国木田の奴負けやがった。
スレの2000万の人息してるかな? 多分してないだろ。
という訳で9月のチャンピオンシップの結果は出て、ブライアンが3期防衛による永世グランドマスター入りとなった。剛三以来の永世入りに世界は沸き立った。アメリカは漸く現代最強と断言できるマスターを迎える事が出来、増々世界に対してデカい顔をする様になった。
まあ、ここら辺はどうでも良いのだ。どうでも。
どうせ全員将来的に俺がぶっ飛ばす事確定してる連中だし。今はその玉座を預けておく。将来的に俺の椅子になるから、今のうちに温めておけよ。最強という言葉は俺の為に存在してるからな。なのでつかの間の王者を楽しんでいてください。
まあ、そんなわけで俺も真面目にBランクを目指す時期が近づいて来た。ゲームの方もテストが近いわで結構忙しい時期になりつつある。年末に向けて色々と動きがある世の中。
「大阪―――!」
「大阪!」
大阪に俺と久遠は来ていた。10月にもなると少しずつ涼しく感じるなぁ、と思いながら大阪まで遠征に来た理由は1つ。勿論、大会に出る事だ。Bランク認定戦出場の為のレート稼ぎ、実績稼ぎ、PR等々と大会に出て一気に目的を果たしてしまおう! という実にスマートな話である。
ついでに素敵アイテムのおかげで久遠も駆間の外に出れるようになったし、折角遠征するなら久遠と一緒が良いだろう、という話でもある。
やったぁ! 楽しい! 素晴らしい!
じゃあ皆殺しにするね。
ばっと行って。どんと蹂躙して。ごっと優勝する。
大阪秋夏杯優勝。
この3時間後に沖縄で別の大会がある。なのでミストドラゴンに乗って大阪から沖縄まで飛ぶ。
さっきまでは涼しかったのに、流石に沖縄までやってくると暑い。アロハシャツでも土産に買って帰ろうかなぁ、と思いながら大会に出場する。蹂躙する。優勝トロフィーを獲得する。1時間後に博多で次の大会がある。
当然殺る。しっかり根の国構築を使っておく。
次はアメリカのペンシルバニア州だ。海外遠征で海外にないモンスターやスキルを使うと交流ポイントが高く、ちょっと貰える点数が高い。なのでアメリカ人では絶対に手に入らない根の国構築で殲滅する。
次はイギリスだよ。
ロンドンサマーエンドCカップに出場、蹂躙殲滅、しっかり根の国で煽って帰国。
こうやって9月終わりから10月半ばまで30大会程連チャンする。
普通、ここまで高頻度で出場する事はない。一般的には疲労がヤバいのと、移動が難しいのと、モンスターの輸送費が高いのがある。ついでに言えばCにもなれば映像が残る。
つまり解析と対策が進むランクでもある。だからCにもなると連続で大会に出るような事はなくなる。これは更に上のランクに行けば強くなる傾向だ。
この!! 鴉羽尊を!! メタれるなら!! メタって見ろよ!!
オラ!! 勝つつもりで戦ってんだろ!? もっと良い声で鳴けや!! ……の精神で勝負を挑む駆間武士に無法なんて言葉は通じない。
メタ上等、それぐらい突破できずしてトップマスターへの道なんてものはない。
10月半ばにもなると段々とメタ構築を意識して来るやつが増えた。CランクはDとは違い、明確に金が稼げるレベルの賞金が入ってくるランクだ。
つまり副業やモンスターの育成費の当てとして大会に出ている層もある。優勝で大体10万から30万ぐらい、規模の大小やスポンサーで変わってくる。
なのでCは上手く勝ち続けられるならそれを生活費に当てることが出来る。何せ、小規模な大会3つ優勝で30万も入れば下手なパート生活よりも収入が多い。
当然、俺みたいに大会荒らしが出てくるとこういう層に取っては死活問題になる。金が入らないので生活が困難になるからだ。まあ、プロでもないのにこういう金で生活すること自体に問題があるよね雑魚が! って気持ちはそこそこあるが、連中にとっては金策手段が潰れるのに等しい。
で、こうなると出場する大会を増やす以外の選択肢がなくなる……様に見える。人間、ドバっと金が入るのに慣れるとちまちま稼ぐのが嫌になってしまうらしい。愚かだね。
まあ、当然勝てないやつが大会増やしても俺とぶつかる回数が増えるだけなので地獄を見る。しかもこいつ、海外にまで出没する。しかもしかも普通の人は手に入らない根の国構築してやがる。
許せねぇ! ズルい! コネかよ!
違うよ。コネで取得してんのはSの人たちの方だよ。
それが解るわけないので当然、ヘイトは俺、そして柊という名前が勝手に吸引する。やっぱ柊最低だな。
で、こういう事してると協会雇いの強い専業マスターがお仕置きしに出てくる。大会や環境が大きく荒れた時にケアするのが仕事の強い人達だ。
上のランクのカードを持ってたり、秘蔵のレシピで合体してたりでランクを上げないけど半ランクぐらい上の実力を持つバウンサーとか用心棒とか、そういう連中。
ついでに高ランクマスターの弟子等にもお仕置き依頼がやってくるので大会でこういう普段は表に出てこない強者が出てくるようになる。
待ってたんだ!! この時をよぉ!!
リバースカードオープン! フル武装駆間人放流!!
この時期になると総理が協会を説き伏せて駆間の協会で根の国、樹海、図書館の流通を許可させている。なのでそれで武装した一般モブ修羅を放流する。
これにより修羅vs修羅の殺し合いが駆間の外で発生するようになる。やったぁ、環境激化だぁ。
元々上のランクに放流されたブラックバス共が暴れ回ってたのも問題になってたが、ついに根の国とか握った下位ランクまで暴れ出してさあ、大変。
ヘイトは俺個人から駆間へ、そこから根の国とか図書館を独占してる国と協会へとシフトする。
どうして俺達は手に入れられないんですか!? 環境の変化が大きすぎる? 今更すぎるでしょ! うおー! 俺達にも握らせろ! 良い加減その規制を解除しろ!
大炎上した。だって皆嫌いだもんね。特権階級とか、手に入らなくなった限定キャラとか。だから当然、自分が使えないカードがあることを許せない。
だから容易く燃える。これまでは燻ぶる火種だったのは皆、この強さに実感がなかったからだ。強い強い環境が変わる、そう言われても実体験が伴わないものは解りづらい。
だから俺が大会を通して教えて回った。最新環境の暴力を。根の国や図書館を使ったロックやリーサルを。一方的な暴力と理不尽をなるべく新スキルを使って証明する。
この無法行為によりバトル界隈は一気に沸騰!
こんなに強いのに使えないのは理不尽!
ダンジョンが出てきて結構経ってるのになんで流通してないの? 誰が止めてるの? 政府? それとも協会?
トッププロが使うのはいい……だけど俺らと同じランクの奴が使っているのは許せねぇ! ズルいだろこんなの! アイツが使えるなら俺達だって使えるようにすべきだ!
SNSは大お気持ち祭り開催! 気持ちの悪いお気持ち文章で溢れ返り、協会や政府の批判まで発展する!
その中でマスター仮面や東吾が便乗してそうだそうだとか言い出したり、総理が個人アカウントで援護射撃し始めるもんだからそりゃあもう大荒れする。
1度火が付けば止められない。俺は僅かな火種に油を注いで育ててあげただけだ……不満と不平によって守られてた火種を……。
コイツ悪魔か? と言われながらアンナに頼んでちょろーっとテレビを通して世論を煽ってもらったり。
グランドマスターと3時間ぐらい歌唱構築の話をした終わり際にSNS燃やして貰ったり。
騒動は収まらず、時間経過と共に更に燃え上がってゆく。燃やすチャンスだ! 俺も欲しい! 使いたい!
そう想っているのは低ランクマスターだけじゃない。インフレの波に乗り遅れた他国のマスターに取ってこれらのカードが流通するか否かは今後の選手生命にも関わる。
世界全体で議論が燃え始めたぜ!! こうなると完全に俺の手から離れてコントロール不能の事態になる。少し前まではあんなに可愛い小さな火種だったのに……こんな大きくなっちゃって……!
お父さんちょっと感動してます。
燃やせ、とりあえず燃えるもの全部……! みたいな勢いでこれまでの協会の体制にも飛び火、不正とか賄賂とかの話がガンガン明るみになる。
もう完全に制御不能になって遠くから眺める花火になっていた。燃えてるSNSとモンスター協会駆間支部綺麗だなぁ。ちなみに駆間支部は燃やせるから燃えてるだけで特に悪いことは何もしてない。
そして12月13日、午後。
俺、灯、久遠の3人でコタツの中でぬくぬくウィンターを過ごしながらテレビを眺めているとついに速報が流れてきた。
「あ、やっと根の国や図書館の一般流通解禁した」
「悪魔のような所業から漸く解禁されたな」
「ニュース……ニュース……あ、会見してる」
協会のお偉いさんがテレビで汗を拭いながらなんたらかんたら謝罪しつつ会見をしてる。重要なのは一般流通が解禁されたという事実だけだ。
『は、はい、今、この瞬間から解禁になります。はい……ですがレアリティは高く、流通される枚数は少なく、まだまだ手に入り辛いものだとーーー』
「お、解禁されたか。よっしゃ」
コタツから這い出て部屋の隅に置いてあるダンボールに近づき、スマホでアプリを起動。ピピピ……と中身をスキャンし、バラ売りでダンボールの中身をゴミ同然のレートでトレードに出す。
「あ、会見の人倒れた」
「心労が祟ったか」
「かわいそー」
お、早速トレードの申し込みが来てる。やったぁー。自動承認設定でいいや。
これで環境レベルアップだ!