Vtuberよりも個性ある社員   作:匿名ライダー1号

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過酷な道

 

 

 いつも指を一心不乱に動かし続ける社畜な自分。社畜って言ってるけど自分から進んで仕事してるんですけどね。

 

 そんな自分だが外に出る用事が出来てしまった。かれこれ半年ほど出ていない。新記録達成ならず。

 

 その用事とは病院である。まぁ、何がとは言わないが体とかがアレなので薬とかほんだら無くなったら貰いにいくのだ。前は定期的に貰いにいくのがめんどくさいと思ったため大量に貰ったのだが半年で無くなってしまった。次は一年分貰お。

 

 コツコツと歩く音を鳴らし病院へと向かう。まぁ、徒歩十五分ぐらいだからちょうど良い散歩だろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 三十分という過酷な道を歩み続けるようやく病院へと辿り着いた。あそこの赤信号長すぎる...

 

 心の中で歩道橋の坂道に文句をつけながら何故か自分の顔を見て何処か引き攣っている看護師さんに話しかけ受付を済ませるが明日、病院が休みだからか人が多く座る場所がどこにも無かった。

 

 仕方がないと邪魔にならない壁際へと移動する。左足方面に体重かけたら疲れないし杖もあるから良いやと思っていると一人の男の子が何かを決意したかのような顔で立ち上がり話しかけてきた。

 

「椅子、どうぞ」

 

「...ありがとうございます」

 

 ちっちゃな声で席を譲ってくれた彼に感謝を伝えて少し罪悪感を覚えながら椅子に座り込む。幸いにも彼は番号を呼ばれて行ったためエレベーターで上がっていく数字を一緒に見るような酷い気まずさが始まる事は無かった。

 

 ゆっくりと番号が呼ばれていく中、譲ってくれた彼に感謝した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 なんとかフルカラへと満身創痍で辿り着いた自分は社員寮でパソコンを弄っていた。そろそろご飯がなくなるから買わないといけないからね。バリバリの自炊厨だから材料もこだわって買うのが自分。え?買いに行け?ふっ...

 

 カートに食材を買い込んでいると突如電話が鳴り響く。今日はお休みのはずなんだが。

 

「はい、もしもし」

 

『もしもし、サイクさんですか?私は蜂螺ビーのマネージャーなのですが。実はビーさんがサイクさんの話をしたいって言ってくれたんで許可を貰いにきました!』

 

 なんとも元気な男性な声が電話から飛び出してくる。なんか前も違うマネージャーさんと話した気がするんだが。とりあえず、

 

「良いですよ」

 

『おお、話に聞いてた通り二つ返事ですね。詳細とか聞かないんですか?』

 

 なんか聞いて欲しそうな言い方だな。別に許可とかいらないのに。それじゃあ教えてください。と聞くとマネージャーさんは話し始めた。

 

『社会人として説明する義務があるんで聞いてくれてよかったです!実はビーさんが病院で貴方に会ったからそのことに話したいと私に言ってきたんですよ!詳しく話を聞いてみたら自分から話しかけたって言ってたんですよ!実はこれ凄い進歩なんですよ!これ!』

 

 そこから語られるは、蜂螺ビーの魂は軽度の場面緘黙症という病気を患っており人と話すのが難しいということだ。マネージャーさんでも三年間根気よく話しかけ普通に話せるようになったらしい。

 

『だからビーさんが人にそれも他人に話しかけることができるって事は症状が治ってきてることじゃ無いですか!今まで症状を和らげるために薬を飲んでるビーさんを見るたびに心が痛んで痛んで...』

 

 おおう、マシンガントークだ。次から次へとビーさんの話が電話から飛び出してくる。それならば何故Vtuberをやっているのだろうか。

 

『しかもVtuberになった理由がこの病気を治したいからっていうもう、手伝うしか無いでしょ!これは!』

 

 この人、お仕事を推し事にしてる...!心からビーさんのことが大好きなのが電話越しからでも分かる。

 

『デビューの頃と違って配信越しならつまらずに話せるしドンドン良い方向に向かってるんですよ!喜ばしいことです!これは!』

 

 とりあえずマネージャーさんの熱意は分かった。だから配信で使ってくださいと言いたいが、

 

『ビーさんの今の目標知ってます?同期とコラボしたいですよ!まさか義務コラボじゃなくて自分からコラボしたいと言えるぐらいに成長してるんですよ!すごくないですか!これ!』

 

 永遠にマシンガンに打たれ続けるんだが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「こんにちは、今日も配信していくよ」

 

コメント:こんビー

コメント:こんビー!

コメント:ビーくんもこんビーって言おう?

コメント:柿ピー

コメント:誰だ今の

 

 

 黄色と黒色の髪色をした好青年が落ち着いた声色で挨拶をする。それに合わせてコメントも挨拶するが決められた挨拶をしよ?と催促するコメントがちらほらと流れる。反応的にいつものことだと思われる。

 

「今日は久しぶりに雑談配信だよ。最近ゲームばっかりしてたからね」

 

コメント:歓喜

コメント:久しぶりの雑談だ!

コメント:fpsやって!

コメント:オフラインゲーばっかするよな

コメント:何話すの?

 

「最近ネットでトレンドになってた人がいたでしょ?実はその人に今日、会ったんだ」

 

コメント:社員さん!?

コメント:サイクさん!?

コメント:裏ボスさん!?

コメント:暗躍さん!?

コメント:名称統一せい

 

「そうサイクさんに会ったんだ。噂通り仮面つけてたよ」

 

コメント:どうだった?

コメント:何話したの?

コメント:サイク「ビーくんは素晴らしい人材でした」

コメント:成り切りサイクやめれ

 

「猫さんの仮面でなんというか凄かったよ」

 

コメント:猫?

コメント:デスゲーの主催者じゃなくて?

コメント:猫“さん”可愛よ

コメント:いや草

 

 この前の配信でデスゲームの主催者って言われたのを決して気にしていたわけではない。たまたま配達品の中に猫の仮面が入っていただけだ。たまたまネットでポチっただけだ。

 

「しかも、出会った場所が病院なんだけど外でも仮面してたか受付の看護師さん驚いてたよ。他のお客さんも」

 

コメント:草

コメント:外でも仮面つけてんのかよw

コメント:探したら見つけれそう

コメント:病院?

コメント:そりゃビビるわww

 

「ちょっと病院に行く必要が会ったんだ。心配しなくても深刻な病気とかじゃないから安心してね」

 

 コメントではビーさんを心配するようなコメントが流れる。やはり推しが病院に行っていると聞くと心配するのだろう。

 

「それでサイクさんなんだけど席が空いてないから声をかけて譲ってあげたんだ。杖をついてるから足が悪いのかなって思って」

 

コメント:優しい

コメント:さすビー

コメント:足が悪いのか

コメント:なら暗躍者か...

コメント:↑どんだけ悪役にしたいんだよ

 

「すぐに僕の番号が呼ばれたから気まずい感じにはならなかったけどサイクさんから罪悪感が漏れ出てたから僕も罪悪感が出そうになったよ」

 

 ビーさんは苦笑いをしながら話す。そんなに漏れ出てただろうか?

 

 その後も雑談配信が続き自分はラジオ感覚で聴き料理をしていたのであった。

 

 






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