トリコロールの旗を掲げて   作:理由もなく歩く人

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21. Effondrement de I'empire

 

 

 

 

 

 

 

展開中の全部隊へ、聖都パールネウス及びアルーニの部隊が反乱を起こした。奴らを逆賊と認定する。接触し次第、射殺せよ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「パールネウスの部隊が反乱……?」

「司令官。もうすぐ出発できます」

 

とある農村ではいくつかの陸戦隊が補給のために立ち寄っていた。

魔信からは繰り返し反乱軍についての詳細が流れている。

 

「……待て、パールネウスはすぐそこだぞ!?」

「でしたら鎮圧しに行きますか?」

 

部下が提案するが、司令官は深く考える。

パールネウスには三大陸軍基地の一つである、聖都防衛軍基地が存在する。

規模は周辺都市に比べて圧倒的に多く、聖都とされる都市を防衛するだけあって練度は一般兵より遥かに高い。

下手したら皇都防衛軍よりも強い相手に普通の陸戦隊が敵うわけない。

 

「……司令官!リントヴルムです!」

「どこの部隊だ!?」

「あれは………パールネウス防衛軍です!」

「しまった!」

 

すぐに銃声が響いた。

パールネウス防衛軍は普通の皇国兵とは一線を画す動きで前線を押し上げて行く。

 

「対マスケット用鎧だ!パールネウスの奴ら、皇都と同じ装備だぞ!」

「リントヴルムの半数がやられました!練度が桁違いです!」

 

戦闘を行う兵士から苦戦の報告が相次ぐ。

命令を出そうと司令官が動くが、突然大きな影が地面に現れた。 

 

「………ん?なんだこれは………ワ、ワイバーンオーバーロードだ!総員退却しろ!」

「了解!撤退、撤退だ!下が……熱っ!あぁぁぁっ!」

 

逃げるのが遅れた通信士が焼かれる。

竜騎士団の参戦により、農村の入り口にある防衛線は一瞬で崩壊し、陸戦隊に所属する兵士は次々と降伏し始めた。

 

 

「こちら第706陸戦隊!パールネウス反乱軍と交戦、戦闘続行不能!撤退………うがっ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『……おい。あそこにいるのはどこの部隊だ?――パンッ!――うわっ!撃ってきたぞ!?』

『そちらはどこの竜騎士団だ?所属を――「ぎゃぁぁっ!…」……一騎やられた!?クソッ!反乱軍だ!反乱軍と接敵し……』

『こちらドーリア防衛隊!パールネウスの奴らが攻めてきた!……なんなんだよ、アイツら!練度が全く違うぞ!…………ワイバーンオーバーロードだ!逃げろぉ!………』

 

「ドーリア防衛隊との魔信が途絶えました!ドーリア陥落!」

「デュロの残存部隊がアルーニの反乱軍に包囲されました!」

 

核攻撃により壊滅的被害を受けた皇都エストシラント。

その郊外にある小規模な陸軍基地が現在のパーパルディア皇国軍の司令部だ。

首脳陣や軍の上層部も死亡したので、臨時でその基地の司令官が現在の皇国軍のトップになった。

 

そして数時間前、追い討ちをかけるようにパールネウスとアルーニの防衛軍が離反した。

どちらも聖都、絶対防衛線を担当する部隊のため、練度や装備の質がかなり高く、すでに二つほどの都市が陥落してしまっている。

 

「いくつかの属領で反乱が相次いでいます!兵の数が足りません!」

「フェンの属領統治軍を呼び戻せ!監察軍もだ!」

「グース、マルタの属領統治軍との連絡途絶!」

「第2艦隊が離反しました!」

 

第2艦隊離反の報告に司令官は動きを止める。

デュロを母港とする第2艦隊は艦艇数150を超える海軍の主力の一つだ。

竜母艦隊がフランス軍により壊滅した際に撤退を支援しており、エストシラント壊滅後には軍港沖に展開していた艦隊である。

つまり、反乱軍がすぐそこまで来てしまったと言うことになる。

 

「ワイバーンロードです!数え切れません!」

「なんとしてでもここを守り抜け!」

「りょ、了解しまし……うわぁっ!」

 

火炎弾の直撃により壁が一部崩れる。

そこから見えた外の景色は地獄としか言えなかった。

 

「撃ち続けろ!なんでもいいからワイバーンを落とせ!」

「チクショォ!落ちろよぉ!」

「嫌だぁぁっ!熱い!熱いよぉ!あぁぁ………」

「た、退却だぁ!退却!司令部に戻れぇ!」

 

あちらこちらに焼死体が転がっており、ワイバーンに向けて銃を撃っていた兵士が炎の中で力尽きていく。

 

「全員!銃を持て!」

 

司令官が手にしたマスケット銃を構える。

最後に見たのは、口元に炎を集めるワイバーンの姿だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

フランスによる核攻撃の六時間後、カイオス率いる反乱軍がエストシラントを完全掌握。

三時間後、政府軍は反乱軍に降伏した。

 

 

 

     中央暦1639年4月12日、第三文明圏列強パーパルディア皇国崩壊

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

神聖ミリシアル帝国・帝都ルーンポリス(眠らない魔都)

 

 

「パーパルディアが崩壊し、大使の行方がわからないだと?」

 

低く、ゆったりした口調の声が響く。

 

「ははっ!五日前、第三文明圏列強パーパルディア皇国が文明圏外国域にあるフランス共和国、と言う国に敗れました。おそらく、西に出現したグラ・バルカス帝国と同じ転移国家かもしれません」

 

外務省統括官のリアージュが資料を読み上げる。

“転移国家”と言う言葉にその場にいた全員が反応した。

 

「…………はぁ…。簡単に転移国家と思いたくないが、事実なんだろうな」

 

ミリシアル8世は額に手を置きながら、呟くように言う。

その様子を見たリアージュは、タイミングを見ると衝撃的な事を話し始めた。

 

「………パーパルディアでコア魔法が使われた可能性があります」

 

その場が静まり返った。

 

「コ、コア魔法だと!?フランスと言う国は魔帝の手下か!」

        「大使は攫われたのではないか?」

  「すぐにエモールに連絡し対応を……」

 

「まぁ、そう慌てるな。まずはそのフランスと接触するのが先であろう」

 

「ですが、その……陛下、フランスの位置が全くわからないんです」

 

リアージュは後ろに控える部下から第三文明圏全体の地図を受け取り、皇帝に見せる。

 

「これがフィルアデス大陸です。ここにパーパルディア皇国があります。開戦直後の大使館からの報告だと、フランスが上陸したのは軍港から離れたエストシラント・ビーチです」

「それなら、フランス共和国はこの先にあるロデニウス大陸から来たのではないか?」

 

国防省長官のアグラが地図が途切れている場所を指す。

他の者もその仮説に賛成するように頷く。

 

「はい。もちろん、私たちもそのように考え、ロデニウス大陸にいる職員に確認を取りましたが、フランス共和国と言う国は無い、と返ってきました」

「ならどこにいるのだ?まさか他の文明圏にいる、とか言わないよな?」

「他の文明圏に存在する、と言う確率もゼロではありませんが、私たちは一つの有力な仮説を作りました」

 

リアージュはロデニウス大陸が映る地図を取り出し、第三文明圏の地図と合わせた。

 

「仮説としては、ロデニウス大陸の奥にある、と考えています。我が国はここより奥の文明圏外の測量を行っていません。なのでロデニウス大陸を中継地点としながらパーパルディアに上陸した可能性が非常に高いです」

「――となると、そこへいくつかの艦艇を向かわせてみては?」

「ただでさえ警戒のためにグラ・バルカスに近いムーに何隻か派遣しているんだ。これ以上は我が国の防衛に関わる」

 

「フランス側から来るのを待ってみたらどうだ?」

 

突然ミリシアル8世が出した案に全員の動きが止まる。

 

「どうしたのだ?こちらから行けないのであれば、向こうから来るのを待てば良いのでは、と言っただけだぞ?」

 

「お、恐れながら皇帝陛下、向こうから来るのを待てば、下手すれば年単位になりますぞ。最悪の場合、接触しないまま終わります」

 

「そうなった場合は我々から行けばいい。それよりも………」

 

ミリシアル8世は声のトーンを下げる。

彼の前にいる者たちも姿勢を改めた。

 

「グラ・バルカスについてだ。奴らが滅ぼしたレイフォルは我が魔導艦隊を出せば簡単に吹き飛ぶが、奴らが戦艦一隻(グレードアトラスター)で滅ぼしたのも事実だ。我が国と互角である可能性も――」

 

「し、失礼します!」

 

若い外務省職員が扉を思いっきり開け、部屋に飛び込んでくる。

その職員は周りからの視線に気がついた瞬間に固まった。

 

「貴様!陛下のお話の最中だぞ!場を弁えろ!」

 

「構わん、よほど重要なことであろう。落ち着いて話せ」

 

「さ、三十分ほど前、第二文明圏列強ムーから連絡があり、『フランス共和国と名乗る艦隊と接触した』とのことです!」

 

部屋の中がざわめく。

ミリシアル8世は片手を上げ、場を静ませた。

 

「……向こうからこんなに早く来てくれるとはな」

 

「陛下!如何しましょう?」

 

ミリシアル8世は深く息を吐くと、

 

 

第零式魔導艦隊(帝国最強の艦隊)を迎えに出すんだ。戦争目的なら全力で潰せ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ムー国・首都オタハイト沖

 

戦艦ラ・カサミ艦橋

 

「艦長!17km先に艦影を確認しました!形から見て、空母と思われます!」

 

見張り員からの報告に艦長のミニラルは双眼鏡を覗く。

確かにいくつかの艦影を見つけた。

 

「周辺にいる艦を集めろ!グラ・バルカスかもしれん!」

「偵察機、発艦!」

 

「頼むから友好的なやつらでいてくれよ……」

 

 

彼らに、かつての同胞と再会できる時が与えられた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




読んでくださりありがとうございます。

アンケートにぜひお答えください。
みなさんの一票で話の流れが少し変わります(物語の流れなどはそんなに変わりません)。

次回はムーとの会談です。 
あの兵器の製造に一歩近づきますね。

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