【書籍化】最強以外ありえない   作:てんぞー

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余裕だな! ガハハハ!

 勝てたぁ。

 

 ちなみにガーゴイルが《グローリー》搭載しているパターンなら詰みでした。あんまり《グローリー》を見ない、というか耐性系が軽んじられている所あるよなぁ。インタラパフェキャン合戦に入った時、《グローリー》があればパフェキャン消費せずに受け流せるの滅茶苦茶強いと思うんだけどね?

 

 まあ、でも、来るかどうか解らない妨害に怯えて《グローリー》を積んで連携枠を潰すのもどうかなぁ……って意見は解らなくもない。でもBランク帯からは結構な頻度で打ち消しは飛ぶし、耐性枠で1枠消費するのはアリだと思う。

 

 どうせ最終的には1-2ウェポンでバフ枠4に自由が1-3って感じの形になるだろうし。PvPだと対応幅よりも一貫性が重要だから通りやすいメインウェポン用意してあとは貫通力高めるのが主流だったなあ。

 

 だから大事っすよ。耐性。

 

 という訳で握手。感想戦に入りたいところだが、さすがに大会中はそうも行かない。軽く言葉を交わすぐらいの時間はある。

 

「いやあ、歌唱をセットアップで使い捨てるのは久しぶりに見たよ。良く思いついたね」

 

「ディスペルされたけどな。鴉羽プロは判断が早いね。リソースの切り方とどこから攻めるのかの判断が本当に早い。普通はもう少し次手に悩むもんなんだがな……」

 

「あー、そこは経験かなぁ」

 

 何百回何千回何万回もやってれば自然とどれから殴るかという知識が付く。なので単純な試行回数の差でしかないのだ、この話は。殴り慣れればその分判断力が磨かれる。俺の強みはこの世界では蓄積出来ない圧倒的な知識と経験という所がある。

 

 最近は追いつかれつつある気もするけどね。

 

 ゲームを出してしまったのだ。同じツールが手元にある以上、追いつく事が出来る環境になったのだ。いや、追いついて貰わないと困るんだけど。人類が俺レベルにまで上がってくれないと終盤キツイんですよ。

 

 ちょっと俺だけで女神の相手をするのは辛いというか……アイツのガバっぷりを見てると追加で原作にないボスをダース単位で用意しててもおかしくないんだよなあ。終盤急にボスラッシュ始まったら俺はキレるよ。

 

「確認したいんだけどアルラウネの最後の枠、蘇生?」

 

「蘇生。これで緊急時に助けられた経験が多くてね」

 

「火力の高い環境に入ったから蘇生よりも《グローリー》か何かに変えた方が良いかも」

 

「かもなぁ……でも悩むと手に馴染んだものをどうしても握ってしまう」

 

 そう言って藤原プロは笑った。

 

「俺も、38だ。マスターとしては年を取った方になる。俺がAやSに上がる機会はもうないだろうな……こういう所が理由なんだろう」

 

「いやいやいやいや、全然イケる! 超イケるって! 今回の滅茶苦茶良かったって! 自信を持って! また勝負しよう!」

 

「はは……縁があったらな」

 

 そう言ってモンスターたちを蘇生させると藤原プロは去っていった。トップから転落して、悪い体験ばかりを味わって今はちょっとナイーブになってる感じなんだろうか? まあ、気持ちは解らなくもない。ランクマに潜っていてレートを数百単位で溶かした日には才能がないって嘆きながら寝転がるし。

 

 誰にだってそういう時期はある。

 

 俺は藤原プロとやりあって楽しかった。だからまたやれたらいいなぁ、と思いつつ控室へと戻って行く。勝利したので堂々と、胸を張って声援を背に受けながらダンジョンを出て退場する。

 

 控室に戻ったら再びソファにどぼん。

 

 1試合目は比較的にカロリー消費が薄い試合で良かった。初戦が七海だったら残りの試合全部まともに戦えるか解らなかったなぁ。高耐久は無印のころから死ぬほど戦ってきただけに対処法が明快で良かった。

 

 問題は残り2人。七海と虫食いおじさんの方だ。いや、2人じゃねぇわ。問題は七海の方だよ。大問題だよ。

 

 あの女、俺を倒す事に対して毎回本気すぎる。

 

 欠片も予告もせずにダブルドラゴン用意してアグロ戦仕掛けてきてるのに凄い脳カロリー消費させられたし。今大会、アイツとアンナが組んで俺を殺しに来てるって言われても俺は信じるぞ。あの女の事だから間違いなく俺を倒すための切り札か何かを用意しているに違いない。

 

 しかもパワーカードではなく戦術面でのブラッシュアップなのが目に見えてる。最初に戦い方を教えて以来、アイツ、純粋な戦力アップデートよりも考えて攻略する方向に快楽を見出しちまったからな……。いや、それも正しい遊び方だとは思うけど。

 

 と、そこで端末の音が鳴る。15分のインターバルを挟んで次の試合が行われる。

 

 内容は俺対虫食いおじさん。

 

 コズミックホラー再び。

 

 ひととして苦手なんだよなぁ、ああいうの。まあ……戦うけどさ……。取り敢えず参戦自体は知ってたしリサーチする時間はあった。おかげで普段は何を握ってるのかを理解している。

 

 即ちムシキング。

 

 繁殖してフィールドを覆い尽くし喰らい尽くそう!!

 

 それが虫パ……ムシキング構築のコンセプトだ。《繁殖》等のスキルを使って固有トークンを増やし、それで性能を向上させ、固有能力を起動、以降はトークンを消費して発動できるスキルで戦う。

 

 纏めると結構シンプルなモンスターだ。

 

 ゼリィ同様に個体値が全体的に低く、その代わりにトークンが増えるごとにステータスのボーナスが貰えるという仕様になっている。その為、序盤が一番弱いとされている。ランプ向けのモンスターだ。

 

 記録を確認すると虫おじはかなりの種類の虫モンスターを活用しているのが記録されている。これだけの虫モンスターどう管理してるんだろう? ファーム所有してないらしいし。

 

 本当に謎だ……。

 

 まあ、B帯で実用可能な虫パは大体解る。蝶、カマキリ、後は蠅だろう。圧倒的な繁殖力を持つ蠅は捕食タイプの餌になる為、蠅で繁殖してカマキリにトークンを食わせてカマキリを増やし、強化する。蝶はほぼ置物だが置いてあるだけで様々なデバフを撒いてくれる便利枠だ。

 

 B帯だとこれが一番強いかなぁ。これ以外で来ても良いけど、その場合は一気に火力も殲滅力も落ちる。モンスターの数と種類が限られているのだから、自然と選べる範囲で何が強いのかというのは決まってくる。

 

 それを外れてくれるなら楽になるだけだからオッケーです!

 

 さて、分析が終われば考察だ。どうやって倒そうか? という話に入る。

 

 虫パの弱点はアグロだ。繁殖したトークンが増えきる前に殴るとステータスが低いまま倒せる。これはランプ向けのモンスターが抱える永遠の問題でもある。準備中に速攻を仕掛けられると壊滅してしまう。

 

 そう考えると初戦の七海が1-0のギリギリで勝てた事も納得できるかもしれない。アイツは基本的にコントロールが軸にあるから試合が長引きやすい。相手にトークンを増やさせすぎて圧力が増したのが原因だろう。

 

 ……でも本当にそうか?

 

 あの七海がそんな簡単にトークン増やすのを許すか?

 

「うーん……試合映像は見れないしなあ」

 

 膝の上の頭を撫でよう……と思ったらチビじゃなくてミレーナだった。こいつ、チビのフリをして頭を撫でられようとして四つん這いで迫ってきてた。プライドってもんが魔法少女にはねぇのか?

 

「ないわ! どれだけ飾ろうともオンラインストアから私達のエロ同人誌は消えないの!」

 

 そっかぁ。それはそうだね……お前の勝ちだよ。今回は頭を撫でてやろう。流石に不憫だしな……。デジタルタトゥーは簡単に消えないどころか一生ネタにされるんだ。

 

 見ろよ、今のインターネットを。老人会と称して永遠に昔の罪が掘り返されるんだぜ。なるべく身綺麗のままでいたいよな。ま、魔法少女ものはいつの時代も人気だし需要はあると思っておこう……。

 

 じゃあ虫パ対策ね。

 

 爆速で殺す。以上。

 

 火力出せば終わり。トークン身代わりはコスパ悪いから合体魔法ですぐに数を消せるんだよね。だったらずっと詠唱供給して合体魔法を連打してるのが1番だ。

 

 という訳で、次の試合は自然とミレーナエストエデのインチキトリオで確定となる。コイツラだけキャラパワーがBじゃなくてAはある。

 

 ワンランク上のキャラで殴れば余裕だな! ガハハハ!

 

 ……という余裕を見せてランクマで惨敗するのはまあまあ見られる現象だ。なんか知らんドマイナー構築に急に殴られて訳わからん死するのは上位帯で稀に見る現象だ。

 

 一応、本当に一応最低限の対策はしておこう。

 

 此方の予想を外してマイナー虫パを投げてくる可能性もある。それで訳わからん殺しされて負けたら本当に悔しい。

 

 取り敢えずエデに耐性を積み込むか……。

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