トリコロールの旗を掲げて   作:理由もなく歩く人

10 / 26
投稿が遅れてしまい、申し訳ありません。
みなさんも日頃の体調管理に気をつけてください。


パーパルディア皇国編
8. 不穏な接触


 

パーパルディア皇国、皇都エストシラント

 

パラディス城の外苑に建てられている国家戦略局の建物では早朝からにもかかわらずパニックが起きていた。

 

「イノス課長!大変です!」

「どうした?こんな朝っぱらから騒がしいぞ」

 

文明圏外国担当部、南方担当課長であるイノスは部屋に駆け込んできた部下に不愉快そうに目を細める。

部下はイノスの机に資料を置くと息を乱しながら話した。

 

「ロウリア王国との定期連絡が途絶えました!こちらから送っても何も反応しません!」

「どういうことだ!?ロデニウス大陸如きで戦力を消費したくないからロウリアに代わりに占領させる計画だったんだぞ!」

「現在、監察軍にロウリア王国に確認をとりに行けるように協力を要請しています!」

「クソッ!蛮族共が!皇国に逆らった罪は重いぞ!」

 

 

 

皇国監察軍東洋艦隊

 

「で、ロウリアから連絡が来なくなったのはいつ頃からだ?」

「国家戦略局が言うには数日前からですね。……しかし、並の文明国ぐらいなら物量で制圧できるほど戦力があるのに何故、連絡が途切れるんでしょうか?」

「どうせ裏切ったんだろう。愚かな奴らだ」

 

東洋艦隊提督のポクトアールはわざとらしくため息をつく。

 

「我々に勝てると過信しているのでしょうか……技術力に差がありすぎると言うのに」

 

彼のそばに立つ副官も同情する。

 

現在、皇国監察軍東洋艦隊は国家戦略局の要請でロデニウス大陸沖に向かっていた。

文明の差に違いがありすぎるので船員達の空気は硬くない。

だが彼らは知らない。ロウリアを制圧した国がこの世界で圧倒的な技術力を持ってるとも知らずに。

 

「ポクトアール提督、遠方に船と思われしき物を発見しました」

「船と思われしき物?」

 

 

 

ロデニウス大陸・クイラ王国沖

フランス海軍海外艦隊所属 護衛艦『あきづき』

 

『かが』や他の米軍艦艇と共にフランス海軍に編入された『あきづき』はエジード作戦後、哨戒任務に就いていた。

 

「艦長、レーダーに反応あり。数22、帆船です。速度13ノット、距離70マイル」

「13ノット?遅過ぎじゃないか?」

「まぁ、帆船ですから……」

「まさか司令部が言っていたパーパルディア皇国ってやつか?」

「……おそらく」

 

艦長は落胆するが、すぐに立ち直り指示を出す。

 

「近くの海域にいる『アルザス』を呼んでくれ」

「了解。『アルザス』に連絡、パーパルディア皇国と思われる帆船を確認、至急応援願う」

「レーダー反応あり。ワイバーンだと思われます。数20、距離65マイル、急速接近中」

 

CICの各所から報告が次々と上がる。

 

「『アルザス』より連絡、到着まで25分」

「わかった。対空警戒を厳となせ」

「シェルブールより連絡。『できる限り敵対するな、ただしやられたらやり返せ』だそうです」

「了解、帆船に向けて進路を取れ」

 

 

 

 

皇国監察軍東洋艦隊所属竜騎士団

 

竜騎士レクマイアは仲間と共にロウリア王国の制空権確保に向かっていた。

 

「ロウリアとなんで連絡ができないんだ?」

「わからないが、我々の武器を保持しているから自分たちが強くなったと勘違いしているんだろう」

「……愚かな奴らだなぁ」

 

そんな会話が仲間達の中で行われる。

一方でレクマイアは不安を募らせていた。

 

(列強レベルの人員を持つ国の反乱か?……そうしたらこちらも被害は少なくないぞ……)

「前方の海に何かあるぞ!……なんだ?船にしたら大き過ぎないか?」

 

仲間の1人が指をさす。

目で追うと灰色の何かが浮いていた。

 

「ロウリアの奴ら、バカなのか?あんな巨大な船でもミリシアルやムーレベルの速度が出なければでかい的だぞ」

「なんにしろ沈めたら昇進とかあるんじゃないか?」

「本当か!それなら一番槍は俺がもらう!」

「あ!待て!俺が先だ!」

 

われ先にと次々とワイバーンロードが急降下する。

レクマイアも最後に続いた。

 

「よし!攻撃開始だ!」

 

竜騎士団長が声を張った。

 

 

 

 

『あきづき』CIC

 

「レーダー反応あり!ワイバーンから火球と思われる物が発射されました!数20!距離14マイル!」

「CICから艦橋へ、最大戦速!取り舵一杯!」

『了解!最大戦速!取り舵一杯!』

 

艦の速度が上がり急に曲がったことにより少し傾く。

艦にめがけて飛んでいた火球は白い波が立つ『あきづき』航路に落ちた。

 

「回避成功しました!」

「よくやった!やられたからやり返すぞ!目標、ワイバーン。ESSM 1番から20番発射用意!」

「了解!ESSM 1番から20番発射用意!目標、ワイバーン」

「用意よし!」

 

「撃てぇ!」

 

Mk.41 VLSのハッチが開き、轟音と共にESSMが飛び出す。

マッハ3に達したESSMは竜騎士団に突っ込んでいった。

 

 

 

「なんだあの機動力!蛮族には作れないだろ!」

「旗も違う!おそらく別の国の船だ!」

「もしかしたら列強の保護国かもしれないぞ!」

 

竜騎士団は『あきづき』が火炎弾を回避したことにより色々な憶測が飛び交っていた。

団長はすぐに攻撃を中止しようとしたが、すでに遅かった。

 

「列強の保護国ならまずい!全騎攻撃中止!」

「団長!何かが突っ込んで……うわぁ!」

「撤退!全騎撤退!」

 

すぐにワイバーンロードが散開するがSARHによって誘導されたESSMの前では意味を持たなかった。

上空に黒い花が咲いていく。

 

「クソッ!誘導魔光弾ではないか!魔帝が復活したのか!?」

 

レクマイアは散ってゆく仲間達と共にESSMから逃げていた。

しかし味方がいない事から次は自分だと気づいた。

そして彼はある行動に出た。

 

「死んでたまるか!」

 

ワイバーンロードの背中から飛び降りたのだ。

すぐにレクマイアが乗っていたワイバーンロードも爆散する。

 

レクマイアの目には急速に迫り来る海が映っていた。

 

 

 

 

「どういうことだ?なぜワイバーンロードとの通信が途切れる!蛮族如きじゃ落とせないはずだぞ!」

「理由は不明ですが、通信の中で『列強の保護国』が入っていました。おそらく誤射してしまい撃墜されたのかと……」

 

通信士の報告を聞いたポクトアールは顔面蒼白になる。

 

「……ま、まずい。ワイバーンロードを撃墜出来るとしたらミリシアルかムーかエモールしかいない!……直ちに全隻は本国に戻れ!」

「りょ、了解!直ちに引き返します!」

 

 

 

「な、なんだ?引き返して行ったぞ?」

「そんなに先程のワイバーンは主力だったのでしょうか?」

 

『あきづき』のCICでも多少の戸惑いが起きていた。

 

「……まぁ、帆船と戦闘を行わなかっただけマシか」

「艦長。『アルザス』が到着しました」

 

モニターに後方から来た『アルザス』が映し出される。

 

「もうちょっと早く来て欲しかったが、まぁいいか」

 

 

 

パリ・エリゼ宮

 

「……では、『パーパルディア皇国』に対する外交団護衛艦隊の編成はこれで行こう」

「外交団もロシュフォールをリーダーでいいだろう。彼よりベテランの外交官はいないしな」

 

2人の外務省職員が廊下で資料を持ちながら歩いていた。

 

「そういえば、海外艦隊所属の『あきづき』がパーパルディアと思われるワイバーンと交戦したらしい」

「……それって大丈夫なのかよ!?本当にロウリア外交の二の舞になるぞ!」

「そうならないために俺たちが出来る限りの事をするんだよ」

 

そんな話をしながら大統領執務室に入っていく。

執務室の中ではシュヴァリエが机に突っ伏していた。

 

「大統領、次は何の書類にやられたんですか?」

「……軍の予算案だよ。……とくに海軍の新型艦の建造費」

「……それは大変ですね。あ、これ、外交団派遣案です。確認をお願いします」

 

2人は書類をシュヴァリエの机に置き、執務室を去っていく。

 

「また厄介ごとにならないと良いんだが……」

 

シュヴァリエの弱々しい呟きにそばにいた大統領補佐官は苦笑いした。

 

 

 

 

 

 





ここまで呼んでくださり、ありがとうございます。

ついにフランスはパ皇と接触しました。
果たしてパ皇はどんな対応をするのか……お楽しみに。

設定集も非常にゆっくりですが追加しています。
見る場合はネタバレに注意してください。

感想、評価、お気に入り登録などよろしくお願いします。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。