最強以外ありえない   作:てんぞー

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余計な事しかしないなここの神様

 任意指定できないという事は単体指定のスキルが全て死亡する事。

 

 絶対回避は必中属性を無効化し、必中効果は影響を受ける効果だ。

 

 この雑強コンボはPvPの最終環境でも大暴れしたコンボであり、将来的に未来(チビ)にも搭載予定のコンボの1つだ。

 

 必中効果と必中属性は違う。

 

 魔法は必中属性であり、回避率を無視する。その為攻撃魔法や付与魔法は回避率が300%備わってようが命中する。だが効果として必中ではない為、絶対回避状態の時は回避される。これを貫通できるのは《あたれ》や《ユニゾンアタック:槍》の様な必中効果を持つ攻撃手段だ。

 

 効果と属性はカテゴリーが違う。細かい分類だがPvP廃人はその事を良く理解していた為、常に何かしらの詰み対策として必中効果を持ち歩いていた。それだけ絶対回避を利用したコンボは強いし、詰み性能が高いからだ。

 

 この極悪コンボを初見で経験するマスター仮面は一瞬だけ思考する時間を取った。

 

 PvPでは悪手とも取れるタンクによる全体防御で凌ぐだけのターン。

 

 きなこが膨らんで味方全体を守る動き。

 

 縺ッ縺?″縺カ縺ABCの《暗夜奇襲》!

 闇に紛れて凶刃が無作為に迫る!

 きなこは包み込んで味方を守った!

 きなこにダメージ!

 きなこにダメージ!

 きなこにダメージ!

 縺ッ縺?″縺カ縺ABCの《ブラッドリッパー》!

 無作為な刃が血を求め引き裂きばら撒く!

 

「ここで一旦無敵を切って……成程、即時攻撃とバステ付き攻撃、連続攻撃に追撃型だが動きは起点連動型だな」

 

 極悪コンボを前に一瞬驚くマスター仮面だったが、その脳味噌は既にどうやって突破するかを考えていた。ヒントなしの状態を楽しんでいる様に思えた。これは高難易度ダンジョン、その雑魚との戦いをパズルを解くかのように思考し、結論を出す。

 

「良し、東吾、バトンタッチだ。君の方がこれはやりやすいだろう」

 

「了解、攻撃の切れ目に行くぞ」

 

 そしてあっさりとバトンタッチする。

 

 これが彼らの強みでもある。

 

 違う構築、違う戦術、それは多様性というダンジョンのモンスターにはない強みだ。自分の相性が悪かったら即座に別のパーティーに出番を渡せる合理性、そして解析しながら繋げられる戦略性。Sランクはこういう高難易度のダンジョンに挑む事に慣れている。

 

 だからこういう風に、直ぐにバトンを手渡せる。

 

「つまりはこういう事だろう?」

 

 ハーデスの呼びかけに応じ《根の国》が広がる!

 《暗黒樹海》は《根の国》に上書きされた!

 《嘆きの大河》が溢れだす……。

 縺ッ縺?″縺カ縺ABCの《暗黒のヴェール》が解かれた!

 縺ッ縺?″縺カ縺ABCの絶対回避効果が消失した!

 縺ッ縺?″縺カ縺ABCの正体が露わになった!

 縺ッ縺?″縺カ縺……廃棄生物58号だと判明した!

 廃棄生物58号ABCは発狂した。

 《伝播する狂気》により東吾のパーティーに狂気が伝染する!

 ハーデスは《パーフェクトキャンセラー》を放った!

 ハーデスは《インタラプト》を放った!

 ハーデスは《冥神の誘い》を放った!

 

「リアクションで入ったという事はカウンターとして大事なパーツだと見た。止めておくぞ」

 

 ハーデスは《アポトーシス》を唱えた!

 廃棄物58号Aに回復反転効果が付与された!

 ラファエラは《無詠唱》で《暴走詠唱》を唱えた!

 ラファエラは《クイックスペル》《ダブルマジック》を唱えた!

 ラファエラの《アポトーシス》!

 廃棄物58号Bに回復反転効果が付与された!

 《アポトーシス》x《アポトーシス》が合体する!

 敵全体に回復反転効果が付与された!

 被回復効果が2倍になった!

 ラファエラの《大天使の息吹》!

 《満たす愛》で回復量が2倍になる!

 廃棄物58号Aに反転400%ダメージ! 廃棄物58号Aは死亡した!

 《分かち合う心》による溢れだしたヒールが広がる!

 廃棄物58号BCに150%HPダメージ!

 

「良し、勝ったな」

 

 ホドロ君の犠牲によって強化されたラファエラのスキルが廃棄物58号を殲滅し戦闘が終了する。フィールドを使わないマスター仮面にはちょっと不利な相手だったな、と戦闘が終わってから評価する。対策がない場合はまともに反撃できずに即死コンボ喰らって終わるだけの雑魚。

 

 とてもじゃないが雑魚とは呼べないよ。

 

 戦闘が終わった所でよ、と手を上げて後ろから出て来る。

 

「強かったでしょ?」

 

「あぁ、滅茶苦茶強かった」

 

「私じゃまともに対処できそうにないから東吾くんに譲ったが……これは、なんなんだい?」

 

 死亡した廃棄物58号が横たわったまま、ドロップを残して溶けるように消えて行く。その姿を皆で完全に消え去るまで眺める。ヴェールが剥がれて露わになった姿は……言葉では表現し辛い、冒涜的で、そして正気を削る様な姿をしていた。

 

 それは……なんと言えば良いか、造形に失敗した生命のモデルとでもいうべき姿をしてた。

 

 剥き出しの神経。捻じ曲がった血管。皮膚のない肉体―――いや、これ以上は止めておこう。誰も幸せにならないタイプの生物だ。本人を含めて。

 

「暗黒樹海はこの世界が生み出された時に、1番最初に生み出された場所の1つなんだ。この樹海を抜けた先にある海に火山島があって、その火口の底に創造神が世界を生み出した場所がある。そこから全てが噴き出すように世界が始まった……って言われてる訳だ」

 

 でもさ、神って別に完璧じゃないんだよね。それはもう現状を見てみれば解るだろうけど。

 

「世界を作った時に生命を創造し、その作成に失敗したもんもいっぱいあったって訳」

 

「……解った。大体解ったわ。頭痛くなってくる……酒飲もう……」

 

「椿くんはそうじゃなくても何時も飲んでるじゃないか……」

 

 つまり。

 

「ここはゴミ箱なんだ。世界を最初に作った時、デザインに失敗した生命を廃棄する為の。だから闇は全てを隠す為にあるし、暴かれると発狂するし、この外に出られないんだよ。この闇はね、彼らを隔離する為のものだけど、同時に醜い己を隠す為の衣でもあるんだ」

 

 暗黒樹海の真相に、東吾が腕を組みながらふぅ、と溜息を吐いて闇の天蓋を見上げた。

 

「余計な事しかしないなここの神様」

 

 邪神! 女神! 廃棄物! 発狂した海王! 暴れると星が滅びる竜王!

 

 もうすこし……なんというか……創造のセンスどうにかならなかったんですか? 全体的なインフレ傾向とかいうか何というか。

 

「ま、まあ、意図してこうなった訳じゃないかもしれないから……ね?」

 

「修三さん、フォローの必要はないと思いますよ。残されたもんに俺達絶賛苦しめられてるので」

 

 修三さんが黙っちゃった。まあ、創造神の奴が創造失敗しまくってる事に関してはもう周知の事実なので今更フォローもクソもないのは事実なんだが。それにしたってもうちょっとなんかあっただろとは言いたくなるよね。

 

「で、尊。結局最適解はなんなんだここ?」

 

 東吾が答え合わせ求めて来るので教える。

 

「対象が取れない効果はランタゲか全体攻撃で突破出来るから《あたれ》で必中効果付与してランタゲか全体攻撃でワンパン火力出すのが楽だよ。速度調整して《イーグルアイ》とか先に使えるなら《ワープスター》から《イーグルアイ》、そっから火力乗せてワンパンとか。フィールド割ってもいいけど発狂モード入るからそっちの対処のが面倒かも」

 

 ランタゲ、つまりはランダムターゲット系の攻撃スキルは対象を選ばない代わりにこういう選べないという状況を突破出来る能力を持っている。対象指定型の劣化に見えるが、こういう状況では輝く。敵陣を指定する全体攻撃もこういう時は対象指定不可の制約をすり抜けられる。

 

「まあ、一番楽なのは《あたれ》を付与して自爆攻撃で全て消し飛ばす事だけど……」

 

「戦闘する度に自爆で消し飛ばすのか……」

 

「流石に心がないんじゃないか……?」

 

「そっすか? 仕事だから別に問題ないと思うっすよ」

 

 死が仕事である兎の発言に全員の視線が集中する。まあ……お前ほどの奴がそう言うのなら……みたいな空気が流れている間にララは死んだ。たぶん樹海の空気が肌に合わなかったのだろう。

 

 でもゲームだと良くやったんですよ。

 

 雑魚殲滅戦用開幕自爆モンスター。スキルで必中、貫通、OCを確定させてワンウェポン型にさせた先制ワンパン専用モンスター。これを作る作らないで1戦闘辺りの時間がまるで変わって来るから作らない理由がなかったんだよね。

 

 特に周回と厳選してるなら必須だった。

 

 花火師、Sになってくれねぇかなぁ。

 

 アイツがSになったら遠慮なくダンジョンに連れまわすのに。あのきわまった自爆構築、ランクマだと正気の沙汰じゃないけど高難易度ダンジョンとかの探索だったら間違いなく最強なんだよな……あの構築でBとかAを抜けるのは難しそうだけど……Sになって欲しいなあ。

 

 なおチビの将来のプラン的には絶対回避、集敵、カウンター、OC、弱点付与が継承予定なので最終的にはヘイト取りつつ回避カウンターして対象外になりながら弱点付与もするとかいうクソゲーの化身になる。アグロ~ミッド帯だと最強ですよこれ、お勧めです。台パン率100%間違いなしです。

 

 最初にビルド考えた奴は相当性格悪いよ。

 

 なおシェイナ方面がOC・弱点付与で、チビが回避・カウンターの血統担当である。

 

 Sになった時合流するように調整しているので、活躍を見るのはまだまだ先の話だろうが。そこまで行けるようになるのは何年後なんだろうなぁ、本当に……。

 

 早く自力でこういうダンジョン探索できるようになりたいよ。

 

「尊、もう少しフォロー無しで戦って良いか? 良い運動になる」

 

「下手なSランカーよりも凶悪なコンボ決めて来るしな」

 

 成人男性2人が少年みたいな表情を浮かべてもうちょっと戦いたいとか言い出している。暗黒樹海は環境的に今の世界に対し2世代ぐらい先の環境だ。図書館と根の国が独占状態にある中、ここはそれよりも先の環境だ……今のS帯よりも手ごわいし、楽しいかもしれない。

 

 下手すると樹海の雑魚が交流戦のマスターよりも強いだろう。

 

「まあ……いいけど。じゃ、第1チェックポイントに向かうよ」

 

「了解」

 

 全員動けるのを確認したら移動を開始する。ダンジョン探索なんて面倒な要素でしかないのがこうもワクワクな要素に変化してしまうのはゲームからリアルへと変換の妙か。

 

 さて、大体4時間というタイムリミットで100戦行けるか……?

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