《ロトリー》! 運命の数字が提示された!
運命の数字は《77777776》! ジャックポットを目指せ!
ラッキーマシンの《幸運圏》が回り始めた! 運が上がった!
デモンディーラーは《チケット》を手に当選番号の確認へ走った!
ああああああああああ! 構築したシステムがこれイカサマじゃないって言ってるぅ!! カス運と天運が組み合わさった結果こんな事になってる!! クソ!! ボケ!! 運ゲーは昔から不得意なんだよぉ!! 先日も1億溶かしたし……!
脳裏に浮かび上がる王様の笑顔。サムズアップする王様。お金は溶けるものだ……とかいって慰めるイマジナリー王様。サンキュー王様、ファッキュークソ運。
最短2回抽選されたら負ける。スロット型のモンスター、ラッキーマシンの使った《幸運圏》はオートやリアクションではなく、パッシブスキルだ。《インタラプト》の対象に取られない。
「だから対処はこう、だ」
ルナウルフは《連撃の構え》を取った!
《根の国》が世界を侵食する!
ウェルギリウスの《インタラプト》! 《チケット》確認を止めた!
デモンディーラーは悲しそうな表情で《セカンドチャンス》に賭けた!
《去り行く過去》にデモンディーラーは当選日を忘れた!
《抗体》によって忘却に抵抗しチケット確認へ向かった!
でんっ!
ドラムロールと共に世界が凍り付き、チケットを握りしめたデモンディーラーはコミカルにビジョンの前まで走る。はらはらしながらチケットとビジョンの間に視線を交互させ―――でんっ!
ナンバーは6! ナンバーは6! 当選番号が1桁一致した!
《当選祝い》にデモンディーラーの《抗体》が回復した!
ルナウルフの《インタラプト》! 《当選祝い》なんてものはない!
デモンディーラーは扱いに泣いた……。
ラッキーマシンの《ロトリー》! 運命の抽選が始まる!
ウェルギリウスの《パーフェクトキャンセラー》!
デモンディーラーは《インタラプト》を放った!
ルナウルフは《ルアーリング》で対象を己へと差し替えた!
《インタラプト》の適切な対象が存在せず不発に終わった!
《ロトリー》の抽選が阻止された!
パフェ1インタラ2で抽選1回しか止められなかったの痛ぇ! でも《抗体》《インタラプト》切らせたから相手も妨害と耐性は剥がせた。恐らくラッキーマシンにも《インタラプト》は乗せてある。《パーフェクトキャンセラー》はデモンディーラーも乗せてるだろう。
こっちは今ので妨害を切らせたと思っている筈だ。《サクリファイス》からの《輪廻》を相手が把握しているかどうか……いや、把握されていても使わないと妨害が間に合わない。使うしかない。後は相手が《ロジックジャマー》を使えるかどうか!
使える前提で考えよう。存在しない場合よりも存在している場合で考えた方がはるかに良い。
データを見ていて良かった、相手のやれる事、やりたい事は大体解る。ギャンブル補助系統スキルとか闇金コンボが出て来ない。スキルパーツが少ないのもそうだが、補助動作から《インタラプト》で打ち消されるのを警戒してる?
やはり《インタラプト》以外にも止める手段があると思ってるな。打ち消しからの忘却付与は死神にのみ許される無法コンボの一つだ。それを警戒しているのは当然だが、こういう手もある。
ルナウルフの《ルナティックパーティー》! 敵味方全体の攻撃力が2段階上がった!
ウェルギリウスの《ディスペル》! ラッキーマシンの強化状態を解除する!
デモンディーラーは《パーフェクトキャンセラー》を放った!
「それは通さないぜ!」
「通せない、の間違いだろ」
鎌を振るってスキルを狩り殺す動作を、ディーラーの放ったカードが差し込まれて妨害される。かぁん、弾かれて出てくるのは火花―――ではなく、コイン。カジノで使う様なコインやチップがエフェクトとして煌びやかに散る。
普通の戦いでは見ない光景に観客のテンションも上がる。
1ターン目からのハイレベルな攻防、後のない状態をキャンセルして維持する攻め合い。互いが互いを食い合うバトルに会場のボルテージがミュージックに乗せてアガる。
黄泉の風が吹く。それを切り裂くようにカードが飛ぶ。
《ダブルディール》! お仕事を達成して《チケット》を握り直した! やったぁ!
《ファストアクション》! 魔狼が意識の合間をすり抜けて切り込む!
《ルアーリング》! デモンディーラーは攻撃を自分へと差し替えた!
《連撃の構え》による再攻撃が行われる!
ルナウルフは再び切り込んだ!
……Check! 《破魔の牙》が煌めく! 付与された《チケット》を食いちぎった!
デモンディーラーの《チケット》は夢と消え去った……そんなぁ……。
「ヒュ―――! やるねぇ!」
《破魔の牙》、確率で攻撃にディスペル効果が乗るスキル。《ダブルディール》の使用回数増加は回復ではなくバフ扱いなのでディスペルで打ち消せる。これでウェルギリウスだったらこのまま無力化出来たのだが……いや、それは後だ。
まだ1ターン目処理を終了させただけだ。
高速の攻防を終えて脳内のカロリーが爆速で消費されて行く。ルナウルフの追撃が発動してデモンディーラーが弾かれ、ラッキーマシンの近くへと着地する。同じようにルナウルフがウェルギリウスのいる後衛まで下がり、互いに視線を向け合い、呼吸をして。数秒の睨み合い。
互いに切り込むタイミングを計ってから―――2ターン目処理へと突入する。
「回すぜ回すぜ回すぜDream! カモンラッキーナンバー!」
「勝手に回すな! 運ゲーを天運で乗り越えようとするな! 俺のカス運を少し食っていけ―――!」
ルナウルフの《クイック》! ウェルギリウスの速度が上がった!
ウェルギリウスの《ディスペル》!
ラッキーマシンのバフが打ち消された!
《去り行く過去》! ギャンブル? そんなもん忘れちまったさ……。
ラッキーマシンは忘却状態に陥った!
《削れる運命》! ギャンブル漬けのツケが回って来た! ラッキーマシンの命が削れた!
《ミスチーフ》! 運はもう尽きたのかい? 素早さが1段階下がった!
《削れる運命》! 対価が首に回って来たぞ! ラッキーマシンの命が削れた!
ラッキーマシンの《シェイクオフ》! 忘却を振りほどいてギャンブル漬けの日々に帰還した!
俺の……俺の無意識から生成されるシステムログがカスのログすぎる……!
速度を上げて先手を取ったウェルギリウスが手を前に伸ばし、握りつぶせばラッキーマシンの命運が削れる。コミカルなエフェクトを飛び散らせ、黄泉の国に段々とコインが溜まって行く。ルナウルフとウェルギリウスの連携でデモンディーラーとラッキーマシンを追い込んで行くが―――止めきれない!
「抽選タイムだっ! 全員! 運命の到来に心しろっ!」
「運命は! 来ない!!」
《ロトリー》! 準備は良いか?
ウェルギリウスの《サクリファイス》! 己の命を捧げた!
《輪廻》を経てウェルギリウスは新生を果たした!
《パーフェクトキャンセラー》! 抽選タイムを阻止した!
《去り行く過去》! ギャンブルを忘れて社会に戻る時だ!
《抗体》! 忘れられない快楽がある! ラッキーマシンは抵抗した!
デモンディーラーの《ディヴァインベール》!
ラッキーマシンは1回分の免疫を得た! 良いんだよ、ギャンカスでも……。
「近づいてる……近づいてるぜ! 俺達のクライマックスが!」
「フィーバー! 私達を止める手は残ってるかしら!?」
互いにマスタースキルを残した状態で3ターン目に突入。戦闘が盛り上がって行くように、根の国にチップが降り積もって行く。黄泉の国にテレビが落ちてきて設置される。最後の当選番号を発表する為の準備が整って行き、テレビが数字の回転を始める。
「さあ、クライマックスタイムだ!」
「尊! 私、コレ通したら負けるって直感が叫んでるんだけど」
「奇遇だなぁ、俺もそう思う」
にかっ、とバニーとギャンブラーが笑って、運命のターンが始まる。
ルナウルフの《ダブルファング》!
デモンディーラーは行動を放棄してラッキーマシンを庇った!
デモンディーラーは食いしばって耐えた!
《根の国》が命を彼岸へと連れ去って行く!
Busted! ギャンブラーに相応しい末路が訪れた!
サポーターが落ちた。これで庇う事も回復する事も出来ない。これで最低限忘却を入れる事が出来れば詰みだ。回復手段は《シェイクオフ》と《抗体》を切らしている、残ったのはベールによる免疫効果1回分だけ、これを剥がしさえすれば此方の勝ちだ。
素早さはウェルギリウスのが上だ、だったらやる事は解っている。
「《ワープスター》!」
《ワープスター》! 先んじて当選番号の確認に行くぞ!
ラッキーマシンの《ロトリー》!
「ワープっ……!」
《ワープスター》に対抗してワープスターと言えれば勝ちだ。だが事前に頭にセットしたのは《デモリッション》だ。チェンジプランで脳をシャットダウンして再起動したら切り替えられるが、それをここでする訳にはいかない。ただでさえこの後、強敵が待ち受けている可能性が高いのだ。
脳に負荷を与えられない。
泥沼に……持ち込む……!
「《サクリファイス》……!」
「Wow……!」
《サクリファイス》! ルナウルフの命を捧げた!
《パーフェクトキャンセラー》の使用回数が回復した!
その当選確認日間違ってない? 《ロトリー》が無効化された!
《去り行く過去》は免疫効果によって無効化された!
ルナウルフ死亡。《サクリファイス》、自殺退場かリレイズ前提で使うのが普通だが、こういう土壇場ではこういうのも“アリ”だ。とはいえ、アタッカーを殺す事になるのでここからは相手の残されたスキルと、此方に残ったスキルでの殴り合いになる。
相手が更にデバフケア用のスキルを持っていれば、《ロトリー》が回って負ける……!
なんで!! 当選確定の!!! 前提で!! 殴り合ってるんだよこれ!!!
普通ズレるんだよ!!!
ダブルリーチしてもどっちも外れるんだよ普通は!!!
どうして!!! 当たる!!! 前提なの!!!
「回させるかぁああ!!」
《ディスペル》! ラッキーマシンの強化状態が打ち消された!
《去り行く過去》! そろそろギャンブルは忘れよう!
《削れる運命》によってラッキーマシンの命が削られた!!
《ミスチーフ》! 運はもう使い果たした! 攻撃力が1段階下がった!
《削れる運命》によってラッキーマシンの命が削られた!
これで合計4割、リーサルラインは見えた。行けるか? 行けるか? 行けるよな? リーサル通るよな? ロック出来たか? 忘却解除されない? されないよな? 通ったよな!?
「―――」
テレビの映像がぐるぐると巡り最後の数字を刻もうとする。互いに吐き出せるリソースは大方吐き出し終わっている。残された僅かなリソースで何が出来るのかを睨み合う。完全に動きを停止したラッキーマシンはぐるぐるぐるぐる―――スロットのリールを回す。
《ロトリー》!
ぐるぐる回り数字が―――出て来ない!
テレビ、ビジョン、全ての映像に大きなばってんが出た。
「はーっはっはっは! バーストだ! 手札を全部晒してここまで妨害を通されたのは初めてだぜ! カモン、リーサル!」
「っしゃああああ、勝ちだああ!!」
叫びながら油断なくウェルギリウスに止めの為に2回デバフを使わせる。最後の最後まで油断せず絶望を付与し、その後に適当なデバフを付与して残り4割のHPを割合ダメージで削り切り、ラッキーマシンも根の国のオブジェに追加する。
そうして敵を倒し終わり、ウェルギリウスのみがフィールドに残った事で勝者が決まった。
『決着ゥ―――!! 第1回戦、手に汗握る戦いを制したのは鴉羽柊ペア! 2回戦進出!』
歓声の中、額に溜まった汗を拭いながら深呼吸をする。
これで、駆間の名誉は守られた。