視界には、ただ花畑が広がっていた。
そして徐々に、手足の感覚も認識して、一呼吸…。
そうすると音が聞こえるようになり、そしてやっと俺という存在と記憶を認識した。
これを認識するのに多分1秒もかかってないはずなのに、俺の感覚は…それが何時間もかかってるように見えた。
もう自由なんだ…平和で戦争が何一つ起きない幸せな世界…
もう…███████████████
██████………あ………れ?………………………
ぼんやりと視界が開く…
見たことの無い天井…
「あれ…?どこだ…??」
寝てたのか?ふかふかな高級なベットがある…
「どこだここ?!?!」
脳が認識するまでにかなり時間を要した…
目が覚めると、俺は…見たことの無い所で寝ていた。
あまりのおかしな状況にどうすればいいのか分からなかった…
誘拐…?覚えがない。俺は昨日まで普通に過ごして普通に寝てたはずだ。
「█████████」
「うっ…」
頭になにか過ぎったはずなのに、思い出せない…
まるで、教科書に空白があるみたいだ…
記憶はあると言えるのにその間の内容の記憶を思い出せない…
「記憶喪失だとして、眠ってた場所として、もしかしたらこの家に、ヒントがあるのかも。」
このままじゃ目的もないし、記憶もない。
まずは自分の状態から確認してみよう。
「特に体は変わらない…しかも日本語を喋れているということは、基本学習能力の記憶は失ってみたいだ。」
それと他に思い出せるのは…
「俺の名前はイブキって言うはずだ…生憎、苗字は思い出せないみたいだが…年齢は22くらいか?」
仮に22歳だとしても間の記憶が無いから確証ができないが…
鏡も近くにあったので自分の姿を見てみると…驚愕する容姿だった。
「なんだよ…これ?!これが本当に俺なのか?!」
髪は黄緑色に染まっており、瞳もアニメでしか見ないような赤い瞳になっている。
少なくとも俺は日本でごく普通に暮らしていた一般人だ…
こんな姿になることなんて有り得ない…
「いや、こんなとこで思い悩んでも仕方ない容姿はひとまず置いとくか。まずは場所だ…もし誘拐なら早くここから逃げ出さなければ!」
こんな大人を誘拐しても、なんのメリットもないだろとかを考えつつ、俺は部屋の探索を行った。
「寝ていたベットは極めて新しいものだ…枕やベットも高級なもので、こんな柔らかくて寝心地のいいもの初めてだ。」
変に几帳面なのか…俺は布団を畳みながら観察していた。
他にも辺り一面見てみたが…
「ここにある家具は全て高級品だ…寝室もかなり広い…おそらくだが、億をゆうに超える豪邸だと思われる。」
ふと、クローゼットには1枚の紙切れが置いてあった。
近づいて見てみると紙切れにはこう書いてあった。
【そ 使命 は こ あ
の こ に り】
「その使命はここにあり…?読みにくい…」
かなり文字がバラけてる上、字が汚い。読むのに少し虚無ってしまった。
「とりあえずクローゼットをあけろってことか?ここに手掛かりが?」
俺は思いきってクローゼットを開けてみると、そこには青色のカーディガンと拳銃とその弾丸が置いてあった。
「お、おい?!なんでこんなものがあるんだ?!これじゃ俺が銃刀法違反で捕まってしまうだろ?!」
まさかこれは罠?!豪邸で金に目が眩んで、強盗をしたり、拳銃を握ってしまうと…帰る瞬間に誰か待ち伏せていて、捕まるのか?
だが、数秒でその不安は消え去った。
そもそもそれなら俺は誘拐されている身だ…訴えれば勝てる…
「とりあえず護身用に持っておくか?」
青のカーディガンを着てみると意外にしっくり来た。その上どこか懐かしさがある。不思議だ。一応拳銃はバレないように隠し持っておこう…
他にも色々調べてみたが、ここは3階建てのかなり広い豪邸だ。
1フロアに、部屋が10個以上。家具も全て高級品でもはや最高の暮らしも同然だが…
突然自分のズボンのポケットの中からバイブが鳴った…
「なんだ?!って…スマホか…。」
いやだが、こんな機種見た事がない。スマホと、形状は一緒だし、使いかたも似てるが、ゲームとかはできない俺の知ってるスマホじゃない。
連絡用の携帯電話みたいな感じか?使い方はすぐに分かった。
起動すると、ひとつのテロップが出てきた。
【ユーザー名 @000000000000_player様。おかえりなさい。本人認証完了。データプロフィールを開きます。】
「全て0…?妙だ…こういうのって大抵数字が刻まれているはずなのに、もしかして変な端末なのか…?」
本人認証は完了したってことはこの端末が嘘でもつかない限り俺のものだな…パスワードとかの認証はなかったし、自動的に顔認証でもされたのだろうか?でもそうなると俺の今の容姿は最近じゃない。
すごい頭が回る。今ならなんでも分かってしまいそうだ…
「他には…?」
そこのデータプロフィールには、名前:未登録 と 自分の顔と、生年月日…生年月日はどうやら未登録みたいで誕生日の11月23日以外、記載はされていなかった。
「どうやら年齢はどうしても隠したいらしいな。」
そこまでして思い出させたくないのか…それとも普通に記載ミスなのか。
電話とメール、カメラ、時計に電卓にメモに写真…これらなら普通のスマホ通りできるみたいだ
「ん?」
まだ、項目があった…
「神類ランキング…98億6485万7031位…?めちゃくちゃ下だな…」
だが一体なんのランキングだ…?よく分からない…隣にあった項目の【ルール】という項目を押してみた。
「その1…この端末は譲渡できない。その2…ランキングは順次更新される。その3…今端末と持ち主の核は位置情報が共有されているため…端末を無くすことはございません。」
かなり最新型なのか。俺でも知らないような機能だ。【核】って…?
ホームに戻ってみると新たな項目もあった
主能力(メインアビリティ)と呼ばれる項目には???と記されていた。
「主能力?てかなんで俺はしゅのうりょくって読むところをメインアビリティって読んだ?それに、能力まで分からないなんて、分からないことだらけだな…。」
「主能力…ゲームで言うと、その人が生まれつき持って使える能力ってことだが…俺は不明な時点で使えないのか?」
くそっ、完全に不利すぎる。こんなクソゲーやらないでおこう。
俺は完全に端末を閉じて、外に出ることにした。
生憎、鍵は開くみたいだ。護身用の銃もある。正当防衛と思えばいい。
だが、外にはもっと驚愕な光景が広がっていた。
「な…なんだよこれ…?!」
車が空を飛んでいる…手から魔法を出している…人間と獣のハーフのようなやつがいる…
「おいおい…俺はまだ夢でも見てんのか…?」
自分は飲み込みの早いタイプだ。大抵の事はゲームとして捉えたりするし、あまり驚く性格じゃない。
「だけど、これはさすがに…」
あまりに自分の目を何度も疑った。頬っぺただって何度も抓ってみた。
でもどうやらこれは現実で起きていることは紛れもない事実みたいだ。
「どうなってるんだ…?」
ボーッと突っ立っていると、1人の老人が寄ってきて話しかけてきた。
「あんた、ここじゃ見ない顔だね…ここに越してきたのかい?」
俺は困惑しながらも答えざるを得なかった。
「いえ…気づいたらここにいてついさっきまで、あそこに住んでいたんです…」
これで答え方合ってるのかとか思いながら、待っていると、老人はニコッとして答えてくれた。
「そうかい、もしかしてエルフマ家の当主様かね…?いつもハヤトくんがお世話になってるよ。」
ハヤト…?もしかしてそいつが誘拐した犯人……いや違う。この老人は心からハヤトって人に感謝してる。慈善活動をしているのなら誘拐する人柄では無いはずだ。
「そうです。たまには外出しろと怒られまして(嘘)」
「そうかいそうかい!気をつけて行ってくるんだよ。」
老人は笑顔で俺に手を振ってくれた。俺は軽くお辞儀をし、そのまま道なりに進んで行った。
ほんとになんなんだ…光景が不思議すぎるし、俺を知らない人が多いのだろう。視線をめちゃ感じる…
「助けてー!!!」
少し遠くから声が聞こえた。
「なんだ?!」
俺は声の方へ全力で走った…角の先には、大男が幼い女の子を人質にしていた。
大男はナイフを少女の首元に突きつけ、自分の要求をしていた。
「この娘を返して欲しければ身代金10億用意しろ!」
なんて典型的な人質のセリフ!!って…それどころじゃなくて、どうすれば!!
女の子は泣いてて恐怖で声も出せてない。
そうするとその父親らしき人が目の前で土下座をして、震えながら言った。
「頼む!!娘には何も手を出さないでくれ…!すぐには用意できないが必ず用意する!!!」
すると、大男は即座に反対した。
「ダメだ!!今すぐだ、金を受け取るまで、こいつはずっと人質だ!!」
そんな時…1人の青年が、声を上げた
「その子を離せ!!金なら用意するからついてこい。」
そう、俺だ。
え?何をしているんだ俺…?正義感に固執しすぎてつい声を上げてしまった。ほら見ろ周り全員困惑してるじゃないか……
でも、理はかなってる…俺のさっき居たところは豪邸だ。10億なんて安い方だろ…。
「ほう?案内してもらおうか?」
大男は少女を人質にとったまま事実確認するまで話さないみたいだ。
さっき土下座していた男性は慌てて立ち上がり俺に近づいてきた。
「貴方、何者なんです?!本当に…本当に娘は助かるんですよね?!」
かなり心配してるみたいだ。それもそうだ。俺の存在は誰も知らないはず…そんな俺がいきなりこんな状況を打開する方法などあるわけない。
だが、たった今策が思い浮かんだ。例え人の家だとしても、こんなやつに金をやる気なんてサラサラない。
俺は男性に小声で尋ねた。
「なぁ包帯のような巻くものないか…?」
「え?どこか怪我でも…?」
俺は少しイラついて言ってしまった
「いいから早く…!」
男性は慌ててバックを探った
「今これしかなくて……」
と言い、俺にちょっと大きめのタオルを渡してきた。
よし、隠せるものならなんでもいい…!
俺は大男にタオルで隠したものを投げ渡した!
「受け取れ!!中には大金が入ってるぞ!!」
「何?!」
大男は、慌てて本来の目的を忘れたのかナイフを手放し俺が投げたタオルを急いで開け終わった瞬間、俺は同時に懐から拳銃を取り出した。
「判断が焦ったな!!」
「これは…?!WORLD doorのスマートフォン端末?!」
男は俺の端末を手に取った。
「それは譲渡禁止だろ?!」
俺そのルールを思い出した。
そして大男の手には電流が走り、俺の端末を落とした。
「ぐっ?!」
無防備な瞬間をすかさずに俺は、奴の足に銃をぶっ放した。
当然男は立って居られずに、その場で抱え込んで慌てて少女の方を見た時にはもう少女は俺が救出済だった。
大男は足を抱えながら、激怒していた。
「てめぇ!!俺を騙してやがったな!!」
大男はそのまま俺の方へ走ってきた。
俺は少女にそっと囁いた。
「俺から離れて。」
「うん!」
大男はナイフを再び手に取り、俺に突進してきた。
「死ねぇぇええええええ!!!」
俺は目を細くし、ナイフを躱し、腹のみぞおちに思いっきり全力の拳をいれた。
「ぐっ…あぁ…」
大男はその場で倒れ込み、戦いは終わった。
俺は少女の身の安全を確認して、父親に引き渡した。
父親は何度も俺にお辞儀をしながら、感謝を伝えてくれた。
「本当に!本当に!ありがとうございます!なんとお礼をしたらいいか!」
俺は首を横に振った。
「お礼だなんてとんでもない。当然のことをしたまでです。娘さんが無事で本当に良かった。」
そうすると少女は俺の前に来て話しかけに来た。
「お兄さん強いんだね!エルさんみたい!助けてくれたお礼に飴ちゃんあげる!!」
俺は少し微笑んで、「ありがとうお嬢さん」と答えた。
でも確かにそうだあの大男、確実に身長190以上あった。そんな奴に普通にやり合って勝ったのか?冷静さを欠いてたとは言えど、力勝負で勝てる相手ではなかったはずだ…。
俺は端末を拾い、その場を離れた。
あの大男は警察に引き渡される…
「てか待てよ…そしたら俺は銃刀法違反で俺も捕まるんじゃ…」
独り言を呟いた後に俺は少女から貰った飴を舐めてた。
イチゴ味か…甘いな…美味しい…
気がついて2分くらい歩いてただろうか。すっかり人気がない所まで来てしまっていた。
そんな時、急に俺は体勝手に動いていた。
何かが飛んできて、俺は思いっきり手を振りかぶり、何かをキャッチした。
「なんだ…?」
手を開いてみると弾丸が俺の掌にあった。
………は?銃弾をキャッチしたのか?俺が?いや普通の人間には不可能だろ…それに誰かが俺の命を狙ってるのか??
スナイパーライフルを構えた男は立ち上がって、スナイパーライフルを肩に携えた。
「うーん…流石に一筋縄で行かないよね。まぁ、あれくらいで死んでもらったら困るけど…」
「エル、もう行くぞ。どうせ結果は変わらない。後日、奴が何者なのか徹底的に聞くだけだ。」
第1節 1章 1話 END