まあ、ある意味ファミリー向けだったよ、強欲エリアは。
じゃあ次はどこに行く? という質問にとりあえず近場から……という結論を出して嫉妬エリアへと俺達は向かう事にした。嫉妬をモチーフにしたエリアってちょっと予想がつかないよなあ、という話をしながら嫉妬エリアへと向かう。
到着した嫉妬エリアにはディザイアー君が居た。まあ、マスコットだし着ぐるみも何個かあるか……と思ったらなんか、ちょっとパチモン感の強い姿をしている。なんというか……そう、ギリギリ著作権を回避しようとしてパクった感じ。そんな感じの姿をしていた。
「やあ! 俺様はティザイアー様! 所で嫉妬という感情はどこから湧き上がって来るか知ってる?」
様式美を理解している俺達は頭を横に振った。
「嫉妬てのはな……ああなりたい! こうなりたかった! だけどない! 出来ない! 劣等感と欠落感から生みだされるのだ! アイツは持っているのになんで俺にはないんだ……その感情が嫉妬を生む! 解るか?」
ででーん、とティザイアー君は後ろのアトラクションの数々を示した。
「嫉妬の先にあるのは模倣……パクり! アイツを真似して近づこう! 真似すればアイツのように……そうして俺が生まれた!! 誰が生めと言った! 誰がそうなりたいと望んだ!! 俺様を……俺様を何故こんな姿で生み出した!! 園長ォおおおおおおおお―――!!!」
急に発狂しだしたティザイアー君にスタッフがスタンガン片手に鎮圧に入るが、素早くスタンガンを回避するとスタッフを薙ぎ倒し、電柱にしがみついて吠え始める。意図してパチモンとして生みだされた着ぐるみの悲しき存在意義。これを企画した人サディストか何か?
発狂したパチモンを放置してアトラクションを見て回るとこれ権利関係大丈夫なのか? って感じのパクリコースター、パクリハウス、パクリマンションのオンパレード。これ絶対に宣伝出来ないよなあ……とは思うけどアトラクションそのものは面白いもんをパクってるので普通に味がある。
でもこれ……良くない味してる……。やっぱ七罪モチーフにするって発想自体がおかしいよ……。いや、そもそもパクリを堂々とするなという話なんだよね。あ、でもこれ乗りたかったやつだで色々と味を試せるのはよいかも。
いや、良くねぇよ。
このエリアやばいよ!! 駆間とは別方向で無法だよ!!
俺達は嫉妬エリアでそこそこパクリコースターやホンテッドパクリマンションに満足したら次の憤怒エリアへと向かった。そもそも遊園地で憤怒をモチーフにするのは無理があるのでは? やっぱ園長の頭がおかしいんだろうなぁ。
そう思いながら憤怒エリアに到着する。見た目は普通だが……様子のおかしいマスコットはまた居るのかな? 辺りを見渡すと困っているのかな? と思ったスタッフの人が近づいてきた。
「ようこそ罪人の皆様! 何かお困りですか?」
「客を罪人扱いするの斬新すぎる」
「まあ、大罪モチーフだし地獄扱いなんだろ……え、地獄モチーフのテーマパーク!? 良く通ったな……」
繁盛してるのを見るとそこそこ売れてるんだろうね。驚きだよ。
「もしかしてエリアの説明が必要ですか? ……はい! それでは罪人の皆様に説明させていただきますね! 憤怒エリアでは日々溜め込んだ怒りを解放出来ます! アチラのアトラクションをご覧ください」
皆で西洋屋敷風のアトラクションを見る。
「あちら、苛税と圧政を繰り広げ領民の怒りを積み上げてしまい、終いには衛兵にもそっぽを向かれ、とうとう革命を起こされてしまった領主の屋敷です!」
「設定がすごい」
「詰みだ」
「もう殺すしかなくなっちゃったね」
「はい! ですのでお客様は入り口の革命民兵から武器を提供して貰い、屋敷の中を好きに破壊する事が出来ます」
「へぇー」
普通に面白そうだった。
部屋の中を好きに破壊するサービスがある。それの屋敷版のアトラクションと言えるだろう。見た感じ、半モンスター化していて再生能力があるのだろう。破壊しても簡単に元の形に戻せるから中を破壊し放題……という感じか。
確かに一般人はこういう環境破壊や器物損壊に触れる機会は薄いだろうし、ストレスと怒りの解放には丁度良いのかもしれない。革命軍の気持ちになってちょっと参加してみる。
俺達、破壊のプロですから。
入り口で斧を貰って突入!
まずは斧で適当な石像をいい感じに破壊して鈍器を確保。これで打撃と斬撃の2属性革命戦士にジョブチェンジできる。目の前にある全てを破壊しながら効率的に破壊するために味方で分担し、区間を分けて破壊作業に入る。
「す、凄い! なんて効率的な破壊の手際だ! まるで普段から建造物を破壊する事に慣れているかのようだ……!」
スタッフさんの賞賛を背に受けながら屋敷内でグレートアックスやツヴァイハンダーを回収、武器のアップグレードに入る。クラスメイトの一人が宝石と懐中電灯を回収したのでそれを合体させてビームサーベルを作り出し、それを配りだす。
破砕力の高い大型武器チームと、切断力の高いビームサーベル戦士のチームが誕生する。こうなると明確な役割分担が誕生し、更に破壊作業が効率化される。
制限時間30分の間に破壊できるだけ破壊した俺達は崩壊した屋敷を後にした。たった30分だけだが駆間でも滅多にここまでの破壊はさせてくれないから俺達の破壊テクを試せる良いアトラクションだった。
憤怒に満足したから今度は怠惰エリアへと移動する……が、ここは宿やホテルのエリアだった。お泊りする予定は一切ないのでスルー。
料金プランとか確認すると割と高めで一般市民にはちょっと厳しいんじゃないんだろうか? それでもいい記念や思い出にはなるし利用する人は多そうだ。
と、そこでぴんぽんぱんぽーんと園内アナウンスが響く。
『駆間よりお越しの鴉羽尊様。駐車場のドラゴン達が他のお客様に片っ端から祝福を授けようとして迷惑しています。なんとかしてください』
「ちょっと止めてくる」
皆の分はドラゴンズバレーにタクシー頼むんじゃなかったぜ!!
ダッシュで園の外に出て駐車場で駆間人よりひ弱で頼りない人類に涙を流しながら超高等級防御を掛けまくっている上位存在を発見する。迷わずドロップキックを叩き込んで黙らせる。
やっと来てくれた……みたいな顔をミスト姐さんがしてる。ごめんね、ちょっと常識叩き込みますね。え、俺の常識? 適度にありますが。
ドラゴン達を大人しくさせたら街中に120ドラゴンが出現したという報告に緊急出動してた特殊戦闘隊の方々が、なんだ……駆間か……で去ってゆく。ごめんね……きっちり言い聞かせておきます。は? 俺は何も悪くないが?
ドラゴン達を説教し終えた所で皆の所に戻る。怠惰はこのままスルーする。
さて、そうなると次に向かうのは暴食、色欲か傲慢になる。色欲はスルー。となると暴食か傲慢だが、パチモンエリアと革命ごっこで結構時間使ったのと、体動かしてお腹が空いてきたのもあって、暴食エリアへと向かうことになった。
ディザイアーランドの暴食エリアは結構ちゃんとしたレストランが並んでいて、色んなモチーフの料理を食べられるようになっていた。
ショーをしている所もあって、そこそこランドぽさを感じられる形になっていた。
という訳で和気藹々と適当なレストランに入る。
「いらっしゃいませ! ここではシェフをガチャで決めます! SSRなら有名レストランのシェフ! Rなら昨日入った新人! 地雷ならそこらへんで捕まえた人! さあ、レッツガチャ!!」
迷わず出た。
やっべぇのがいた。もうちょい普通のが良くない? 大人しめのない? ギャンブル要素のない奴、ある? あるそうだった。良かった。
次に入ったところは暴食の名に負けないビュッフェスタイルのレストランだった。そこそこいい値段のするところだったが、食うならなるべく良い所が良いよな、という意見を採用して選んだレストランだった。
色んな国の料理が食べられるだけじゃなく、カウンターから料理しているシェフも見れて、頼めば簡単なものはササッと作ってくれるそうだった。高級ホテルを思わせるスタイルのレストランだった。
そして。
お昼が終わればいよいよ本日のメインイベント。
「傲慢傲慢傲慢傲慢傲慢!! 最強以外!! ありえないのだ!! この!! 鴉羽尊の!! 上をゆく存在は何1つ許さん!!! 傲慢行くぞ傲慢!!」
「駄目だ、みこっちゃんが対戦モードに入ってしまった」
「夜月さーん、なんとかしてー」
「良いんじゃないか? 可愛くて」
「どう見ても殺人鬼みたいな顔になってるけど……惚れた弱みかあー」
傲慢傲慢傲慢!!
やるぞやるぞやるぞ!!
バトルするぞー!!!