じゃあ早速お仕事しよう!
依頼1。子供のパートナーモンスターを捕まえて欲しい。
お、カワイイ依頼だねぇ! 一緒に捕まえたい? いいよいいよー、ただし強くてチート級スキル覚えられてかっこよくて戦闘時間短縮出来るモンスターがいい? んー……まあ、良いだろう!
発言の責任は取れよ!! 国木田と東吾がいないからって俺を舐めた報いを受ける覚悟もな!!
はい、到着ぅー! え、ここどこ? 勿論暗黒樹海だよ! あ、俺から離れちゃだめだよ、離れると酸素に溺れて死ぬからね。は? お前が強いモンスター欲しいって言ったんだろ? 責任取れよ。
ヘイ、ラトゥーリア! ちょっと護衛よろしくな! あ、何だこのガキラトゥーリアみたいなのが趣味なのか? 悪い事言わないから止めておいたほうが良い。手を出すとガチモンの神の怒り落ちてくるから。時間跳躍攻撃は怖いぞ。
ほらほら、ここが暗黒樹海だぞー、泣くな! お前が始めた物語だろ? え、見た目のやばいのがいるね? やばっ、ジャバウォックじゃん。レアなワンダリングモンスターだよ。じゃあ交渉するか……。
うんうん、アリスを探してる? この少年女装させたらアリスぽく見えない? オッケー? オッケーだって! レベル120のモンスターだよ! やったじゃん! は? 何泣いてるんだよ? ずっと生意気な口で要求してたのお前だろ。吐いた唾は飲めないぞ。
はい! 依頼完了! これからは女装してアリスごっこして生活してね! 高評価ありがとうございました!
依頼その2。息子の家庭教師をして欲しい。
お目が高いですねー! この鴉羽尊、知識に関しては現人類最強と言われてますからね。まずね、ウチで開発したゲームあるんすよ。これをプレゼントします。楽しく遊んで楽しく学ぶ、これが最強ですから。
じゃ、ある程度遊んだら連絡ください。ウチでホームステイの準備しておくんで。駆間に来なければ真の教育は始まらないんだ……。
依頼その3。テレビ出演。
テレビ局に向かうとそこには見慣れたアイドルくんの姿が! え、レギュラー番組!? コーナーで一流マスターを目指す企画してる!? やるじゃーん! 何時でもウチの牧場に遊びに来ていいからね。
そして始まる番組は……かなり真面目だった。環境の話、最新スキルの話、注目構築の話! 凄い! 驚いた! 炎上する様な内容は何もない!
実際にアイドルくんがランクマするのに同行してアドバイスしたり、スキルのオススメやレシピの話をしたりかなり真面目な番組でマスゴミを警戒してたのに結構な肩透かしを食らった。これならまた出演してもいいかな。
そんな感じで始まったマスターとしてのお仕事は、達成率100%の高評価で全て進んだ。これには仮面マンと東吾も笑顔。俺の評判も良くなるに違いはない。そんな確信と共に仕事を終える頃にはもう1月になっていた。
いやあ、案外お仕事って楽しいのね。番組の方は割と真面目に気に入ったのでまた呼んでほしい。ロケあるなら付き合うよ俺。根の国でも樹海でもどっちでも良いよ。
そんなこんなで1月にもなるといよいよ育成が終わる。これまでは一切バトルが出来なかったが、育成が終わったモンスター達をランクマに投入する事が出来るようになる。
と、いうわけで。
久々の地下アリーナに到着。約半年ぶりにこの地下に足を踏み込む。相変わらず笑顔で殺し合うキチガイばかりで今日も誰かの血が舞う。平和な時代に許される表現じゃねぇぞこれ!!
「お、みこっちゃんじゃん!」
「ついに来たか」
「待ってたんだよ!! この時を!!」
「うわぁ、大将ちゃん……ここ血の気多くない?」
アリーナのエレベーターから出ると何時もの連中が手を上げて歓迎してくるのでハイタッチしてグループに合流する。一緒に連れてきたモンスターに皆、興味津々という様子を見せてる。
「育成が終わったからね、試運転兼ねてちょっとスパー相手募集ってとこかな」
「相手したいけど俺はCだしな」
「Bの連中にちょっと知らせてくるわ。誰かしら掴まるだろ」
ばっ、と走り出して数分。直ぐに数人やってきた。反応はえーよと言いたいが、まあ、新しいアトラクション実装されたよ! って話をしたら大体こんなリアクションだろう。というかBランクが普通にそこら辺うろついてるのが怖いわ。Aもいるし。どうなってんだよこの環境。
ちなみに駆間全体を通してSランクは1人しかいない。
そう、あのレイド廃人である。やっぱアイツなんかおかしくねぇか? なんでウチの庭で育ってんだ? なんか変なパワーでも発してるのかウチの庭? まあ、DLCダンジョン多数あるし発してるのはワンチャンあるな……。
集まったBランカーたちはタンバリンを片手にたんたんたん! と叩きながらサイドステップを踏んで歓迎の舞を披露している。ずっとこの時を待っていたんだ! という感じの顔をしてるので本当に楽しみだったんだなこいつら……ってのが伝わって来る。照れるぜ。
ちなみにBからはファイトマネーが発生しない。大会に出たら死ぬほど金が出るからだ。普通に数百万からトップ層は1000万ぐらい出るらしいのでファイトマネー気にする方が馬鹿らしいんだよね。俺もついにそういう領域に入って来ちゃった。
「殺ろう!」
「第一声が物騒。まあやるけど。とりあえずランクマ3戦流してからスパーしたい」
「やるぞやるぞやるぞ」
「やる」
やる気満々の3人組を捕まえた。寧ろ捕まったのは俺の方かもしれない。まあいいや。どちらにしろ、バトルする事実には変わらない。このニュー尊は社会人としてお仕事をした事で今、ちょっとだけアダルトな感じになっているのだ。バトルに対する影響は……一切ないッ!
という訳で戦闘フィールドへ移動する。
これまで地下に存在するステージで戦闘していたが、Bランクは大規模破壊魔法や戦闘術、巨大モンスターなどが出現する関係上、人造ダンジョンで戦闘は行われるようになる。そう、AやSランクでの交流戦の時と同じだ。Bランクもああいうエリアで戦う事になる。
この人造ダンジョン発生というのも中々奇怪な技術だが、そのおかげで俺達は地表を焦土に変えずに戦う事が出来る。
ありがとう! 館長! どうせこの技術も館長提供でしょ!? 今のこの星、文明とライフラインが館長の提供した技術で成り立ってるよ! あの人に今の文明を握られてるよ! 凄いね!
この人造ダンジョンだが地下まで入って来れないモンスター用に地上にも入口があり、地下と地上で同じダンジョンに繋がるようになっている。馬鹿でかい土地が中には広がっており、複数のグループがその空間内で戦闘している。
B以上はそこまで多くないので、1つのダンジョンで複数の戦闘を進行できるという訳だ。これがAとかSだとご存じの通りちょっと被害がヤバイので1戦1ダンジョンみたいな形式になる。
が、駆間のAって割とレイド墜ちしてるからな。そうじゃない奴は駆間の外へ遠征に出てるのであまりこっちには顔を出さない。必然的にここを使うのはBがメインになるのだが、そのBもそこまで多くない。
あのレイド集団が異様なのだ。アイツら本当に何なんだ。なんでああなったんだ。
なにはともあれ、まずはBランク試運転開始だ。最初に選んだ選出メンバーはエデ、ミレーナ、そしてエストの美少女三人衆。少女とつけるにはエストだけちょっと年上か。ダンジョンに突入してどこかでどかーん、どごーん、という音を聞きつつ、3人を確認する。
「良し、早速ランクマだけど調子は大丈夫そうか?」
「任せて、愛しい人。前世代の様に誰が真のエースなのか他の皆に示すから」
自信満々のミレーナ。それに比べるとエストはまるでやる気というものを見せていなかった。俺に従い、反逆する様なそぶりを見せないものの、しょーがなさそうな表情をしている。
「私、別にマゾじゃありませんので戦いとか野蛮な事は勘弁して欲しいのですけれどんんっ!」
「でも体は素直よ」
「貴様」
ミレーナがマジカルステッキでエストのケツを叩くとエストが喘いだ。ちょっとぉ、マジでウチの風紀が疑われるような事止めてくれない? あのさぁ、ウチそういうイメージでやってないの。マジでバトルとかは真剣にやってるの。そういう方面のイメージ付けられるの困る訳。解る? そういうのがバトルしてる時に向けられると困るの。こっちはガチでやってるんだからさぁ。
「はい……」
「ごめんなさい……私も?」
全くもー。で。
「エデの方は大丈夫? Cではほぼ出番なかったし……久しぶりのバトルになるけど大丈夫そう?」
心配しながらエデを見ると、きゅっと拳を握って胸元に持って来る。
「がん、ば、るっ!」
むんっ、と拳を作って気合を入れてるジェスチャーをした。とても可愛いですね。そこのヨゴレ系2人見てますか? こういうのを目指してくださいね、こういうのを。ウチは清純系で通してますからね。は? 俺が清純から程遠い? 誰がそんな事を言ってるんだアカウント燃やすぞ。
開始前の茶番も済ませていい感じに緊張がほぐれた所で対戦相手と握手。
「対戦よろしくお願いします」
「対戦よろしくお願いします」
安全を確保して100メートル以上下がる。もっと下がるべきか。300メートルぐらい距離を取る。試合開始の合図は協会のドローン任せにする。両者準備完了を告げるとドローンがカウントダウンを開始。
それが0になった瞬間、漸く俺のBランク戦線が始まった。
駆間のBランク修羅が現れた!
エンプティダンプティが現れた! 割れた中身は空っぽ!
修羅雪姫が現れた! 魔女の返り血で真っ赤っか!
知恵のないカカシが現れた! 最後まで脳みそは見つからなかったな!
「残酷童話セット、結構えぐいので来てるな」
ビジュアルもそうだけどモチーフを闇墜ちさせた感じがえぐいシリーズだよね。アリス? アレは開発者のロリコンのご加護を貰ってるからな……素質はあると思うけど……今、こっそり図書館で……ってそう言っている場合じゃないな。
相手が展開してきたのだ、こっちも展開しなくてはならない。
敵陣目掛けて―――指をスナップ。
「さあ、ステージ・オンだ!」
《グランドステージ》が今! オープンした!
フィールドは今、最高のステージへと姿を変える!
エデの《詩吟》がステージに響き渡り、反響する!
《舞踏姫》の舞だ! これは見なきゃ損だぜ!
《月追いの舞》! HPMP消費が半減された!
《脱鱗の舞》! 敵グループの攻防が下がった!
《ワルプルギス・ナハト》!
重厚な魔女たちの讃美歌が響き渡る!
味方全体に詠唱が5付与された! 魔法攻撃が1段階上昇した!
次に行われる合体魔法のコストが半減した!
展開されたフィールド《グランドステージ》に歌唱が響き渡る!
《ワルプルギス・ナハト》の効果が再発動した!
《変奏》! ライブはまだまだ続くぜ!
エデは《貴方を守る為に》歌を歌った!
優しく包み込むようなメロディーが響き渡る!
全30%カット! HPバリアが付与された!
ステージに音が反響する!
カットは重複しない! バリアが増えた!
「インチキだぁああああああ―――!!!」
一瞬のうちになされたえげつない量のバフに反対側から絶叫に近い声が飛び出してくる。そう、歌唱とはインチキ! インチキなバフの量で殴るサポート! もうこの時点でエデは8スキル枠全てを使い切った!
だけどスキル全部継続系だから何の問題もないんだよね! 手札はバレるけど!
「その顔が……その顔が見たかった……!」
ずっとランクマでこの暴力としか説明できないバフの量を投入して絶望する人間の顔が見たかった……! だからディスペル系とか《ゼロリセット》が必須って言われるんですよね、上位帯は。将来的には先行歌唱読みゼロリセとかゼロリセ読み後攻歌唱とか出て来るから覚悟しておけよ。
ゼロリセ耐性? インフレしたPvPでそんなもんが頼りになるか。
そんじゃ。
Bランク戦線開始―――!!!