最強以外ありえない   作:てんぞー

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はい、2人組作ってー

 解散前に1回だけゴブキン討伐チャレンジをした。

 

 図書館産のOC簡単スターターキットを使ってウェンのスキルを再構成する。

 

 《小さな勇気》《ポーション》《一の太刀》《オーバーパワー》《玄武の型》《ストライクプラス》《逆襲》《背水》。

 

 もう並べるだけで大体の効果が頭に入ると思う。《小さな勇気》で食いしばり、《一の太刀》で一手目限定でクリティカル率を100%上げ、クリティカルダメージを100%上げる。《オーバーパワー》はコスト2倍で威力2倍。《玄武の型》発動で後手行動化、与ダメ上昇。《ストライクプラス》は攻撃後に2割の追撃ダメージ発生の根性殺し。

 

 最後に《逆襲》で殴られてからの与ダメを上げる。《背水》で背水補正を入れる。

 

 そう、究極の後手ワンパン構築である。《ストライクプラス》で《耐えろ》対策するのがミソ。2撃目? そんなものはない。外したら死ね。それだけのワンパン構築だし、自爆構築にも流用できるお手軽ビルドだ。

 

 というかワンパンする全てのビルドと相性が良い。1枠はメインウェポンを選んで入れてね! という奴である。《小さな勇気》と《ポーション》はギミック固定枠なので外せない専用スキルだ。なのでそれをそのままにして今回は通常攻撃で殴らせる。というか《小さな勇気》は食いしばり互換なのでそのままで良いし。

 

 マスタースキル《クリティカルコンバット》でクリティカル率を100%上げる。これでOC確定初手限定オバクリダメ600%With与ダメモリモリワンパンが可能になる。

 

 何度も言うが2撃目はない。《一の太刀》の効果が消えるからである。だから防がれたりしたらもう死ぬしかない。死ね。仕様上、攻撃行動を《パーフェクトキャンセラー》でキャンセルされるとスキルが全部死ぬので連鎖的に死ぬ。

 

 なので場合によってはスキルを使わない普通のパンチもアリだ。

 

 《パーフェクトキャンセラー》はスキル行動を対象に取れるが、スキルを使わない攻撃行動は対象に取れない。この仕様を利用した抜け道だ。ゴブキンはパフェキャン適性ないので使えないからこの警戒をする必要はないが、ここまで来ると攻撃スキル使う使わないは誤差だ。

 

 受けて殴る! 受けて殴る! ワンパン火力で全てを粉砕する!

 

「あ、連撃スキル使いますね」

 

「勝ったと思うなよぉ……」

 

 なおゴブ専さん、しっかりと根性殺しを握ってたので不発のまま死ぬ事になった。このランクマをワンパンで流そうとしたらしっかりとケアされて殺される感じ、懐かしすぎるランクマの空気で楽しかった。

 

 ウェンはしっかりと殺されて爆発四散した。これでゴブリンとのフリーファイトは終了した。オチはまあまあ見えてたものだが、これが野生のモンスター相手だと食いしばりや連撃未所持の関係上、結構いい感じに刺さる。

 

 全体系の自爆技だとより火力が高まるので実は雑魚処理にはお勧めだったりする。ララ並みに死ぬ事になるけど。

 

 そうやってフリーファイトが終わったら牧場へと戻る。

 

 ミストドラゴンに乗って再び牧場に戻り、ウェンのメンタルを整える為にも1回休憩を挟む。キッチンに行ってココアを作り始めれば、スマホに珍しい所から連絡が入る。

 

『尊、今良いかしら?』

 

「アンナじゃん、珍しい所から電話が来たな」

 

『まあね』

 

 ココアの元をマグカップに注いで牛乳を用意していると、アンナから電話が入って来た。スマホをスピーカーモードにしてキッチンに置きながら作業を続ける。やっぱり冬にはココアとかホットレモネードだよなぁ。飲んでるだけでホッとする。特に駆間の冬は寒く、雪が厚くなりやすい。

 

 モンスターを使って除雪作業するのは楽だとはいえ、この寒さは誤魔化せない。

 

『そっちの調子は最近どう?』

 

「まあ、順調かな。今C帯への構築の移行作業に入ってるよ。4月辺りから本格的にC戦線に参戦して、そこから可能なら年内B目指したい所かなぁ」

 

『年内Bね……流石にちょっと難しいわよ。あっちこっち飛び回って手あたり次第大会に出るハメになるわよ』

 

「そっか、Cの必要ポイントってそんな感じなんだ。学生にはちょっと厳しいな……」

 

『そうね、片っ端から大会に出られるなら問題ないけど学生身分だとどうしても長距離遠征は週末に限られるだろうしね。いくら駆間がバトルに理解のある世紀末社会を構築してるからって流石にそう何度も学校を抜け出す事は許さないでしょうね』

 

 Cランクはプロフェッショナル前の壁だ。一般競技人口として最も人が多いランクだとも言われている。Bランクからはプロになるという形である以上、Cランクはアマチュアとしてプロを目指す為の最後の難所だ……そのため必要ポイントや、競技者が非常に多い。

 

 その関係でこれまでよりも遥かに手間がかかる。駆間市で開催されている大会やランクマだけでポイントを稼ごうとすると数年はかかるかもしれない。

 

「人の住んでる地域を世紀末社会って呼ぶの止めてくれる?」

 

『見学に命の危機があってガスマスクを持ち歩かないといけない地域を世紀末以外のなんて表現すればいいのよ』

 

「それは……その……そうなんですが……」

 

 何も言い返せなかった。出来上がったココアを久遠とウェンに渡すと、灯が自分のは? とかいう顔をしだすので自分の分を渡して新しくもう1個作り始める。もう、この甘え上手な妹は……ぶつくさ言いながらちゃんと甘やかす辺り、俺は結構妹に弱いと思う。

 

「それで……別に雑談の為に電話かけてきたわけじゃないんだろ? お前割と用事がない限り連絡しないタイプだし」

 

『まあ、そうね。ちょっとしたお誘いよ』

 

 アンナからのお誘いとなると確実に柊家関連のあれこれなのだろう。一瞬でうわぁ、嫌だなぁ、という顔になってしまう。折角柊家とほぼ関わらずに生活出来てるのに。関わり合いにはなるべくなりたくはない……が、アンナが話を持って来るという事は避けられない状況なのだろう。

 

「俺じゃなきゃダメな奴?」

 

『アンタじゃなきゃダメな奴』

 

「内容は?」

 

『―――アンタ、ウチの親族から注目されてるわよ』

 

 思わず悪い言葉が口から出て来たので失礼、とアンナに謝る。出来上がったココアの入ったマグを片手に、溜息を吐いて壁に寄りかかる。暖炉の前でこんがり焼かれてたララを回収し、もふもふを片腕の中に収めて撫でてストレスを緩和する。

 

 ガラス戸の向こう側からチビがマイ・ポジション……という悲しそうな目で見ている。

 

「あんま目立つ事してない気がするんだけど」

 

『イギリスへの渡航記録、ちゃんと消しておかないと駄目でしょ』

 

「あー、図書館の件バレたんだ」

 

『げらげら笑ってる場合じゃないわよ』

 

 そこまでする必要はないんじゃない? とは思ってたがしっかりと足取りを追ってくる奴はいた、という話だ。まさか柊家の中に俺の事をここまで調べようとする奴がいるとは思わなかった。そこまで興味を持たれる謂れは……まあ、あるかもしれない。

 

『アンタ、イギリスで例の件に関わってたのマジ?』

 

「東吾やアーサーと一緒に探索してたしね」

 

『じゃあ映像のは?』

 

「俺」

 

『……』

 

 通話の向こうで口汚く罵っているアンナの声が聞こえた。確定じゃなかった情報が確定に変わってしまった瞬間の衝撃を罵る事で乗り越えたのだろう、アンナも失礼、と言うと通話に戻って来た。

 

『一族の中にアンタと叶プロとかの関係を疑ってる奴がいるわ。根の国……図書館……発見の裏にはアンタの影がある。だからアンタと接触して取り込もうと考えている連中が出て来たわ。どれもなるべく私の方で握りつぶしてるけど』

 

「マジで?」

 

『マジ、よ。そもそも同盟関係でしょ、私達。私にとっての勝利はアンタがSランクに上がる事なんだから。今更だけど、アンタの活躍を見てる限り私の判断は正しかったと思えるわ―――この一族の中で一番才能があって、(剛三)に近い所にいるのはアンタよ』

 

「嬉しいやら嫌やら……」

 

 評価されてる、という事なのだろうが評価している相手が相手なので面倒なのはまず間違いがない。柊家のごたごたにはなるべく関わり合いたくないんだけどなぁ、というのが本音だ。だがアンナが連絡を入れるという事はそういうレベルは過ぎ去っているという事だろう。

 

「で、俺はどうすれば良いの?」

 

『話が早くて助かるわ。今度、柊家主催でCランク用の大会を開催するわ。特殊ルール採用型でタッグでの出場になるからそれに私とアンタ出て仲良しアピールするわよ』

 

「嫌な単語出てきたな」

 

 仲良しアピール。はい、2人組作ってー。余っちゃったのお? お友達いないのお? クラスに居場所いないのぉ? じゃあお家に帰っていいよ。ただのイジメか。

 

『実際こういうのが一番手っ取り早くて効果があるのよ。私とアンタでタッグ組んで出場すればそれだけでアンタが私の派閥の人間だってアピールになるから。ついでに柊家は協会にも影響力あるから得られるポイントも多めよ』

 

「嫌な話だ」

 

『利用できるものは利用しなさいな。アンタの事だからどうせお爺様のファンメールの内容にも心当たりがあるんじゃない?』

 

「俺を何だと思ってるんだ」

 

『非人間』

 

「こいつ……」

 

 まあ、言ってる事全部正しいんだけど。柊家の継承レースも勝つ必要が出てきた以上、アンナの話に乗らない話はない。少なくとも俺は実権は不要だが、次元城の扉を閉ざす為の権利だけは入手しておきたい。あのクソ邪神どもを永遠にあの中に閉じ込めないとならない。

 

 この件、既に館長とは連絡済みなのだが次元城は館長の管轄外で、干渉出来ないのだ。

 

 それ以外のダンジョンだったら比較的にどうとでもなるのだが、一部館長の権限ではどうしても干渉出来ない奴がある。次元城はその一つだ。

 

 ずずず、とココアを啜ると体の中が暖かくなる。ララにも一口飲ませてやるか……と思ったら死体だった。道理でモフモフしてるけど冷たくなってきてる訳だ。今まで暖炉の熱で温かったのか。なんで室内で死んでるんだコイツ?

 

「まあ、解ったよ。ポイント稼げてお前の助けになるなら俺に文句はないよ」

 

『ありがとう従兄様、愛してるわ』

 

「吐き気がするから止めてくれ。似合ってない」

 

『私もやっててそう思ったわ』

 

 互いにちょっと笑ってからスマホのスケジュール帳を開いて、確認する。

 

「で、何時頃?」

 

『5月頃を予定してるわ』

 

「そこそこ先の話だな……」

 

 5月だったら4月中に駆間で新環境テストを行って、細かい微調整を施してから行けるな。大会に出るなら先にフリーファイトでどれだけ新環境に対して自分の既存の知識で適応できるのかが調べたかったし、時期的には丁度良いだろう。

 

『こっちから後でルールとか注意事項を送っておくから確認しておいて』

 

「あいよ、5月までにC用の調整は済ませておくわ」

 

『悪いわね』

 

「いや、問題ない。俺達は同盟なんだ、そうだろ?」

 

『そうね、頼りにしてるわ』

 

 通話を切ってスケジュールをもう1度確認する。とりあえず4月までに超越血統をCまで上げてランクマで使えるレベルまで育てる。レベリング自体はそう難しくないので、時間がかかるのはトレーニングの方だ。だがそれもまだ3か月ある。

 

 十分間に合うペースだ。チビ、エデ、ウェルギリウス、イーリュと他のスタメン候補は全員合体を終わらせてトレーニングも終わっている。後は能力を維持する為の日々の継続トレーニングだけだ。唯一ウェンをはじめとする未来血統だけはイベント関連で4月5月には間に合わない可能性がある。

 

 これはまあ、仕方がない事だと諦めるしかないだろう。

 

 なんにせよ、5月はデカい大会と面倒なイベントだと覚えておこう。ココアを啜り、先の事を計画しながら心を落ち着ける。これを飲み終わったらまずはウェンの問題から処理して行く。

 

 白紙の物語、最初のクライマックスだ。




 実はXの方で本編に入りきらない小ネタや本編の解説、スキルに関する補足情報を入れたり、朝のうちに更新内容の先行カット公開してたりもします。

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