最強以外ありえない   作:てんぞー

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バランス調整しましたか?

「GG」

 

「GG」

 

 モンスターの回復と蘇生を行いつつ握手をする。どんな試合であれ、相手に対するリスペクトを持つ! これは対戦時のマナーでもある。戦闘を終えたエデはしゅるしゅると這いながら近づきながら頑張ったよ、と顔を見せてくるので頭を撫でた。嬉しそうだ。

 

「愛しい人、私もとても頑張ったと思うんだけど?」

 

「そうだな、良いフィニッシュだったよ。お疲れ様」

 

 ミレーナの頭を撫でると不満そうな表情を少し浮かべてから、でも払いのける事無くちょっと嬉しそうにする。最後にエストにお疲れ様、と声をかける。

 

「良い守りっぷりだったよ。ケーキ好きだったろ? 帰りに買うよ」

 

「こういう所があるから嫌いになれないんですのよね……」

 

 はあ、と溜息を吐くも、エストはどこかに達成感を感じさせる声色をしている。実際、ここまで戦う事はなかったのだ。今度は守れているという自信が彼女には付きつつある。その気持ちを大事にして欲しい。これで戦闘に出たモンスターの労いは終わり。

 

 俺と対戦相手で集まると、周りで試合してたり観戦してた他のBランカーたちも集まって来た。やっぱりあまり多くなく、全部で6人程度しかいない。それでも一か所、それもフリーマッチに集まっている数と考えると中々に異常な数かもしれない。

 

 集まって来た1人が腕を組みながら頷いた。

 

「いやあ―――ついに化け物が覚醒した、って感じだな」

 

「えっへん」

 

 胸を張る。

 

「これまでもだいぶ強かったけど、なんか別格になったって感じだな。スキルのパワーとモンスター自体のパワーがこれまでとは別次元の強さしてる感じがする」

 

「正直上のランクと戦えるんじゃないか? その強さなら」

 

「メタ把握されてない時期ならたぶん行けると思うよ。20レベ差のステータスはまあ、結構きつい所あるけどそこはスキルの性能でごり押すかな。正直、今の環境ってそこまでスキルの圧縮と合体が進んでないから、スキルパワーが弱めなんだよね。スキルの性能だけ見るなら多分並のSランカーより俺のが上だよ」

 

「それは感じた」

 

「なんだあの異常な歌と舞は。可愛いけど可愛くないぞ」

 

「可愛いのに可愛くない!!」

 

「もっと可愛くしろ!!」

 

「……!!」

 

 ひゅ、っとエデが俺の後ろに隠れてしまった。どうやら責められてると思ってるらしい。大丈夫だよ、とエデの頭を撫でてから批判した3人を電磁スタン弾でスタンさせる。モンスターすら強制スタン取れる違法疑惑のあるフラメアの置き土産だが、30秒ぐらい痺れるとごめんごめんと言いながら立ち上がって来た。

 

 本当に人間か貴様ら?

 

 全身に放電しながらうーむ、と唸られた。

 

「しかし歌唱ってあんな動きが出来るのか? 流石に動きすぎなんじゃないか? あ、アプリで解析しても良い? あ、放電に巻き込まれてスマホ壊れちゃった。直れ……直れッッ! よし、直った」

 

「ごめん、ちょっと異常法則持ち出すの止めてくれない? 解析しても良いよ」

 

「やったぁ」

 

 という訳でエデのデータは見事に公開される運びとなった。丸裸にされたエデのデータを全員が確認し、そして異常すぎるバフ盛りスキルの内容に大量にはてなを頭の上に浮かべる。

 

「あの、《変奏》から毎ターン歌唱2連打するのは別に良いんだよ。歌唱→歌唱→からの次ターン処理歌唱切り替えで2曲分のバフを常に継続できるのは解るから。いや、そこに舞が挟まるのは流石におかしいだろ。なんでそんな事出来るんだよ」

 

「そう思うか?」

 

 笑顔で俺も頷いた。

 

「何故か出来る」

 

「ふざけんな」

 

「世の理が乱れるだろうが」

 

「許される動きじゃねぇぞこれ」

 

「可愛いのにも程があんだろ」

 

 そう言われましても……これ……本当に原作でもこのままだったんですよ……。

 

 上位帯のスキルには連携関係のスキルがあり、スキルAからスキルBへと繋がるコンボが組めるのだ。これを活用する事で1回の行動で2回行動のアドバンテージを獲得する事が出来るようになる。つまり歌唱→舞の連携は原作でセットされているテーマコンボなのだ。

 

 どちらも主動作を消費するスキルだが、連携関係にあるので片方を活用すればもう片方も同時に使用する事が出来る。それだけの話なのだ。問題があるとすれば《変奏》と《舞踏姫》を組み込む事でどっちも2連続発動できる影響で歌唱→歌唱→舞→舞とかいう訳の解からない化け物コンボが成立する事実にある。

 

 無論、開発にはお気持ちメールが大量に爆撃された。

 

 なので開発はこれレベルのバフじゃないと対応出来ないボスを実装する事でユーザーを黙らせた。

 

 これでもまだナーフして欲しい? と語り掛けるストロングスタイル。BoT化されたお気持ちメールは常に開発のダミーメールへと送られ続けていた。そう、ユーザーと開発は常にバチバチにやり合っていた。ただし、常に開発の方が強かったが。

 

 開発が謝罪して敗北を認めたのはアリスロック事件ぐらいだよ。それ以外はバランス崩壊上等のスタイルを貫いていた。

 

「―――と、いう訳でこの世界を創造した神様は基本的にアイドル路線を寵愛してるからアイドル路線にはゲロアマなんだ」

 

「成程なぁ」

 

「何の参考にもならねぇ」

 

「創造神がカス……って事!?」

 

 はい。苦情は受け付けません。俺は強いキャラと強いスキルと強い性能を愛して擦ってるだけなので俺に文句を言われても困る。まあ、こんだけ強くても太公望が出てきたら一瞬でただの濡れティッシュの盾になるんだからメタは回ってたよ。

 

 許せねぇよ、《太極陣》。この世から消えた方が良いよアレ。後ゴキブリとイナゴ。あの極悪ムシキング共、アレもこの世から消えて欲しい。AOE攻撃って庇えないし仕様上ライフ減少効果扱いだから絶対回避も通じないでウザいんだよな……。

 

 会いたくねぇ! 会いたくねぇよアイツらに!

 

 でも戦力として地球には居て欲しいんだよ!! 太公望! ゴキキング! 誰か作成してくれ! 俺? ちょっと手持ちに入れるのは解釈違いかな……。強いには強いけど趣味じゃないというか……。ちまちま削ったり、相手の強化無効化して殴るのってなんか詰まんないよね。

 

 やっぱバフ盛りで気持ち良くパンチするのが一番楽しい。

 

 プレイヤーとしての強さは寧ろコントロールとかパーミッション握ってる方が発揮されるんだけど正直ミッドレンジとかランプ握ってる方が楽しいんだよね。これはどうでも良い話か。

 

「歌唱はとりあえず作成しておいて損はないよ。ウチのエデ子もこれで固有種じゃないから性能そのものはコピー可能だよ。そう、スキルも本体も全部汎用枠なんだよコイツ。だからやろうと思えば量産できるってワケ。勿論育成には相応の時間がかかるけど」

 

 という訳で隠す理由もないのでエデのレシピを公開する。

 

 と言っても歌唱モンスターそのものは何を取得したい、どういう方向性に進めたい? という所でかなり合体ルートが分岐する。鳥類、ラミア種、狐種、スキュラ種、演奏家、異形種……強いモンスターを経由するのではなく、必要なスキルを習得できるモンスターを経由するのが大事なのだ。

 

 なので欲しいバフに合わせてルートを変えてね、って話になる。俺? 最終的にデバフは汎用性の高い被ダメ上昇に落ち着かせようかなぁ、って思ってる。これが対人戦だったらエデを2人作成して物理用と魔法用でそれぞれ枠を分けるんだけど、ちょっとそれだけの育成とモンスターを抱えるのは俺のキャパを超える感じあるからなぁ。

 

 そうなると特化させるよりも汎用性重視で歌唱を編成しちゃうんだよね。まあ、これは将来的な話だ。

 

「あぁ、でも気を付けてね。《ゼロリセット》を《スーパースター》で耐性付けられるからボス対策にはなるけど、《ノイズキャンセリング》ってスキル使われるとそもそも歌唱が発動しなくなるから連動する舞まで発動不可になって置物化するから」

 

「そんなスキルがあるのかよ」

 

 あるよ。ピンポイントメタ。歌唱見えたら積もうってレベルのメタ。《スペルアブソーバー》と同じ打ち消しスキルで構えて対応スキルが発動するとそのまま相手のスキルの発動を封じるという超厄介なカウンタースキルだ。

 

 ちなみに《デスペリアハザード》もしっかり詠唱消費してるのでアブソーバーに引っ掛かる。Bは性能の高いスキルが出てくる分、強力なメタスキルも出て来る。この化け物のぶつけ合いでバランスを取って来る大味な戦いが上位帯の在り方だ。

 

 バランス調整しましたか?

 

 はい! しました! 何も手を加えてません! 自然の味を活かしてます! アリス以外!

 

 アリス、《ドレスコード》1本で歌唱の起点とかも殺せるからやっぱアイツ凄いよ。なんなら並べて相手のアブソーバーとかキャンセリングとか封じて風通し良くする事が出来るし、裏に1体ぐらい控えさせたいモンスターだよな。

 

 露骨に対策されてる時ほど輝くモンスターだよ。ロリコンの加護貰ってるだけはあるわ。

 

「はあ、流石みこっちゃんだわ。駆間のビックリ箱なだけあるわ。お前が逆田じゃなくてこっちに来てくれて良かったよ」

 

「歌唱も馬鹿ヤバかったけどタンクと魔法少女の方もだいぶおかしい性能してたよな。あそこまで突破出来ずに耐久されるとは思わなかったわ」

 

 そりゃあエスト、エデ、ミレーナは今俺が持つモンスターで組める最強編成に近い。相手に合わせてエデかウェルを入れ替えるが、それ以外は現状のフルパワー構築だ。エストは魔ステの高さを利用した魔耐久にダメージカットを入れて両面対応、ミレーヌは魔法火力最強のモンスターだ。

 

 俺のぶっ飛び具合は説明する必要はないが、相手側も中々強かった。確定クリからのクリ起動追撃でダメージ稼いでくる型は受け側がしっかりと受けを意識してない限り簡単に蒸発するコンボだし、ダンプティから全体防御デバフが飛んで来るのは中々痛い。

 

 デバフとバステを一体化させての特効攻撃もコンボとしてかなり点数が高いし、相手に合わせてメタを仕込むぐらいしか改善点が見えてこない。

 

 けど。

 

「マスタースキルなんで使わなかったんだ? 《ワープスター》使ったり、もうちょい早い段階でパフェキャン打てなかった?」

 

「あー」

 

 俺の疑問にそうだな、と答えられた。

 

「ぶっちゃけ、何をするのか見たかった」

 

「それはしょうがないな」

 

「まあ、気になるよな……」

 

「みこっちゃんって何時も新しいもんを環境に入れて来るからな。別に手を抜いた訳じゃないけど、こうも新しいモンスター連れて試運転に来るなら何が出来るのか受けきってから殴り返したいって気持ちが強くてなぁ」

 

 わはははと笑われてしまったが、それが期待の表れだと思うとちょっとだけ嬉しい。ともあれ、これでミレーナ軸の構築は試せた。こっちは問答無用のトップTierを飾る環境最強のパフォーマンスを見せるメンツだった。

 

 反省点があるとすれば詠唱過剰だった事かな。

 

 エストとエデは言う事は何も無い。敢えて言うならエデは妨害入ったら動き辛い事かなぁ。今はまだマスカン把握されてないから素通しされるだろう……という感じだ。

 

 逆にミレーナは詠唱過剰でリソースが余ってる。もうちょい余裕ないかと思ったが、全部通ればこんなもんか。妨害前提で動きを作ってるから全部通ると詠唱がフルパワーになっちまうな。

 

 でも詰めに入ると強化無効とかアブソで詠唱ドレインされたり付与失敗もあるから安易にこの速度減らして良いのか……というのもある。

 

 もうちょい回数重ねてデータ出さないと駄目かなぁ、これ。要検証という事で。

 

 さて、お次はチビを軸にした構築になる。此方はまだ未完成のキャラクターが多いため、パワーは数段劣る事になるが、それでも十分に強い。

 

 早速、次の対戦を頼んで試運転と行こう。

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