なんでだろう。治った気がする。
どうやら神類の力は体を治すのが早いみたいだ。さっきよりコンディションがいい。
花済真とエルは猛ダッシュをして、攻撃を仕掛けた。
「くっ…やはりダメージが入らないか。」
エルは手をゼロ距離で翳し、詠唱を唱えた。
「属性魔法・水(カルダン・アクア)!」
かなり威力と速さを誇ったまるで高圧洗浄機のような水の魔法が繰り出された。
「ぐっ…胸部損傷…修復完了」
「うっそーん?!」
エルは驚きながらも空中で攻撃に合わせてバク宙をして、何とか回避した。
花済真も距離を取り、エルの横に立つ。
「並の属性魔法じゃ効かないね〜」
そして俺は2人の間に割って入った。
「俺にやらしてくれ。」
エルと花済真を溜息をつきながらその場を退いた。
「どうなっても知らんぞ。」
「昨日のあの大男を、倒したんだし、行けるんじゃない?」
「バカ言え、あんな奴とこいつとでは力差が違いすぎる。あいつも一応神類だったが、あんな奴片手で充分だぞ。」
なるほど。昨日の大男を取り押さえてくれたのはエル達か。あの女の子もエルの名前を言ってたし、辻褄も合う。
そんなことは今いい。さてと、やってみるか!
「はぁぁ!!」
俺は思いっきり鋼鉄のボディーを殴った。
「いってぇ…メリケンサックでもないと無理だこれ…」
だけどなんでだろ?何かが頭で訴えてる。
頭痛のせいか視界が眩む…
「█████████」
「████████████せ。」
「イブキちゃん!前!」
「はっ!」
エルの声で何とか目を覚まし攻撃を交わせた。だが、このままではジリ貧。とてもじゃないけどこいつに勝てない。
「ぐっ?!」
ロボットの尻尾が、俺を拘束した。
「イブキ!」
「イブキちゃん!」
2人が助けようとした所手からビームを出し2人の進行通路を断たれてしまった。
「くそっ!」
「僕らを寄せつけたくないみたいだね。」
ロボットの目は赤く光り、口大きく開けた。
「不明対象を確認。存在未知数。危険可能性アリなため、排除シマス」
口の中にある銃口が光り輝く。
まずい…!!これをまともにくらえば死ぬ!!!
「█████████」
「███私の██使いこなせ!」
!!
「分かったぞ!!」
俺は閃いてそのまま目を閉じた。
「イブキちゃん何をする気なんだ?」
「分からない。でも俺達にはどうすることも出来んぞ。」
そしてイブキはゆっくりと口を開け言葉を放った。
「光り輝く我は継承されたもの。ここにて目を覚ます!」
「出てこい!カルファ!!!」
その瞬間炎に包まれた、七色の光を放つ、鳥が顕現した。
エルと花済真はその光景を目の当たりにした。
「何?!」
俺はそのまま力を振り絞って尻尾の拘束を解いた。
「邪魔だ!!属性魔法・炎(カルダン・たんか)!!」
そのままロボット全体を燃やして後ろに、下がった。
エルと花済真は驚いてそのまま立っていた
「!?!?」
「イブキちゃんさっきまで属性魔法の存在すら知らなかったのに!」
不思議だ。力と記憶が少しずつ、解放されていく感覚。
「これなら勝てる!!」
手元から火を出せてるのに、熱くないなんてやはりこの世界は不思議だ…
それに…
「ありがとうカルファ」
大きな鳥は小さく頷いた。
「もしかして、喋れないのか…?不思議なやつだな。俺の身体の中では喋ってたじゃないか…」
エルと花済真も近づいて話した。
「これは…召喚術…とは違うみたいだ。」
「イブキちゃんの主能力が覚醒したって訳でもないよね…?一体…」
イブキはカルファの頭をそっと撫でながら告げた。
「こいつは…おそらく俺の守護神だ…記憶を失っていはするけど、寝てる間ほんのりずっと暖かかった。きっと、見守ってくれていたのだろう。」
花済真はその場で考えた。
(守護神の力を引き出したのか…本来であれば獣類の中でも最強クラスと呼ばれる彩炎鳥(ホルス)今は力を完全に取り戻してないのか。まだオーラが弱い…。それにカルファと言ったか…?どこだ?その名をどこかで俺は聞いたことがある。)
イブキはカルファを操り、手を掲げた。
「反撃開始だ。」
それにカルファが目を覚ましたおかげで色々と今できることが分かった。
様々な能力に、自分が出せる身体能力値…カルファが力を貸してくれた属性魔法の炎と俺が扱える属性魔法の雷(プラズマ)。
自身の力量を知る事こそが、1番の強さと言える!
「属性魔法・雷!」
イブキは思いっきり地面を蹴り上げ、ロボットの後ろに回った。
だがすぐに反応し、ロボットも体を後ろに回した。
「敵対象をロックオンしました。狙撃します。」
さすがロボット…雷を使って移動速度を強化したのに、これにさえついてこれるか…
「属性魔法・炎!」
即座に炎を発動し、その発射の勢いに任せ、体を捻った。
おかげで空中でのミサイルを避けることが出来た、
まだ隙は与えない!移動に雷、攻撃に炎を使用して一気に畳み掛けろ!
高速移動の激しい闘いがぶつかり合う。だけどやはり生身は生身か…
もう拳も足も痣だらけになっている…
「相変わらずかてーやろうだ。これで少しは勝機あるだろ!」
「あらゆるパーツが修復できません。残りエネルギーは76%です。」
「うっそ…まじ……?」
攻撃が飛んでくるのに対してうまくかわした。
「炎・無限硝石(たんか・むげんしょうせき)!」イブキの背後から亜空間で無数の火の弾をロボットに当て続ける。
そしてロボットはやがてガードの姿勢しか取れていない。
「ぐっ…ぐぐ……」
エルと花済真はイブキの強さを見て、驚いている。
「花済真ちゃんこれなら!」
「あぁ、あいつにも倒せるかもしれない。」
イブキは苦しみながら最後の力を解放する。
「出力最大!!!」
更に炎の威力は拡大し数も速度も上昇する。
行ける!これなら勝てる!!
「はぁぁぁぁあああああ!!!!!」
そんな時、急に炎を発動出来なくなった。
「なにっ?!」
一体どういうことだ!まさか…!
「カルファ!!おい!カルファ!!」
いくら呼びかけても、温もりが感じられない。これは…!!
エルが汗を垂らし、告げた。
「……MP(マナ)切れ!!」
この時のカルファはまだ力をつけれてない。イブキの力は目覚めたと言えど、その力はカルファのおかげでもある。まだイブキは起きてから2日で戦いの感もない。そしてカルファの養分はイブキのエネルギーが当然必要不可欠である。ずっと目を覚まさなかったイブキにエネルギーを補給できる時間などあるわけが無い。故にカルファは全ての力を使い果たした。
「対象弱体化を確認。」
ロボットは凄まじいスピードで、俺の首根っこを掴んだ。
「…あ…ぐっ………!」
「イブキちゃん!」
「イブキ!」
2人は全力でロボットのほうへ走っていった。
「「主能力(メインアビリティ)!」」
だが、2人が技を発動しようとした瞬間、ロボットは既に主能力を放っていた。
花済真とエルの位置がロボットの反対方向にむかっていたのだ。
「何?!」
「これは…」
ロボットはその瞬間こう話したのだった
「私の主能力は、攻撃しようと近づくと、その対象に幻覚を見せるのです。貴方達は私に攻撃をしようとしたのかもしれませんが、私から見れば、ただその場で敵の居ない方向に攻撃してただけなのです。」
「未確認対象の排除を再開します。」
「くっ!!」
「イブキちゃん!!」
「イブキ!!」
こんな早く退場(リタイア)するのか!俺は!!!
「滅式・壮閃ノ刃(めっしき・そうせんのやいば)。」
突然、紫と黒色のエネルギーが飛んできて、ロボットの腕をいとも簡単に切断した。
「がっ…!右腕損傷…修復開始………修復が出来ません。エラーが発生しました。」
イブキは地面にそのまま倒れ込んだ
「ごほっ…げほっ、げほっ……」
なんだ…?助けてくれたのか??一体誰が…?
目をゆっくり開けると俺の目の前には、水色の髪の青年が突っ立っていた。
「やっと目が覚めたのかい?イブキ。」
水色の前髪の横には少し黒色に髪が変色しており、黄緑のカーディガンを羽織っており、そして黄色の瞳。そして、なんだか容姿が少し似ている…
「待て…お前なんで俺の名前を知って…会うのは初めてのはずだ…助けてくれたのはありがたいが何者なんだ…?」
花済真とエルも近寄ってきて話をした。
「お前…黄色の瞳じゃないか。色は鮮やかじゃないけれど…それでも神の瞳を持ってるってことだろ。」
イブキは、頭中が困惑していた。
「待て待て状況が追いつかない。まずはせつめ………」
ロボットはいつの間にかイブキの目の前まで来ており、左腕でイブキの頭目掛けて、突進してきた。
「未確認対象を追加1名発見…。殲滅を開始します。」
青年はため息をついて思いっきり足を振り上げた。
「滅式・強化。」
「あのさ…今話しているとこなの。邪魔しないでもらえるかな?」
あんだけ硬かったロボットの体を…たったの蹴りで心臓の箇所の鉄を貫きやがった?!
「生命意識…減少…た…だちに……シャットダウンします…」
「ふぅ…」
青年は乱れた服を整えイブキに手を差し伸べた。
「大丈夫?」
傷はもう癒えてる…完治ではないけど、動けはする。それより…
「お前、何者だ?」
「あぁ自己紹介が遅れてたね…今のイブキはまだそこの記憶もないんだっけ?」
水色の青年は少し下がって、話を始めた。
「改めて…僕はディルト化学科77工場管理人。エルフマ・ハヤトだ。」
もしかして…こいつが…
エルがはっと驚く
「ディルト工場って!最も研究が進化を遂げている超有名な所じゃん!それの管理人って相当頭良くないとだよね?」
俺を拉致した犯人?!
あそこの豪邸の苗字…他の名前だけ黒塗りされていたが、毎月の家賃などには、〈エルフマ・ハヤト〉という名前があった。
その乗り気で、俺もエルフマ・イブキと名乗っているわけだが。
イブキはハヤトに向けて銃を構えた。
「答えろ。俺に何をする気だ。」
ハヤトはため息を軽くついて笑い出した。
「どうしたの?何も警戒することないでしょw」
「僕は君の兄だ!」
そこにいた俺と花済真とエルは驚愕した。
「「「なんだって?!?!」」」
「うーんどこから話せばいいんだか。別に血が繋がってる訳じゃないんだけどね?イブキが眠る前に、義兄弟を組んだんだよ。」
俺が眠っていた時もそうだが、実は眠る前も記憶が無いのだ。まるで空白のように。何かあったのは分かるのに。まるで大切な記憶を全て消しゴムで消されたかのように、思い出せない…。
それにもし兄だとしたら辻褄も合う…さっきこいつは、やっと目を覚ましたと言っていた。これは俺の様子を見てたということ。
わざわざ金銭目的なら、家賃を払う必要も無い。俺が危険な存在なら寝ている間に殺せばいい…。
何かを要求することも無く、ただ俺を助けただけなら、本当に俺を守ってくれたのだろう。
「そういえば礼がまだだったな。ありがとうハヤト。」
ハヤトはニコッと笑って、言った
「どういたしまして!」
ハヤトはくるっと振り返った
「花済真さんにエルさんだよね。ここら辺では有名で街の人たちからたくさん聞いたよ。」
花済真とエルはこくっと頷いて、笑顔で対応した。
ハヤトはそのまま続けて…
「魔王ガビルドの討伐に僕も加えてくれないかな?」
「聞いたのか…まぁでも、君みたいな実力者が、協力してくれるのなら歓迎する。」
「それじゃあ早速本部に戻ろう。」
そのまま花済真は歩き始めた。
次々と起こるありえない現象ばっかり…
ハヤトは横から話しかけてきた。
「まだ信じられない?」
イブキは静かに首を横に振った。
「いや、他のことで思い悩んでただけだ。」
「それって記憶のことかい?」
「それもあるが…ハヤトはどうして俺を守ってくれたんだ?」
「それは兄として当然の責務じゃないかい?」
「違う、もっと前の話だ。」
俺の事を眠る前から知っていた…。きっとたくさんの情報が…
ハヤトは真剣な表情になって話した。
「この世界は今や、いや昔から…おおよそ700年前…ここ日本含め全世界で戦争が起きた。突如発生したWORLD door。そして一人の神がこう告げた。『WORLD doorでは全ての願いが叶う。私はお前たちにもう一度チャンスをやる。天命がそれを赦した。願いを叶えるのに楽な道は無い。この鍵が欲しいのであれば死ぬ気で奪ってみせろ。』」
「神に挑むもの、親密な関係だったにも関わらず、その言葉だけで争いが起きるもの。とにかくこの世界はその神とWORLD doorから全てが変わった。やがて神はルールを創った。そしてランキング形式で上位のものだけに鍵が譲渡された。」
イブキは不思議に思った。
「確か神類はほとんどがなんでも出来るのだろう?食事も睡眠も原則的には必要ない。傷の癒えなんかも、一瞬で治ったりする。核(かく)と呼ばれる俗に言う心臓を破壊されない限りは体は何度でも再生する。ハヤトの話から言うに俺は700歳を超えているのか?」
ハヤトは首を横に振った。
「いや、僕が産まれたのは20年ほど前。僕が今24歳だから、イブキは少なくとも22歳くらいのはずだ。」
やはり俺の憶測は間違ってなかった。カルファから得た情報も含め大体のことが分かるようになってきた。基本ルールの原理はこれか。
ハヤトは話の続きをした。
「そして今も尚時代は変化を続け、ランキングも変わりつつある。僕たちは義兄弟という形で、この世界を生き抜いてきた。そんな時イブキはある日を境に目を覚まさなくなった。今日に至るまでイブキは3年間眠っていた。」
やはりそうか…
つまり俺は………
ようやく目が覚めてきたな…そういえばハヤトってディルト工場の管理人って言ってな…どんなことをしていたんだ?
僕の管理してる77工房は今までの工房の数でもあるんだ。だけどほとんどは戦争で廃棄された。今残ってるのは、4工房と23工房と77工房のみなんだ。
へ〜…そういえばディルト工場って別名革命をもたらす化学の場だろ?そこに入るには相当頭良くないと行けないはずだが…
あぁ、僕は様々飛び級してきてね今最新テストで測って出せる僕の推定IQは900くらいなんだ。
そんなにすごいのか?!
イブキだってIQ500くらいはあるでしょ?1話の洞察力見事だったよ。
メタ発言はよしてくれその時まだ出てないだろ…
ふふっ、お互い様だね。
次回!第1節 1章 4話 桜組と月組