クリエイター少女のヒーローアカデミア   作:紅葉紫苑

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大変長らくお待たせしました



第3種目・ガチバトルトーナメント第2回戦 埴安神袿姫VS芦戸三奈

 第1回戦を危なげなく突破した袿姫。

 続けて見るは第2回戦、八百万百VS瀬呂範太。

 2人ともお辞儀をして礼儀正しく振る舞う。

 プレマイ先生の実況が響き渡り……会場のボルテージは盛り上がりが更に跳ね上がる。

 

『さて‼︎ 第2回戦‼︎ 八百万百VS瀬呂範太‼︎ バトルスタート‼︎』

 

 八百万百は無数に選択肢を増やし、無限の手札を扱い戦局を有利に進めていくのを得意としており、対して瀬呂は八百万相手に時間をかけるのは悪手と判断したのか速攻をかけて場外に叩き出す戦法を取った。

 何も間違ってはいない、それは確かに誰しもが取る安牌な手段である。

 絶対負けない安定した戦法且つ外しても戦況的にイーブンならば打ち得である、何せ決まれば勝ちが見えて、仮に外しても攻撃の予備動作は最小限で収まる。

 だがしかし、稀代の才女であり埴安神袿姫と双璧を成し続けてきた八百万百相手には……褒められた策じゃなかったのは確かである。

 八百万は上半身をテープで拘束された瞬間、抜け出るのは不可能と断じてジャージを破る様にしてゴム弾装填済みのM249軽機関銃を創造して拘束から逃れつつ前転でフィールドへと着地すると即座に伏せ撃ちの状態を取り乱射していく。

 そして、弾幕のおかわりとでもいう様にゴム弾装填済みのサブマシンガンを搭載したドローン3機を自動操縦で操縦させて逃げ場を無くしていく。

 3分後、逃げ場を無くした瀬呂が降参の意を示し八百万百は第3回戦へと駒を進めたのであった。

 


 

 八百万百が観客席に戻ると袿姫がジッと見つめるは轟凍火の顔。

 試合が始まるまで時間があるが飽きる事なくジイっと見つめている。

 気恥ずかしさからか顔を紅潮させてプイッと顔を背けつつ上擦った声音で語る凍火。

 

「あっ……あの‼︎ 流石にずっと見られてるのは恥ずかしいんだけど……」

 

 そう叫ばれるも袿姫の顔は素晴らしい造形美を見て、凄まじい造形欲を刺激されたのか自分の世界に入り込む袿姫だが八百万が創造で製作したハリセンで頭を引っ叩かれスバァァンと小気味良い音と共に現実に引き戻される。

 

「何をやってるのですか⁉︎ 袿姫‼︎ 次は貴女の出番ですわよ‼︎ ほらほらっ‼︎ 時間ないですわよ⁉︎ 早く行きなさい‼︎」

 

 その言葉にハッとして辺りを見回すと既に対戦相手たる芦戸さんは試合会場へと出向いており……実況のプレマイ先生より急げと急かされ、解説役の相澤先生からはあと30秒で来ないと強制的に不戦敗と宣告される。

 此処から急いで控室を通ったとしても40秒は掛かる。

 故に、袿姫が取れる手段は目の前にある最短の道であった。

 観客席から立ち上がって通路へと移動すると……少し助走を付けて柵を越える様に跳躍する。

 地面までの距離は50mはある、地面に激突すればグチャグチャの熟れ過ぎたトマトよりも酷い事になるのは確定的に明らか。

 そんな惨事が紡ぐ未来を誰もが予想して一瞬眼を背けるが八百万のみは違った。

 八百万は溜息混じりで呆れつつも語る。

 

「全く……袿姫は本当……全く」

 

 ジャージを4対の純白の翼へと変換し、ふわりと降り立つと袿姫は対戦相手たる芦戸三奈へと恭しく頭を下げて謝罪の言葉を紡ぐ。

 

「お待たせして大変申し訳ございません……さて、やりましょう?」

 

 そう語る袿姫。

 実況のプレゼントマイクがスタートの宣告を挟み2回戦が始まった。

 


 

 とは言え、相手は理論上全てを溶かす事が可能な『酸』を有する芦戸三奈。

 一回戦でも酸を自在に操ってスピードスケートの要領でフィールドを自由自在に滑走し的確に酸の放射を行っていたのが記憶に新しい。

 そして、袿姫が如何に造形を行おうと溶かしてくるのが脅威か。

 戦闘開始の合図が為されて互いに行動を開始する。

 芦戸は速攻をかけて先手を取る為にスピードスケートの要領で滑走し酸をばら撒いてきた。

 対する袿姫は対酸性を著しく高めた衣服に身を包み真っ向から挑む。

 袿姫と八百万百が万能と言われる所以がここにある。

 相手の個性を見てからそれに対して最適なモノを自分らで創り出すことが可能なのだ。

 言わば絶対負けない後出しジャンケンと言った所か。

 酸をばら撒いてくるが幾ら喰らっても仔細ない。

 

「完全に対策貼ってきてるの⁉︎ 流石だよハニヤス‼︎ だけどまだまだ私だって負けられないんだ‼︎ 絶対に溶かし切って負けを認めさせる‼︎」

 

 暴論の極み。

 極端に言えば、溶かせない物などない、それが酸という物質の性質だ。

 普通の相手ならば泣いて許しを乞うだろう。

 現に酸に耐え得る装備や個性でなければ溶かされて動きを封じられて終わりだ。

 だがしかし、埴安神袿姫と相対するならば初手から切り札を切らなければ話にならない、勿体無い精神(ラストエリクサー症候群)に襲われようとも絶対に。

 そして、切り札とは。

 絶対に対処不可能でなければ──〝切り札〟とは言えない。

 そして己と同等以上の敵を相手に、絶対(・・)が成り立つ条件など。

 ──『初見殺しの伏せ札』以外に、存在し得るわけがない……。

 袿姫は滑走し酸をショットガンの様にばら撒いてくる芦戸の攻撃をスレスレで回避してすれ違い様に凡ゆる物質を変質させ掌握するその手で触れジャージを瞬く間に拘束着へと変換させ動きを封じ込める。

 何も──埴輪兵団や宝飾、造形のみが袿姫の強みではない。

 触れたモノの細やかな物質変換こそ最大の強み。

 まぁそれ以上に、袿姫を相手にする場合何かを生み出して戦う個性そのものが相性が悪すぎる。

 資材が無ければ何も出来ない袿姫であるが何せ放っておけば資材は向こうから無限に提供して貰える。

 尤も……そもそもの話として、小石サイズのコンクリート片ですらない衣服のほんの僅かな繊維ですら長物の武装に変換できる袿姫が無手になる未来を想像できないと言えばそれまでなのだが。

 そうして、危なげなく第3回戦へと駒を進めた契機であった。

 次なる相手は轟家次女・轟凍火。

 その燃え滾る様な熱い炎熱と全てを凍結させる吹き荒ぶ凍氷が袿姫の次なる相手であった。




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