最強以外ありえない   作:てんぞー

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邪神コロスンジャーズ

「ふぅ―――」

 

 読み終えると再現されていた過去が消え、元の自分の部屋に戻る。

 

 ゲーム時代にもこのシーンはCG付きで展開されていたからどういう光景だったのかは解っていた。だが改めて直視すると凄まじいレベルの凌辱具合で邪神に対する殺意が湧いて来る。やっぱりアイツら、出会った瞬間に手段を択ばずに殺すのが大正解だよ。

 

「シェイナ、お疲れ様。これで前半部分は終了だ。大丈夫だった―――」

 

 目頭を揉んでから正面、シェイナへと視線を向けようとした。

 

 したのだ。

 

 したらなんかいた。

 

「うぅぅぅ……シェイナぁ……」

 

「大丈夫ですよ、私達が付いてますから……一緒にいますから……!」

 

 なんかフラメアとイーリュがいた。あ、イーリュで思い出した。この間ナチュラルにコイツをメスブタカウントしてたせいでパーティーの女性がフラメアとシェイナだけって考えちゃった。ま、いっか。いや、それよりも今は何時の間にか部屋の中にいた連中だ。

 

 良く見たら部屋の隅でウェルギリウスがハーブティーを淹れ始めてるし、窓の外でチビががりがりと窓を削ってる。傷つくからマジで止めなさい。滅茶苦茶くぅんくぅん泣いてるしコイツ盗み聞きしてたな。

 

 しかもなんか落ち着くBGM流れてるなあ……と思ったらこれエデの演奏か……。

 

「誰!! 1人として!! 隠れてない!!」

 

「あ、あの……」

 

「うんうん、私達がいるから大丈夫だよ」

 

「幸せは絶対に訪れますから。あのゴミクソボケカスクソカスゴミ邪神は何時か始末されますから……!」

 

 凄いぼろくそに言うなこの女神。いや、まあ、正しいんですけど。

 

 流石にこんなに囲まれると思わなかったのか、シェイナが戸惑っている。ウェルギリウスからハーブティーを受け取りつつ、何時の間にか図書館で淹れ方習ってきたなコイツ……と思いつつ、シェイナに微笑む。

 

「こんなに慕われているとは思っていなかった?」

 

「いえ、その……はい。意図的に他の人とはそこまで親密にならないようにしてたので」

 

 まあ、あんな失い方をしたら新しい関係を作る事に恐れを抱く事も、向き合う事に恐れを抱く理由も理解できる。命は儚く、些細な事で失われる……そしてあんな悪意ある消費の仕方をされては、トラウマになっても仕方がない。

 

 正直シェイナの件はタッチするのが凄い難しかったから、あまり催促みたいな事は出来なかった。出来るのは彼女が自然と覚悟を決めるのを待つ事ぐらいだけだったが……今、こうやって向き合う最初のステップを踏む事が出来た。

 

 さて。

 

 本題はここからだ。

 

 シェイナが身内に囲まれてもみくちゃにされている間に、白紙の物語が新たなページを表示している。

 

 ―――新たな運命に挑みますか?

  YES

  NO

 

 ぽん、と羽ペンがご丁寧に出現する。手に持ってみると物凄いフィット感を感じる。デザインも悪くない。俺好みの羽ペンだ。白紙の物語くん……中々良いセンスしてるね。YESにとりあえず丸付けとくか……あ、内容変わった。

 

 Defeat the Enemy …… Puppetter.

 

「パペッターを倒せ、か……空欄4つにシェイナの名前? 感じからして4つの仲間にシェイナを加えて倒せって事か……1枠シェイナで埋まらなくて良かったな。埋まってたら詰んでたかも」

 

 成程、大体予測は出来たがパペッターを倒した影響か、過去でもパペッターを討伐させようとしてるな、白紙の物語は。一種のタイムパラドックスを起こせるアイテムだ。恐らくはパペッターの死の因果を飲み込んだのは確定している。これは原作にはなかった機能だ。

 

 じゃあ何故そんなものがこの書には可能なんだ?

 

 その疑問の答えは……俺か。

 

「俺に適応したか、合わせたか……どっちにしろ、俺専用にカスタマイズされた、って考えるのが健全か」

 

 どうせ原理を考えるだけ無駄だしな。これは俺の理解を超えている。理解すべきなのはこういう事が可能であり、越えなきゃ次のステップには進めないという事実だ。

 

 とん、とん、とん、と白紙の物語を羽ペンでタップする。

 

 ページの隅の方に質問を書く。

 

 Q.連れて行くモンスターの条件は?

 

「お、答えてくれた」

 

 A.同意している事。その時代に存在する事。

 

「つまりマガちゃんは駄目か」

 

 ついでに大母も駄目。超決戦黄泉アタックがいきなり封殺されたな。シェイナの章でまだ根の国が存在していないからハーデスは通せても、根の国出身のモンスターはダメ……いや、これ地球産のモンスターは全部アウトって事だな。

 

 だいぶ連れて行けるモンスターの範囲が狭まるな。

 

 Q.失敗すると?

 

 A.3回まで。本来の仕様に戻る。

 

「失敗の許容範囲は3回まで、それが終わると本来の仕様に戻るのか」

 

 となると白紙ちゃんには本来の仕様が理解出来てるし、今は本来の仕様外に機能を行使している自覚がある、って事かな? ふむふむ。

 

 面白くなってきた。

 

 Q.他人のモンスター使って良い?

 

 A.同意があれば。

 

「面白くなって来たぜ」

 

 Q.調整可能?

 

 A.過去参照して習得調整可能範囲で。

 

「マジで過去の情報参照してるっぽいなこれ」

 

 そんなパワー持ってる本だったのこれ?

 

 いや、待て、白紙の物語って縁的に未来でラスボスぶっ殺すアイテムになってるじゃん。って事はコレ、主神殺しの神器みたいな属性付与されてねぇか? 存在する=ラスボスの死が確定する=ラスボスを殺すだけの因果力と力を持っているという図式が成立しない?

 

 やっぱ深い事を考えるの止めよ。こういう設定を考察するのって深すぎる沼だし。

 

 でも正解が解らない状態で考察し続けるのって楽しいんだよな……。

 

 ひたすら何が正解か解らず、たぶん間違っている。でもそのIFを妄想するのって楽しいよね。

 

 それはさておき。

 

 ごろん、とベッドの上に転がるとフラメアが飛びつこうとし、パフェキャンでその姿が空中静止する。空で固まっている間にウェルギリウスが引きずって部屋の隅に捨ててくる。

 

 他にも何ができるか質問ついでに書き込むが、大体出来ることは解った。

 

「マスター……それで物語の続きはどうなるのですか……?」

 

「どうやら今回は特別版で過去に乗り込んでパペッターを倒しに行くみたいだ」

 

「!?」

 

 え、それ無理では? という顔をシェイナが浮かべている。まあ、言いたいことも解る。普通なら無理だ。俺には奴と戦うだけの戦力がないし、腐ってもラスボスの後に戦える裏ボスだ。

 

 普通に戦おうとすると負ける。マジで強いから。

 

 効率的な攻略法はある。逆に言えばそれ抜きだと死ぬほどしんどいという事だ。

 

 だから俺だけで討伐しようと考えると死ぬほど苦労する……というか不可能だろう。

 

「幸い、持ち込みモンスターのレンタルは許可してくれるらしいから、知り合いから勝てるモンスターを調達してドリームチームを結成、最適化処理を行ってからなら良い勝負になると思う」

 

 継承関連のスキルを習得できるかどうかでここら辺の勝率は大きく変わる。

 

 特に歌唱。

 

 ここは是非ブライアンからクイーンバンシー借りたい。

 

 ラミア、妖狐、マーメイド、スキュラ、ボーカロイド、鳥類のどれか3か4種ぐらいは経由して継承させたいところだが……出来てるなら完成させた時の完成度が変わってくる。

 

 後はヒーラー、アタッカー……後中継ぎか。タンクは固定枠のシェイナに譲るか。覚醒かなんか入らない限りシェイナそのままだと足手纏いになるから低レベルデコイタンク運用にすれば役割が持てるな。

 

 ここまで考えて必要なパーツが大体解ってきた。

 

「うし、頭の中で構築が出来上がって来た。早速行くか」

 

 殺すー! 殺してやるぞパペ太ぁ! 殺してやるからちょっとだけ待っててね!

 

「マスター? あの、どちらにマスター……マスター!?」

 

 窓を開けて飛び出す。ワクワクが抑えられないぜ!

 

 チビの上に着地、ウルフライダースタイルでそのまま図書館に突入。裏口側の従僕にサムズアップを浮かべる。

 

「イタリアの女帝の所まで!」

 

「イエッサー!」

 

 ばばん、と裏口の繋がる場所が変わる。チビに乗ったまま裏口を飛び出せばそこはもう日本ではない、イタリアだ。スマホを片手に、知り合いにメッセージを送ると爆速で返答が返ってくる。一部に関してはもう国境を越えて海を越えてる所だろう。反応が早すぎる。

 

 ゲートから飛び出した先に広がっているのはプールのある豪邸の庭だった。美女に囲まれた女帝と1人寂しくやってるマルコの姿があった。マルコはこちらを見るとやっぱ驚愕してる。

 

「え!? 君は!?」

 

「あ、いたいた。女帝様ー。ちょっくら過去改変しにパペッターぶち殺しに行くんだけど来ない?」

 

「この時を待っていた」

 

「リ・ロウ???」

 

 美女を放棄すると女帝がチビの上に着地してきた。そのままマルコにビシ、と挨拶したらゲートの中に戻ろうとする。じゃあ、女帝様を借りて行くね……。

 

「あの、私の意見は!?」

 

「少し留守にする、貴様は彼女達を退屈させるな」

 

「いつもの事だけど立場逆転してない!? ねぇ!? リ・ロウ!? 一応マスターはこっちなんだけど!? ねぇ!!」

 

 ぴょーん、とゲートを抜けて再び図書館へ。図書館経由で日本に、牧場に戻ってくる。やっぱ日本とイタリアでは空気の味が違うなぁ、とチビの背中から降りているとソニックブームを起こしながら飛行してくる物体が見える。

 

 グランドマスターだ。

 

「歌唱構築の話ができると聞いて」

 

「このおっさん口開けば歌唱構築の話しかしなくなったな……」

 

 サンダーバードで牧場に突撃し、ララを轢き殺しながら着地する。目を回しているクイーンバンシーがサンダーバードの上でぐったりしてる。たぶん専用スキル使って3倍速で飛んできたな……。

 

 最後に黄泉の裏口から何時もの居酒屋に顔を出すノリで東吾と仮面マンがやってくる。

 

「呼ばれたから来たぞー」

 

「また何か面白い事をするんだって?」

 

 これでレンタル先のマスターが全員集まった。地味に世界トップばかり集まったが、ぶっちゃけそのままの性能で運用しても勝てない。

 

 それだけ裏ボスの格は高い。

 

 なのでなるべく一番状況に適したモンスターを選出し、勝てるように調整を施す必要がある。幸い、白紙の物語はそれを手伝ってくれるらしいので、勝機はある。

 

「えー、これから皆さんにはちょっとモンスター貸してね? って話で連絡入れましたが、より詳細な話をすると邪神の討伐の為にモンスターを借りるよ、というお話です。邪神って何? って人はSNSでも未だに猛威振るって拡散されてる東京黄泉で検索だ」

 

 アレを正面から倒す必要のあるミッションが生えて来たので、実力で黙らせます。ゲーム最新、最終環境。使用するモンスターはTier帯で見るとそこまで高くはないが……まあ、そこは調整できるので何とか出来る。戦術と戦略、そしてスキルで何とかするのがプロフェッショナルだ。

 

 という訳でして。

 

「皆が将来、どのラインを目指すべきなのか。それをこれから見せる事になるから。これを参考にして欲しい」

 

 じゃあ、邪神コロスンジャーズ、アッセンブルって事で。

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