最強以外ありえない   作:てんぞー

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邪神パペッター追想戦

 Battle Log……復活っ!

 《スーパースター》! 今! 全大陸で大注目の! クイーンバンシー!

 熱狂がステージを揺るがす! スポットライトが彼女を逃がさない!

 味方にテンションが蓄積するようになった!

 歌唱スキルが最速行動化する!

 歌は届けたい者にのみ届けられる!

 この熱狂はゼロにならない! ゼロになる波動を打ち消す!

 バンシー界のクイーンが歌う《守りたい世界》!

 味方全体の防御・魔防が2段階上昇した!

 ダメージカット80%が付与された!

 最大HPが2倍になった!

 全員にテンションが1蓄積された!

 《変奏》からネクストナンバーに移行する!

 《未来への賛歌》が響き渡る!

 味方全体の耐性が物理/耐性へ耐性が変化する!

 HP100%のバリアが付与された!

 継続回復効果が付与された!

 クリティカル耐性/半減が付与された!

 テンションが1蓄積された!

 《終律》! 歌を強制終了させてテンション効果を倍増させる!

 皆のテンションが4になった!

 《永続する旋律》によってバンシーちゃんの歌が途切れても効果は消えない!

 お見事ッ! 《月神の舞》を奉納した!

 味方全体のHPMPコストが0になった!

 

「!?」

 

 きらーん、と輝くクイーンバンシーが急に中央大通りでライブを開始する。彼女に合わせてどこからともなくスポットライトが出現し、何時の間にかステージまで用意されている。スキップしながらステージに乗り込むと彼女の歌唱がどこまでも響き渡る。

 

 流石のパペッターもいきなりライブを始める相手にはビビる。

 

 俺もビビってる。

 

 《スーパースター》ってこんな事になるんだ……ちょっと勉強になったな……。じゃあ《銀河の歌姫》とか《コズミック☆アイドル》とかもっと演出ヤバい事になりそうだな。未来の事はちょっと忘れておくか。

 

 PvPだと間違いなく過剰レベルのバフになる。だがこれがPvE環境だとPvPよりもロングゲームになるし、AIは《ゼロリセット》を《ディスペル》を超えて優先してくる。その為、歌唱バッファーの方が良く刺さる。

 

 リセット耐性も付与した。これで受け側のバフは完璧だ。

 

「さ、盤面を構築して行くぞ」

 

 あんこは《友達作り》に励んだ!

 ラファエラは友達になってくれるかな……?

 「……」

 「……」

 「ありがとうございます」

 やったぁ! ラファエラはミニあんこを受け取ってくれた!

 ともだちができたよ!

 リ・ロウは防御し静観の構えを取っている。

 ラファエラは《ディレイリザレクト》をシェイナに付与した!

 シェイナは再蘇生状態に入った!

 

「その程度か……」

 

 攻撃が来ない事に落胆したパペッターは当然のように《掌握》を放った。放たれた糸がモンスターに絡みつこうとして……《カバーリング》、シェイナが庇う。

 

 パペッターの《掌握》!

 シェイナは庇った!

 《掌握》!

 シェイナは既に掌握されている!

 《掌握》!

 シェイナは既に掌握されている!

 シェイナの攻撃! リ・ロウに刃を向けた!

 リ・ロウにダメージが出ない!

 Counter! Critical! シェイナは死亡した!

 《ディレイリザレクト》! シェイナは蘇生した

 死してもシェイナは支配から逃れられない!

 

「無駄だ。人形は所詮人形、死した所で……うん?」

 

 《緊急治療》! シェイナは回復した!

 回復量100%! 《大天使の再動》が発動する!

 あんこは再行動を付与された!

 あんこは再び《友達作り》に励んだ!

 リ・ロウは友達になってくれるかな……?

 「……」

 「……」

 「……良い、妾の蔵に入れる事を許そう」

 「……!」

 やったぁ! ミニあんこを受け取ってくれたぞ!

 リ・ロウと友達になれたね! やったね!

 

「あぁ、うん。シェイナの死はリソースなんだ。体力と防御力を極限まで落として反撃で死ぬように調整してるんだ」

 

「ほう」

 

 パペッターの視線が俺へと向けられる。興味深げに、俺を観察している。どこから来たのか、何故こんな事をしているのか、どういう考えをしているのか。初めて完全な興味の対象として此方を捉えたような気がする。

 

「2ターン目処理始めるぞ」

 

「この少年……戦闘のペースを構築し、引き込んでくる? 不思議な感覚だな」

 

 クイーンバンシーのライブにようこそ! 今日も輝く《スーパースター》!

 《守りたい世界》! 《変奏》! 《未来への賛歌》! 《終律》!

 テンションが12になった! Yeah!

 《月神の舞》が奉納された!

 《ディレイリザレクト》! シェイナに再蘇生が付与された!

 リ・ロウは防御している。

 パペッターの《掌握》!

 リ・ロウの《デコイ》! シェイナに対象が移し替えられた!

 シェイナは既に掌握されている!

 シェイナは既に掌握されている!

 シェイナは既に掌握されている!

 あんこの《友達作り》チャレンジ!

 本日は……歌姫バンシーちゃんに挑戦! 受け取ってもらえるかな……?

 「……」

 「……」

 「……ありがとう! ステージで一緒に踊りましょう」

 「……!」

 やったぁ! 友達になってくれたよ! これは自慢が出来る!

 シェイナの攻撃!

 Counter! シェイナは死亡した! シェイナは再蘇生した!

 あんこは再行動を得た! あんこは《友達作り》を実行した!

 シェイナ……友達になってくれるかなぁ……?

 「……」

 「……」

 「……」

 「……!」

 掌握されていても心は自由! 肩の上にはミニあんこ!

 これで皆友達だ! やったねあんこ!

 

「掌握に対する徹底した対策をしてあるか」

 

「まぁね。そうじゃなきゃ話にならないし」

 

 2ターン目処理を終了した所でパペッターが話しかけて来る。《掌握》を躱した所でまだまだ余裕の表情を見せている。実際の所、《掌握》はこの邪神が持つ数多くの手札の内1つでしかない。此方が見せていない札があるように、奴にも見せてない札は多数ある。

 

 これが攻略されたぐらいでは慌てる事はないだろう。こっちもデコイが掌握されているだけでMPコストは《月神の舞》で踏み倒してるしな、実はほぼ消耗がない。消耗してるのはシェイナの命ぐらいだ。

 

「この状況、明らかに非道働いてるの此方ですよね?」

 

「お静かに」

 

 思っても言わなかった事を……!

 

「それで」

 

 パペッターが語り掛けて来る。

 

「勢い良く現れた割には地味な事ばかりしているが……これで終わりか? 他にやる事はないのか? 先ほどからそこのスライムを遊ばせてばかりだが……」

 

 あんこがぷるぷる震えてる。パーティーメンバー全員にミニあんこが乗っている。この状況で無ければほっこりできる場面だったかもしれない。

 

「そうか、知らないのか。というかスキルテキストが読めるのは俺だけだから舞や歌唱効果も当然マスク状態か。まあ、確かにそうだよな、ここだと検索する事も出来ないし」

 

「……」

 

「《友達作り》というスキルはゼリィ専用じゃなくて、対象に己と同じ種族カウントを追加するスキルなんだ。例えばバンシーの元の種族は妖精/アンデッドだ。だから《友達作り》を使えばゼリィ/妖精/アンデッドって風になる」

 

 つまりラファエラ、クイーンバンシー、リ・ロウ、シェイナ。

 

 全員にゼリィ特性が追加された事になる。マイナースキルだし、統一3+別種1とかの時に本来は使って統一恩恵を受ける為のスキルなのだが……まあ、今の状況だとあんこの行動回数増加が強すぎるので多少セットアップの手間があっても、こっちを取った。

 

「種族統一の恩恵がやっと受けられるな。じゃあ殺すぞ」

 

 《下剋上》! 統制者への怒りにあんこが体を揺らす! もう許さないぞ!

 強化上限が解除された!

 対ボス特攻を獲得した!

 リ・ロウの《覇王の才覚》!

 あんこの《下剋上》をコピーした!

 リ・ロウは強化上限が解除された!

 リ・ロウは対ボス特攻を獲得した!

 《アルティメイタム》! あんこの強化効果が2倍になる!

 《天賦》! リ・ロウはスキルの使用回数を回復した!

 リ・ロウは《覇王の才覚》で《アルティメイタム》を持っていると言い張った!

 クイーンバンシーのステージが幕を開ける!

 《スーパースター》の出番だ!

 《Save The World》!

 味方全体の攻撃力が2段階上昇した!

 クリティカル率が100%上がった!

 物理チャージ効果を獲得した!

 《変奏》! 《守りたい世界》! 《終律》!

 テンションは上がり続けている!

 テンションx1%ダメージが上昇する!

 あんこがユニゾンアタックの号令をかけた!

 

 飛び上がったあんこの姿が捻じれ、ドリルへと姿を変える。その背後にリ・ロウが瞬間移動し、拳を構えた。ラファエラ、クイーンバンシーから放たれた力がリ・ロウを通じて圧縮され、それがそのままあんこへと注ぎ込まれ―――放たれた。

 

「ふっ、まずは1殺―――!」

 

 あんこの《ユニゾンアタック:テラドリルブレイク》!

 天さえも突き破りそうなドリルとなって突き抜けた!

 Over Critical! パペッターは消し飛んだ!

 パペッターのライフは0になった!

 シェイナに付与された糸が引きちぎられた!

 王国に張り巡らされた糸が2割消滅した!

 

 ドリルとなったあんこが突き抜けると地上にあったパペッターの姿は足首から下だけを残して蒸発した。一瞬で重ねられた多重のバフ……歌唱バフによって得られる過剰な数字があんこにこれまでにないパワーを与えた。

 

 それはひとまず、見えていた範囲のパペッターを殺す事に成功したが、これで終わりだとは誰も思わない。

 

「成程、生意気を口にするだけの力はあるようだな―――」

 

 地上に残った足首部分が急速に朽ちた。声は空の方から放たれた。デコイにされていた人形が潰され、様子を伺っていた本体の末端が漸くその姿を現す。アレは東京でも目撃した最初の姿だ。空を割って出現するのは十字型の板を握る巨大な手の怪物。

 

「ここからが本番だ。この時代、終末の世は現代と違ってこいつを撃退、殺せるバケモンが多数存在する。それ故にコイツは東京の様な慢心を一切してない……本気で来るぞぉ」

 

 ぞくぞくとした感触が背筋を走る。

 

 自分が高揚しているのが解る。

 

 そうだ、こういう戦いがしたかった。全力のリソースを注ぎ込み、倒せるかどうか解らない相手との決戦がしたかった。そういう戦いに飢えている。もっと、もっと強い相手ともっと強くなって戦いたい。その為の相手としてお前は今、丁度良い。

 

 見上げた。

 

 パペッターは蓄えられた生命力を解放し復活した!

 邪悪な気配が世界を覆う! 《マリオネットワールド》が展開される!

 《ゼロリセット》! あらゆる力を消し去る!

 《スーパースター》の輝きは決してゼロに出来ない!

 味方へのリセット効果を無効化した!

 《英雄傀儡》! 英雄人形が現れた!

 《魔王傀儡》! 魔王人形が現れた!

 《邪神》! 災厄の化身が目覚める……!

 

「じゃあやろうかパペッター。未来のお前がそうなった様に……お前も滅べ」

 

 邪神パペッター追想戦、第2フェーズ開始。

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