「ふぅ!こんなもんかな!」
中々の出来だ。悪くない。
俺はこの瞬間にやっと成し遂げたんだ。これで俺は怖いもの無し。
さて、問題は中身だ。どれだけ外見がよかろうが、中身が悪ければ、終わりなんだ。
俺はフォークとナイフを手に持ち席に座った。
「いただきます。」
「ん〜……………んっ!甘い!!美味しい!」
程よいもちもちふわふわな食感。そこに流れてくる甘いメイプルシロップ!そこにバター!やはり自分で作ったパンケーキは格別だ。
そう、昨日の出来事…
俺は昨日もパンケーキを作ったのだが…
俺は記憶喪失のせいか、頭が回転してなくて、火加減を間違えたのだ。
そのせいでパンケーキは焦げてしまい、全然美味しくなかった…
「にが…ジャム持ってこよそれで少しは…」
だが、今日リベンジしたところ成功した。
レシピを見ながら作ったので分量も火加減も完璧だ。
ここの世界は、俺がいた日本とあまり変わらないようだ。
生活に支障をきたすことは無い…
まぁ車は空を飛んでいたりするから、近未来ってところか?
そんな時だ。
突然この豪邸に呼び鈴が来た。
「なんだ??」
俺のパンケーキタイムを邪魔する奴がいるとは…万死に値するぞ。
「あ、でも誘拐した張本人か?」
でもおかしい。わざわざ誘拐した本人がピンポンをする訳ないし、こんな豪邸に人質を誘拐するってことは金銭目的で誘拐するわけない…
それに、昨日はここで寝させてもらったけど1日中何も無かった…
まぁ出てみようか…
玄関に向かい、ドアノブに手を伸ばした瞬間
ドアを突破って刀が飛び出てきた。
「うわっ?!」
体を反らして反射で避けたが、髪の毛は少し切れて地面に落ちた。
刀が抜けたのと同時に、ドアが開き、俺は咄嗟に懐から銃を男性に向け
刀を持った男性は、俺の首元に刀を突きつけた。
「何者だ?」
刀を向けた男性は、俺の事を睨みつけながら…
「今日はお前の事で調査をしに来た。時間がない。上がらせろ」
なんだコイツ…
そうしていると、もう1人の男性が歩いてきて、間に入った。
「まぁまぁ花済真ちゃん、その辺にしておきなって。」
その言葉で、男は刀をおろし、鞘にゆっくりと収めた。
「エル。お前も少しは警戒したらどうだ。」
するとエルと呼ばれる男は少しため息をついて、
「花済真ちゃん…今回は情報を聞きに来ただけなんだよ?わざわざ怪我さしちゃ、ダメでしょ?」
こいつらは俺の何かを聞きに来たのか?
ならばこちらも少し探りを入れた方がよさそうだ。もしかしたら何か俺がここに誘拐させられた理由を知っているのかも。
「状況が掴めてないんだ。もし話し合いに応じる気があるなら、部屋に上がってくれ。」
2人は頷くと、豪邸に上がっていった。
1人の男は刀を下ろし、もうひとりの男は手ぶらなのか、そのままゆっくりと席に着いた。そうすると、手ぶらの男性は話をし始めた。
「まずは自己紹介がまだだったね。僕の名前はエル・コーラス、そしてこっちが末遷 花済真(すえせん かずま)ちゃん。今日は街中で君の事を見た人が大勢いてね。何者なのかを聞きに来たんだ。」
まずは情報整理からだな。
刀を持っていて俺に襲いかかった彼の名前は末遷 花済真と言ってた。
髪は鮮やかな赤色に白色のメッシュがかかっており、後ろで髪を結んでいる、ピンクの瞳が綺麗で、左の方にはでかい傷がある。
背丈も高く、俺と同じ20代前半くらいだろうか。日本刀を携えており、あの時襲いかかった時かなり太刀筋が綺麗だった。感知するのが0.1秒でも遅かったら、死んでいた。
そしてもう1人の手ぶらの少年は、エル・コーラスだったな…
黒髪に、前髪にだけ黄色のメッシュがある。髪の毛は色んな方向に跳ねており、少し俺に似てる…目は緑色で左目の下にホクロがある。
背丈は俺より小さく、年齢は10代後半だろうか。
俺は少し息を飲んで、紹介を続けた。
「俺の名前はエルフマ・イブキ。街中で見たってことは昨日のことが原因だろ?警察か何かか?だとしたら銃刀法違反で君たちも捕まるだろ。僕もだが。」
昨日この部屋を引き続き調べてたら書類が何枚か出てきて、大体が黒く塗りつぶされていたが、支払いの管理者の項目にエルフマ・ハヤトという名が書いてあった。
今はその苗字を使わして貰おう。
花済真は少し困り顔になって聞き返してきた。
「エルフマ・イブキ?エルフマ家の血縁者か?それに銃刀法違反とは?」
銃刀法違反を知らないのか?ということはここでの刀や銃の所持は普通ということか?
花済真はそのまま続けて
「だが、エルフマという人物は知っていたが、俺達が出会ったのは、イブキよりも背丈の高い男性だった。それに俺達が子供の頃だよく覚えてない。」
待て?こいつらが子供となると10年近くは経っている。ということは、俺はここに来て10年くらい経っている?いやそれは無いはずだ。前に日本にいた時の記憶は20歳近くだ。どう考えても、俺の容姿は30代には見えない。
ここは正直に言おうか。
「俺は記憶喪失になっていたんだ。これのことについて教えて貰えるか?」
俺は端末をテーブルに置いた。
花済真とエルは少し驚いて、話を続けた。
「WORLD door端末なのだが、主能力が、はてなになっている?こんなことは初めてだ。」
エルは気になったのか俺に話を続けた。
「イブキちゃんが記憶を忘れているからなのかな?でも、主能力欄をはてなにする機能なんて、はじめてみたよ。主能力がない人達でも、主能力欄には、なし と書かれているはずだ。」
イブキちゃんって…変わったやつだな…
それより、能力も気になるところだが本当は…
「なぁ神類って言うのはなんだ?」
エルは優しく微笑んで、答えてくれた。
「どうやらこの世界の全てから説明しないと行けなさそうだね。」
「この世界には、人類、獣類、霊類、神類と呼ばれた種族がある。君はこの中の神類だ。神類は全部で100億名。君はこの中のほとんど、ビリだね…それでも神類はかなりレートが高いのは当然だけど…」
「人類、獣類、霊類どの中をとっても、神類は最強。人類1位の人でも、神類の500位内の人たちには勝てない。身体能力も元から飛躍しており、人類が使える主能力も、主能力にせずに使いこなせたりするんだ。おまけに、神類は食料やら睡眠の必要すらない。」
なるほどつまり、俺は強い方なのか?それなら確かに昨日の出来事にも説明は着くが…それに食べる必要も寝る必要も無いのか覚えておこう。
「それで?ランキング報酬とかはあるのか?」
エルはまた驚きながらも答えた。
「まさかそれも知らないなんて…WORLD doorだよ。」
「わーるど…どあ??」
もう何が何かわからない。今日はまだ朝早いのにパンクしてしまいそうだ。
「WORLD door…その鍵が貰えるんだよ。かなり上位に入らないと行けないけどね…WORLD doorの鍵を手に入れると、WORLD doorの扉を開くことが出来る。そこには夢の景色があり、叶えられない願いなんてない。場所も登場人物も相手の性格、相手がこれから何言うかも、自分の容姿さえもとにかく何でもありの景色を創ることが出来てしまう。」
その言葉に俺は、目を見開いて俺の心は踊った。
何故だろう。これを言われたのは初めてじゃない気がする。
いやそもそもエルと花済真が来てから違和感がある。この2人はどこか懐かしい。
花済真は少し姿勢を直して、俺に話しかけた。
「そんな中、この街で今驚異が接近している。俺たちは、双雲隊(そううんたい)でその驚異を排除しようとしている。」
「月組(つきぐみ)に所属し率いるリーダー、エル。桜組(さくらぐみ)を率いり、リーダーを担当する俺事、花済真。俺らと隊員構成合計約1000名で、作られている。」
俺は再び聞き返した。
「脅威って?」
花済真は話を進め真剣な表情になった。いや元々真剣だが…
「ガビルドだ。ガビルドという魔王が今この街を征服しようとしている。いずれWORLD doorの鍵をあいつの手に渡す訳には行かない。このままじゃこの街は破滅だ。お前も協力してくれないか?」
「イブキも神類だ。奴は今神類ランキング95億位ほど。ランキングを上げたいのであればお前も好都合のはずだ。」
ガビルド、どっちにしろここにいたら俺も危ないはずだ。
俺はすぐに答えた。
「分かった。協力しよう。ただし、俺はそこまで戦えないぞ。」
花済真は立ち上がり、刀を腰につけた。
「構わない。戦力は1人でも欲しいからな。」
「早速、本部に戻ってお前を村長に報告したい。」
俺は頷き、玄関から3人で出た…
どーしよこのドア……
まぁそのうち、修理業者を呼ぼう。
そうするとエルはこちらの肩を少し叩いて小声で話しかけてくれた。
「花済真ちゃんが壊したドア直しておくね?」
俺は少しきょとんとしていた。
「は?直すって?え?」
エルは右手を翳し、扉に向けた。
そうすると、ドアは少しずつ修復された。
「なんだって?!」
目の前の現象を信じられずにいた。
エルは少しウィンクをしながら言った。
「実は主能力の他にも属性魔法(カルダン)と能力(スキル)を使うことが出来るんだ。基本的に属性魔法や能力は主能力以外に色んな人が使える。」
「今のは僕の能力で、ただの復元能力だよ。でも人や思考や時間。あまりにもでかいものは戻せないんだ。」
そうして歩いていると俺たちの所に何か飛んでくる。
3人とも、一斉によけた。
「爆発?!まさかその…ガビルドか?」
花済真を刀を構えて、抜刀の体勢に入った。
「いや違う。ガビルドの四天王の1人だ。」
煙から姿を現したのは、ロボット…?
目がひとつ赤く光っており、しっぽのようなものまである。
「ターゲットを視認。エルコーラスを確認。末遷 花済真を確認。不明対象を確認。エラーが発生しました。排除対象を変更します。」
その瞬間、俺の方にすぐに飛んできた。
「はや?!」
30mくらいあった距離が2秒ほどで?!
そのまま後方にあった壁に打ちのめされていた。
「ぐはっ!」
痛い…血が……くっ…こんなにも四天王が強いのか??
エルと花済真は蹴りと刀を繰り出したが相手の両手に止められてしまった。
「エル、どうして今日はスナイパーライフル持ってこなかった?」
「今日はイブキちゃんと対面するだけ、必要ないと思ったんだ。警戒しちゃうでしょ?それに…」
2人は思いっきり、力を加え、ロボットの手を押し上げ、腹に決定的なダメージを入れた。
「僕がスナイパーライフルを失ったからと言って体術でも劣ったりはしないでしょ?」
花済真は呆れた。
「そういうことを言ってるんじゃない…こいつの鋼みたいな体じゃ、刀や肉弾戦では、ダメージは通んないんだ。」
俺はゆっくりと歩いて、二人の間に入った。
花済真とエルは心配しながら臨戦態勢に入った。
「お前は観客席にいていいんだぞ?別に俺は足手纏いがいようが、いつも通り闘うだけだ。」
「イブキちゃんは好戦的だね〜まぁ嫌いじゃないよ。そういうの。」
俺は血反吐を吐いて、腕を回した。
「気にすんな。ずっと眠ってて体が硬直してたんだ。」
「感は戻った。反撃開始だ!!」
第1節 1章 2話 END
「ここから始まる激戦区。今俺たちの戦いはここから始まる!」
「イブキちゃん?何話してるの?」
「何って…お決まりだよお決まり。これがないとやってけないからな!」
「ふーん」
「俺たちに必要なのはあの鋼を超える決定的な火力だ!!もっと俺に力があれば!!」
「そんな中俺は目覚めていく。かつての思いに!」
「次回!WORLD door 第1節 1章 3話 目覚めろ真の力!」
「おいエル!!大事なところだけもってくなー!!」