トリコロールの旗を掲げて   作:理由もなく歩く人

21 / 26
投稿が2週間以上遅れてしまい、申し訳ありません。

話変わりますが、朝に布団が私を離してくれないんですよ。
ずっとこもっていたい……





19. クーズ王国沖海戦 前編

フランス南西部

コニャック=シャトールナル空軍基地

 

第33偵察・情報航空団司令部

 

 

地上管制ステーション(Ground Control Station)でMQ-9 リーパーのオペレーターは偵察の一環で第三文明圏西側の海域を偵察していると、前方に幾つかの点を見つけた。

 

「……ん?なんだあれ……?」

 

気になってオペレーターはもう少し近づき、MQ-9に搭載されているカメラで拡大してみる。

 

「なんだよ……これ……」

 

そこには第二次世界大戦時の艦艇群が映っていた。

 

「ちゅ、中佐!これ、これを見てください!」

「お、何か見つけたか?」

 

オペレーターは偶然通りかかった副司令の中佐を呼ぶ。

興味津々に画面を覗き込んだ中佐だったが、その姿が一瞬固まった。

 

「………これ、どこの海域だ?」

「フィ、フィルアデス大陸の西側です……」

「燃料は足りるか?司令を呼んでくる」

 

走ってその場を離れて行った中佐がその数分後、司令官を連れて戻ってきた。

司令官もモニターを覗き込み、驚愕の表情をする。

 

「周辺に他の艦艇も確認したか?こいつらの予想進路は?」

「さっき、別のリーパーを呼び、周囲を確認しましたが他にはいません。予想進路はどの航路を見ても、……エストシラント沖です」

「他国軍の介入か……」

 

面倒なことになったぞ、と司令官が呟く。

二十隻の艦艇群が何をしに来たのかは詳しくわからないが、フランスにとって好ましくない行動をするのは明らかだった。

 

「その艦艇群を写真に撮れ。直ちにヘキサゴンに報告する」

 

司令官はそう言い、その場を離れていく。

その間にも、この艦艇群は近づいてきていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

フランス・パリ 15区

 

中央の中庭を囲むように作られた六角形の建物がそこにあった。

アメリカ国防総省の庁舎『ペンタゴン』を真似て作られたフランス軍事省の複合施設。

通称『ヘキサゴン・バラール』

フランス版ペンタゴンとも呼ばれるこの場所は、謎の艦隊の接近により、混乱が起きていた。

 

「所属不明の艦隊がパーパルディアに向かっているだと!?」

 

海軍参謀本部長のモローは新型原子力空母の建造状況の確認をしていたが、部下からの突然の報告に資料を落とす。

 

「艦艇数は20、中には空母も確認できます!」

 

部下は机の上に写真を置く。

艦隊の中には、第二次大戦時の重巡洋艦などが含まれていた。

 

「マズいぞ……。先程、『シャルル・ド・ゴール』が第4航空団と合流したと連絡が入ったばかりだ。核を乗せた空母を戦闘に巻き込むわけにもいかない……」

「すでに民間人の7割は避難完了です。残りは従わない奴らだけです。………攻撃を前倒しにしてもいいのでは?他国の大使館員も保護は完了しています」

「……仕方がない」

 

モローは立ち上がるとある場所へ向かう。

 

「統合参謀本部に連絡して核攻撃の前倒しを要請する」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「統合参謀本部長。海軍が核攻撃の前倒しを希望しています。航空宇宙軍も賛成しているようです」

「例の艦隊の接近か……」

 

ド・ウィルは腕を組んで悩みこむ。

周りの司令部員たちもその様子を静かに見ていた。

 

「………大統領はなんと?」

「大統領ですが……その……「僕は賛成だよ」……っ!」

「だ、大統領!?」

 

いきなり部屋に入ってきたシュヴァリエにド・ウィルは思わず声を上げる。

シュヴァリエは中央の机にある紙を置いた。

 

「核攻撃の前倒しを許可する!?」

「海軍からお願いされてね。もうパーパルディア以外の国籍を持つ人は保護したんだから、撃っても大丈夫でしょ」

「ほ、本当によろしいのですか……?」

「もう後悔はしないって決めたんだ」

 

シュヴァリエは真っ直ぐ見つめる。

その目を見たド・ウィルは諦めたような表情をした。

 

「………全員、核攻撃の準備だ」

 

その一言と共にその場の空気が変わった。

 

「了解!全軍に連絡!警戒レベルを最大まで引き上げろ!」

「戦略空軍に連絡。直ちに攻撃準備体制に移れ」

「RAMSESを使用。展開中の『ル・トリオンファン』にSLBM発射命令」

「大統領を直ちにPC ジュピター(核作戦指揮所)へ!」

 

同行する軍事補助官が携行する「核のカバン」を開け、中の機械にシュヴァリエが自分だけが知る個人コードを打ち込む。

 

「コード入力完了。二重キー・システムの承認を確認。………核攻撃準備、完了しました!」

「第4航空団、『ル・トリオンファン』へ発射コード送信完了!」

 

 

「パーパルディア皇国に対する核攻撃を、許可する」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『大統領の承認を確認。攻撃を許可する』

「了解。システム問題なし、発射する」

 

戦略空軍第4航空団『ガスコーニュ』のラファールF3-Rのパイロットが発射ボタンを強く押す。

右翼から空中発射核巡航ミサイル『ASMP-A』が発射された。

 

「発射完了。着弾予想時刻、10分後」

 

 

 

 

 

「艦長、大統領より、SLBMの発射許可が出されました」

「了解。発射コードを」

 

近くの通信士官がコードなどが書かれた紙を渡す。

艦長は慎重に読み上げた。

 

「攻撃目標、パーパルディア皇国工業都市デュロ。グリッド・コード エコー シエラ 1-9-6-0-2-1-3」

「M51に入力完了」

「発射コード60413。……副長、キーを」

 

艦長と副長が別々の金庫から発射キーを取り出す。

 

「3、2、1、回せ」

 

同時に差し込んだキーを回す。

カバーが外れた発射ボタンを艦長は強く押した。

 

「発射」

 

重低音が響き、艦全体が少し傾く。

発射されたM51は海面を飛び出すと、ロケットエンジンが点火し、とてつもない速度で空に舞い上がる。

そのまま軽く宇宙空間に出ると、デュロにしっかりと狙いを定め、音速の25倍で降下した。

 

 

 

 

 

 

デュロ防衛隊陸軍基地

 

「急げ!エストシラントが攻撃を受けている!」

「ワイバーンは直ちに急行しろ!リントヴルムはこっちだ!」

「クソッ!どこのどいつだ!奇襲してきた奴らは!」

 

皇国兵の1人が近くの木箱を殴る。

慌てて同僚が止めに入った。

 

「落ち着けって、な?しっかりとやられた分を返してやろうじゃないか!」

「……そうだな」

「ほら、見ろ!雲一つない青空……ん?なんだ?あれ」

 

 

 

M51は搭載していた6つのTN75を高高度で切り放つ。

デュロの中心付近で空中爆発したTN75は太陽の表面温度を超える巨大な火の玉を作り出し、半径500mを蒸発、気化させた。

さらに8km以内の人や建物を吹き飛ばし、それより離れた場所も爆風が甚大な被害を巻き起こす。

 

あああぁぁぁっ!熱い!痛えよぉ!ああぁぁ……」

 

先程まで快晴だったデュロの空は黒い6個のキノコ雲が支配していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「皇帝陛下の行方がわからないだと!?」

 

フランス軍が撤退した後のパラディス城に甲高い声が響く。

まだ瓦礫や血などは掃除されていないが、死体だけは片付けられていた。

 

「まさか蛮族に連れ去られたとかじゃないよなぁ!アルデ!なんとか言ってみろ!」

「……ま、誠に申し上げにくいですが、おそらくその可能性が高いと……」

「黙れ!おのれぇ、フランスめぇっ!」

「た、直ちに軍を派遣し、フランスを滅ぼして参ります!」

 

レミールの怒号に耐えられなくなったアルデがそそくさと逃げていく。

怒りが収まらない彼女は適当にそこらへんの石を蹴り飛ばしている。

 

「……こうなったら、フランスに殲滅戦を行なってやる……!」

「レ、レミール様、とりあえず戻りましょう」

「……そうだな。戻ったらすg」

 

 

 

戦略空軍第4航空団のラファールが放ったASMP-Aはマッハ3でパラディス城に着弾した。

デュロに落ちたTN75の3倍の威力を持つTN81核弾頭が起爆する。

 

 

レミールを含めた半径3kmが更地になる。

先程レミールから逃げたアルデも言葉を発することなく蒸発する。

爆心地から半径10kmに展開していた皇国兵たちも重度の火傷を負い、次々と倒れていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

核爆発の様子は、洋上の艦隊からも確認できた。

 

「予定よりも大幅に早く着きましたね……」

「現地のスパイの報告だとパーパルディアとフランスが戦闘を行なっているらしい。……フランスが圧倒的に優勢だってよ」

 

重巡洋艦ヒアダムの艦橋で司令官は艦長と会話する。

 

「フランスの兵器がさらにわかりますね。一応、常時録画は行っています」

「そうか。では、もう少し進もう」

 

その時、閃光が辺りを埋め尽くした。

 

「眩しっ!…今のはなんだ!フランスの新兵器か!?」

「………司令官。あれを……」

 

かなり早く目が回復した艦長が唖然とした顔で指を指す。

遅れて見た司令官も呆然とキノコ雲を見ていた。

程なくして爆風が艦隊を襲う。

 

「うわぁ!なんだこの突風は!」

「被害!被害を確認しろ!」

「あれが……フランスの兵器か……」

 

距離が離れていてこの威力なら中央地やその周辺は何も残っていない。

全員が同じことを思った。

 

「録画は撮れているな?駆逐艦一隻にフィルムを渡し、本国に届けさせろ!フランスはとんでもない破壊兵器を持っているぞ!」

「す、すぐに渡します!そ、それよりも司令官!今からあんな兵器を持った奴らと戦うとか言いませんよね!?上層部は何を考えているんですか!?絶対に勝てませんよ!?写真で見た巨大空母を見る前に我々が消し飛びますよ!?」

「か、艦長、落ち着け……。我々の任務は捜索だ。接触しても攻撃しなければ大丈夫だ」

 

パニックになる艦長を必死に落ち着かせようとする司令官。

そこに嫌な情報が入ってきた。

 

「て、偵察機がフランスと思われる艦隊を確認しました!」

「ほらぁ!司令官!直ちに撤退しましょう!」

「射程に入ったら攻撃しろ」

「司令官!?何を考えているのですか!?」

 

艦長がズカズカと詰め寄る。

司令官はそれを落ち着かせるように言った。

 

「大丈夫だ。あれほどの威力なら近くの味方まで被害が出る。そう簡単には使えまい。それに、主砲の口径もこちらの方が大きい。あっちの豆鉄砲では重巡の装甲は貫けない」

「た、確かにそうですが……」

 

艦長が納得しかけると司令官は命令した。

 

「全艦戦闘配置。敵が射程に入ったら一斉射撃だ」

「りょ、了解!」

 

 

後の歴史書に移転国家同士の初の戦闘として記された『クーズ王国沖海戦』はこの十数分後に行われる、グラ・バルカス帝国側の攻撃から始まった。

 

 

「フランス艦隊、射程に入りました!」

「撃て!」

 

 

 

 

 

 




読んでくださり、ありがとうございます。


サブタイトルに“海戦”って入っているのに大半が核……。
次回はしっかりと海戦を行います(多分……)

そういえば、設定集に艦隊編成などを追加したので今後のフランス海軍が気になる方はぜひご覧ください。
他にも追加している物もありますので。


感想、評価、お気に入り登録よろしくお願いします。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。