小説を描く時間が欲しい……。
初めて活動報告を書きました。
部屋は狭く、白い蛍光灯が硬い影を床に落としていた。
中央に据えられた金属椅子に、ハーク・ロウリア34世は手錠をかけられたまま座っている。
扉が静かに開いた。
ゆっくりと入ってきたのは、グレーのスーツに身を包んだ一人の男。
フランス共和国大統領、ヴィクトル・シュヴァリエ。
その笑みは柔らかいが、瞳は氷のように澄んでいた。
「やあ、初めましてだね。ハーク・ロウリア34世」
ハークは睨みつけた。
その眼の奥は、敗者としての屈辱よりも、王としての誇りがまだ燃えている。
「……貴様が、この国の王か」
「残念ながらフランスに“王”はいない。共和国だからね」
シュヴァリエは軽く肩をすくめ、対面に座った。
「だが、あなたにとっては充分“征服者”に見えるのかな?」
ハークは唸るように言った。
「蛮族の分際で……ロウリア王国に刃向かうとは。貴様らは、我らが文明の前に跪く運命であったのだ」
シュヴァリエは少しだけ微笑んだ。
その笑みは、王の誇りを静かに撫でるようでいて、同時に容赦なく切り裂く。
「文明……?」
彼はゆっくりとハークを見据えた。
「魔法もなく、鉄砲も大砲も持たず、国民に重税を課していた国が?」
ハークの眉が跳ね上がる。
「我が民の統治に口を挟むな!貴様らの価値観で世界を語るな!」
「語らないよ。だが――人を鎖に繋いで国家が成り立つ時代は、もうどこにも存在しない」
口調は淡々としていたが、その静けさが余計に胸に刺さる。
ハークは、噛みつくように怒鳴った。
「ならば、なぜだ!なぜ我が王国を滅ぼした!?貴様らに何の怨恨がある!」
シュヴァリエは目を伏せるでもなく、ただ真っ直ぐに答えた。
「国民を守るためだ」
ハークは呆気に取られたように目を見開く。
「ロウリアが“敵国”である以上、我々は――
脅威を排除する以外に選択肢がなかった。」
「脅威だと……?我々は貴様らの土地を侵した覚えはない!」
「攻める気があるかどうかではない。攻められる能力があるかどうかだ。そして、あなた方はその意志を公言していた。」
ハークは唇を噛んだ。
戦でも政治でも、勝者が“正義”を語るのは我慢ならない。
だがこの男の言葉には、嘘の響きがなかった。
沈黙ののち、ハークが静かに問う。
「……我が国は、これからどうなる?」
シュヴァリエの声は揺るぎなかった。
「我々が管理する。君主制は廃止し、重税は完全に撤廃する。教育制度を整え、産業を再建し、国民を守る法をつくる。」
「それは……占領ではないのか」
「占領だよ。だが、“ロウリアの民を殺さないための占領”だ。」
ハークはその言葉に、ひどく複雑な表情を浮かべた。
敗者としての屈辱。
王としての責務の喪失。
だがそれでも――民の未来が地獄ではないと知ったとき、胸の奥が微かに揺れた。
「……私は、処刑されるのか?」
シュヴァリエは首を横に振った。
「君は裁かれるだろう。だが、民主主義国家の裁きは“儀式としての死”を望まない」
そしてシュヴァリエは立ち上がり、最後にひとつだけ言葉を落とした。
「……ハーク王。あなたの王国は終わった。だが、あなたの民の未来はこれから始まる。」
扉が閉まり、重い鍵の音が響く。
残されたハークは、椅子の背にもたれ、静かに目を閉じた。
その胸の奥に残ったのは――
敗北の痛みか、それとも初めて知らされた“未来”という言葉の重みか。
彼自身にも、まだ分からなかった。
フェン王国・近海
フランス海軍軍祭派遣艦隊
・R 91 シャルル・ド・ゴール
・フォルバン級 D 620 フォルバン
・アキテーヌ級 D 652 プロヴァンス、D 656 アルザス
・補給艦 A725 ジャック・シュヴァリエ
・シュフラン級 S 636 デュゲイ・トルーアン
シャルル・ド・ゴール 甲板
「中世ヨーロッパの次は日本の戦国時代……この世界は面白い」
海風を浴びながらロシュフォールは呟く。
不意に後ろから声が届いた。
「フェン王国はとても礼儀正しい国でしたよ」
振り返ると、海風に揺られる薄茶色の髪を押さえながらエステルが来ていた。
ロシュフォールは彼女を見ると微笑みながら話した。
「久しぶりだね、エステル。フェン王国との初外交は素晴らしい成果だったね」
「お褒めの言葉、ありがとうございます。これも全部ロシュフォールさんの指導のおかげですよ」
「……ふふっ、良い後輩を持ったものだ」
エステルの言葉にロシュフォールは笑顔で答える。
やがて、話は外交関係になっていく。
「フェン王国は艦艇の派遣を望んでいましたが、……単なる軍祭への招待じゃありませんよね」
「私もそう思っているよ。国交も結んでいないのに派遣要請なんておかしいからね」
「……でしたら、フェン王国は何を考えているのでしょうか……?」
エステルの疑問にロシュフォールは軽く考える。
「航空宇宙軍からの報告だと、最近フェン王国周辺でのパーパルディア帆船の活動が活発になっているらしい」
「……フェン王国への侵略準備でしょうか?」
「多分そうだろうね。ここから考えられるフェンの考えは二つ。一つはわが国の艦艇を使い、パーパルディアの侵略を躊躇わせる事。もう一つは………わが国を巻き込む事だ」
ロシュフォールの考えにエステルは目を大きく開けて驚く。
「我々を巻き込むつもりなんですか!?」
「エステル、落ち着いて。これは最悪の場合のシナリオだよ。流石にそこまではしないと思うけどね」
「ですが……、安心できません」
「その気持ちは私も同じだよ。だから私たちがいるんだ。
ーー私たちの活躍を期待している国民を守るためにね」
「あれが、フランスの戦船か……大きいな」
「私もパーパルディアやムーに行ったことがありますが、あそこまで大きい船は見たことありません」
騎士長マグレブが同意する。
彼らの視線の先にはフランス艦艇、さらに先には廃船が4隻、標的船として浮かんでいた。
「時間です。もう少しで攻撃が始まります」
「では、見してもらおう。……フランスの実力を」
やがて艦艇から煙が上がり、砲撃音と共に廃船が爆発する。
数十秒で海には廃船の残骸しか残っていなかった。
「凄まじいな……すぐに国交を結びたい。安全保障条約を取り付けて、戦船を派遣してもらいたいな」
シハンは満足そうに頷くと、
「すぐにフランスの使者を呼んでくれ」
と宣言した。
シャルル・ド・ゴール CIC
「レーダー反応あり!距離、36マイル。速度350、数40!」
「……この速度だと『あきづき』が撃ち落としたワイバーンか?」
「そうだと考えられます」
「わかった。第17F海軍航空隊、発艦準備!」
第17F海軍航空隊所属のラファールのパイロットのギョーム大尉は、コックピットの中で静かに計器盤の緑色の光を見つめている。
誘導員の黄色のベストが、強烈なストロボ光のように機体の前に現れた。
ギョームはスロットルを操作し、機体をカタパルト・レールへ移動させる。
精密な動きで、前輪に備えられた発艦バーが、レールの溝を走るシャトルにカチリと接続された。
その直後、機体後部のホールドバックが固定され、鋼鉄のワイヤーが機体を甲板に縛り付ける。
カタパルトが屈み込み、蒸気圧の調整を指示する。機体の重量と風速、そして目指すエンドスピードに応じた計算を行う。
後方で、油圧駆動のジェットブラストディフレクターが音を立てて垂直に立ち上がる。
ギョームは最終チェックを完了し、シューターに視線を送った。
「推力設定、完了」
彼はスロットルを最大前進位置へ押し込む。二基のエンジンが轟音を上げ、アフターバーナーが点火される。
甲板全体が震え、機体が振動で暴れる。
ホールドバックが機体を固定するリンクの限界を超えた張力に耐えている。
ギョームは力を込め、キャノピー越しにシューターを見つめた。
シューターが飛行甲板に深くしゃがみ込む。
彼は左手で発艦許可を示すサインを送り、ギョームから親指を立てた返答が返ってくるのを待つ。
「発艦用意良し」
シューターは立ち上がり、周囲を指差しで確認した後、一瞬の静寂を破るように、身体を低くして右手をカタパルト・オペレーターの小窓に向け、力強く指し示す。
「
その瞬間、足元の鋼鉄のシリンダーに高圧の蒸気が叩きつけられた。
蒸気の爆発的な力に、ホールドバックのリンクが設定通りに「パチン!」と鋭い音を立てて破断する。
機体は僅か2.5秒で時速250km以上へと急加速する。
「よし、行くぞ」
ラファールMは甲板を雷鳴のように駆け抜け、カタパルトの終端で、前脚が蓄積した力を解放する「ジャンプ・ストラット」が作動。機体をわずかに跳ね上げ、揚力を補助する。
機体は甲板の端を離れ、轟音と蒸気の尾を引きながら、瞬時に大空に舞い上がった。
読んでくださりありがとうございます。
いや〜空母の発艦シーンって難しいですね。
結構苦戦しました。
更新速度については出来る限り早く投稿できるように頑張りますのでよろしくお願いします。
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