟く…」

「…なんだ、お前ら俺のこと待ってたのか?」

「あっ!? ゆっ、ゆゆ、ユウトさ…」

 

 おっ、ユウトも起きてきたな。 …でもタイミングがまずかったな。 ルヘの心の準備がまだだったみてえだ。

 

「あ? まだいたのか、お前。」

「…あ、あの!」

 

 お! いいぞ、頑張れルヘ!

 

「ああ?」

「き、昨日はその…ごめんなさ…」

「おお君たち! 昨日は本当にありがとう!」

「げっ、おっさん…」

「ら、ラナバのおっちゃん…」

 

 な、何ちゅうタイミングで来ちまったんだ…ルヘの決意が飛んでいっちまったぞ。

 

「ど、どうしたそんな顔して…もしかして、来たら不味かったか?」

「い、いやいやでえじょうぶだ! 気にすんな、ラナバのおっちゃん!」

「お、おおそうか…」

「…」

 

 ルヘの顔が一層暗くなりやがった…まじいぞ…

 

「それはそうと、報酬の30000ゴールドだ。 受け取ってくれ。」

「えっ!? こ、こんなに…良いんですか!?」

「もちろん! ゴブリンとの関係も改善したし、元凶も倒してくれたしでこちらもかなり助かったからな! その気持ちとして受け取ってくれ!」

「やった…ありがとう! ラナバさん!」

 

 どうやらいっぺえ金が入ったおかげで、ルヘも少し元気が戻ったみてえだ。 ひゅう…ひとまず、これで安心だな。

 

「それにしても…結構早く戻ってきたな、ユウト。」

「…戻ってくるつもりは無かった。 俺はただこいつらに連れてこられただけだ。」

「ふふっ、そうか。」

 

 そういや、結構仲良いみてえだけどこの二人…いってえどんな関係なんだ?

 

「なあなあ、ユウトとラナバのおっちゃんってどういう関係なんだ?」

「ああ、こいつが新米勇者だった頃からの付き合いでな。 昔はこいつも半人前の勇者だったんだ。」

「ユウト様が、半人前…?」

「1年間ぐらいだったか、ユウトはずっとこの村の近くでモンスターを倒して、レベルを上げてたんだが…一匹狩る度にボロボロになって、その度にこの村へ来てたんだ。」

 

 なるほどな…そんな奴が最強とまで言われるようになるなんて、すげえ頑張ったんだな。

 

「余計な事言うな。」

「良いじゃないか。 どうせしばらく、この二人と冒険するんだろ? このくらいは知っといて良いと思うぞ。」

「はあ? いつからそんな話になったんだおっさん…こんな奴らと、一緒に行く訳…」

「良いじゃねえか! その方がぜってえ楽しいぞ!」

「……楽しいわけが…」

 

 …苦手な奴と行動するって言うよりは、妙な落ち込み方だな。 なんかあったんかな?

 ま、いいか。 今はちげえらしいけど、一番強えって言われてた奴と一緒に冒険出来るなんて、オラワクワクしてきたぞ! 冒険の途中で、なんけえか修行つけてもらいてえなあ。

 

「ところで二人とも、どこに行くのか決まってるのか?」

「ん? そういやそうだな…ルヘ、どこ行くか決まってっか?」

「ええ、カノスバ街よ。 あそこなら、貰った報酬で良い装備が買えるかもしれないし。」

「カノスバ街か! そこってどんなとこなんだ?」

「そうね、後で歩きながらでも話すわ。」

「おし! そういや、ユウトはどこ行くんだ?」

「……俺はガロンド谷…」

「嘘を付くな。 お前もカノスバ街だっただろ?」

「う…」

「お? ってことはオラ達と一緒か! へへっ、よろしくな!」

「……はぁ。」

 

 そのあと、ラナバのおっちゃんにいっぺえご馳走してもらって、ルヘの燃えた上着の代わりも貰った。 村を救ったお礼って言ってたけど、ラナバのおっちゃん、すげえ良い奴だったなあ。

 そういや食事ん時、なんだかみんな変な顔してたな…そのあと「これからは腹八分どころか五分にしてくれ」とか言われたし。 オラ、また何かやっちまったかなあ…ま、良いか!

 

「よし、じゃあ気を付けて行けよ!」

「おう! あんがとな、おっちゃん! いつかまた戻って来っぞ!」

「は、はは…いつでも戻ってこい! あ、そうだユウト、聞きそびれてたんだが…」

「何だ。」

「…何で、この村まで戻ってきたんだ? お前はもうちょっと先の街に行ってると思ったが…」

「…たまたまここまで来ただけだ。 さっさと行くぞ、お前ら。」

「あ、はいっ! 行きましょう!」

 

 つうわけで、ルフェの馬を連れてオラ達は村を出た。 目指すはカノスバ街っちゅうとこだ。 ルヘが言うには、でっけえ壁に囲まれた丸い街で、王都の次に冒険者が集まるとこでもあるらしい。 強え奴もうめえ食いもんもあるんかなあ。 街に着くんが楽しみだ。

 …けど、楽しめてるんはどうやらオラだけみてえだ。

 

「…言っとくが、用が済んだらすぐにパーティから抜けるからな。」

「ええっ? 別に抜けなくたって良いじゃねえか。」

「そもそも、勇者が勇者のパーティに入ってること自体おかしいんだ。」

「まあ良いんじゃねえか? そっちの方が楽しそうだぞ。」

「楽しい、か…分からん。」

 

 目ぇ逸らしながら、ユウトは小さい声でそう言った。 そいつはともかく、ユウトはもう最強じゃ無いとか言ってたけどよ…なんでそうなっちまったんだろうな? もっと強え奴が出てきたんか?

 気になったし、早速聞いてみっか。

 

「そういやさ、何でユウトは最強って言われなくなっちまったんだ?」

「わ、私も気になります! ユウト様が最強じゃないだなんて…」

「…俺が弱かった。 そんだけだ。」

 

 …こりゃ、詳しい話をしてくれる雰囲気じゃ無さそうだ。けど、せめてこんだけは教えてくれねえかな。

 

「じゃあさ、ユウトは昔より弱くなったんか?」

「…いいや、昔も今も変わってない。」

 

 昔も今も…? よく分かんねえけど、それなら好都合だ。

 

「じゃあ、オラといっけえ戦ってくんねえか?」

「……は? 何で?」

「ちょ、ちょっと悟空! ほんとに戦うつもり!? ていうか、もうちょっと強くなってからって…」

「そう思ってたんだけどよ、さっきからうずうずして我慢出来なくてさあ。 つうわけでユウト、オラと戦ってくれ!」

「ちょっと待て、だから何でだよ。 そもそも、こんなとこで戦ったら魔物共に襲われるだろ?」

「へへっ、おめえが一番強えって聞いたからさ、ちょっとその強さを知りたくなっちまったんだ。」

「はぁ…?」

「魔物が襲ってきたら、そん時はぶっとばしゃ良いしさ、な?」

「…はぁ……」

 

 ユウトの奴、ため息つきながら考え込んじまったぞ。 でえじょうぶかなあ…

 

「…しょうがない、その浮かれた面を叩き直してやる。」

 

 おっ! やったあっ! これでやっと、ユウトと(たたけ)えるぞ!

 

「よーし! じゃ、さっさとやろうぜ! ルヘはちょっと離れててくれ!」

「ああもう、分かったわ…」

 

 ルヘが馬と一緒に距離を置いたら、オラ達は互いに構えた。

 くうーっ! いよいよ勇者と戦えるんか! それも一番強えって言われてた! 今のオラのレベルは、あの化け物花と戦って、死にかけて復活したおかげか、15になった。 サイヤ人の特性っちゅう奴は、今のオラにはすげえ効くみてえだな。

 さてと、今の力でどんだけ戦えるか…いっちょやってみっか!

 

「おい、何ぐずぐずしてる。 来るなら来い。」

「へへっ、じゃあ遠慮なく!」

 

 オラは足に力入れると、草むらの地面を蹴って、素早くユウトの前に迫った。

 

「でりゃあっ!」

「ふん。」

 

 そんで左の拳をユウトの顔に振った。 けれど、ひょいっと頭を傾けて避けられちまった。

 

「まだまだぁっ!!」

「!」

「だりゃりゃりゃりゃりゃっ!」

 

 続け様に、右足で回し蹴りをして、その後打撃と蹴りで連続攻撃を浴びせた。

 

「そんなもんか?」

「くっ!」

 

 でも、そいつも全部避けられちまった。 参ったな、ここまで力ん差があるなんて思わなかったぞ。

 じゃあ…ちょっと試してみっか。 クリリン、技借りっぞ!

 

「へへっ…じゃあこれならどうだっ!」

「あん?」

「ハァッ!!」

 

 オラは両手に気を込めて、そいつを大きめの気弾にしてユウトに放った。

 

「なんだその魔法? それに遅い…避けてくれと言ってるようなもんだぞ。」

 

 ユウトは軽々とそいつを避けた。 けど…

 

「へへっ、まだこっからだっ!」

「何?」

 

 オラは気弾の軌道を変えて、上空に向けさせた。

 

「ああ?」

「はぁっ!!」

 

 気弾が高えとこまで行ったら、両手を下に思いっきり振って、気弾を弾けさせた。 

 すると、たくさんの気弾が地面に降り注いだ!

 

「なっ!?」

「う、撃った魔法をさらに派生させた? いや、元からああいう魔法だったの?」

 

 降り注いでくる気弾に、ユウトは立ったままだった。 こいつは当たったろ! って思ったんだけんど…

 

「…電光飛斬(フォトンソードビーム)

「あっ!?」

 

 持ってた剣で魔法使って、ユウトは自分に振って来る気弾を全部斬っちまった…そ、そりゃねえぜ…

 

「すごい…あれがユウト様のスキル技…!」

「…お前、中々厄介そうな魔法を使うんだな。 何だそれは?」

「『気』っちゅう力を使った技だ。 この(たたけ)えの後で教えてやる。」

「気…だと? あれも武術の類だってのか?」

「そう言う事っ!」

 

 またオラは、ユウトに連続攻撃を浴びせた。 さっきと同じく、また全部避けられてんだけど…

 

「…ふん。」

「あっ!?」

 

 ついに出した右腕を、ユウトに掴まれちまった。

 

「そうやってがむしゃらに戦う事しか出来ないのか? ならお前には…」

「おわっ!」

 

 ユウトは背負い投げの要領で、オラを地面に投げると…

 

「こうだっ!」

「がはっ!?」

 

 オラの頭が地面に着く前に、オラの腹を蹴り飛ばした。

 そのまま向こうの岩まで吹っ飛んで、オラの体は岩に叩きつけられた。

 

「い、いちち…」

「言い忘れてたが、俺のレベルは50。 お前のレベルは15だったか?」

「ま、まあな…」

「ならさっさと降参しろ、これがレベル差って奴だ。 自分が今立ってるステージってのが分かったろ。」

「へへ…確かによーく分かった。」

「なら…」

「けど勝負は…まだまだこれからだぜっ!」

 

 まだ降参すんには早え。 オラは地面に伏した身体ぁ起こして、そのままユウトの方へ走って行った。

 

「……バカが…!」

 

 ユウトは剣を抜くと、構えてオラに斬りかかろうとした。

 

音速斬(ソニックスラッシュ)っ!

「へっ!」

 

 けど、オラはそのユウトの剣を急加速して避けた。

 

「なにっ!?」

「だりゃあっ!」

 

 そんでユウトの後ろに回り込んで、腹に蹴りを叩き込んだ。 ついに攻撃が当たったぞ。

 するとユウトは一度、後ろに退いた。 顔を見てみっと、どうやらそこまでダメージにはなって無かったみたいだ。

 

「ちっ…妙な事を…!」

「へへっ、やっとおめえに攻撃が当たったな。」

「…ふん。 その無謀さがどこまで続くか…」

「そりゃ…オラたちが戦えなくなるまでさっ!」

 

 いままでの攻撃で、ユウトの動きが読めてきた。 勝負はこっからだっ!

 


 

「…魔王様、ご報告が。」

 

 暗く、不気味な城の中枢で、扉を叩く音が響いた。その中枢では、周りの空間が歪むほどの邪気を放つ魔物の王…『魔王バラル』が、堂々と玉座に座り、君臨していた。

 ここは魔王城。 世界を脅かす魔王が佇む城で、何人もの勇者が、この中で待ち受けている魔王に挑み、破れて行った。

 

「入れ。」

「失礼します、魔王様。」

 

 扉は重く、大きな音を立てて開いた。 その中から、黒い肌、朱色の髪をした男の騎士が現れた。

 

「報告とは何だ、ハドラム。」

「ええ、実は先ほど…新たな勇者が二人、現れたとの報告がありました。」

「ほう? そいつらは何者だ?」

 

 勇者が、新たに二人現れた。 しかし、そんな話を聞いても、魔王は余裕を崩さず、淡々と話を聞いた。

 

「片方の名前は分かりませんが、もう片方は『ベジータ』と名乗っていました。」

「ベジータ…勇者にしては妙な名前だ。」

「名前の分からない片方の勇者は、昔魔王様が返り討ちにした、ユウトを連れていた模様です。 理由は不明ですが…」

「ユウト? あの無謀にも向かってきた、命知らずの雑魚か…まあいい、続けろ。」

「さらにその新たな勇者達は、魔力とは違う謎の力を使っています。 何でも、『気』と言うものだとか…」

「気? ふむ、興味深いな…そいつらは、どう言う技を使っていたんだ?」

「何でも、両手から魔法弾の様なものを飛ばし、果てには人工的に光を作り出す事が出来たそうです。」

「…ふん、魔法とまるで変わらんな。 期待して損したわ。」

「…報告は、これにて以上です。」

「ご苦労。 だが念の為、軍の幹部を一人、そいつらに向かわせろ。」

「かしこまりました。 では、失礼しました。」

 

 ハドラムは魔王に礼をすると、再び重い扉を開けて部屋から立ち去った。

 

「新たな勇者、か…この俺を楽しませてくれる奴に、なると良いがな…」

 

 そう呟きながら、魔王バラルは怪しく、どこか恐ろしく底知れない笑みを浮かべるのだった。

 


 

「はぁっ…はぁっ…」

「…まさか、レベル15でここまで粘るなんてな。」

「ユ、ユウト様とあそこまで戦えるなんて…」

 

 悟空とユウトの戦いは、すでに15分ほどの時が流れていた。 圧倒されるままかと思っていた悟空は、持ち前の根性と技でレベル50の攻撃に食らいついていた。

 しかしユウトは、それ以外の何かを感じ取っていた。

 

「お前、一体何をした?」

「へへっ、さあな…」

「しらばっくれるな。 最初の方で、俺の音速斬(ソニックスラッシュ)を避けた時もそうだった…」

「…!」

「お前の身体が一瞬赤くなっていた。 何をした? 答えろ。」

「…」

「ど、どう言う事…? 悟空は何かしてたの?」

 

 ユウトが言っている言葉を、ルフェは理解できていなかった。 二人の動きが早すぎて、そもそも細かい動きがよく見えていなかったのだ。

 

「…へへっ。」

「…!」

 

 しかしユウトの言葉に対して、悟空はエビルフラワーに立ち向かった時と同じ、不敵な笑みを浮かべた。 その表情で、悟空にはまだ何かあるとルフェは感じ取った。

 

「バレてたか…じゃあ、わざわざ隠す必要もねぇな。」

「その通りだ。 小細工無しで、さっさとかかってこい。」

「へっ…じゃあ、見してやるよ!」

 

 すると、悟空は力む構えを取った。 それに対し、ユウトも剣を構える。

 

「な、何が起きるって言うのよ…?」

「行くぜ…界お…!

フレイムボンバー!

「っ!?」

 

 しかし、悟空のその秘策は披露されることは無かった。 どこからか放たれた巨大な炎の弾が、二人の間に撃ち込まれた。

 

「おわっ!?」

「くっ!」

 

 二人は後ろに下がり、間一髪で回避した。 炎の弾は地面に落ちると大きく爆発し、草原に巨大な火が燃え上がった。

 

「ちっ…何だ!?」

「何すんだよ、ルヘ!」

「私じゃないわよっ! 上見て上!」

 

 二人はルフェの言葉通り、上を見上げた。 するとそこには、戦いに割り込んできた張本人が佇んでいた。

 

「へえ、避けられたか…このまま勇者二人を一網打尽に出来ると思ったんだけど。」

「おい! 誰だおめえは!」

「私は魔王軍幹部の一人、ラレッタ。 魔王様の命により、貴様らを殺しに来た!」

 

 現れたのは、ラレッタと言う魔王軍幹部の一人だった。 赤い騎士の鎧を付け、顔を隠しているその魔物は、悟空とユウトの前に堂々と降り立った。

 

「魔王軍の幹部だと…?」

「な、何で幹部クラスがここに来てるのよ…?」

「若い芽は早めに摘んでおかねば、と言う奴だ。」

「へえ…オラ達の事、随分警戒してるみてえだな。」

「…!」

 

 すると突如、ラレッタから凄まじい邪気と殺意が放たれた。 辺りが暗く見えるほどの邪気に、三人は圧される。

 

「あまり調子に乗るなよ…人間!」

「こ、こんなの…レベルが…」

「魔王軍幹部ってのも伊達じゃないな…!」

「…へへっ、やべえな、こりゃ…」

 

 悟空ははっきり感じ取った。 この魔物は、自分たちより遥かに格上だと…だが。

 

「オラ、ワクワクしてきたぞ。」

 

 悟空はまだ、笑っていた。




多分次で0章ラストです。 多分。
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