トリコロールの旗を掲げて   作:理由もなく歩く人

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10. 所属不明

 

パーパルディア皇国・皇都エストシラント沖

 

S 635 シュフラン

 

「スクリュー音探知!距離15マイル!潜水艦です!」

「潜水艦!?パーパルディアって中世レベルの文明はずだろ!?」

「おそらくこの世界の他の列強でしょう。外務省からの連絡では列強国同士でも技術に差があるらしいですから」

 

艦長はスクリュー音を確認すると、眉を顰めた。

 

「……音が大きすぎじゃないか?」

「そうなんです。条件が揃ってればかなりの距離でも拾えますよ」

「WW2レベルの潜水艦か?」

「多分そうでしょうね。まだこちらに気づいていませんし」

 

正体不明の潜水艦が出現したことにより、艦長たちはどのような対応をするかどうか迷っていた。

しかし、その迷いは要らなくなる。

 

 

「注水音探知!所属不明潜水艦、魚雷発射準備体制に入りました!」

「艦隊への攻撃が目的か!?ならこっちもだ。魚雷戦用意!発射管、1番、2番注水!」

「注水完了。発射準備…「敵潜水艦、魚雷撃ちました!」…なんだって!?」

「しまった!」

 

 

 

 

 

 

ーーシュフランがスクリュー音を探知する数分前

 

グラ・バルカス帝国海軍第2潜水艦隊所属シータス級潜水艦『ブラックムーン』

 

 

「あれがロウリアを制圧したって言うフランスの艦隊か」

「空母が特に大きいですが周りの艦も重巡クラスですね」

 

発令所でシュノーケルを除きながら艦長と副長が会話をしていた。

 

「近くに護衛の潜水艦とかいるか?」

「いえ、何も聞こえないのでいないでしょう」

 

ソナー員からの報告で艦長は腕を組む。

 

「何も警戒していなさそうだな……。潜水艦はフランスがいた世界には存在しなかったのか?」

「その可能性が高いでしょう。……沈めますか?」

「そうだな。出来る限り相手の戦力を減らそう。狙うのは真ん中の空母だ。魚雷戦用意。発射管1番から4番を使うぞ」

「無誘導魚雷を使いますか?」

 

副長からの提案に艦長は頷く。

 

「音響魚雷が勿体無いから使うか」

「了解。……注水完了。発射用意よし!」

「気づかないまま沈むなんて可哀想だ。……撃て」

 

 

 

 

 

 

 

シャルル・ド・ゴール CIC

 

 

「魚雷です!右舷方向、距離19マイル!4発来ます!」

 

ソナー員からの報告にCICは緊迫した空気が漂う。

艦長のジャグワーはすぐさま判断を下す。

 

「最大戦速!デコイ発射用意!」

「敵魚雷、進路変えません!無誘導魚雷です!」

「本当か!ならそのままこの海域を離脱する。シュフランには敵の潜水艦を沈めるように言ってくれ」

 

 

 

「シャルル・ド・ゴールより連絡、『敵潜水艦を撃沈せよ』との事です」

「わかった。発射管1番、2番、攻撃開始」

 

シュフランから発射された533mm F21魚雷は海中で滑らかに進んでいった。

 

「着弾まで15分です」

「……遠いな」

 

 

 

 

 

 

「フランス艦隊、速度上げました!」

「なにっ!?気づかれたか!」

「……単純にフランス艦隊の巡航速度が速いだけかもしれませんね。……魚雷、無駄になりましたね」

「速度を上げるまで待てばよかったか……」

 

4本の魚雷が無駄になった事で艦長は軽く気を落とす。

その後、そんなことを考えなくても良くなると知らずに。

 

 

 

 

 

 

 

フランス・ブレスト 大西洋海軍管区司令部(CECLANT)

 

「え?所属不明の潜水艦を撃沈した?」

 

モロー大将は部下からの報告に目を丸くする。

 

「はい、パーパルディアから帰還中の『シュフラン』が確認しました。所属不明潜水艦はシャルル・ド・ゴールに向けて魚雷攻撃を行ったため、撃沈しました」

「被害は?」

「魚雷が無誘導だったため被害はありません」

 

被害がない、と聞き、安堵するモローだが、すぐに表情を変える。

 

「どこの所属か調べたいが、場所がパーパルディア近海だからなぁ……まだどこの国かわからないよね」

「はい。おそらく他の列強と思われますが……パーパルディアよりも遥かに発展している国でしょう」

「ん?待てよ……。相手はデコイを使わなかった?」

「使っていませんね。報告書によると、性能はWW2の潜水艦と同レベルだそうです」

「じゃあ別にそこまで注意しなくて良いか」

 

そこで部下が気づいたように言う。

 

「あれ…?でも潜水艦がWW2の性能であれば、戦艦がある可能性が高いです」

「戦艦か……。それは敵になるとかなり厄介だな。すぐに統合参謀本部に報告しよう」

「了解!」

 

 

 

 

 

パリ・エリゼ宮

 

「……で、失敗と言うわけか……」

「はい。私の勘ではロウリア外交の二の舞になる可能性が高いかと」

「ロシュフォール君!微笑みながら話す内容ではない!」

 

ヴィクトルに注意され、ロシュフォールは感情を無にする。

 

「大統領、ムーと言う国は確認していますか?」

「ムー?何だその伝説上の大陸みたいな名前?」

「私たちがパーパルディアの外交官を会談を行う際、その国の属国と勘違いされたんですよ」

 

勘違い、と言う言葉にヴィクトルは反応する。

 

「どういう基準で?」

「艦の形状が似ているとか」

「それなら地球のすべての国が当てはまるだろ」

 

ヴィクトルは判断基準に呆れる。

ロシュフォールも苦笑いを浮かべた。

 

「……とりあえず、衛星が打ち上がるまで戦争は避けたい。できればこのふざけた条約もなくしてきてくれ」

「引き延ばしは簡単ですが、条約無効は無理ですね」

「嘘だろ……」

 

 

 

 

軍事省・統合参謀本部

 

「所属不明潜水艦を撃沈か………面倒な事が一つ増えたな」

 

ド・ヴィル統合参謀本部長が呟く。

 

「まぁ、とりあえず置いておこう。本題は軍拡だ。各軍、現在の状況を報告しろ」

 

陸軍のルフェーブル大将が報告を始める。

 

「陸軍では現在、予備役の総動員を行い、緊急で1個師団を編成しました。練度などは他の師団には劣りますが、訓練回数を増やし、どうにかパールパディア戦までには間に合うようにします。また、新型戦車ルクレールMGCSの開発、テストが完了したため、製造数を増やしています」

「新設師団はパーパルディア戦で投入するのか?」

「いえ、第1、第3機甲師団を主力として一部の部隊を投入する予定です」

「わかった。海軍は?」

 

モロー大将が発言する。

 

「海軍は新型艦である『ダンケルク級巡洋艦』を建造中です。急ピッチで進んでいますが、最低でも一ヶ月は必要です。シャルル・ド・ゴール級の2番艦は間に合わない為、引き続き空母は『カール・ヴィンソン』『かが』を含めた三隻で運用していきます」

「『ダンケルク級』の建造は急がせてくれ。航空宇宙軍は?」

 

最後にデュラン大将が報告した。

 

「空軍はロウリア戦でラファールが多数のワイバーン相手に数で押されかけた為、米軍と海上自衛隊のF-35をフランス仕様に改造したF-35F Sentinelleを製造し、配備を進めています」

第六世代戦闘機(FCAS)の開発は?」

「進んではいますが、少なくとも1年以上はかかるかと……」

 

各軍の報告が終わるとデュランはプロジェクターである物を映し出した。

 

「……これは?」

「先日、MQ-9 リーパーがとらえた戦艦です。おそらく形から見て、二次大戦で大日本帝国海軍が運用していた大和型戦艦に酷似しています。運用国は不明ですが、海軍が撃沈した潜水艦もこの国でしょう」

「大和型戦艦……」

 

会議室の中でざわめきが広がる。

ド・ヴィルが手を上げて静まらせるとデュランは報告を続ける。

 

「技術力から見て、この世界にある5大列強でもトップか上位に存在する国でしょう」

「理論上なら対艦ミサイルは通用するが、この世界には“魔法”が存在する。無効化、威力低下などされたらたまったもんじゃない」

 

「我々も戦艦を建造するか……?」

 「そうしたら就役は何年後になるんだ?」

「そもそも過去の遺物を作る必要があるのか?」

 

「諸君、落ち着きたまえ」

 

再びド・ヴィルが手を上げる。

 

「戦艦を建造するにしても計画は後だ。今は対パーパルディアの会議中だ。………それにしても

ーー何だこのふざけた条約は?

 

 

 

 

 

 

 





読んでくださりありがとうございます。


色々な新装備が登場しましたが、性能などは設定をご覧ください。

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