「夏油 傑は現在、呪詛師になっていて行方知れずだ」
「そんな……。本当に、俺じゃ駄目だったって言うのかよ」
どよよんと沈み込む五条。七海は深くため息を吐く。
「結果は出ましたね。仕方ないですが、おとなしく夏油さんの結婚を祝福しましょう。仕方ないですが。あの人との出会いが夏油さんにとって救いになっていたと納得できたら、結婚を許す約束でしょう?」
「嫌だ」
「五条さん」
「絶対に嫌だ。あいつとの出会いが傑を救ったなんて認めたくない。あんなのとくっつかれるくらいなら俺が傑と結婚する」
「私も、あいつは気に入らないですが……。夏油さんはメロメロですし、いくらなんでも、これ以上は嫌われますよ?」「聞きたくない! 絶対操られてるって、あれは! 洗脳じゃなきゃなんなんだよ! あんなのを女の子と認めてたまるか!」
その言葉に、鎮痛な面持ちをしていた夜蛾は頭を抑えた。
「お前ら……まさか、傑の結婚を反対したいが為に、並行世界まで来たと言うのか?」
「たりめーだろ! 傑がどんなに説得してもあいつと別れねーから! 俺でいいだろ!? 俺がいいだろ!? 悩む余地ないって!」
「五条さん。もうすぐ子供も生まれるんですし、手遅れです」
「嫌だ、絶対嫌だ。奥さんとお子さんは秘匿死刑でいいでしょ、あんなの」
「五条さん、夏油さんがこっちでも呪詛師落ちしてもいいんですか」
「帰れ。いや、一週間はいないといけないのだっったか。お前は全く、いい加減大人になれ。こっちの悟の方がまだマシだぞ」
当然の帰結である。
「諦めましょう。そもそも、友人の許しがないと結婚できないとか意味不明ですし」
「はぁ。とにかく、納得したなら仕事を手伝ってもらうぞ」
「納得してない。でも傑が呪詛師になる事考えてたってことしか聞いてないし、こっちの傑の事教えて。なんで呪詛師になったの? なんで悩んでたのに俺に相談してくれなかったの? そんなに俺、頼りにならない? 視界に入らない? 問題外?」
どんどんヒートアップしてくる悟。どうどう。
「10年も行方知れずだからな……話せる事はあまりない。何があったのか俺もわからん。嘘だと思うなら、悟に直接聞いてみろ。だが……全く内密に話があると言うから、何かと思えば……」
そこで警報が鳴る。こちらの夏油傑が来たのだ。
「非術師を皆殺しにして、術師だけの世界を作るんだ」
「傑ー!!!!!!!」
「せ、先生!?」
いきなり飛びつかれて、夏油は慌てて呪霊を盾にした。
「傑! なんで非術師皆殺し? 何考えてんだよ。何考えてたんだよ。お前、そういうの全然言ってくれなかったじゃん!」
「ステイだ、悟!!」
「何あれ!?」
「悟が2人!??」
五条は呪霊をそっと押し除けながら必死である。
「傑! 俺、どうすれば傑に捨てられずに済んだんだよ! なんで傑、俺の事を差し置いて他に大事な奴作ったの? どうしてそんな酷い事できんの?」
「待て、悟。よくわからないが外聞が悪いからやめてくれ。違う。悟とは普通に友達なだけで、付き合ったりとかはしてない」
突き刺さる視線に、夏油は慌てて五条(?)を止める。
「俺たち最強だって言ったじゃん! ずっと一緒とも言ったじゃん! 嘘つき嘘つき嘘つき!! 非術師嫌いって初めて聞いたし! 非術師駄目なら言ってくれれば良かったじゃねーか! 別に非術師とかどうでもいいし、とりあえず傑の周りだけ術師で固めたのに! 俺の事セピア色に塗りたくろうたってそうはいかねーからな! そもそもな! 我関せずって感じだけど! お前も! お前も! お前も! お前も! 傑、ぜってー大事だよ♡なんて言って、また他に居場所作るぞ! 俺の時みたいに! 俺の時みたいに!」
「そもそもずっと一緒だとは言ってないかな……」
「えっと君、誰? 学長知ってるの?」
ドン引きしつつ、夏油と五条先生。
「夏油が最愛の人と出会って呪術師を辞めなかった世界線の五条だそうだ」
「「何それ」」
やはりドン引きする2人。
「俺の方が絶対! 世界一! 傑の事大事だし! 大好きだし!!」
「はぁ? 私の方が夏油様のこと大好きですー!」
「夏油様は私達のもの。他に家族を作ったりしないし、たとえ作っても私達は祝福する」
ミミナナとキャットファイトする五条(?)。を夏油が引き剥がす。
「もうさ、どうせ異世界で外聞とかねーし。聞かせてよ、傑。どう言えば、どうすればお前、俺と一緒にいてくれたんだよ。一緒にいてくれるんだよ。今からお前の妻子秘匿死刑にすれば一生口聞いてもらえないのはわかるけど、どうすればお前取り戻せるんだよ。記憶消すしかない? 洗脳みたいで嫌なんだけど」
「僕には外聞あるんだけど!?」
「ええ……。君、私がたとえば真奈美さんと結婚したりと、そうなっちゃうわけ?」
「まあ♡ 私はいつでも歓迎します♡」
「ならないってば!!」
「だよね。偽物? の悟には悪いけど、当然、私の記憶を消したり、自分に振り向かないからって妻子を奪ったりするようなクズは私は嫌いだよ。君にはそういう事はして欲しくないかな。素直に正面から玉砕して、駄目だったら諦めな」
「す、傑……」
「それか、私と結婚しちゃうかい? そんなに好きだっていうなら、考えてあげてもいいよ」
「それ縛る?」
間髪入れずに食いつく五条(?)。
「はぁ!?」
「何を考えている、悟!」
「夏油様!?」
「私の野望に協力してくれるなら……待ってなんで乗り気そうな顔してんだよ駄目に決まってるだろ断れよ」
言い出しっぺのくせに全力でダメ出しする夏油。
「いや、2人の縁談は全力で潰すけど、傑に嫌われたら心が痛すぎて死んじゃうじゃん? こっちの傑に支えて貰えたら生きていけるかもって」
「嬉しいなってじゃないんだよ。そもそも縁談を潰すなよ、相思相愛なんだろ?」
「最悪な事にそう」
「はぁ、私は12月24日の百鬼夜行の宣戦布告に来たのだけれど、それを邪魔しないなら破談にするのを手伝ってあげてもいいよ。邪魔されるのも協力されるのも嫌だし、それでさっさと帰りな」
「あとベタベタさせて欲しい。傑に避けられてて寂しくて死んじゃう」
「えっちなしで12月24日までならいいよ……」
「五条さん」
七海(?)は五条(?)に声を掛ける。
「反対されてももう縛っちゃったし」
「やるからにはきっちり寝とってください」
「まーかせて!」
「やだなぁ……。で、お相手って誰。まさか硝子じゃないよね?」
「エイリアン」
「は?」
「変身能力を持ってて苗床作っちゃう系宇宙人。傑が卵産みつけられててもうすぐ生まれそうなんだよ。卵のうちに本人に許可とって潰したいから焦ってる」
「ふざけてる? それか呪霊と勘違いしてる?」
「呪霊だったんだで乗り切ろうとする作戦はもうやった。宇宙船の座標提供する? ちゃんとした天体望遠鏡で見えるよ」
エイリアンスペック
相手の心を読んで望みの姿に変身する。
基本能力
テレパシー能力
変身能力
メスはオスの遺伝子を取り込み、
オスに卵を産み付ける。
オスが産卵する。
カメレオンみたいな生き物から進化。
獲物の恐れるものに変身したり、意中の相手の好む姿に変身して
生存競争や生殖に役立ててた。
一時期は異星人に乱獲された。
好みの姿に変身させることができる為。
愛玩用としても人気だった。
後に優秀な遺伝子を取り込み続けて進化し、奴隷の地位を脱した。
夏油の遺伝子(呪霊操術)の遺伝子に惹かれ、
夏油の友人の五条や灰原の姿を取って夏油に媚をうった。
(そういう種族だという事は説明済み)
愛玩用として乱獲されて……と、1000年昔の苦難で同情を誘った。
テレパシー能力による怒涛の読心と変身能力を駆使して、
見事夏油の心を射止めた。