クリエイター少女のヒーローアカデミア   作:紅葉紫苑

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(ヴィラン)の襲来

 噴水が映える中央広場には無数の(ヴィラン)

 観測体(ゼーア)がUSJ内の外部から侵入してきた全生命体の位置情報を把握。

 それを解析体(プリューファ)へと転送し解析体(プリューファ)がその対象全ての個性を演算解析、連結体(クラスタ)での演算を開始し演算結果を指揮体(ベフェール)へと転送。

 この間僅か0.000017秒……解析結果を基にして指揮体(ベフェール)は採決を下す。

 

「【採決】……この施設内に散らばる敵性勢力の全てを誰1人として殺さずに鎮圧……付随し我らの武装の一部展開を許可」

 

 指揮体(ベフェール)が1体……ユリウスの如何なる判断の基にそれが採決されたかは創造主(・・・)たる袿姫(・・・・)ですら(・・・)知り得ない。

 何せ埴輪兵団は世界最高峰のスパコンや神託機械を忘却の彼方へと追いやれる程の演算機能を持つ。

 演算能力1つ取っても本来ならば“あらゆる機械が無条件でカンストする”ほどの演算回数を一切の負荷すらなくやってのける超越演算機である。

 なお、各自に戦闘体(ケンプファ)観測体(ゼーア)解析体(プリューファ)指揮体(ベフェール)設計体(ツァイヘン)などと言う名称が付いているせいでややこしく思われるかも知れないが……各個体に戦闘を行えない個体は1個体足りとも存在しない。

 戦闘を主軸に置いた戦闘体(ケンプファ)よりは多少劣るが……それでも有象無象に、それもそこら辺のチンピラ程度に負ける道理は無い。

 何が言いたいかと言うと……埴輪兵団が護衛を務めているA組らに届く攻撃は一切なく……施設内に散らばる敵性勢力の全ての捕縛が相澤先生及び戦闘体(ケンプファ)観測体(ゼーア)解析体(プリューファ)により完遂されつつあった。

 しかしながら埴輪兵団の索敵には誤算があった。

 脳が剥き出しの黒い大男、それと黒いモヤに包まれている長身痩躯のナニカを視認しつつ生命とは定義できなかった。

 生命という定義は非常に曖昧なれど……大体はこう定義される、即ち……生命維持機能を有しているか否か。

 手の装飾品を装着した男が何かを呟いた瞬間……脳が剥き出しの黒い大男と黒いモヤに包まれたナニカが動き出した。

 1番近くに居た解析体(プリューファ)が反応できない速度で動き出したその刹那……脳が剥き出しの黒い大男の1番近くにいた解析体(プリューファ)が1体、首から下を全て吹き飛ばされ1秒程、修復を要する破損状況に陥る。

 そして黒いモヤに包まれたナニカが……周囲に居た戦闘体(ケンプファ)観測体(ゼーア)設計体(ツァイヘン)合計29個体を空間に開けた穴で跡形もなく擦り潰す。

 恐らくはワープの個性を応用した空間への作用……強制的に穴を開けられた空間……その揺り戻しが周囲に捻り奔り……空間周囲に居た全てを再生不可能なレベルまで砕く。

 空間が捻れて歪み……その影響圏にある全てを再生不可能な程に砕き壊す。

 そして極め付けに……手の装飾品を装着している男、接近した解析体(プリューファ)へと男の掌が触れた刹那……跡形もなく砂の様に崩壊していき再生する事なく『全壊』した。

 それを見た袿姫はピクリと眉を顰めるが全く問題はない。

 何故ならば……埴輪兵団は受けた攻撃の完全模倣及び対策が可能。

 それらは埴輪兵団の発する機械音声で肯定される。

 

解析体(プリューファ)から指揮体(ベフェール)へ……先程の個性による攻撃の原理……解析完了」

 

 続く通信音でそれは起きる。

 アレらに巻き込まれて破損し破断し全壊するまでのごく僅かな時間、ともすれば全壊の最中にも常に同期していたのだろう……僅か1秒未満……コンマの後に幾つ0が並ぶのかは人間には把握できないが……とにかくそのレベルの速度で何かを設計したのは確かで有り……A組の護衛を務めていた設計体(ツァイヘン)が語る。

 

設計体(ツァイヘン)から全残存個体へ通達……『偽典・天移(シュラポクリフェン)』及び『偽典・法壊(ダーマアポクリフェン)』設計完了……同期する」

 

 ……これが戦闘兵器たる埴輪兵団の強みで有り……埴輪兵団及びそれらを擁する埴安神一族が凡ゆる(ヴィラン)や犯罪者達からアンタッチャブル判定を喰らった理由であり……理論上無限に強くなると言われる所以でもある。

 襲来から僅か2分しか経過していないが……既に施設内の(ヴィラン)はほぼ全員捕縛されており……雄英高校の方にも指揮体(ベフェール)が1体、状況の通達に行っている為に教師陣も来るとの通達をイレイザーヘッドは……共に戦闘している指揮体(ベフェール)より受ける。

 それに伴い……残す所は3名。

 黒いモヤのナニカ。

 脳が剥き出しの黒い大男。

 手の装飾品を装着した青年。

 そして脳が剥き出しの大男に至っては解析体(プリューファ)1個体を破損させるのが精一杯の性能しか無い。

 戦闘体(ケンプファ)が戦線を引き継ぎ『脳無』と呼称されていた対象との戦闘を開始していた、そして始終、戦闘体(ケンプファ)が圧倒しており『超再生』と『ショック吸収』の個性を有しているとの叫びが聞こえるもそれらの性能を発揮するに至らず……文字通り叩き潰されている。

 しかして襲撃者は捕縛される……誰もがそう思っていた。

 しかし、突如としてその3名を包む様に泥の様な液体が噴出し……イレイザーヘッドが個性を抹消すると効かない……と言う事は泥の様な液体が噴出している個性持ちの本体はここに居ないと言う事。

 液体に呑まれながら手の装飾品を装着している青年は怨嗟に塗れた声音で言葉を溢しながら、怒りと憎悪に塗れた声で語る。

 

「今回は失敗したが……平和の象徴を殺して見せるぞ」

 

 そうして、去っていった……その直後……USJ内の扉を蹴破って現れるは平和の象徴、オールマイト。

 オールマイトは叫ぶ。

 

「もう心配ない‼︎ 私が来た‼︎」

 

 そう叫ぶも脅威は去った後で……まぁ恐怖を拭い去るという平和の象徴にしか出来ない役割を果たしたのだから生徒達はもとより……教員達も誰1人として文句はないが。

 


 

 とある古びたBAR。

 ドス黒い液体が噴出し3人、訂正……2人と1つがそこへ放り出される。

 手の装飾品を装着している青年は苛立ちを隠す事もせずにBARに設置されているモニターへと怒鳴る。

 

「先生‼︎ 話と違うぞ‼︎ 生徒の造り出した人形に全員完封だ……オールマイトが来るまでも無く‼︎」

 

 聞いていた話と違うと叫ぶ青年。

 モニターから響くは『先生』と呼称された相手の声。

 地の底から昏く響き渡るような声声が響く。

 

『脳無すら遅れをとるとは予想外だったね……だが心配いらないよ死柄木弔……脳無は無事に連れ戻したし君自身も無傷だ……多少の計画違いがあったとしても根本には影響が出ない……ま……悔やんでも仕方がない、今回だって実験の結果としては文句はないさ、無駄な実験などない……精鋭を集めよう、じっくり時間をかけて……度重なる実験や研究、組織の拡大には時間をかけることも大切さ、我々は自由に動けない、だから君のようなシンボルが必要なんだ、死柄木弔……次こそ君という恐怖を世に知らしめるんだ』

 

 そうして通信は終了し後に残るのは酒を呷る死柄木弔と無言でグラスを用意する黒霧のみ、BARは再び静寂が支配していた。

 


 

 そうして場面は雄英へと戻る。

 襲撃を受けたと言う事で警察による事情聴取が行われる運びとなり授業は一時中止。

 後日また同様の授業を執り行う運びとなり今日の所は終了となった。

 しかしながら袿姫のみ残る様に言われた為に残っている。

 大体何が言われるかは想像つくが。

 

「それにしてもただ待つだけがこんなに暇とは……」

 

 帰りのホームルームも済んだ後で1人残る教室で暇そうに呟く袿姫であった。




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