最強以外ありえない   作:てんぞー

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私も普段から育成談義したいなー!

 しばらくベッドの上でゴロゴロ過ごしたらミーティングの為に部屋を出て指定された会議室へと向かう。このご時世、スポーツ1つで世界の経済が左右されるだけあって盗聴盗撮は基本、洗脳スパイ賄賂で情報を抜き出そうとする動きまである。

 

 お前らコレゲームやぞ! そこまでやるのやめーや!

 

 と言いたいが、リアル環境だとまあ、そうも行かない。

 

 そういう訳で1ホテルには1チーム、徹底して他のチームから情報を読み取られないように対策を施している。カメラ等で映像を取られて過去の構築が割れているのは当然だが、変更したスキルや再調整を施されたモンスターの情報は試合直前までは隠したい。

 

 そういう事で、国家規模の対戦にもなるとここら辺の情報遮断具合はガチになる。

 

「という訳で尊、この中に裏切り者がいないか軽く調べてくれ」

 

「初手それぇ?」

 

「これはかなり真面目な話なんだ。スパイや賄賂の類は毎度出てくるんだ。今回は厳選に厳選を重ねたメンバーだけど、ワンチャン裏切者がいるかもしれない。お前が全員チェックしてくれるとそれだけで助かるんだ」

 

 会議室に入った直後から汚い大人の世界を見せられるけど言っている事は真っ当だったので、サクッと全員にシンクロを走らせて思考を読み取る。

 

「えーと……アイツはガチャで天井した事しか考えていない。アイツは便秘気味。アイツは奥さんに逢えなくて悲しんでる。アイツは寝取らせ趣味で今ワクワクしてる。アレは酒カス」

 

「裏切者は出て来ないのに余計な情報は出てくるんだな」

 

「良い事じゃないか、今回は裏切者がいなくて。盗聴器はチェックしたな」

 

「後は透視の類だけど、そっちも遮断してる」

 

 東吾と仮面が凄い慣れた様子で盗聴器とか透視とか言っている。ここまで来ると本当にもう違う世界に見えて来る。WIKIで情報が全部出てる世界とは考え方が違うなぁ。でもそうか、盗聴器とか透視までやる世界なんだ……そりゃそうだ。

 

 1ゲームで数百億単位の金が余裕で動くのだから手段を選ばずに勝とうとするに決まっている。

 

 ジジイ、事前情報無しでここで永世グランドマスターになったのは本当に偉業だったな。

 

 こればかりは認めないとならないかもしれない。

 

 会議前にどたばたチェックを終えたらサポーターを含めたチームメンバーが会議室に揃う。リーダーは日本1位のマスター仮面が務める。珍しい事に酒クズも強いゼロしか今は握っていない。握ってる時点でダメじゃない? いや、でもリットルボトルとかビンじゃないしな……割と抑えてるのかもしれない……。

 

「よし、チェック完了!」

 

「こっちも終わりました! 案の定透視されてました」

 

「やりそうな国は……まあ、詮索するのはやめておくか」

 

「どの国もやってることですしね」

 

「うむ。それでは資料を配布する。全員タブレット内のデータを確認してくれ。このタブレットは今後チーム活動で使用する専用のものだから管理には気をつけてくれ」

 

 タブレットが配布される。その中には参加国のデータや、資料、日本チームの細かいデータが入ってた。実は俺は事前にデータを送られて色々と東吾と話をしてる。

 

「中国やっぱり来てますか……強いんだよなぁ、あそこ」

 

「前GMのイタリアも招待されてますねー」

 

「ヨーロッパはイギリス、フランス、ドイツとイタリアで枠多くないですか?」

 

「それだけ金を出してるんだろう。日本は仮面さんの存在で枠を取ってるからな」

 

「今年はリベンジしたいなぁ」

 

 早速受け取ったタブレットの中身を確認しながらここまではできなかったチームの話に入る。やっぱりバトル上位国が多く参戦している。ゲームでよく見た国ばかりだ。

 

 そうやってデータを確認する時間を作ってからさて、と仮面が声を出して注目を集める。

 

「最初に皆にはチームに参加してくれたことへの感謝を伝えたい。今年は裏切り者もいないし、途中で奇声上げながら窓から飛び降りるやつもいない、素晴らしいチームだ」

 

 前に何が起きたんだよ……。

 

「その上で今回はいつもとは違うサポーターがいる。もう知っているだろうが、鴉羽尊くんだ。あの柊家の血筋で、剛三さんのお孫さんになる。だがその血筋以上に、根の国と図書館の発見者という近代バトル環境への大貢献者である事を知っていて欲しい」

 

 仮面の言葉に会議室に拍手が響く。純粋に歓迎してくれる皆がちょっと恥ずかしい。ペコペコ頭を下げる。

 

「よろしく」

 

「解っているとは思うが、彼は特別な人間だ。言葉以上の意味でね。今回はスペシャルサポーターとして帯同してもらっている他、オーバー100ダンジョンを見つけた知識と知恵を持って我々にはない知見を出してもらうことにしている。この件に関しては異論は挟ませない。いいな?」

 

「まあ、飛行船での話を聞いてるとな?」

 

「あんな話をされて異論は出ないよな」

 

「鴉羽さんが特別なのは私達でも感じ取ってます」

 

「それで勝てるというのなら異論はありません」

 

「未知のお酒が飲めそうだし異論はなし!!」

 

「……よし、問題はなさそうだな」

 

 1人問題発言してないか? そもそも会話になってないよな? 言語機能大丈夫かあれ?

 

「ではこのミーティングでは我々が勝てるかどうかの話をしたい……尊くん、ここからはいいかな?」

 

「うす」

 

 責任重大だ。というかマジで子供に任せていいのか? 誰も文句を言わないし。修三さんはにこやかに手を振って頑張ってと言ってる。

 

「じゃあ……ここから進行を任された鴉羽です」

 

「どうした、硬いぞ尊。普段通りの厚かましい態度でいいんだぞ」

 

「うるせぇ」

 

 ヤジに中指突き立ててから深呼吸をして、話に入る。

 

「ぶっちゃけ、日本は負けるよ」

 

 ぶっ込むが、反発はない。皆冷静に話を聞いてくれているので話を続ける。

 

 仮面を指差す。

 

「下剋上ゼリィ」

 

 東吾を指差す。

 

「デスヒールコントロール」

 

 酒クズを指差す。

 

「鬼神ランプ」

 

 これが日本チームの構築だ。

 

「自覚はあると思うけど、日本チームの構築は全体的に図書館で解禁されたスキル群とそこまで相性が良くなく、搭載し辛い。だから環境が変化しても大きく戦力が向上してない」

 

 しかし。

 

「アメリカ……というかGMの構築は元々はアグロ寄せだったのが図書館と相性の良い構築だったからパワーが跳ね上がってる。何よりも図書館関連のスキルはイギリスを始めとしたヨーロッパが独占気味であんまり出回ってない」

 

 ここに関しては俺が叡智の書で解決出来るけど、これも立派に戦争の火種だしな。

 

「図書館がゲームチェンジャーとして現れてからまだ半年程……Sモンスター一体の育成期間は1年以上かかる。図書館に合わせて構築を更新しようとしても皆育成期間中で変更が利かない。つまり今、上に来るのは元から図書館と相性の良い構築してた奴らだ」

 

 そう、まだあの事件から1年も経過してないのだ。環境が完全に切り替わるにはあと半年近い時間が必要になるだろう。サブで運用してる入れ替え用のモンスターがいるならともかく、育成の手間を考えたりすると……まあ、難しいだろう。

 

「修三さんは?」

 

「修三さんは普段から意見交換して全部アンブロシア食わせてカンスト、再調整、再合体全部済ませてるので自信を持って世界最強のAランクって言える」

 

「そういう訳で、こちらのことは気にせずにお願いします。データ見てる感じ全勝出来そうなので」

 

「いーなー!」

 

「私も普段から育成談義したいなー!」

 

 東吾は割と頻繁にチャットするじゃん。

 

「と、言うわけで。うちの国の代表Sランカーにはテコ入れが必要です」

 

「具体的には?」

 

 サポーターの質問に答える。

 

「スキルを強化する」

 

 勿論、と付け加える。

 

「図書館のじゃない。図書館のスキルカードはその気になればいくらでも用意出来るけど、そもそも相性がそこまで良くない。となるともっと相性の良いスキルを調達する必要がある」

 

「まさか……!」

 

 この発言に大体皆が勘付いた。その気づきを肯定するように頷く。

 

「ここにいるメンバーで暗黒樹海に向かう」

 

 やることは簡単だ。

 

「ワンランク上のつよつよスキルカードを調達する為に、暗黒樹海へピクニックに向かう」

 

 これが、日本代表チームがアメリカ等の強豪国に勝つ為に必要なことだ。

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